

アスベスト含有スレートに無届けでカバー工法を行うと、30万円以下の罰金に加え懲役刑の対象になります。
建築業に携わっているなら、ガルバリウム鋼板は今さら説明が不要なほど定番の屋根・外壁材です。ところが近年、その上位素材として急速に普及しているのが「SGL(エスジーエル)鋼板」であり、メタル建材の屋根材「リファーナ」はこのSGLを原板に採用しています。
SGLとは、Superior・Special・Superの頭文字「S」をガルバリウム(GL)の前に冠した名称で、日鉄鋼板株式会社の登録商標です。構造的にはガルバリウム鋼板のめっき成分にマグネシウムを約2%添加しており、このマグネシウムが亜鉛リッチ相に「マグネシウム濃化相」を形成することで、より緻密な保護皮膜が作られます。
つまりSGLということですね。
各種試験結果によると、SGLはガルバリウム鋼板と比較して3倍超の耐食性を発揮するとされています。特に厳しい腐食環境(海岸付近、工業地帯近辺など)でその差が顕著に現れます。数字でいうと、海岸から500m以遠の環境において「穴あき25年保証」が設定されており、赤錆20年・塗膜20年(SGLフッソの場合)も保証されています。ガルバリウムの穴あき保証が多くの製品で10〜15年程度であることを考えると、この差は施主への提案力に直結します。
| 素材 | 耐食性の目安 | 穴あき保証(海岸500m以遠) |
|---|---|---|
| トタン(亜鉛めっき) | 基準 | なし〜短期 |
| ガルバリウム鋼板(GL) | トタンの約3〜6倍 | 製品により異なる(10〜15年が多い) |
| SGL(エスジーエル) | GLの3倍超 | 25年(リファーナの場合) |
この保証を受けるには、メーカーが定める保証規定に基づく申請手続きが別途必要です。申請を怠ると保証が無効になるため、施工時に必ず施主・元請けに確認の上、手続きを進めることが原則です。
参考:SGL鋼板(エスジーエル)とガルバリウムの耐食性の違いについて詳しく解説されています。
エスジーエル鋼板(SGL鋼板)とは?ガルバリウム鋼板との違いを解説 | 屋根と壁の修理屋さん
「金属屋根は夏に暑くて雨音がうるさい」という先入観は、現場でよく耳にします。リファーナに限っていえば、この常識は数字によって否定されます。
リファーナには最大厚み20mmの耐熱発泡ポリスチレン(自己消火性)がバックアップ材として本体と一体化されています。メーカー資料によると、外気温35℃の条件下でスレート葺き屋根の屋根裏温度が48℃になるのに対し、リファーナ施工後の屋根裏は33℃(▲15℃の差)に抑えられるとされています。エアコンの設定温度を1℃下げると約10%の消費電力が増えると言われる中、この15℃差は冷暖房コスト削減に直接つながります。
遮音性能も見逃せません。屋外騒音70dBに対し、リファーナ施工後の屋内騒音レベルは40dB以下に収まるとされています。騒音の感覚は対数的なため、70dBから40dBへの30dBの低減は「音の大きさが約1/8」に相当するイメージです。これは静かな図書館レベルの環境に近く、金属屋根の雨音問題を実質的に解消するレベルと言えます。
耐風圧性能についても注目すべき数字があります。リファーナとエテルナは、特殊なハゼ嵌合(特許工法)により屋根全体がパネル一体となって風圧に耐える設計が採用されています。破壊試験データによると最大瞬間風速110.5mで破壊の可能性がある一方、設計強度は風速78.2mまで安心設計とされています。近年の台風では最大瞬間風速60〜70m程度が「非常に強い台風」の目安であることを踏まえると、この設計強度は実用上十分な余裕を持った数値です。
これは使えそうです。
さらに、重量についても現場では重要です。粘土瓦が約60kg/㎡、陶器瓦が約50kg/㎡、着色スレートが約20kg/㎡であるのに対し、リファーナは約5kg/㎡(SGLカラータフ)と約1/10の軽さです。一般的な住宅の屋根面積(延べ80〜100㎡程度)で置き換えると、陶器瓦との差は3,600〜4,500kgにもなります。屋根の重量は耐震性に直結するため、「築20年超の木造」「現行耐震基準(2000年基準)未満の建物」への葺き替え提案では特に強いアドバンテージとなります。
