防水型外壁塗料の防水形複層塗材Eとひび割れ追従性

防水型外壁塗料の防水形複層塗材Eとひび割れ追従性

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防水型外壁塗料と防水形複層塗材E

防水型外壁塗料:現場で迷わない選定と施工の要点
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狙う性能を先に決める

「雨水を止めたい」のか「ひび割れに追従したい」のかで、仕様(防水形複層塗材Eなど)と工程が変わります。

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下地と下塗りが寿命を決める

適用下地(モルタル、ALC、サイディング等)と、指定下塗材の選定ミスが早期不具合の典型です。

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「防水」と「透湿」は同時に見る

防水性だけを追うと膨れ・剥離を招くことがあり、結露・含水・塗膜形成の条件整理が重要です。

防水型外壁塗料の防水形複層塗材EとJIS A 6909


防水型外壁塗料を現場で「仕様」として整理しやすい枠の一つが、JIS A 6909の「防水形複層塗材E」です。
JIS A 6909は、内外壁などを吹付け・ローラー・こて等で模様仕上げする建築用仕上塗材を対象にした規格で、「防水形複層塗材」のような区分と性能試験が定義されています。
規格品を選ぶメリットは、カタログ表記の「防水」「弾性」だけでなく、試験項目(例:透水性、耐衝撃性、耐候性など)の土台が揃うため、監理者・元請・施主への説明が通りやすい点です。
現場でよく混同されがちなのが、「防水型外壁塗料=防水工事の代替」という発想です。


防水形複層塗材Eは“外壁の雨水浸入を抑える”設計の仕上塗材であり、屋上防水や取り合いの一次止水の代替ではありません(一次止水はシーリングや板金納まりが主役)。


そのため、外壁で水の通り道になりやすい部位(サッシ周り、入隅、笠木、換気フード、止水テープ切れ等)は、塗材のグレード以前にディテール確認が必須です。


また、メーカーが「JIS A 6909 防水形複層塗材E 規格品」と明記している製品は、主用途(建築物内外壁)や適用下地(コンクリート、モルタル、サイディング、ALC等)まで整理されている場合が多く、仕様検討が速いです。


参考)ラフトン弾性ローラーG

下地が混在する改修(モルタル+ALC+部分的にサイディング補修など)では、まず“適用下地の範囲”を根拠付きで押さえると、後工程の揉め事が減ります。

参考:JIS A 6909(仕上塗材の区分・試験項目の根拠)
JIS A 6909の規格概要(建築用仕上塗材の区分や性能項目の考え方)

防水型外壁塗料のひび割れ追従性とヘアークラック

防水型外壁塗料を選ぶ理由の中心は、雨水そのものより「ひび割れ(クラック)からの浸水」を止めたい、という要望です。
防水形複層塗材Eの代表的な訴求として、下地のヘアークラックへの追従性(弾性)を明記している製品があり、建物を雨水から守る目的で使われます。
同様に、クラックが生じても塗膜が追従して破断しにくい、という説明をする外装仕上塗材もあります。
ここで重要なのは「追従性が高い=何でも止まる」ではない点です。


例えば、構造クラック(動きが大きい、貫通している、鉄筋腐食を伴う等)に対して、塗膜の伸びだけで“止水を担保する”のは危険です。


塗装で対応できるのは、あくまで外壁表層の微細ひび割れや、ムーブメントが小さい領域を「塗膜で跨ぐ」設計が中心になり、状況によってはUカット+シーリング+樹脂モルタルなどの補修設計が先に来ます。


施工管理としては、次のように“ひび割れの分類→工法分岐”を先に決めるのが有効です。


・目視とスケールで幅を把握(ヘアー/開口クラック)
・雨掛かり方向と位置関係(水平・垂直・入隅・開口部周り)
・既存塗膜の割れ方(上塗だけか、下地までか)
・漏水履歴の有無(外壁内の含水があると、後述の膨れ要因になる)
意外と効く小技として、改修で“弾性だけ”を上げるより「下塗りで面を固め、主材で追従し、上塗で汚れと耐候を取る」ほうが、結果的に不具合率が下がるケースがあります。


理由は、弾性塗膜は柔らかいほど下地の脆弱部を引っ張ってしまい、旧塗膜の付着不足・粉化・微細な浮きがあると、追従以前に剥離モードに入るからです。


「弾性=安心」ではなく、「付着+追従+耐候」を工程で作る、という発想が実務向きです。

防水型外壁塗料の透湿性と塗膜膨れ

防水型外壁塗料で現場トラブルになりやすいのが、塗膜膨れ(ふくれ)です。
昼夜の寒暖差が大きく結露が起きやすい環境下で水性塗料を使うと、乾燥途中の塗膜に結露水が触れ、塗膜内部に水分が浸透し、裏側に溜まって塗膜を押し上げることで水膨れが発生する、と解説されています。
同じく、結露→塗膜内へ浸透→裏側に滞留→膨れ、というメカニズムの整理もあります。
この話は、ただの「天候注意」ではなく、防水型外壁塗料の設計思想そのものに関わります。


防水性を高めるほど、壁体内の水蒸気の逃げ道が減り、条件が揃うと膨れとして表面化しやすいからです。


つまり、外壁改修では「雨水の浸入を止める」視点と同時に、「壁の中に残る水分をどう逃がすか(透湿、乾燥、含水管理)」をセットで考える必要があります。aponline+1​
実務で効くチェック項目は次の通りです。


  • 🌡️ 施工時期:朝露が残る時間帯、日陰面、強い放射冷却が出る季節は要警戒。aponline+1​
  • 🧱 下地含水:漏水歴や結露歴がある壁は、塗る前に“乾いているように見える”を疑う。
  • 🧪 水性の乾燥:乾燥途中に水が触れることが引き金になる説明があるため、降雨だけでなく結露・霧も管理対象に入れる。

