
溶接エルボの寸法は主にJIS(日本産業規格)とASME(米国機械学会規格)で規定されています。現場での正確な施工には、適用する規格に応じた寸法データの把握が不可欠です。
JIS規格による90°ロングエルボ寸法表
径の呼び | 外径(mm) | F寸法(mm) | H寸法(mm) |
---|---|---|---|
15A(½) | 21.7 | 38.1 | 15.8 |
20A(¾) | 27.2 | 38.1 | 15.8 |
25A(1) | 34.0 | 38.1 | 15.8 |
32A(1¼) | 42.2 | 47.6 | 19.7 |
40A(1½) | 48.3 | 57.2 | 23.7 |
50A(2) | 60.5 | 76.2 | 31.6 |
ASME規格による90°ロングエルボ寸法表
径の呼び | 外径(mm) | F寸法(mm) | H寸法(mm) |
---|---|---|---|
½ | 21.3 | 38 | 16 |
¾ | 26.7 | 38 | 19 |
1 | 33.4 | 38 | 22 |
1¼ | 42.2 | 48 | 25 |
1½ | 48.3 | 57 | 29 |
2 | 60.3 | 76 | 35 |
JIS規格とASME規格では微細な寸法差があるため、プロジェクトで指定された規格を必ず確認することが重要です。特に国際的な建設プロジェクトでは、規格の混在によるトラブルを避けるため、事前の仕様確認が必須となります。
溶接エルボは角度によって寸法特性が大きく異なります。各角度の特徴を理解することで、設計段階での最適な選択が可能になります。
90°エルボの寸法特性 🔄
90°エルボは最も使用頻度が高く、ロングとショートの2種類があります。ロングタイプは曲げ半径が大きく、流体抵抗が少ないため、重要な配管系統で採用されます。
45°エルボの寸法特性 📐
45°エルボは配管の方向転換を緩やかに行う際に使用され、90°エルボと比較して圧力損失を抑制できます。
主要な45°エルボのH寸法(中心から端面までの距離)。
180°エルボの寸法特性 🔃
180°エルボはUターン配管で使用され、P寸法(中心から中心までの距離)とK寸法(背から端面までの距離)が重要な設計要素となります。
例:50A(2B)180°ロングエルボ
興味深いことに、45°エルボは90°エルボの約半分の圧力損失で済むため、エネルギー効率を重視する現代の建築設備では積極的に採用される傾向があります。
溶接エルボの寸法には明確な計算法則が存在し、現場での迅速な寸法確認に活用できます。この法則を理解することで、図面や資料がない状況でも概算寸法を求めることが可能です。
基本計算法則 📊
ショートエルボのF寸法計算。
F寸法 = 25.4mm × 径の呼び係数(B)
ロングエルボのF寸法計算。
F寸法 = 38.1mm × 径の呼び係数(B)
実践的な計算例
100A(4B)ロングエルボの場合。
F寸法 = 38.1mm × 4 = 152.4mm
150A(6B)ショートエルボの場合。
F寸法 = 25.4mm × 6 = 152.4mm
例外規定の注意点 ⚠️
25A(1B)以下のエルボについては、この計算法則が適用されず、一律の寸法となります。
この法則を活用することで、設計検討段階での概算や現場での確認作業が大幅に効率化されます。特に大規模な配管システムの設計では、この計算法則による迅速な寸法確認が設計品質の向上に直結します。
JIS規格に関する詳細な技術情報
フジアセチレン工業株式会社のJIS製品形状寸法ページ
溶接エルボの厚さは材質と圧力等級によって細かく規定されており、適切な選定が安全性確保の鍵となります。
ステンレス鋼製エルボの厚さ規格 🔩
SUS304W材質の主要厚さ仕様。
炭素鋼製エルボの厚さ仕様 ⚙️
FSGP(配管用炭素鋼鋼管)材質の厚さ例。
圧力等級と厚さの関係 💪
Schedule表記による厚さ分類。
材質選定では、使用環境の腐食性も重要な要素です。海岸部や化学プラントではステンレス鋼が、一般建築物では炭素鋼が経済的な選択となります。
特筆すべきは、同一径でも材質によって推奨厚さが異なることです。設計者は流体の性質、使用温度、設置環境を総合的に判断して最適な材質・厚さを選定する必要があります。
溶接エルボの施工品質は寸法許容差の管理によって大きく左右されます。JIS規格では詳細な許容差基準が設定されており、適切な品質管理が求められます。
基本寸法の許容差基準 📏
端部外径(OD)の許容差。
角度精度の許容差 📐
角度許容差は品質に直結する重要な要素です。
中心から端面までの距離(F・H寸法)許容差 📊
端面ずれ(U寸法)の許容差 ⚖️
端面ずれは溶接品質に直接影響するため、厳格な管理が必要です。
現場での許容差確認方法 🔍
施工現場では以下の測定器具を使用した確認が推奨されます。
許容差管理は単なる品質確保だけでなく、後工程での配管接続性にも大きく影響します。特に大口径配管では、わずかな寸法誤差が累積して大きな問題となるため、各段階での確実な測定・記録が重要です。
また、温度変化による寸法変動も考慮すべき要素です。ステンレス鋼は炭素鋼より熱膨張係数が大きいため、高温使用環境では設計時に適切な余裕を見込む必要があります。
管継手の技術基準詳細
MIRAIZ株式会社の技術情報ページ