圧縮強度試験の供試体個数と建築・土木の違いを徹底解説

圧縮強度試験の供試体個数と建築・土木の違いを徹底解説

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圧縮強度試験の供試体個数と採取基準を正しく理解する

供試体を3個採れば問題ないと思っていると、検査ロット不成立で数百万円の打ち直しリスクを負うことがあります。


📋 この記事の3ポイント要約
🔢
供試体の個数は「工事の種別」で変わる

建築工事(JASS5)では使用するコンクリートの判定に合計9個、構造体確認に3個が基本。土木工事は6本(3本1組×2材齢)が原則です。工事種別を混同すると採取本数が変わります。

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養生方法によって「見ている強度」が違う

標準養生はコンクリートのポテンシャル強度、現場水中養生や現場封かん養生は構造体の強度を確認するためのものです。目的に合った養生を選ばないと、判定基準を誤ります。

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不合格時は数十万〜数百万円規模のリスク

強度試験で基準を満たさない場合、コア抜き試験・打ち直し・補強工事が必要になることがあります。供試体の採取方法・個数の管理が、現場の品質リスクを左右します。


圧縮強度試験とは何か・供試体の役割を押さえる


コンクリートの品質管理において、中心的な役割を担うのが圧縮強度試験です。構造設計の場面でコンクリートは「圧縮力だけを受け持つ材料」として扱われるため、圧縮強度が設計時に想定した値以上であることを現場で確認する必要があります。その確認のために使われる試験体が「供試体」または「テストピース」と呼ばれるものです。


供試体は、工事現場に届いた生コンクリート(フレッシュコンクリート)から採取し、円柱状の型枠に詰めて作製します。一般的なサイズはφ100×200mm(直径10cm・高さ20cm)またはφ125×250mmで、成形後に規定の養生を経てから圧縮試験機にかけます。試験機で供試体が破壊されるまで荷重をかけ、そのときの最大荷重を断面積で割ることで圧縮強度(N/mm²)が求まります。


つまり供試体は「現場コンクリートの分身」です。


供試体の品質は試験結果に直結します。作製時の突き固め不足や養生温度の管理ミスがあると、本来のコンクリート強度が正確に反映されず、不当に低い試験値が出ることがあります。現場での採取作業は軽視されがちですが、JIS A 1132(供試体作製方法)に定められた手順を守ることが大前提です。


採取手順の遵守が、試験結果の信頼性を守ります。


コンクリートの強度試験には大きく「使用するコンクリートの強度(生コンのポテンシャル)」を確認するものと、「構造体コンクリートの強度(実際に打設された構造物の強度)」を確認するものの2種類があります。この2種類では目的が異なるため、供試体の採取個数・養生方法・判定基準もすべて変わります。この区別を最初に理解しておくことが、後の混乱を防ぐ上で非常に重要です。


参考:JIS A 1132「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」の規格内容は、日本産業標準調査会のサイトで確認できます。


日本産業標準調査会(JISC):JIS A 1132 等 規格検索


圧縮強度試験の供試体個数・建築工事(JASS5)の基本ルール

建築工事における供試体の採取個数は、JASS5(日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説 鉄筋コンクリート工事)に定められています。建築の場合は試験の目的ごとに採取する個数が異なるため、「何のための試験か」を最初に確認することが必須です。


まず「使用するコンクリート(調合管理強度の管理試験)」の場合は、1回の試験で3個の供試体を使用します。判定するためには3回の試験結果の平均値が必要なので、1検査ロット(150m³ごと)では3本×3回=9個が必要になります。ただし、1日の打設量が450m³未満の場合、規定の9個を満たせないケースが出てきます。そのような場合は監理者と協議して判定基準を変更する運用が現場では多く見られます。


450m³未満なら監理者との相談が必要です。


次に「構造体コンクリートの圧縮強度推定用」の場合は、1回の試験で3個の供試体を使用します。150m³ごとに1回実施するため、150m³あたり3本が基準となります。この3本は、適当な間隔をおいた3台の運搬車(コンクリートミキサー車)から1台につき1個ずつ採取する方法が原則です。同じバッチばかりから採取すると偏りが生じるため、複数の運搬車から分散して採取する点が重要です。


まとめると建築工事の採取個数の目安は次のとおりです。






















試験の目的 1回の個数 試験回数の目安 1ロットの合計個数
調合管理強度の管理試験 3個 3回(150m³ごと) 9個(450m³で1ロット)
構造体コンクリート強度推定 3個 1回(150m³ごと) 3個(150m³で1ロット)


なお、建築工事では2009年のJASS5改定以降、1週(7日)材齢の供試体採取が通常は不要になりました。以前は土木工事と同じように1週・4週の2材齢で採取するのが標準でしたが、現在の建築標準仕様では原則として材齢28日の標準養生供試体が管理の中心となっています。


「建築は1週が不要」という変化は意外と浸透していません。


参考:JASS5の改定内容と供試体採取規定の詳細は、日本建築学会の公式情報をご参照ください。


一般社団法人 日本建築学会:JASS5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)公式情報


圧縮強度試験の供試体個数・土木工事との違いと判定基準

建築工事と土木工事では、供試体の採取本数・材齢・判定基準がすべて異なります。現場によっては建築と土木の両方の工種が混在することもあるため、混同しないよう整理しておくことが大切です。


