クラックゲージの使い方と種類・測定基準を徹底解説

クラックゲージの使い方と種類・測定基準を徹底解説

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クラックゲージの使い方と種類・測定の基準を現場目線で解説

ヘアクラックだと思って放置したひびが、実は補修費用50万円超の構造クラックだったケースがあります。


この記事でわかること
📏
クラックゲージ・クラックスケールの違い

「幅を測る」道具と「挙動を追う」道具は別物です。現場の状況に合わせた正しい使い分けを解説します。

🔍
0.3mmという判断基準の意味

なぜ0.3mmが境界線なのか。構造クラックとヘアクラックの違い、測定時の正しい読み取り方を具体的に解説します。

📋
CMゲージによる長期モニタリング手順

貼り付け位置の決め方から定期計測の間隔、記録の残し方まで。現場でそのまま使える実務的な手順を紹介します。


クラックゲージとクラックスケールの違いと使い分け


現場でよく混同されるのが「クラックゲージ」と「クラックスケール」の2つです。名前が似ているために同じ道具だと思っている方も少なくありませんが、この2つは目的も使い方もまったく異なります。


クラックスケールは、ひび割れの現時点での幅を「今この瞬間」に計測するための道具です。ポリエステルやステンレス製のシートに0.05mm刻みで0.03mm〜1.5mm程度の太さの直線が印刷されており、ひび割れにあてて線の太さを目視で照合するだけで幅が読み取れます。構造が非常にシンプルなため、価格も安く数百円から入手可能で、現場での第一次スクリーニングに最適です。


一方、クラックゲージはひび割れを「経時的に追跡する」ための道具です。ベーススケールとサブスケールの2枚を0点がひび割れの中心線と一致するように接着剤で貼り付け、時間の経過とともにひび割れが開閉したり横ズレしたりする「挙動変化」を読み取ります。代表的な製品であるケット科学研究所のCMゲージ(TZ-1000)は、0.05mm単位での微少な変位が確認でき、計測範囲は分解能0.05mmの場合で−5mm〜5.7mmに対応しています。


つまり、使い分けの原則は次のとおりです。


  • 📌 クラックスケール:初回点検・現況確認・補修要否の一次判断に使う
  • 📌 クラックゲージ(CMゲージ):ひび割れが「活きているか(進行中か)」を長期的に監視するために使う


クラックゲージは貼り付けるだけで手間がかかるイメージがありますが、実際には接着剤でひび割れをまたぐように固定するだけです。費用も5本入り1万円(税別)程度と、複数箇所に多点設置しても低コストに抑えられます。


初回点検でクラックスケールを使い、0.3mm以上のひび割れが確認されたらCMゲージに切り替えて経過監視する、というのが現場での実務的な流れです。これが基本です。


参考:CMゲージ(TZ-1000)の仕様・価格の詳細はこちら
ケット科学研究所|コンクリートひび割れ測定ゲージ TZ-1000「CMゲージ」


クラックスケールの正しい使い方と読み取りのコツ

クラックスケールの操作自体はシンプルですが、実は現場で「正確に読めていない」ケースが多いです。特に自然光の入り方や、スケールをあてる角度によって見え方が変わるため、数値の誤読が起きやすいのです。


手順は以下のとおりです。


  1. 🧹 ひび割れ周辺の汚れ・ほこりを乾いたブラシで除去し、表面をきれいにする
  2. 💡 懐中電灯または自然光を斜め(45度程度)から当てて、ひび割れの輪郭をはっきりさせる
  3. 📐 クラックスケールをひび割れの上に垂直に重ね、「印刷された線」と「ひび割れの幅」が一致する目盛を読み取る
  4. 📝 測定箇所・日時・幅の数値を現場記録に残す


正確な読み取りにはコツがあります。スケールをひび割れに平行に動かしながら「線幅がひびの幅と同一に見えるポイント」を探すのが正解です。どこか1点だけで判断するとズレが生じやすいため、最も幅が広い部分とその前後2〜3cm離れた箇所の計3点を測定し、最大値を記録する習慣をつけると精度が上がります。


