
建築現場や施設設計において、ロッカーの寸法選定は重要な要素です21。一般的なオフィス用ロッカーの標準サイズは、幅300×奥行515×高さ1790mmとなっており、これは旧JIS規格に基づいた寸法です。
主要なロッカー種類と寸法一覧:
従来のJIS S 1035(鋼製事務用ロッカー)とJIS S 1034(鋼製事務用収納家具)は1987年と1991年にそれぞれ廃止されましたが、これらの寸法は現在も業界標準として広く使用されています。現行規格はJIS S 1033(オフィス用収納家具)となっています。
更衣ロッカーでは、ハンガーを使用するため奥行きが重要で、標準的には50〜55cmの奥行きが確保されています。1人分の幅は25〜30cmが標準的で、多人数用の細いタイプでは10〜15cm程度まで縮小可能です。
駅や公共施設に設置されるコインロッカーの寸法は、利用者の荷物サイズに応じて4段階に分類されています。
JR東日本コインロッカー標準寸法:
これらの寸法は有効内寸法であり、実際の設置には筐体の厚みを考慮する必要があります。コインロッカーの利用時間は初電から終電までとなっており、駅工事等により移設や撤去の可能性があることも設計時に考慮すべき点です。
製品仕様の具体例として、PD-6シリーズのコインロッカーでは、外形寸法430×630×1790mmで、一口寸法は374×605×各段の高さとなっています。設置場所の制約に応じて、2段から6段まで選択可能で、ゴルフバッグ対応の変則段数タイプも用意されています。
オフィスや工場の更衣室で使用されるロッカーは、使用目的と人数に応じて多様なサイズ展開があります。
パーソナルロッカーの仕様:
更衣ロッカーの詳細仕様:
クリーンロッカーの寸法範囲:
6人用スチールロッカー(3連2段)の実例では、全体サイズが幅900×奥行515×高さ1790mmで、1人あたりの有効内寸は幅262×奥行472×高さ820mmとなっています。上下に固定棚が設置され、配線用ホールも備えているため、現代のデジタル機器に対応した設計となっています。
建築設計においてロッカーの配置計画を立てる際は、利用者の動線と安全性を重視した空間設計が必要です。
通路幅の設計基準:
レイアウト設計のポイント:
特殊な配置例と省スペース設計:
超省スペース型として、幅30cmに4人分の収納を実現するL字型ロッカーも開発されています。このタイプは寸法300×500×1790mmで、上段と下段をL字型に区切ることで、従来の4倍の収納効率を実現しています。
空間設計では、ロッカーの設置高さも重要な要素です。標準的な1790mmの高さは、一般的な天井高2400mmの建物において、上部に十分な余裕を持たせた設計となっています。また、車椅子利用者への配慮として、下段ロッカーの高さ制限(床から120cm以下)を設ける場合もあります。
建築現場でのロッカー設置は、建築基準法や労働安全衛生法など複数の法的基準に準拠する必要があります21。特に、大型施設や工場での設置では、構造安全性と避難経路の確保が重要な検討事項となります。
建築基準法における設置基準:
労働安全衛生法での要件:
耐震基準と固定方法:
現在の建築基準では、高さ1.8mを超える家具類は転倒防止措置が推奨されています。ロッカーの場合、以下の固定方法が一般的です。
電気設備との協調設計:
最近のロッカーには電源コンセントやUSB充電ポート、ICカードリーダーが装備されることが増えています。これらの電気設備設置には、電気設備技術基準に適合した配線工事が必要で、防水・防塵対策も重要な要素となります。
設置工事の際は、建築確認申請や消防署への届出が必要な場合があり、特に大規模な更衣室や公共施設では事前の法的確認が不可欠です。また、メンテナンス性を考慮した設置計画により、長期的な運用コストの削減も実現できます。