コンクリート柱規格寸法一覧と建設現場選定基準

コンクリート柱規格寸法一覧と建設現場選定基準

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コンクリート柱規格寸法一覧

コンクリート柱の基本規格体系
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JIS A 5373準拠の標準規格

全長6m~30m、末口径120mm~350mmの幅広いラインナップ

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呼び名表記システム

長さ(m)-末口径(cm)-ひび割れ試験荷重(kN)で統一表記

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設計荷重範囲

1.2kN~30kNまで、用途に応じた強度設定

コンクリート柱の基本規格と呼び名表記システム

コンクリート柱は日本工業規格JIS A 5373に基づいて製造されており、建設現場での統一性と品質確保が図られています。呼び名は「長さ(m)-末口径(cm)-ひび割れ試験荷重(kN)」の形式で表記され、例えば「12-19-3.5」は全長12m、末口径19cm、ひび割れ試験荷重3.5kNを意味します。

 

製品の全長は6mから30mまでの幅広いラインナップが用意されており、末口径(頂部径)は120mmから350mm、設計荷重は1.2kNから30kNまで対応可能です。この規格統一により、全国どこの現場でも同一品質のコンクリート柱を調達できる体制が整っています。

 

テーパーは基本的に1/75に設定されており、信号機用など特殊用途では1/100のテーパーが採用されています。このテーパー設計により、風圧荷重に対する適切な抵抗力と材料効率の最適化が実現されています。

 

コンクリート柱長さ別寸法一覧表と重量データ

建設現場で最も使用頻度の高い標準的なコンクリート柱の寸法一覧を以下に示します。

 

6m~12m クラス

  • 6-12-1.2:全長6m、末口径12cm、重量約190kg
  • 7-14-1.5:全長7m、末口径14cm、重量約270kg
  • 8-14-2.0:全長8m、末口径14cm、重量約340kg
  • 9-14-2.5:全長9m、末口径14cm、重量約450kg
  • 10-19-2.5:全長10m、末口径19cm、重量約665kg
  • 12-19-3.0:全長12m、末口径19cm、重量約850kg

13m~16m クラス

  • 13-19-5.0:全長13m、末口径19cm、重量約1,020kg
  • 14-19-5.0:全長14m、末口径19cm、重量約1,115kg
  • 15-19-5.0:全長15m、末口径19cm、重量約1,240kg
  • 16-19-5.0:全長16m、末口径19cm、重量約1,340kg

17m以上の大型クラス

  • 17-24-15:全長17m、末口径24cm、重量約2,500kg
  • 20-24-15:全長20m、末口径24cm、重量約3,200kg

重要な注意点として、カタログに記載される重量は設計重量であり、実際の製品重量は約20%加算したものを見込む必要があります。これは施工計画やクレーン選定時に必須の考慮事項です。

 

日本コンクリート工業株式会社の製品仕様詳細
https://www.ncic.co.jp/products/pole/info.html

コンクリート柱の末口径と元口径の寸法関係

コンクリート柱の断面設計において、末口径(頂部径)と元口径(根元径)の関係は1/75のテーパー比によって決定されます。この設計により、風圧荷重に対する最適な抵抗性能と材料効率が実現されています。

 

具体的な寸法関係を示すと、14-19-5.0の場合、末口径19cmに対して元口径は37.7cmとなり、地際径(地表面での直径)は約35.0cmです。このテーパー設計により、根元部分での十分な強度確保と頂部での適切な軽量化が両立されています。

 

特殊仕様として、細径ポールでは一般ポールよりも地際径を約50mm~70mm細くした設計が採用されており、都市部での景観配慮や狭小地での施工性向上に貢献しています。例えば、15-19-5.0の場合、一般ポールの地際径357mmに対し、細径ポールでは294mmと63mmの差があります。

 

バンド取付位置での外径計算は「末口径+(テーパー1/75)×(末口からの距離)」の公式で求められ、施工時の金物選定に重要な情報となります。

 