参考:リファーナの断熱性・遮音性・耐風圧性能と実際の施工例が紹介されています。
【断熱×静音で選ぶなら】金属屋根リファーナ|雨漏り・結露・雨音も解決 | ルーフトップス
現場で見落としがちなのが、カバー工法(重ね葺き)を行う際のアスベスト関連の法的義務です。この点を軽視すると、建築業従事者にとって直接的な法的リスクになります。
2023年(令和5年)10月1日から、既存建材にアスベストが含有しているかどうかの事前調査について、建築物石綿含有建材調査者講習を修了した有資格者による調査が義務化されました。リファーナの施工マニュアルにも明記されているように、違法なアスベスト除去作業には「3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(直接罰)」が科せられます。重要なのは、元請業者だけでなく下請け業者にも同様の罰則が適用される点です。
アスベスト対応が必要な場合は以下のことが求められます。
コスト面では、カバー工法を採用することで既設屋根の解体処理費用を削減できます。一般的な参考費用として、リファーナ葺きは材工込みで約5,600〜8,000円/㎡が目安となっています(施工業者・地域・仕様によって異なります)。屋根面積71.8㎡の実例(雪止め・足場代含む)で117.7万円という事例もあります。
カバー工法が採用できない場合もあることが条件です。既設屋根の野地板の保持力確認(ビス固定の保持力判定)や不陸の有無、既設屋根上の設備機器の確認など、着工前の現地調査が必須となります。また、施工マニュアルでは屋根勾配2.5/10(2.5寸)以上が適用条件として定められており、勾配不足の屋根にはリファーナが適用できないため、事前の勾配計測は必ず行う必要があります。
参考:メタル建材公式の重ね葺き施工マニュアル(2025年3月版)です。役物納まり・アスベスト対応・勾配基準など施工の詳細が網羅されています。
エテルナ・リファーナ 重ね葺き施工マニュアル(PDF)| 株式会社メタル建材
同じくメタル建材が製造・販売する「エテルナ」は、リファーナと同様にSGL鋼板を採用した姉妹製品です。現場では「どちらを選ぶか」で迷うケースが多く、仕様差を整理しておくことが提案・積算の精度に直結します。
エテルナとリファーナの主な違いは次のとおりです。
| 項目 | リファーナ | エテルナ |
|---|---|---|
| バックアップ材 | 耐熱発泡ポリスチレン(厚み最大20mm) | 耐熱発泡ポリスチレン+アルミ蒸着クラフト紙 |
| 意匠 | V型ウェーブ横葺き | V型ウェーブ+Wアヤメ折り(よりグレードアップ) |
| ㎡あたり質量 | 4.96〜5.58kg/㎡ | 5.16kg/㎡ |
| 塗膜グレード | SGLフッソ(t=0.4mm)またはSGLカラータフ(t=0.35mm) | SGLフッソ(t=0.35mm)またはSGLカラータフ(t=0.35mm) |
| 保証内容 | 穴あき25年・赤錆20年・塗膜15〜20年 | 穴あき25年・赤錆20年・塗膜15〜20年(同等) |
意外ですね。
エテルナはアルミ蒸着クラフト紙を裏面材として採用することで、断熱性をさらに高める設計になっています。一方でリファーナは仕様がシンプルで積算がしやすく、カバー工法の標準品として幅広い現場に対応しやすいという特長があります。施工マニュアルはエテルナ・リファーナで共通化されており、「基本手順はエテルナを採用、リファーナも手順は同じ」とマニュアルに記載されています。
選び方の基準は明確です。
また、どちらの製品も純正部材(役物)を使用することがマニュアルで義務付けられており、「それ以外の部材では十分な性能を得られないことがある」と明記されています。コストダウンのために汎用役物を流用する事例が現場では見られますが、これはメーカー保証の対象外となるリスクがあるため注意が必要です。
