
z型アングルは、断面がZ字型になっている構造材で、建築業界では欠かせない金物の一つです。基本的な規格体系は、板厚(t)×高さ(H)×幅(A)×長さ(L)の順で表記されます。
一般的な構造用軽量形鋼として、JIS G 3350で規格化されているリップZ形鋼があります。標準的なサイズは100×50×20で、板厚が3.2mmと2.3mmの2種類が用意されています。この規格では断面積や単位質量も明確に定められており、設計時の計算が容易になっています。
アルミ製のz型アングルでは、A6063材が主流で、以下のような多様なサイズ展開があります。
興味深いことに、アルミ製のz型アングルは表面処理のバリエーションが豊富で、アルマイトシルバー、ブロンズ、クリアシルバーなど、建築物の意匠に合わせた選択が可能です。これは鉄製品にはない大きなメリットといえるでしょう。
z型アングルの材質選択は、使用環境と耐久性要求によって決まります。主要な材質には以下があります。
**アルミニウム合金(A6063)**🔩
最も一般的な材質で、軽量性と耐食性に優れています。標準長さは4000mmで、比重が約2.7と軽く、作業性が良好です。表面処理として以下が選択できます:
溶融亜鉛メッキ鋼⚡
屋外使用や高湿度環境では、溶融亜鉛メッキ処理されたz型アングルが選ばれます。例えば、マルチアングルZ-40-8-ZNは、全長2400×幅40×高さ76.8mm、板厚3.2mmで、単重5.8kgとなっています。
三価クロメート処理鋼
環境配慮型の表面処理として、三価クロメート処理も選択肢に含まれます。従来の六価クロメートより環境負荷が少ないのが特徴です。
ここで注目すべきは、同一形状でも表面処理によって価格が大きく異なることです。生地材が最も安価で、特殊カラーアルマイト処理になると2-3倍の価格差が生じる場合があります。
適切なz型アングルサイズの選定には、構造計算と使用条件の検討が必要です。基本的な選定基準は以下の通りです。
断面二次モーメントによる強度計算📊
z型アングルの曲げ強度は断面二次モーメント(I)に比例します。例えば、標準的なZ-40では以下の性能があります。
許容応力度との照合
アルミ合金A6063の場合、許容曲げ応力度は約98N/mm²となります。これに断面係数を乗じることで許容曲げモーメントが算出できます。
たわみ制限の確認⚖️
建築基準では、スパンの1/250以下のたわみに抑える必要があります。z型アングルの弾性係数(アルミ:70,000N/mm²)を用いてたわみ計算を行います。
実務では、以下の簡易選定表が活用されています。
意外なことに、z型断面は同じ材料量のL型アングルと比較して、約30-40%高い曲げ強度を発揮します。これは断面の形状効果によるもので、効率的な構造設計が可能になります。
z型アングルの接合には、材質と使用条件に応じた適切な方法選択が重要です。
ボルト接合の基本🔩
最も一般的な接合方法で、M8ボルトが標準的に使用されます。マルチアングルZ-40-8の場合、穴径8.3mmでM8ボルトに対応しています。接合部の設計では以下を考慮します:
溶接接合の注意点⚡
アルミ合金の場合、TIG溶接またはMIG溶接が適用されます。ただし、以下の点に注意が必要です。
特殊な接合方法
近年、建築現場では以下の革新的な接合方法も採用されています。
施工時の重要なポイントとして、アルミと鉄の異種金属接触による電食を防ぐため、絶縁ワッシャーやシーリング材の使用が推奨されます。これは多くの施工者が見落としがちな点で、長期耐久性に大きく影響します。
標準規格サイズでは対応できない特殊な要求に対して、多くのメーカーが特注製作サービスを提供しています。
特注製作の対応範囲🏭
主要メーカーでは以下のような特注対応が可能です。
金型製作を伴う特殊形状
完全なオリジナル形状の場合、押出し金型から製作することになります。この場合の製作プロセスは:
加工オプション✂️
特注品では以下の加工が同時に対応可能です。
興味深い事例として、免震構造建築物では、従来のz型アングルを改良した「制振ダンパー一体型アングル」が開発されています。これは粘弾性体を内蔵した特殊構造で、地震時の建物変形を効果的に抑制します。
コストと納期の目安💰
特注製作の場合、以下が一般的な目安となります。
ただし、年間使用量が多い場合は、長期契約により大幅なコストダウンが可能になります。また、複数の建築プロジェクトで共通仕様を採用することで、金型費用の分散も図れます。
参考リンク(z型アングルの規格詳細について)。
JIS G 3350軽量形鋼規格書
参考リンク(アルミアングル全規格サイズ表)。
ニッカル商工アルミアングル規格表
参考リンク(マルチアングル製品仕様)。
MISUMIマルチアングルZ型詳細