土木工事では、現在も従来のルールが継続されており、採取本数は6本(3本1組×2セット)が原則です。材齢は1週(7日)と4週(28日)の2回分を採取します。コンクリートの強度管理自体は材齢4週の結果で行いますが、1週時点の値を確認することで4週強度を早期に推定し、強度不足が起きる前に対処する目的があります。


1週採取は「早期発見のための先手管理」です。


土木工事の判定基準は公共工事標準仕様書に基づき、1回の試験3個の平均値で判定します。試験の頻度は「1日1回以上、かつ20m³~150m³ごとに1回」とされており、工事の規模や発注機関によって細かな条件が定められています。建築と土木を比較すると、以下のような違いがあります。





























項目 建築工事(JASS5) 土木工事(公共工事標準仕様書)
採取本数(通常) 6本(調合管理+構造体) 6本(1週3本・4週3本)
材齢 28日が中心(1週は原則不要) 7日・28日の2回
試験頻度 150m³ごとに1回以上 20〜150m³ごとに1回
判定方式 3回平均 + 1回ごと基準(85%) 3本平均で判定


建築の調合管理強度の判定基準は2段階です。「①1回の試験結果が調合管理強度の85%以上」かつ「②3回の試験結果の平均が調合管理強度以上」の両方を満たす必要があります。片方だけでは不合格です。


2条件の同時クリアが原則です。


土木では試験3本の平均値で呼び強度を満足すればよいとされているため、建築の85%ルールを土木現場に誤って適用するケースや、その逆もあります。特に若手の担当者や、建築と土木を掛け持ちしている職員は注意が必要です。どちらの規格を適用する現場なのかを常に意識しながら採取管理を行うことが、ミスを防ぐ第一歩になります。


参考:国土交通省の監督職員向けのコンクリート品質管理基準は下記で確認できます。


国土交通省中国地方整備局:監督職員のためのコンクリートチェックポイント(PDF)


圧縮強度試験の養生方法3種類と供試体個数への影響

供試体の養生方法は、試験の目的によって3種類が使い分けられます。養生方法を間違えると、強度試験の意味自体が変わってしまうため、現場での管理が非常に重要です。


1つ目は「標準養生」です。20±2℃に保った水中で28日間養生する方法で、コンクリートそのものが持つ潜在的な強度(ポテンシャル)を確認するために使います。使用するコンクリートが呼び強度を満足しているかを判断する際の基本となる養生方法です。


2つ目は「現場水中養生」です。工事現場の気温変化に追随する水の中で養生します。型枠(せき板)の取り外し時期を決める際や、構造体コンクリートの強度を推定する判定に使います。標準養生に比べて気温の影響を受けやすいため、冬季や夏季では強度発現の速さに差が出ます。


3つ目は「現場封かん養生」です。供試体をビニールなどで包んで水分の出入りを遮断しながら、現場の気温変化に追随して養生します。材齢28日の結果が設計基準強度の7/10以上であることと、材齢91日(最長)の結果が設計基準強度以上であることを同時に確認する場合に使います。


養生方法が違えば見ている強度が違います。


注意すべきは、建築工事で「材齢28日の試験結果が基準を満たさないと想定される場合」に追加採取が必要になることです。JASS5では、標準養生28日で基準を満たさない可能性がある場合、材齢28日超〜91日以内の確認用として現場封かん養生供試体を運搬車1台につき2個追加し、合計6個作製するよう定めています。


追加が必要なケースは把握しておくべきです。


通常の3個採取だけで十分だと思っていると、封かん養生の追加判定が抜けてしまい、後から補足試験が困難になることがあります。現場打設前の計画段階で「どの養生種別が何個必要か」を確認し、過不足なく供試体を準備することが実務上の鉄則です。




























養生方法 管理温度 主な用途 判定の材齢
標準養生 20±2℃(水中) 使用コンクリートの品質確認 28日
現場水中養生 現場気温に追随 型枠脱型・構造体強度推定 28日
現場封かん養生 現場気温に追随(密封) 28日不合格想定時の補完判定 28日超〜91日以内


参考:養生方法と判定基準の関係については、下記コンクリートコムの解説記事が詳しいです。


コンクリートコム:現場監理の達人 第9回 コンクリート工事(供試体養生・判定基準の解説)


圧縮強度試験が不合格になったときの対応と供試体個数管理の重要性

圧縮強度試験の結果が基準を満たさなかった場合、現場は段階的な対応を迫られます。最終的な帰結によっては、数十万円から数百万円規模の工事費用が発生することもあるため、供試体の管理は「コスト管理の一部」でもあると意識することが重要です。


まず確認されるのは、供試体の採取・養生・試験手順に問題がなかったかどうかです。採取時の突き固め不足、養生時の温度管理ミス、試験機の校正不備などが原因であれば、試験体側の問題として再試験に至るケースがあります。


