

M-40とM-30の粒度規格を混同すると、路盤強度が設計値の70%を下回るケースがあります。
粒度調整砕石とは、複数の粒径の砕石を人工的に混合・配合し、特定の粒度分布に調整した路盤材のことです。自然に採取した砕石をそのまま使うのではなく、JIS A 5001(道路用砕石)などの規格に基づいて粒度バランスを整えた製品という点が最大の特徴です。
「M」はMacadam(マカダム)に由来し、後ろの数字が最大粒径(mm)を示しています。つまりM-40は最大粒径40mm、M-30は最大粒径30mmの粒度調整砕石です。ただし「最大粒径=すべての石が40mm以下」という意味ではなく、ふるい通過率の規定に基づいて粒度分布が管理されています。規格上は40mmふるいの通過率が100%に設定されているため、ごくわずかに40mmを超える粒子が含まれる場合もあります。
粒度調整砕石はJIS規格の粒度範囲を満たすよう調整されており、特に重要なのは「細粒分(0.075mm以下の通過量)」と「最大粒径」のバランスです。細粒分が多すぎると水はけが悪化して路盤が軟化しやすくなり、少なすぎると締固め時に粒子間の充填が不十分になります。つまり粒度分布全体のバランスが条件です。
日本工業規格(JIS A 5001)では、M-40・M-30のほかにM-25やC-40(クラッシャーラン)なども規定されています。建設現場では「RC-40」と呼ばれるリサイクル砕石が代替材として流通することもありますが、原材料や品質管理の方法がM規格品とは異なるため、設計仕様書の確認が欠かせません。
| 規格名 | 最大粒径 | 40mmふるい通過率 | 0.075mmふるい通過率 |
|---|---|---|---|
| M-40 | 40mm | 100% | 2〜15% |
| M-30 | 30mm | 100%(30mmふるい基準) | 2〜15% |
| C-40(クラッシャーラン) | 40mm | 100% | 規定なし(粒度調整なし) |
上の表からわかる通り、M-40とM-30は最大粒径以外に細粒分の管理範囲が共通しており、大きな違いは「最大粒径」と、それに伴う「締固め特性」にあります。
現場での選定に迷ったとき、まず確認すべきは「施工箇所の荷重条件と仕上がり面の要求精度」です。この2点が明確になれば、M-40かM-30かの判断はほぼ絞れます。
M-40は粒径が大きいぶん、単位体積あたりの噛み合わせ(インターロッキング効果)が強く、重交通路線の上層路盤や厚い盛土部分に適しています。国土交通省の舗装設計施工指針では、一般的な上層路盤にM-30相当の粒度調整砕石を推奨しているケースが多く、M-40はどちらかというと下層路盤や路床改良材として使われることが現場では多い印象です。これは使い分けの基本です。
一方、駐車場や宅地造成の路盤では、M-30が広く採用されています。その理由は「仕上がり面の平坦性」にあります。M-40は最大40mmの粒子が存在するため、表層アスファルトや平板ブロックの直下に使うと凹凸が生じやすく、表面精度が落ちるリスクがあります。M-30の最大粒径30mmはA4用紙の短辺(約30mm)よりわずかに小さいサイズ感で、薄層施工でも比較的均一な面が出しやすいです。
施工厚さの目安として、振動ローラーを使った締固めの場合、M-40では1層あたり15〜20cm、M-30では10〜15cmが推奨される場合が多いです。厚層施工ならM-40、薄層・精度重視ならM-30という考え方が原則です。
なお、設計仕様書に「RC-40可」と明記されている場合を除き、再生砕石(RC材)と粒度調整砕石(M規格)を現場判断で入れ替えることは避けるべきです。CBR値や品質証明書の基準が異なるため、後から発覚すると手戻りコストが数十万円単位になるケースもあります。
路盤材の品質は「材料の規格」だけでなく、「締固めの管理」によって最終的な強度が決まります。これは見落とされがちな視点です。
締固め度の管理には、現場密度試験(砂置換法・RI計器法)が広く使われています。道路土工指針では、締固め度95%以上(最大乾燥密度比)を基準とすることが多く、これを下回ると路盤沈下や轍掘れの原因になります。CBR試験値でいえば、上層路盤の場合は「CBR80以上」を求めるケースが国土交通省の仕様書では一般的です。
