

STPG370は、JIS G 3454「圧力配管用炭素鋼鋼管」に定義され、350℃程度以下で使用する圧力配管向けの鋼管です。
同規格は「高圧配管用炭素鋼鋼管」には適用しない、と明確に線引きしており、高圧用途は別規格(JIS G 3455)で扱う前提になっています。
また、適用できる外径の範囲も規格本文で示され、外径10.5mmから660.4mmまでを対象にできる、とされています。
現場の実務で効くのは、「適用範囲=使ってよい温度帯と用途の約束事」だと割り切ることです。
ここでの落とし穴は「圧力=全部STPGでOK」と短絡しやすい点です。規格は用途(圧力配管)だけでなく、適用除外(高圧配管用)まで含めて責任範囲を決めています。
参考)https://www.nipponsteel.com/product/construction/handbook/pdf/4-10.pdf
STPG370の化学成分(溶鋼分析値)は、C 0.25%以下、Si 0.35%以下、Mn 0.30〜0.90%、P 0.040%以下、S 0.040%以下と規定されています。
機械的性質は、引張強さ370 N/mm2以上、降伏点または耐力215 N/mm2以上で、試験片や採取方向により伸びの基準値が定められています。
さらに、厚さ8mm未満の場合は伸びの扱いが別表で細分化され、板厚に応じて要求伸びが変動する仕組みが明記されています。
現場での読み替えポイントは「成分表は“上限管理”、強度は“下限保証”」ということです。
意外と見落とされがちなのが、規格本文の「必要に応じてこの表にない合金元素を添加してもよい」という一文です。
つまり、STPG370=完全な“単純炭素鋼”と決めつけず、メーカーの溶製設計や購買仕様(特殊要求)によっては微量元素が入る可能性を想定しておくと、材料トラブル時の切り分けが速くなります。
JIS G 3454では、STPG370の「製造方法を表す記号」として、継目無(S)、電気抵抗溶接(E)、熱間仕上げ(H)、冷間仕上げ(C)、電気抵抗溶接まま(G)などの組合せを表で示し、表示方法も規定しています。
例として、熱間仕上継目無鋼管なら「STPG370−S−H」のように表示する、と明記されています。
さらに、表示には種類の記号、製造方法記号、寸法(呼び径×呼び厚さ)、製造業者名、必要なら特別品質規定を示す記号Zなどを含めるルールがあります。
ここは発注・検収で最も効く部分です。図面や発注書で「STPG370」だけ書いて終わりにすると、製造方法(S/E)や仕上(H/C/G)が曖昧になり、納入品のばらつきが出ます。
また「黒管/白管(亜鉛めっき)」の区分も規格にあり、白管の扱いは試験や工程順序にも影響します。
図面・帳票上で白管を区分する必要がある場合は、記号として種類の記号の後に「-ZN」を付記できる、といった実務寄りの補足もあります(ただし製品表示には適用しない)。
JIS G 3454は、外径・厚さの許容差を「熱間仕上継目無」「冷間仕上継目無・電気抵抗溶接」などの区分と、呼び径・厚さ区分ごとに表で規定しています。
また、管は水圧試験または非破壊試験のいずれかを適用し、どちらにするかは注文者が指定でき、指定がなければ製造業者選択になる、とされています。
水圧試験の下限圧力はスケジュール番号ごとに示され、Sch10で2.0MPa、Sch40で6.0MPa、Sch80で12MPaなどの下限値が規定されています。
ここでの現場ノウハウは「寸法許容差の理解=“合わない原因”の特定ができる」ことです。
もう一つ重要なのが、350A以上では外径を「周長」で測って換算外径で管理してもよい、という規定です。
大径管の現場測定はノギスが使いにくく、メジャーで周長を取って外径換算する運用が混ざりやすいので、測り方が混在すると“誤差の誤解”が起きます。規格側が周長測定を想定している点は、実務上かなり助けになります。
JIS G 3454には、附属書として「特別品質規定」が置かれており、超音波探傷試験および検査(Z3)、渦電流探傷試験および検査(Z4)が規定されています。
この特別品質規定は、受渡当事者間の協定によって適用できる位置づけで、通常要求とは別に“追加の安心”を買うオプション設計になっています。
また、本文側でも非破壊試験として超音波探傷(JIS G 0582)や渦電流探傷(JIS G 0583)を規定しつつ、当事者間協定で同等以上の他試験も可、としています。
検索上位の解説記事では「STPG370の強度や用途」で止まることが多い一方、実務で差が出るのはここです。
加えて、規格の「表示」には“特別品質規定の指定を表す記号Z(指定があった場合)”が含まれるため、納入品の表示や検査文書で追跡がしやすくなります。
発注書テンプレの一例(そのまま流用できるように簡潔に)
参考リンク(規格の一次情報:適用範囲、成分、機械的性質、製造方法、試験、表示、特別品質規定の根拠)
JIS G 3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)の条文全文(目次〜特別品質規定まで)