

防カビ防藻塗料を塗るだけでは、3年以内に再発してクレームになることがあります。
「防カビ・防藻成分配合」と書かれた一般塗料を選べば十分、と思っている施工者は少なくありません。しかし、この認識が後々のクレームにつながるケースが現場では繰り返されています。
市場に多く流通している一般的な防カビ・防藻剤の対応菌数は、約32種が上限とされています。一方、実際の建物から高い頻度で検出されるカビの種類は60種以上とも言われており、さらに藻類まで含めると相当な数になります。つまり、「防カビ配合」とラベルに書いてあっても、現場で発生する菌のすべてに対応しているわけではありません。意外ですね。
これに対し、アステックペイントの「アステックプラスSW」などの高性能防カビ防藻剤は、約2,000種ものカビ・藻類に効果を発揮するとされています。一般品の約60倍以上の対応菌数です。しかも、「忌避効果」という独自のメカニズムを持っており、成分によって仮死状態になった菌が危険信号を発し、同種の菌を近づけなくする働きをします。つまり、ただ殺すだけでなく寄りつかせないという二段構えの防御です。
| 区分 | アステックプラスSW | 一般的な防カビ剤 | 無機系薬剤 |
|---|---|---|---|
| 全対応菌数 | 約2,000種 | 約32種 | 約10種 |
| 対応真菌(カビ)類 | 約1,000種 | 32種 | 10種 |
| 対応藻類 | 約200種 | 0種 | 0種 |
| 有効成分の流出速度 | 3ppm(遅い) | 3,000ppm(速い) | — |
流出速度も重要です。一般品と比べて有効成分の溶出速度が約1/1,000と非常に遅く、雨水で流れ出にくい設計になっています。対応菌数が多いだけが条件ではありません。「効果の持続性」と「対応範囲の広さ」を両方確認することが条件です。
現場で塗料を選ぶ際は、製品カタログの「対応菌種数」と「有効成分の流出速度」の記載を必ず確認する習慣をつけましょう。この2点だけ覚えておけばOKです。
アステックプラスSWの詳細と対応菌種数の比較データ(AP ONLINE)
防カビ防藻塗料には大きく分けて2つのタイプがあります。1つは「塗料添加タイプ」、もう1つは「独立塗料タイプ」です。それぞれに適した用途が異なるため、現場条件に合わせた選択が必要です。
塗料添加タイプは、施工者が現場でお好みの水性塗料に防カビ防藻剤を混ぜ込むスタイルです。既存の高耐久塗料(フッ素系・シリコン系・無機系など)に防カビ機能を後付けできるため、使用できる色や樹脂の自由度が高い点が特徴です。ただし、組み合わせる塗料の耐用年数が防カビ効果の持続期間にそのまま影響するため、ベースとなる塗料のグレードを下げないことが重要です。
独立塗料タイプは、あらかじめ防カビ防藻剤が配合された状態で製品化されている塗料です。「スーパーBIOリファイン」などがこのタイプに当たり、期待耐用年数は15〜18年とされています。これは使えそうです。
外壁材ごとの特性を踏まえた選び方も重要です。
- 🏠 モルタル外壁:多孔質で水分を吸いやすくカビが発生しやすい。防カビ防藻成分が浸透しやすいシーラータイプの下塗り材との組み合わせが効果的。
- 🏠 窯業系サイディング:表面コーティングが劣化するとカビが付着しやすくなる。塗膜密着性の高いフッ素系または無機系の防カビ塗料が適合しやすい。
- 🏠 スレート屋根:北面・谷部分は特に苔・藻・カビが集中しやすい。耐水性と防藻性を兼ね備えた屋根専用品を選ぶ必要がある。
- 🏢 食品工場・病院などの内壁:建築基準法に基づくF☆☆☆☆(フォースター)認定品かどうかを確認することが法的要件として求められる。
水性か油性かという観点も判断材料になります。水性塗料はVOC(揮発性有機化合物)の排出量が少なく、環境負荷が低い点で近年採用が増えています。油性塗料は濡れた下地への密着性に優れる反面、臭いや乾燥管理の手間があります。F☆☆☆☆が条件です。
防カビ塗料の種類(添加タイプ・独立塗料タイプ)の解説(株式会社ミヤケン)
どれだけ高性能な防カビ防藻塗料を選んでも、下地処理が不十分だと効果は激減します。これは現場で最も見落とされやすい落とし穴です。
施工前の下地処理において、特に重要なのが「バイオ洗浄」の実施です。高圧洗浄だけでは表面のカビや苔を物理的に除去できても、壁面の内部に入り込んだ菌糸や胞子までは除去しきれません。バイオ洗浄は、専用の薬剤を外壁に塗布または噴霧し、菌の細胞を根元から分解してから洗い流す工法です。厳しいところですね。
バイオ洗浄の費用は、高圧洗浄が約200〜250円/㎡であるのに対し、250〜300円/㎡前後と若干割高です。しかし、バイオ洗浄を省略してカビが残った状態で塗装すると、塗膜の下でカビが繁殖を続け、1〜2年程度でカビが塗面に浮き出てくることがあります。再施工コストを考えると、最初にバイオ洗浄を行うほうが合理的です。
下地処理の標準的な流れは以下の通りです。
