HIVP外径と寸法表から配管選びと施工のポイントまで

HIVP外径と寸法表から配管選びと施工のポイントまで

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HIVP外径と規格について

HIVP管の主な特徴
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耐衝撃性に優れた配管材

一般的なVP管よりも衝撃に強く、特に寒冷地での使用に適しています

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使用温度範囲

5℃~35℃の範囲で使用可能、使用圧力0.75MPa以下

🔧
施工の容易さ

加工が容易で、様々な継手類と組み合わせて使用できます

HIVP外径の基本情報と種類

HIVP管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)は、一般的な硬質ポリ塩化ビニル管(VP管)に比べて耐衝撃性を高めた配管材料です。その名前の「HI」は「High Impact(高耐衝撃)」を意味し、ゴム特性を持つ改良剤を加えることで、通常のVP管よりも衝撃に強く設計されています。

 

HIVP管は主に濃紺色で、この色によって一般的なVP管(グレーに近い色)とは視覚的に区別することができます。現場では「青い管」と呼ばれることもあります。

 

HIVP管の主な種類とサイズ体系は以下の通りです。

  • 小口径:呼び径13mm~50mm(外径18mm~60mm)
  • 中口径:呼び径65mm~150mm(外径76mm~165mm)
  • 大口径:呼び径200mm~300mm(外径216mm~318mm)

標準の長さ(定尺)は4,000mm(±30mm/-10mm)となっています。これは施工現場での取り扱いやすさと運搬効率を考慮して設定されています。JIS K 6742の規格に準拠して製造されており、信頼性の高い製品として広く認知されています。

 

特に注目すべき点は、HIVP管は寒冷地や、地震などの不測の衝撃が予想される環境での使用に適していることです。一般的な温度範囲は5℃~35℃で、使用圧力は0.75MPa以下となっています。

 

HIVP配管の外径と内径の寸法表

HIVP管の寸法は、「呼び径」「外径」「内径」「厚さ」という4つの要素で定義されます。以下に、主要なサイズのHIVP管の寸法表を示します。

呼び径(mm) 外径(mm) 厚さ(mm) 内径(mm) 参考質量(kg/m)
13 18.0 2.5 13.0 0.170
16 22.0 3.0 16.0 0.251
20 26.0 3.0 20.0 0.303
25 32.0 3.5 25.0 0.439
30 38.0 3.5 31.0 0.531
40 48.0 4.0 40.0 0.774
50 60.0 4.5 51.0 1.098
65 76.0 4.5 67.0 1.415
75 89.0 5.9 77.0 2.156
100 114.0 7.1 100.0 3.338

上記の表で特に重要なのは「外径」の数値です。継手類との接続において、外径は最も基本的な寸法となります。HIVP管の外径はVP管と同一の寸法で設計されているため、同じ継手を使用することができます。

 

また、外径の許容差についても規格で定められており、小口径(呼び径13-30)では±0.2mm、中口径(呼び径40-50)では±0.3mm~±0.4mm、大口径(呼び径65以上)では±0.5mm~±1.0mmとなっています。この許容差は、製品の品質管理と施工時の適合性を確保するうえで重要な指標です。

 

内径は近似値として表示されていますが、実際の流量計算などでは、この数値をもとに計算することが一般的です。厚さの公差は呼び径によって異なり、小さいサイズほど精度が要求される傾向にあります。

 

HIVP外径とVP管の違いと選び方

HIVP管とVP管は同じ外径寸法で設計されているため、外見上の区別がつきにくい場合があります。しかし、両者には重要な違いがあります。

 

主な違いは以下の通りです。

  1. 耐衝撃性: HIVP管はVP管の2.5倍以上の耐衝撃性を持ち、特に低温時の衝撃に強い
  2. : HIVP管は濃紺色、VP管はグレーに近い色(ネズミ色)が一般的
  3. 価格: HIVP管はVP管に比べてやや高価
  4. 重量: HIVP管はVP管に比べてわずかに軽量(同サイズでの比較)
  5. 内径: 同じ外径・呼び径でもHIVP管の内径はわずかにVP管と異なる場合がある

選び方の基本的な考え方は以下の通りです。

  • 寒冷地での使用: 気温が低くなる地域や、冬季の凍結が懸念される場所ではHIVP管を推奨
  • 地震リスクの高い地域: 不測の衝撃に強いHIVP管が適している
  • コスト重視の場合: 特に耐衝撃性が要求されない場所ではVP管で十分
  • 施工条件: 外気温が低い時期の施工ではHIVP管が取り扱いやすい

実際の現場では、設計図面や仕様書に指定がない場合でも、上記の条件を考慮して適切な管種を選択することが重要です。特に寒冷地での施工や、外部からの衝撃が懸念される箇所では、HIVP管の採用を検討する価値があります。

 