重要な判断基準として覚えておきたいのは下記の3段階です。


ひび割れ幅 クラックの種類 対応の目安
0.3mm未満 ヘアクラック 経過観察。緊急補修は不要
0.3mm以上〜1.0mm未満 構造クラックの可能性あり CMゲージで挙動確認・専門家への相談を検討
1.0mm以上 構造クラック(高リスク) 早急な補修・構造診断が必要


0.3mmという数字は、人の髪の毛の太さが約0.07〜0.1mm程度であることを考えると、その3〜4本分の幅に相当します。目視だけではヘアクラックに見えても実際は0.3mmを超えているケースがあるため、クラックスケールによる計測は省略できません。クラックスケールは必須です。


ひび割れ幅と並んで重要なのが「方向」の記録です。縦方向のひびは地盤沈下・構造体のたわみ、斜め45度のひびは地震や風圧による水平力、放射状・網目状のひびは乾燥収縮という形で、発生原因の手がかりになります。幅の測定と同時に、ひびの走る方向も必ず記録に残してください。


参考:ひび割れの幅・深さ・方向から読み取れる情報を詳しく解説
幸せ住まいづくり講座|ひび割れの幅・深さ・方向からわかること


CMゲージ(クラックゲージ)の貼り付け手順と長期モニタリングの方法

クラックスケールでひび割れが確認され、特に0.3mm以上のものが見つかった場合は、CMゲージを使った継続的な観察が重要になります。CMゲージは「今どのくらい開いているか」ではなく、「先月と比べてどれだけ変化したか」を可視化するための道具です。


貼り付け手順は次のとおりです。


  1. 🔧 ひび割れ面の汚れ・油分をサンドペーパー(#100前後)や脱脂剤で除去する
  2. 📍 CMゲージの0点(中央の基準線)がひび割れの中心線に重なるよう位置合わせをする
  3. 🔩 ひび割れをまたぐようにゲージを置き、付属の接着剤で固定する(硬化まで約24時間)
  4. 📸 貼り付け直後の目盛の初期値を写真で記録しておく


計測は、貼り付け後は最低でも月1回以上の頻度で行うのが原則です。初期値から0.1mm以上の変化が3回連続して確認された場合や、急激に0.5mm以上動いた場合は、専門家による詳細調査を検討してください。


意外と見落とされがちなのが「横ズレ(せん断変位)」の確認です。ひび割れは幅方向(開閉)だけでなく、上下や左右にずれながら動くことがあります。CMゲージのベーススケールとサブスケールの読み取り位置が縦方向にもズレていないかを毎回チェックすることで、より詳細な挙動分析ができます。これは使えそうです。


複数箇所に設置する場合は、ゲージごとに識別番号を振り、位置の写真と番号を対応させた管理台帳を作成しておくと、後の補修計画や発注資料として活用できます。特に長期間の維持管理が求められる橋梁・トンネル・擁壁などでは、この記録が後の瑕疵判断の根拠にもなります。


参考:クラックゲージ(クラックスケール)の使用目的・使用方法の公的解説
住まいるダイヤル(国土交通省)|住宅紛争処理技術関連資料集 クラックスケール・クラックゲージ


クラックゲージで見分けるひび割れの種類と補修判断の基準

クラックゲージやクラックスケールで幅を測定したあと、次に必要なのは「この数値が何を意味するか」の判断です。現場でよく出会うひび割れの種類を整理しておくことで、測定結果をより正確に評価できます。


まず「ヘアクラック」は幅0.3mm未満・深さ4mm未満で、コンクリートや塗膜の表面だけに発生するものです。乾燥収縮が主な原因で、構造的な強度には影響しないとされています。ただし、基礎全体に広範囲で発生している場合や、ヘアクラックが短期間に増加している場合は注意が必要です。