供試体のミスが原因なら再試験の余地があります。


一方、試験手順に問題がなく「コンクリートそのものの強度が不足している可能性がある」と判断された場合は、コア抜き試験(コアドリルで構造体から直接コアを採取して圧縮試験にかける方法)が実施されます。このコア試験で基準を満たせば問題なしと判断されますが、満たさない場合は補強工事・部分的な打ち直し・最悪の場合は解体・再施工という事態になることもあります。


コア試験の費用だけでも数十万円かかることがあり、打ち直しが発生すれば数百万円規模の出費と工期延長が重なります。これは建設会社としては非常に痛いリスクです。


だからこそ「事前の採取個数管理」が最大の防衛策です。


特に見落とされやすいのは「打設量が少ない日の扱い」です。例えば1日の打設量が150m³以下しかない場合でも、規定の採取頻度に従って供試体を採取しなければなりません。「少量だから1本でいいだろう」という判断で採取数を省いてしまうと、後で検査ロットが成立しないという問題が発生します。


採取の省略は後のトラブルの原因になります。


また、採取した供試体は適切な保管場所(直射日光を避けた屋外)で養生し、脱型はコンクリートを詰め終わってから16時間以上3日間以内に行うことが定められています。現場の忙しさを理由に脱型を後回しにしたり、屋内の高温場所に保管したりすると、養生条件が乱れて試験値が実態と乖離します。


供試体の保管場所は「直射日光を避けた屋外」が基本です。


コンクリート強度試験の不合格事例の中には、コンクリート自体には問題がなく、供試体の採取・保管・養生の手続きミスが原因だったケースも報告されています。現場での採取作業を軽く扱わず、手順通りに行うことが、工事全体のリスク管理につながります。


参考:コンクリート試験不合格時の対応と実務リスクについては、下記の日本建設業連合会のトラブル回避資料が参考になります。


日本建設業連合会(関西):トラブル回避のための共通認識(コンクリート強度不足対応の事例含む)(PDF)


圧縮強度試験の供試体個数を現場でミスなく管理するための実践ポイント

供試体の採取個数管理は、知識として理解しているだけでは不十分です。現場の忙しい状況の中でも、ルールを正確に実行できる体制を作ることが重要です。ここでは、実務上で特に重要な管理ポイントを整理します。


最初に確認すべきは「打設計画書への記載」です。打設前の段階で1日の打設量・打設区画・コンクリートの種別を把握し、「何の目的で」「何個の供試体を」「どの養生で」採取するかを明確に計画しておくことが大切です。打設当日になって初めて個数を考えるのは遅すぎます。


計画段階での確認が、採取ミスを防ぐ一番の方法です。


次に注意が必要なのは「高強度コンクリートの特別ルール」です。JASS5では従来、設計基準強度36N/mm²超を高強度コンクリートと定義していましたが、2022年改定により48N/mm²超が高強度コンクリートの定義に変更されました。これにより、48N/mm²以下は一般仕様として扱われるようになっています。高強度コンクリートに分類された場合、供試体の保管条件や管理基準が通常より厳しくなるため、自分が扱うコンクリートの強度クラスを正確に把握しておく必要があります。


高強度の定義変更は2022年以降の現場に影響します。


また、試験機関の選定も重要です。コンクリートの圧縮強度試験は第三者機関(公認採取試験機関)に依頼することが望ましく、費用の目安は供試体1本あたり1,200〜1,300円程度とされています。合計で6本や9本採取する場合でも1万円前後が目安です。この費用を惜しんで自社で試験を行うと、後のトラブルで求められる客観性が担保できなくなるリスクがあります。


第三者試験の費用は「リスク回避のための保険料」です。


最後に、採取記録の保管についても触れておきます。誰が、いつ、どのコンクリート車(運搬車番号など)から、何個採取したかを現場で記録し、試験成績書と紐づけて保管しておくことが大切です。採取記録が不明確だと、後から試験結果を問われたときに対応できなくなります。記録の書式は各自治体や発注者の指定様式に従うことが多いため、着工前に必ず確認しておきましょう。


記録の保管が、後の説明責任を守ります。


以下に、現場での供試体採取チェックリストをまとめます。



  • ✅ 打設計画書に採取個数・養生種別・採取タイミングが明記されているか

  • ✅ 建築工事か土木工事かに応じた採取本数・材齢を確認しているか

  • ✅ 調合管理試験用(9個)と構造体推定用(3個)を分けて採取しているか

  • ✅ 運搬車3台から1個ずつ分散採取しているか(構造体確認用)

  • ✅ 打設量が少ない日でも規定の採取頻度を守っているか

  • ✅ 養生方法(標準養生・現場水中・封かん)が目的に合っているか

  • ✅ 脱型タイミング(打設完了から16時間以上3日間以内)を守っているか

  • ✅ 保管場所が直射日光を避けた屋外になっているか

  • ✅ 第三者(公認採取試験機関)に試験を依頼しているか

  • ✅ 採取記録(運搬車番号・採取時刻・担当者名等)を残しているか


参考:公認採取試験機関(第三者試験機関)の検索や、JIS認定機関の確認は下記で行えます。


公益財団法人 日本適合性認定協会(JAB):JIS認定試験機関の一覧検索が可能






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