コンクリート柱のひび割れ試験荷重と強度分類システム

ひび割れ試験荷重は、コンクリート柱の構造性能を示す重要な指標であり、JIS A 5373で厳格に規定されています。この試験荷重は、幅0.25mm以下のひび割れが発生する限界荷重を示し、除荷時には0.05mmを超えるひび割れが残留してはならないと定められています。

 

強度分類は以下のように体系化されています。
軽荷重クラス(1.2kN~2.5kN)
住宅地の配電線や通信線用途に適用され、比較的軽微な荷重条件での使用を想定しています。6m~9m程度の短尺柱で多用されるクラスです。

 

中荷重クラス(3.0kN~7.0kN)
一般的な配電線や通信線、さらには街路灯などの標準的な荷重条件に対応します。10m~15m程度の中型柱で最も採用頻度の高いクラスです。

 

重荷重クラス(10kN~30kN)
高圧配電線や携帯基地局、大型照明設備など、大きな荷重が作用する用途に使用されます。15m以上の大型柱や継柱での採用が一般的です。

 

終局荷重はひび割れ試験荷重の2倍以上に設定されており、十分な安全率が確保されています。この設計思想により、想定外の荷重に対しても構造的安全性が維持されます。

 

コンクリート柱の根入れ深さ計算と設置基準

コンクリート柱の根入れ深さは電気設備技術基準によって厳格に規定されており、柱の安定性確保のための重要な設計要素です。

 

基本的な根入れ深さ規定

  • 全長15m以下:全長の1/6以上を地中に埋設
  • 全長15m超:2.5m以上を地中に埋設

具体的な計算例を示すと、14m柱の場合は14÷6=2.33m以上、16m柱では2.5m以上の根入れが必要となります。この規定により、風圧荷重や地震力に対する十分な抵抗力が確保されています。

 

代表的な根入れ深さ一覧

  • 10-19-2.5:根入れ1.7m
  • 12-19-3.0:根入れ2.0m
  • 14-19-5.0:根入れ2.4m
  • 16-19-5.0:根入れ2.5m

軟弱地盤での建柱時には、根かせやアンカープレートなどの補強材を使用して支持力を向上させる場合があります。また、海岸線近くでは塩害対策として防食耐塩柱の採用が推奨されています。

 

建柱施工では、15m以下であれば穴掘り建柱車による直埋め施工が可能ですが、15mを超える場合は継柱工法やクレーン併用工法が必要となります。この施工方法の違いは、現場計画立案時の重要な考慮事項です。

 

コンクリート柱の特殊仕様と現場選定における実務的考慮点

現場での実用性を高めるため、標準仕様以外の特殊コンクリート柱も開発されています。最も注目すべきはYポール(横拘束強化コンクリート柱)で、台風などの瞬間風速エネルギーを「しなり」によって吸収する構造となっています。九州電力では1998年より採用が開始され、台風被害の大幅な減少に貢献している実績があります。

 

継柱システムの実用性
狭隘地域や施工困難な場所では、分割納入・施工が可能な継柱システムが威力を発揮します。キャップ式とフランジ式の2タイプがあり、溶接タイプと比較して接合が容易で作業時間の大幅短縮が実現できます。

 

  • キャップ式:出っ張りがなくスリムな外観
  • フランジ式:ボルト接合による確実な一体化

現場選定時の実務的チェックポイント
設計重量と実重量の差異を必ず考慮することが重要です。カタログ記載の設計重量に20%加算した値で施工計画を立てないと、クレーン能力不足や安全性の問題が発生する可能性があります。

 

また、足場ソケットの個数も事前確認が必要で、保守作業時の安全性に直結します。一般的に長尺柱ほど多くのソケットが設置されており、メンテナンス性の向上が図られています。

 

バンド類の選定では、取付位置での外径を正確に算出し、電線管や金物を挟んだ状態での余裕を確保する必要があります。ギリギリの寸法選定は現場でのトラブル要因となるため、十分な余裕を見込んだ選定が求められます。

 

電気設備技術基準における詳細規定
https://construction-depo.jp/dencyu