参考:リファーナ・エテルナの詳細仕様と台風への耐風圧設計強度について掲載されています。
台風に強い屋根!特殊ハゼ嵌合採用、金属屋根「リファーナ」「エテルナ」 | 建材ナビ
リファーナを初めて施工する業者、あるいは熟練工であっても見落としやすい実務上の注意点が3つあります。これらは後工程のクレームや雨漏りトラブルに直結するため、事前に確認しておくことが大切です。
① 役物の構造と現場加工の限界
施工事例の中には、「ある役物の構造に無理があり改良の余地がある」という現場の声がメーカーにフィードバックされた例があります。複雑な屋根形状(寄棟・入母屋・多棟交差など)では、標準役物の納まりだけでは対応できないケースがあり、高い加工技術が求められます。三ツ又の納めなどは現場加工が前提となっており、施工マニュアルに手順が示されているものの、経験のない職人には難易度が高い工程です。
施工技術が条件です。
② カバー工法時のビス保持力確認
既設屋根の野地板に対するビスの保持力確認は、カバー工法の可否を左右する重要な工程です。施工マニュアルでは「保持力判定金具(HKC)」を使用した確認を求めており、保持力が不足している野地板にはカバー工法が適用できません。特に北面や浴室・キッチン直上の屋根面は湿気による野地板劣化が起きやすいため、目視だけでなく実際に歩行して沈みがないか確認することが必要です。
③ 異種金属との電食リスク
銅などの異種金属からの雨水が接触すると、電食(ガルバニック腐食)が起こる可能性があることが施工マニュアルに明記されています。既存の銅製谷板金や銅管のドレンなどがある場合は、材料の取り合いに注意が必要です。また、もらいさび対策として、テレビアンテナや温水器などの固定用番線は復旧時に必ず新しいものに取り替えることが推奨されています。
これらは現場で実際に発生した問題から抽出されたポイントです。特に竣工後の雨漏りクレームは補修費用だけでなく施主との信頼関係にも影響するため、施工前チェックリストに組み込んでおくことが実務上の対策として有効です。
参考:役物納まり・ビス固定・電食対策など実務的な施工手順の詳細が記載されています。
ここまでの内容を踏まえて、建築業従事者が施主やエンドユーザーに対してリファーナを提案するうえで、競合製品と明確に差別化できるポイントを整理します。同カテゴリにはアイジー工業の「スーパーガルテクト」、ニチハの「横暖ルーフS」などの人気製品もありますが、リファーナには独自の強みがあります。
まず、ワンタッチジョイントによる施工効率の優位性です。リファーナの横ジョイントはオス・メスのハゼ嵌合方式(特許工法)を採用しており、業界初とされる捨板とハゼの一体化ワンタッチジョイントによりジョイント役物が不要です。役物点数が少ない分だけ積算・発注・在庫管理のコストが下がり、施工スピードも上がります。1棟あたりの工期短縮が数時間になれば、年間の工事件数増加に直結します。
次に、材料積算サービスという現場支援体制です。メタル建材(NSプロスチール建材)では、設計図面をもとに屋根割付図の作成と材料積算を行うサービスを提供しています。これは材料ロスの軽減と工期短縮の両方に寄与するもので、他社製品では提供されていないケースも多いサービスです。特に不整形な屋根形状の現場では、積算ミスによる材料不足・過剰発注のリスクを減らせます。
つまり「材料ロス削減+工期短縮」が同時に実現できるということですね。
そして、リサイクル性によるエコ訴求も見落とせません。リファーナの断熱材は溶剤を使わない特殊接着方法を採用しているため、屋根材と断熱材の分離が容易で分別廃棄が可能です。鋼板本体はスクラップ回収システムが整備されており、廃棄物処理コストの透明化と環境配慮の訴求が同時にできます。近年、公共工事やZEH(ゼロエネルギーハウス)対応を求める施主からの評価ポイントになりうる部分です。
参考:リファーナの製品仕様・カラーラインナップ・施工例が確認できる公式PDFカタログです。
リファーナ製品カタログ(PDF)| NSプロスチール建材株式会社