現場での含水比管理も見逃せません。粒度調整砕石は最適含水比(OMC)付近で締固めると最大乾燥密度が出やすくなります。M-40・M-30ともに最適含水比はおおむね5〜9%程度とされていますが、原石の種類や製造プラントによって多少異なります。乾燥しすぎている材料をそのまま転圧すると、密度が上がりにくく後から沈下が起きやすくなります。
品質証明書(ミルシート相当の試験成績書)は材料納品時に受け取ることが大切です。これがないと発注者や検査機関への品質説明ができず、是正指示につながることがあります。試験成績書が基本です。
粒度調整砕石の品質管理に関する参考として、国土交通省が公開している舗装設計施工指針や土木工事共通仕様書は、現場管理の基準を確認するうえで有用です。
国土交通省|舗装設計施工指針(PDF):路盤材の規格・締固め管理基準が確認できます
材料費の単価差だけを見てM-40を選ぶと、後工程で追加コストが発生することがあります。これは意外なポイントです。
M-40はM-30より1m³あたり数百円〜1,000円程度安く流通するケースが多いですが、仕上がり面に近い箇所に使った場合、表面不陸を整形するための追加整形作業が発生することがあります。たとえば1,000m²の駐車場で厚さ15cmの路盤を施工する場合、不陸修正に半日〜1日の追加作業が生じると、人工費だけで3〜5万円程度の上乗せになる計算です。材料の単価差で節約した金額を超えるコストが発生することも珍しくありません。
発注時のチェックポイントをまとめます。
また、運搬時の水分変動にも注意が必要です。雨天後の納品では含水比が最適値を大きく超えることがあり、そのまま転圧すると密度が出にくくなります。受け入れ時にスランプ的な感触(手で握って塊になるが崩せる程度)を確認する簡易チェックも現場では有効です。
資材の発注・受け入れ時に活用できる土木材料の品質管理の参考として、以下のリンクが役立ちます。
土木研究所|路盤材料に関する品質調査報告(PDF):再生材と新材の品質比較データが確認できます
ここはあまり語られないテーマですが、粒度調整砕石の「転用可能性」と「廃材扱いの判断基準」は、現場コストと法的リスクの両方に直結します。
工事現場で一度敷設した粒度調整砕石M-40・M-30を掘り起こして別の箇所に転用する場合、材料としての品質が維持されていれば原則として再利用は可能です。ただし、アスファルト舗装や安定処理材(セメント・石灰添加)と混合された場合は粒度・組成が変化するため、そのままM規格材として再転用することはできません。「再利用可能かどうか」は混合の有無が条件です。
廃棄物処理法上の観点では、建設副産物として発生した砕石を現場外に搬出して他工事に有償で売却する場合は「有価物」として扱えますが、無償または費用をかけて処分する場合は「産業廃棄物(がれき類)」として許可業者への委託が必要です。無許可業者に処分を依頼した場合、発注者・元請けともに廃棄物処理法違反に問われるリスクがあり、罰則は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)と非常に重く設定されています。廃材の出し方には十分な注意が必要です。
建設副産物の適正処理については国土交通省のガイドラインが整備されており、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行義務や記録保存義務もあわせて確認しておくことを推奨します。
国土交通省|建設リサイクル法の解説ページ:副産物の適正処理・マニフェスト義務の概要が確認できます
また、粒度調整砕石を仮設道路として転用した後、撤去せずに残置する工事が散見されますが、この場合も「廃棄物の不法投棄」にあたる可能性があります。契約書・設計図書に残置の明記がない場合は、必ず発注者と書面で確認することが重要です。現場の判断だけで残置することは厳禁と覚えておきましょう。
| 場面 | M-40 | M-30 |
|---|---|---|
| 重交通路線・下層路盤 | ◎ 適合 | 〇 可 |
| 駐車場・上層路盤 | △ 不陸注意 | ◎ 適合 |
| 宅地造成・基礎周辺 | 〇 可(厚層) | ◎ 推奨 |
| 薄層施工(10cm以下) | ✕ 不向き | 〇 可 |
| 仮設道路 | ◎ コスト有利 | 〇 可 |
粒度調整砕石M-40・M-30は「どちらが優れているか」ではなく「どの用途に合っているか」で選ぶことが、施工品質とコスト管理の両立につながります。規格の理解・使い分けの判断基準・廃材管理の法的リスク、この3点を押さえておけば現場トラブルの大半は防げます。規格の正確な理解が基本です。