ナット寸法インチ一覧:建築現場で使える規格表

ナット寸法インチ一覧:建築現場で使える規格表

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ナット寸法インチ一覧と規格

インチナット規格の概要
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ウイットネジ規格

山角55度、建築・配管・電気設備で広く使用される日本の主要規格

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ユニファイネジ規格

山角60度、航空機・自動車分野で使用される国際統一規格

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寸法表記の特徴

1インチあたりの山数で表示、ミリ換算には25.4を使用

ナット寸法インチ規格の基本知識

建築現場でインチナットを扱う際、最も重要なのは規格の理解です。インチネジには主に「ウイットネジ規格(W)」と「ユニファイネジ規格(UNC/UNF)」の2つが存在し、それぞれ異なる用途で使用されています。

 

ウイットネジは1968年にJIS規格は廃止されましたが、現在も建築関係・電気・水道・空調設備関係で広く使用されています。山の角度が55度という特徴があり、日本の建築現場では馴染み深い規格です。

 

一方、ユニファイネジは山の角度が60度で、アメリカ・イギリス・カナダの間で統一使用された国際規格です。主に航空機・アメリカ自動車・バイク等で使用されており、建築分野では特殊な用途に限定されます。

 

インチネジの最大の特徴は、ミリねじのようにピッチ(P=0.8やP=1.25)で表記するのではなく、1インチ(約25.4mm)の中にある山数で表示することです。例えば、1/4インチ20山という表記は、1/4インチの径に1インチあたり20個の山があることを意味します。

 

  • ウイットネジ:山角55度、建築・設備業界で主流
  • ユニファイネジ:山角60度、国際統一規格
  • 表記方法:1インチあたりの山数で表示
  • 換算式:25.4÷分母×分子でミリ換算

ウイットネジナットの寸法一覧表

ウイットネジナットの寸法は、建築現場で最も頻繁に使用される規格の一つです。以下に主要な寸法を一覧表で示します。

 

ウイットネジナット主要寸法表

インチ表示 呼び方 山数 ピッチ(mm) 六角対辺(mm) 厚み(mm)
1/8 1分 40 0.64 6 3
3/16 1分5厘 24 1.06 8 4
1/4 2分 20 1.27 10 5
5/16 2分5厘 18 1.41 14 6.5
3/8 3分 16 1.59 17 8
1/2 4分 12 2.11 21 10
5/8 5分 11 2.30 26 13
3/4 6分 10 2.54 32 16
1" 1吋 8 3.17 41 20

建築現場で特によく使用されるのは、1/4インチ(2分)から3/4インチ(6分)までのサイズです。これらは配管工事、電気設備工事、空調設備工事で標準的に使用されています。

 

実際の現場では、ナットの厚みも重要な要素となります。標準的な1種ナットの厚みは、呼び径のおよそ0.8倍程度に設定されており、十分な締結力を確保できるよう設計されています。

 

意外な事実として、ウイットネジの呼び方には独特の読み方があります。例えば1/4は「にぶ」、3/8は「さんぶ」、5/8は「ごぶ」と読みます。これは江戸時代から続く日本独特の分数表記の名残りで、現在でも職人の間で使用されています。

 

ユニファイネジナットの規格詳細

ユニファイネジナットは、建築分野では限定的ですが、特定の用途で重要な役割を果たします。特に、海外製の建築機械や設備を扱う現場では必須の知識となります。

 

ユニファイネジナット寸法表(主要サイズ)

呼び径 UNC山数 UNF山数 六角対辺(mm) 厚み(mm)
1/4 20 28 11.11 5.56
5/16 18 24 12.70 6.35
3/8 16 24 14.29 7.94
1/2 13 20 19.05 9.53
5/8 11 18 23.81 11.91
3/4 10 16 28.58 14.29

ユニファイネジには並目(UNC:Unified National Coarse)と細目(UNF:Unified National Fine)の2種類があります。並目は一般的な用途に使用され、細目は緩み止めが必要な箇所に使用されます。

 

建築現場でユニファイネジナットが使用される主な場面。

  • 海外製エレベーター設備の保守メンテナンス
  • 輸入建築機械の部品交換
  • 国際規格に準拠した建築プロジェクト
  • 特殊な建築金物の取り付け

ユニファイネジナットの選定時には、必ずUNCかUNFかを確認することが重要です。同じ呼び径でも山数が異なるため、間違えると全く噛み合わなくなります。

 

