屋内配線ケーブル太さの選び方と規格基準

屋内配線ケーブル太さの選び方と規格基準

記事内に広告を含む場合があります。

屋内配線ケーブル太さの基本

この記事のポイント
📏
ケーブル太さの規格

VVFケーブルは1.6mm、2.0mm、2.6mmが一般的。用途と許容電流に応じて選定が必要

許容電流との関係

1.6mmは15A、2.0mmは20A、2.6mmは30Aまで対応。ブレーカー容量と連動

🔧
電圧降下の考慮

配線距離が60m超の場合は計算が必須。細すぎると電圧低下で機器故障の原因に

屋内配線ケーブルの太さと種類の基礎知識

 

屋内配線に使用されるケーブルの太さは、SQ(スケア)という単位で表され、これは導体の断面積(平方ミリメートル)を示しています。住宅や建築物で最も一般的に使用されるVVFケーブルには、1.6mm、2.0mm、2.6mmの3種類の太さがあり、それぞれ異なる許容電流値を持っています。​
VVFケーブルは「ビニル絶縁ビニルシースケーブル」の略称で、低圧屋内配線として非常に多く使用される電線です。芯数は2芯、3芯、4芯があり、用途に応じて選択します。不動産物件の電気設備を評価する際には、これらの基本規格を理解しておくことが重要です。
参考)https://www.wirecable-sales.com/documents/cable

ケーブルの太さは単に断面積を表すだけでなく、そのケーブルが安全に流せる電流の上限を決定する重要な要素となります。適切な太さを選定しないと、発熱による火災リスクや電圧降下による機器の動作不良を引き起こす可能性があります。
参考)https://www.monotaro.com/note/productinfo/densen/

屋内配線ケーブルの許容電流と太さの関係

ケーブルの太さと許容電流には明確な関係があり、1.6mmのVVFケーブル(3芯)の許容電流は15A、2.0mmは20A、2.6mmは30Aとなっています。2芯の場合は若干許容電流が高く、1.6mmで18A、2.0mmで23A、2.6mmで32Aまで対応可能です。
参考)https://electricwork.biz/vvf%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%80%81%E8%A8%B1%E5%AE%B9%E9%9B%BB%E6%B5%81/

一般的な住宅では、照明回路など消費電力の小さい回路には1.6mmケーブルを使用し、エアコンなど大電力を消費する機器には2.0mm以上のケーブルを選定します。15Aコンセントには導体径1.6mm、20Aコンセントには2.0mmを接続するのが基本です。
参考)https://safulle.co.jp/faq/faq-1844/

許容電流を超える電流を流すと、ケーブルが発熱して被覆が劣化し、最悪の場合は火災につながる危険性があります。そのため、ブレーカー容量とケーブルの太さを適切に組み合わせることが電気設計の大原則となります。配線用遮断器(ブレーカー)の容量は、ケーブルの許容電流以下に設定する必要があります。​
電線の太さの選び方と規格換算表 - MonotaRO
電線の種類ごとの詳細な許容電流値と選定基準が解説されており、屋内配線の基本を理解するのに役立ちます。

 

屋内配線における電圧降下の計算と太さ選定

電圧降下とは、電流を流した電線で端末になるに従って電圧が低くなっていく現象で、電線の電気抵抗によって発生します。電圧降下の大きさは、ケーブルが細いほど、長いほど、使用電流が大きいほど大きくなるという特徴があります。
参考)https://archi-setsubi.com/electrical-equipment/denatu-kouka/

低圧配線中の電圧降下は、原則として幹線・分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下とすることが内線規程で定められています。配線距離が60mを超える場合や、ケーブルを10本以上束ねる場合には、簡易的な許容電流表だけでなく、電圧降下の計算も併用する必要があります。
参考)https://yayoidenki.net/2020/01/16/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E5%A4%AA%E3%81%95%E3%81%AE%E9%81%B8%E5%AE%9A%E8%A1%A8%E3%81%A8%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%80%90%E5%AE%88%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84/

電圧降下の計算式は、単相2線式の場合「e = (35.6 × 電線長さm × 電流A) / (1000 × 電線断面積㎟)」となります。この計算を怠ると、負荷端の電圧が下がり、機器が正常に動作しない、または最悪の場合故障する可能性があります。特に長距離配線が必要な大型物件では、電圧降下を考慮したケーブル太さの選定が不可欠です。
参考)https://dengen-navi.com/wp/article/failure/trouble-cases-due-to-wire-selection-mistakes/

電圧降下とは-許容範囲と計算式
電圧降下の詳細な計算方法と許容範囲について、実務で使える形で解説されています。

 

屋内配線ケーブル太さの選定基準と規格

ケーブルの太さを決定する基準には、①電力損失を基準とするもの、②許容電流を基準とするもの、③電圧降下を基準とするものの3つがあります。600V以下の配電では、通常は許容電流と電圧降下を基準に選定します。
参考)https://www.fujikura-dia.co.jp/tech/documents/voltage-drop.php

屋内配線には絶縁配線が使用され、その種類によって同サイズでも許容電流が異なることに注意が必要です。例えば、ビニル絶縁電線の耐熱温度は60℃ですが、架橋ポリエチレン絶縁電線は90℃まで耐えられるため、同一サイズでも後者の方がより多くの電流を流せます。​
電線管内や受棚上に配線する電線が多条で密着している場合、放熱できずに温度が上昇するため、3条以下なら22sq、7~15条であれば38sq程度を準備する必要があります。不動産物件の電気設備をチェックする際には、配線の本数や設置環境も考慮に入れることが重要です。​

屋内配線トラブル事例から学ぶケーブル太さの重要性

実際の現場では、ケーブルの太さ選定ミスによる様々なトラブルが発生しています。よくある失敗例として、電圧降下を気にしすぎて必要以上に太いケーブルを選定した結果、接続先の端子台がそのケーブルサイズに対応しておらず、作業が中断したケースがあります。​
別の事例では、渡り配線でブレーカを増設した際に、既存の2sqケーブルでは30Aの負荷電流に耐えられず、3.5sqへの変更が必要になったケースもあります。このような場合、上流側の配線だけでなく、増設による電流増加を考慮した太さの見直しが必要です。
参考)https://syouraibochibochi.com/watarihaisenn-bure-ka-zousetu-dennsennfutosa-cyuui/

また、既設物件の増設工事では、電圧降下計算の結果太いケーブルが必要になったものの、既存の配管やケーブルラックが細く、新しいケーブルが通らない事態も発生しています。このような場合、新しい配管ルートの確保が必要となり、余計なコストと時間がかかります。不動産従事者は、物件の電気設備容量を評価する際、将来の増設可能性も考慮に入れることが望ましいです。​
中古物件では、築年数が経過している場合、配線の劣化状況も確認が必要です。クランプテスタを使用して漏れ電流を測定する方法が、手っ取り早い安全確認方法として推奨されています。
参考)https://question.realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/14125366874/

電気設備設計の鍵「電圧降下」!ケーブル選定の秘訣
実務で発生しやすいケーブル選定ミスの事例と、その対策について詳しく解説されています。