    参考)建物で起きる「塗膜膨れ」症状6選と対策を解説

  • 🧯 仕様の選定:透湿性をうたう防水形複層塗材E系のラインナップもあるため、求める性能の優先順位を明確化する。

    参考)https://www.sk-kaken.co.jp/product/exterior-finish-materials/

参考:塗膜膨れの原因(結露水が乾燥途中の水性塗膜に触れる等)
塗膜膨れの分類と原因(結露・水膨れのメカニズム)

防水型外壁塗料の下塗材と適用下地

防水型外壁塗料は“上に良いものを塗る”だけでは成立しにくく、下塗材の適合と下地処理が性能の天井を決めます。
実際に、防水形複層塗材Eの規格品として、適用下地(コンクリート、モルタル、スレート板、サイディング板、ALC等)や、適合下塗材の例が具体的に列挙されている製品があります。
同じページで、標準塗付量(例:2.0~2.4kg/㎡/2回)や工程間隔時間(例:23℃で工程内5時間以上、工程間16時間以上)まで示されており、工程管理の“数字の根拠”として使えます。
ここでの落とし穴は、改修現場の「既存塗膜」です。


既存が高耐久・低汚染・親水・無機系コーティング等だと、一般的な下塗りでは密着不良が起きやすく、結果として防水型外壁塗料の性能が出ません。


そのため、各種旧塗膜・基材への密着性や浸透性を特徴とする下塗り材(シーラー)を“仕様の一部”として選ぶ考え方が現場向きです。sk-kaken+1​
現場での下地別の注意点(入れ子にせず、作業指示として使える形)

  • 🧱 モルタル:脆弱層(砂が動く、粉化)を残すと、弾性主材が追従するほど剥離しやすい。
  • 🧩 ALC:新設や素地が露出した箇所は目止めが必要な場合がある、という記載があるため、素地露出部の扱いを仕様に入れる。​
  • 🧱 サイディング:目地・釘頭・ボード端部は“塗膜防水”より先にシーリングと納まりが支配的。
  • 🧽 旧塗膜:下塗りの「適用下地」に既存塗膜の種類が含まれているかを確認し、疑わしければ付着試験(クロスカット等)を段取りに組み込む。sk-kaken+1​

小さく見えて効くのが、「同一メーカー指定」の運用ルールです。


防水形複層塗材Eに該当する仕上材は、下塗材・主材・上塗材を同一メーカーの指定製品で使用する旨を明記する仕様書もあり、混用による責任分界の曖昧化を避ける意図があります。


参考)https://www.kikusui-chem.co.jp/download/view/pdf/spec_id/1299/

現場としては、材料混用でコストを下げるより、保証と性能の一貫性を優先したほうが、手戻りリスク(再足場・再塗装)を回避しやすいです。

参考:防水形複層塗材Eで「同一メーカー指定」等の注意を記載する仕様書例(施工上の注意の根拠)
防水形複層塗材E 仕様書例(材料指定・注意事項)

防水型外壁塗料の独自視点:結露起点の不具合を「金属部位」から逆算する

防水型外壁塗料の不具合対策は、外壁面そのものより「周辺の熱橋(ねっきょう)」を起点に逆算すると、意外に当たりやすいです。
結露による塗膜膨れの説明では、金属下地は窯業系サイディング等より熱伝導率が高く表面温度変化が大きいので、結露が発生しやすい、という指摘があります。
この性質を外壁改修に当てはめると、金属手すり取付部、庇、換気フード、金物周りなどが“結露の発生点”になり、近接部の塗膜形成を乱して膨れの起点になり得ます。
ここでの独自視点は、「外壁塗装の仕様」だけで解こうとせず、部位横断で“結露しやすい点”を潰す段取りを先に作ることです。


  • 🔍 事前調査:冬期早朝に触診・温度計で、金物周りが露点に近いかを確認する(特に北面・日陰)。
  • 🧯 施工計画:金属周りは乾燥時間を長めに取り、結露リスクが高い時間帯の塗装を避ける(「結露が乾燥途中の水性塗膜に触れる」ことがトリガー、という説明に沿う)。aponline+1​
  • 🧩 納まり:シーリングの打替え順序(先打ち/後打ち)やプライマー乾燥を徹底し、雨水だけでなく“水蒸気の滞留”も逃がす。
  • 🧪 仕様:透湿性をうたう防水形複層塗材E系もあるため、外壁内の含水が読めない現場は、透湿側に寄せる判断を検討する。​

このアプローチの利点は、発生確率が高い不具合(膨れ・しわ・局部剥離)を「外壁全面」ではなく「起点になりやすい部位」で先回りできる点です。aponline+1​
結果として、同じ防水型外壁塗料を使っても、施工時期・部位管理・乾燥管理の差が品質差として現れやすく、検査時の説明もしやすくなります。aponline+1​





















現場の迷いどころ 判断の軸 根拠の取り方
防水を優先するか、膨れリスクを避けるか 壁体内の含水・結露の可能性を評価し、透湿性も含めて仕様を決める 結露→乾燥途中の水性塗膜→水膨れ、のメカニズム整理を根拠にする
弾性ならクラックは全部止まる? ヘアークラック追従は得意でも、構造クラックは別設計が必要 「ヘアークラックに追従」「漏水を防止」等の製品説明を“適用範囲”として扱う
材料を混用してコストを下げたい 指定システムで性能と責任範囲を固定する 同一メーカー指定等の注意を明記する仕様書の考え方を参照




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