建築現場でのナット選定ポイント

建築現場でのインチナット選定は、単に寸法だけでなく、用途や環境を考慮した総合的な判断が必要です。現場での失敗を避けるため、以下のポイントを押さえておきましょう。

 

材質による選定基準
建築現場で使用されるインチナットの材質は、設置環境によって使い分けが必要です。

  • 普通鋼(生地):屋内の乾燥した環境で使用、コストパフォーマンスに優れる
  • 亜鉛めっき:屋外や湿度の高い環境で使用、防錆効果が期待できる
  • ステンレス製:食品工場や化学工場、海岸近くの建築物で使用
  • 真鍮製:電気設備周りで使用、導電性が必要な箇所に適用

強度区分の理解
建築現場では、構造部材の接合に使用するナットの強度区分が重要になります。ウイットネジナットの場合、一般的に以下の強度区分があります。

  • 4T:一般建築用、軽微な構造部材
  • 5T:中程度の荷重を受ける構造部材
  • 8T:高強度が要求される重要な構造部材

現場での実務的な選定テクニック
建築現場でのナット選定では、以下の実務的なポイントが重要です。

  1. 工具との適合性確認:現場で使用するレンチやソケットとナットの六角対辺寸法が合致するか事前確認
  2. 予備の確保:紛失や破損に備えて、使用予定数の10-20%の予備を確保
  3. 規格統一:同一工事では可能な限り同一規格で統一し、工具や部材管理を簡素化
  4. 温度変化対応:屋外設置の場合、温度変化による伸縮を考慮した余裕設計

現場でよくある失敗例として、ウイットネジにユニファイナットを使用してしまうケースがあります。見た目は似ていても山角が異なるため、完全に噛み合わず、将来的に緩みや破損の原因となります。

 

インチナット寸法換算の実務テクニック

建築現場でインチナットを扱う際、迅速かつ正確な寸法換算技術は必須スキルです。特に、図面がミリ表記なのに現場の既存設備がインチ規格という状況は頻繁に発生します。

 

基本換算公式の活用法
インチからミリへの換算基本公式:25.4÷分母×分子
実用例。

  • 3/8インチ = 25.4÷8×3 = 9.525mm ≈ 9.5mm
  • 1/2インチ = 25.4÷2×1 = 12.7mm
  • 3/4インチ = 25.4÷4×3 = 19.05mm ≈ 19.1mm

現場で使える簡易換算テーブル
建築現場で頻繁に使用されるサイズの簡易換算表を覚えておくと作業効率が大幅に向上します。

インチ ミリ換算 覚え方
1/8 3.2mm 約3mm強
1/4 6.4mm 約6.5mm
3/8 9.5mm 約10mm弱
1/2 12.7mm 約13mm弱
5/8 15.9mm 約16mm弱
3/4 19.1mm 約19mm
1" 25.4mm 約25.5mm

実務での応用テクニック
現場作業では、以下のような実務的なテクニックが役立ちます。

  1. 近似値活用法:完全な精度が不要な場合、1インチ=25mmとして概算計算
  2. 二段階換算法:複雑な分数は、まず小数に変換してから25.4を掛ける
  3. 比例計算法:基準となるサイズ(例:1/2インチ=12.7mm)から比例計算で求める

現場でのトラブル回避ポイント
寸法換算で現場トラブルを避けるための重要なポイント。

  • 公差の考慮:インチナットとミリボルトを組み合わせる場合、公差を十分に考慮
  • 規格混在の回避:同一箇所では必ず同一規格で統一
  • 実測確認:既存設備のサイズは図面に頼らず実測で確認
  • 予備検討:代替可能なサイズを事前に検討し、調達困難時の対応策を準備

建築現場でのインチナット選定と寸法換算は、経験と知識の両方が重要です。基本的な換算公式を理解し、現場で頻繁に使用されるサイズの概算値を覚えることで、作業効率と精度の両方を向上させることができます。特に改修工事や海外製設備の取り扱いでは、これらの知識が現場の成功を大きく左右する要因となります。