また、内径と流量の関係も重要です。同じ呼び径であっても、HIVP管とVP管では内径にわずかな差があるため、厳密な流量計算が必要な場合は、この違いを考慮する必要があります。

 

HIVP外径に適合する継手と接続方法

HIVP管の接続には、その外径に適合する継手の選択が重要です。HIVP管の外径はVP管と同一寸法であるため、基本的にはVP管用の継手をそのまま使用することができます。

 

主な継手の種類と特徴は以下の通りです。

  1. TS継手(接着剤接合)
    • 最も一般的な接続方法
    • 専用の塩ビ用接着剤を使用
    • 水密性が高く、信頼性の高い接続が可能
  2. ゴムリング継手
    • 伸縮性があり、地震時の揺れを吸収
    • 接着剤不要で、施工が容易
    • 特に地震対策が必要な場所で採用される
  3. フランジ継手
    • 大口径配管や、取り外しが必要な箇所に使用
    • メンテナンス性に優れる
    • バルブなど機器との接続に適している
  4. メカニカル継手
    • 金属配管との接続に使用
    • 異種管材の接続に適している
    • 耐圧性に優れる

HIVP管の接続方法として最も一般的なのは接着接合です。この方法では、以下の手順で施工します。

  1. 管端を直角に切断する(パイプカッターや細目ノコギリを使用)
  2. 管端の内外面のバリを取り除く
  3. ヤスリで管端の外面を面取りする
  4. 接続部の汚れや水分を拭き取る
  5. 管の外面と継手の内面に塩ビ用接着剤を均一に塗布する
  6. 管を継手に挿入し、90度回転させて均一に接着剤を広げる
  7. 30秒程度保持してから次の作業に移る

接続時の注意点として、接着剤の種類と使用量に注意が必要です。通常の塩ビ管用接着剤はHIVP管にも使用できますが、低温時には低温用の接着剤を選択する必要があります。また、接着剤を塗布する際は、むらなく均一に塗ることがポイントです。

 

特に金属配管との接続時には、熱膨張率の違いを考慮した継手の選択が重要になります。一般的には、メカニカル継手や可撓性のある継手を使用することで、膨張差によるストレスを吸収することができます。

 

HIVP外径の熱膨張率と金属加工への影響

HIVP管を含む塩ビ管は、金属配管に比べて熱膨張係数が大きいという特性があります。この特性は、金属加工との組み合わせや、金属部品との接続において重要な考慮点となります。

 

HIVP管の線膨張係数は約7×10^-5/℃で、これは鋼管(1.1×10^-5/℃)の約6倍、銅管(1.7×10^-5/℃)の約4倍です。つまり、温度変化に対してHIVP管は金属管よりもはるかに大きく膨張・収縮するということです。

 

この熱膨張特性が金属加工と組み合わせる際に与える影響は以下の通りです。

  1. 固定方法の工夫
    • 金属製の固定具でHIVP管を支持する場合、膨張・収縮のための余裕を持たせる必要がある
    • 固定バンドは締めすぎず、スライドできるように設置することが望ましい
  2. 伸縮継手の設置
    • 長距離配管では伸縮継手を適切に配置し、熱膨張を吸収する
    • 特に温度変化の大きい場所では必須
  3. 金属との接続部の設計
    • 金属管とHIVP管の接続部には、可撓性のある継手や変換継手を使用する
    • 直接金属部品に接続する場合、応力集中を避ける設計にする
  4. 温度管理の重要性
    • 施工時と使用時の温度差が大きい場合、それを見越した設計・施工が必要
    • 特に屋外配管では季節による温度変化を考慮する

金属加工業者が知っておくべき具体的なポイントとして、HIVP管と金属部品を組み合わせる際には、単なる機械的接続だけでなく、熱的な挙動の違いを考慮した設計が必要になります。例えば、金属製のバルブやフランジをHIVP管に接続する場合、温度変化によってHIVP管側に過度な応力が発生しないよう、フレキシブルジョイントの採用や、配管支持の方法を工夫する必要があります。

 

また、HIVP管の外径を基準にした金属部品の加工においては、温度による寸法変化を見込んだクリアランス設計が重要です。特に精密な嵌合が必要な場合、標準的な外径寸法に加えて、実際の使用温度範囲での寸法変化を計算に入れることで、長期的な信頼性を確保できます。

 

さらに、金属加工の現場で見落としがちなポイントとして、HIVP管と金属の接触部分では、金属の電気的特性によって塩ビ管の劣化が促進されることがあります。これを防ぐために、異種金属間の電位差を考慮した材料選択や、適切な絶縁処理を行うことが望ましいでしょう。

 

結論として、HIVP管の外径は標準化されているものの、その熱的特性を理解し、金属加工との適切な組み合わせ方を知ることで、より信頼性の高いシステムを構築することができます。特に長期使用を前提とした設備では、このような細部への配慮が重要となります。