「構造クラック」は幅0.3mm以上・深さ5mm以上のもので、建物の安全性に直接影響する可能性があります。構造クラックを放置した場合、雨水の侵入→鉄筋の腐食→コンクリートの爆裂という負の連鎖が起き、最終的な補修費用は数十万円〜100万円超になるケースもあります。早期発見が条件です。


ひび割れの種類と発生原因の対応を整理すると次のようになります。


クラックの種類 幅の目安 主な原因 補修の必要性
ヘアクラック 0.3mm未満 乾燥収縮・塗膜劣化 経過観察でよい(緊急性なし)
乾燥クラック 0.3mm前後 モルタルの乾燥収縮 表面補修を検討
縁切れクラック 様々 モルタル継ぎ目 防水性の確保のため補修推奨
構造クラック 0.3mm〜1mm超 地震・地盤沈下・施工不良 早急な専門家診断が必要


建築現場で特に注意したいのが、幅は0.2mmと小さいが深さが深い「貫通クラック」の存在です。クラックスケールの目視では幅が小さく見えるため見過ごしがちですが、指でひびの縁を軽く押すと空洞感がある、ひびの内部が黒ずんでいる、というサインがある場合は貫通している可能性があります。幅の数値だけでなく深さの確認も必要です。


幅1mm以上・外壁面積10㎡程度の補修を業者に依頼する場合、足場が不要な箇所であれば施工費は1,500〜2,500円/㎡程度ですが、足場の架設が必要になると12〜18万円の足場代が上乗せされます。外壁塗装の予定がある場合は、塗装工事と補修を同時に行うことで足場代が1回で済むため、コスト面で大幅に節約できます。


参考:ひび割れの種類と補修費用の詳細情報
施工管理求人サーチ|クラックスケールが必要となるひび割れの原因4選|点検する際の注意点


クラックゲージを使った点検記録の残し方と独自の活用術

クラックゲージを使いこなしている現場と、そうでない現場の最大の差は「記録の質」にあります。測定するだけで記録を残さない場合、後になって「いつから変化が始まったか」が追えなくなり、補修のタイミングを逃したり、発注者や施主への説明資料が作れなくなる事態が起きます。つまり記録こそが資産です。


記録に残すべき最低限の項目は以下のとおりです。


  • 📍 ひび割れの発見日・場所(図面上の位置番号)
  • 📏 クラックスケールで測定した初期幅(mm)
  • 📸 ひび割れ全体が写るよう撮影した写真(縮尺がわかるようスケールを一緒に写す)
  • 📋 CMゲージの初期値と計測日ごとの変化量
  • 🔄 ひびの方向(縦・横・斜め・ネットワーク状など)


特に写真記録では「スケールをひびに添えて撮影する」ことが重要で、これを怠ると写真だけでは幅の実寸が証明できません。施主への報告書はもちろん、万一の損害保険申請や瑕疵担保責任の判断にも写真記録が決め手になります。


あまり知られていない活用術として「季節変動の記録」があります。コンクリートは夏と冬の温度差(日本では場所によって年較差が40℃以上になる)によって熱膨張・収縮を繰り返すため、CMゲージの数値は季節によって変動することがあります。純粋な「構造劣化による進行」と「温度変形による一時的な変化」を区別するために、春・夏・秋・冬の年4回は最低でも計測日を決めて記録しておくと、2年後・3年後の評価精度が格段に上がります。


こうした継続記録は、「定期報告書」として施主や発注者へ提出することで現場の信頼性向上にもつながります。特に、長期使用を想定したマンション・公共施設・工場などでは、維持管理計画書の中にクラックモニタリングの実績を組み込む発注者も増えています。管理のトレーサビリティが問われる現代では、記録を残す習慣そのものが現場の競争力になります。


参考:コンクリート構造物の外観調査・クラック測定の方法と注意点
実務で役立つコンクリート診断|コンクリート構造物の外観調査




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