- 🔍 ① 現地調査・カビ・藻・苔の範囲確認:目視と手触りで劣化状況と汚染範囲を把握する。
- 💦 ② 高圧洗浄:150〜200kgf/cm²程度の水圧で外壁面全体の汚れを除去する。
- 🧴 ③ バイオ洗浄剤の塗布・放置・洗い流し:薬剤が浸透するまで20〜30分以上放置してから洗い流す。
- 🛠️ ④ ひび割れ補修(クラック補修):シーリング材などで0.3mm以上のクラックを充填・平滑化する。
- 🎨 ⑤ 下塗り材の塗布:浸透性シーラーやエポキシ系シーラーで素地を強化し、上塗り材との密着性を高める。
下塗り材の選定も防カビ効果に直結します。浸透性の高いシーラーを使うことで、素地が経年劣化でもろくなっている部分を補強し、上塗りの防カビ塗料がしっかりと機能する土台を作ります。下地処理が基本です。
また、施工環境にも注意が必要です。気温5℃以下・35℃以上の環境や、湿度が85%を超える日・雨天前後の施工は避けてください。これらの条件下では塗膜の形成が正常に行われず、防カビ効果が十分に発揮されないリスクがあります。
下地処理が完了したら、いよいよ防カビ防藻塗料の塗装工程に入ります。この段階での施工精度が、防カビ効果の持続期間を大きく左右します。
多くの高品質な防カビ防藻塗料では、「下塗り1回+中塗り1回+上塗り1回」の計3回塗りが標準仕様として推奨されています。この3層構造を守らないと、塗膜の厚みが不足して防カビ成分が早期に流出しやすくなります。3回塗りが原則です。
塗布量の管理も重要です。メーカーが指定する塗布量(例:0.10〜0.15kg/㎡など)を守らず薄塗りにすると、塗膜の緻密さが低下し、防カビ・防藻効果が設計通りに発揮されません。塗り残しやムラが発生した箇所は、そこからカビや藻が発生する起点になりやすいため、ローラーや吹付けで均一に塗布することが求められます。
乾燥時間の確保も同様に重要です。下塗り・中塗り・上塗りの各工程間で、メーカーが指定した乾燥時間を確保してください。工期を縮めようとして乾燥不十分のまま次の層を塗ると、塗膜の密着性が低下し、早期剥離やふくれの原因になります。痛いですね。
現場でよくある施工ミスをまとめると次のようになります。
| ミスの内容 | 発生しやすいリスク |
|---|---|
| バイオ洗浄の省略 | 数か月〜1年で塗膜表面にカビが再発 |
| 塗布量不足(薄塗り) | 防カビ成分の早期溶出・効果半減 |
| 乾燥時間の不足 | 塗膜の密着不良・早期剥離 |
| 気温・湿度条件の無視 | 塗膜形成不良・防カビ効果の低下 |
| カビ・藻の除去が不完全 | 塗膜下でのカビ増殖 |
施工後の確認として、塗膜の光沢・色ムラ・塗り残しがないかを必ず目視チェックします。特に入隅・軒天接合部・窓周りなどは塗り残しが生じやすい箇所です。仕上がりの均一性が条件です。
防カビ防藻塗料は一般的なシリコン塗料と比べて初期費用が高いと敬遠されることがあります。しかし、長期スパンで費用を比較すると、その評価は逆転することが多いです。
一般的な戸建住宅(外壁面積120㎡程度)を例に取ります。シリコン塗料での施工費が約30万円とすると、高性能防カビ防藻塗料の施工費は約36〜39万円程度になることが多く、初期差額は6〜9万円です。しかし、シリコン塗料は耐用年数が10〜13年で、カビや藻が発生しやすい環境では3〜5年での再洗浄が必要になるケースもあります。一方、高性能防カビ防藻塗料の期待耐用年数は15〜18年で、カビの再発が抑制されます。
再塗装や定期洗浄のコストを含めた試算では、15年間のトータルコストで比較すると防カビ防藻塗料のほうが安上がりになるケースが少なくありません。これは使えそうです。
また、施主側の資産価値への影響も見逃せません。カビや藻の発生した外壁は美観が著しく低下し、売却・賃貸物件では査定に直接影響します。特に築10年を超えた建物では、外観の清潔感が資産価値の維持・向上に大きく関わります。「初期費用が少し高い分、再発リスクを下げることができる」という説明が、施主への提案時に有効な訴求軸になります。
さらに見逃されがちなのが健康面のリスクです。外壁カビは室内のカビと異なり、直接的な健康被害に結びつくリスクは低いですが、建物内部への湿気の浸入が続くと、壁内結露・木材腐食・シロアリ誘発など構造上の問題に発展することがあります。外壁カビを「見た目の問題」とだけ捉えている施主への説明では、この構造リスクを具体的に伝えることで納得度が上がります。
🔑 施主向け提案で押さえたい3つのポイント
- 💴 コスト:初期差額6〜9万円は、15年間での再施工・洗浄コストを差し引くと回収できる可能性が高い。
- 🏡 資産価値:カビのない外観は売却・賃貸評価に直結する。
- 🏗️ 構造リスク:放置すると外壁材・木材腐食・シロアリ誘発など構造的ダメージに発展する恐れがある。
防カビ塗料の注意点と耐久性・費用対効果の解説(神奈川外壁塗装)

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