

内装ボード接着剤は、下地がボード系(せっこうボード・合板・ケイカル板など)であることを前提に設計された内装用接着剤で、水性アクリル系・変成シリコーン系・エポキシ系など複数の樹脂タイプが使われています。 水性アクリル系は一般的な内装タイルや軽量仕上げ材向け、変成シリコーン系は弾性と接着力が必要な部位、エポキシ系は高荷重・高耐久が求められる部分に用いられることが多く、カタログでも用途別に線引きされています。
内装タイル用接着剤では、200角程度までと300角程度までなど、貼り付けるタイルの大きさに応じてグレードが分かれている製品もあり、同じ「内装タイル用」と書いてあっても許容サイズや厚みを確認しないとタイルの自重を支えられない場合があります。 室内壁であっても、洗面・トイレ・キッチンなど湿気の影響を受けやすい箇所では吸水性下地か否かで推奨品番が変わるため、現場環境と組み合わせて選ぶのが重要です。
参考)室内壁|タイルを張る接着剤・目地材が下地別にわかる!
内装ボード接着剤の中には、一液型で扱いやすいものと、主剤・硬化剤を混合して使う二液型があります。 一液型は作業性・保存性に優れる一方、二液型は硬化後の強度や耐薬品性に優れており、例えば病院や商業施設のバックヤードなど、負荷の高い場所で採用されるケースがあります。mirix+1
内装ボード接着剤でタイルや化粧板を貼る際、ボード下地そのものの状態が接着性能を大きく左右し、地震時の追従性もボードの留め付け強度や壁下地の層間変位への追従性に依存することが指摘されています。 特に乾式下地の場合、接着剤そのものよりも「ボードがどれだけしっかりスタッドに留め付けられているか」が剥離・落下リスクの分かれ目になるため、ビスピッチや支持間隔まで含めた確認が求められます。
せっこうボードやケイカル板は表面が粉っぽくなりやすく、接着剤メーカーはボード面のほこりや汚れを完全に取り除いた上で施工するよう注意喚起しており、とくに石膏ボードの粉が残っていると接着不良の原因になると明記されています。 さらに、内装タイル張りでは、ボードの裏面や小口にあらかじめシーラー処理を施して吸水を抑えることで、接着力低下のリスクを減らせるとされ、工場でシーラー処理した下地ボードを使うことが原則とまで書かれている技術資料もあります。oshika+1
一般に現場では「とりあえずプライマーを入れておけば安心」と考えがちですが、指定のシーラーやプライマーを省略したり、希釈比を自己判断で変えたりすると、接着剤の想定性能が出ない可能性があります。 また、コンクリートやモルタル直下地の場合は含水率が10%以下になるまで養生をとることが推奨されており、これを無視するとボード接着剤以前に下地からの水分で仕上げ材が膨れたり、白華が出たりするリスクがあります。oshika+1
下地処理・シーラーの重要性と具体的な注意点は、以下の資料で詳しく解説されています。skc-kyoukai+1
内装タイル張り用乾式下地壁の設計施工について(日本建材・住宅設備産業協会)
内装ボード接着剤を用いたタイル張りでは、平滑なボード下地に接着剤を全面塗布し、タイルをもみ込むようにして叩き押さえする「全面接着剤張り」が基本工法とされています。 このとき、接着剤はくし目コテで塗り付け、タイル裏足に十分に接着剤が充填されるよう、くし目をしっかりと立てて均一な厚みになるようにすることが推奨されています。
技術資料では、5mmまたは3mm高さのくし目コテを使用する例が挙げられており、タイルサイズや裏足形状、下地の平滑性に応じてくし目寸法を選定することが指示されています。 例えば、裏足の深いタイルや、多少の不陸が残る下地では、5mmくし目を使うことで接着剤層を厚く確保し、裏足への充填不足を防ぎやすくなります。
参考)http://www.skc-kyoukai.org/info/pdf/tile.pdf
また、張り付けの際には「タイルがずれる場合は下から積み上げる」といった基本的なセオリーも示されており、仮押さえのために短時間で硬化する速硬型の内装タイル用接着剤を選択する製品構成もあります。 内装ボード接着剤の中には、張り付け可能時間(オープンタイム)や張り付け後の微調整可能時間が細かく設定されている製品もあり、室温・作業人数・貼り面積を踏まえた段取りが求められます。tilelife+1
くし目コテの選び方や塗布方法の詳細は、タイル専門サイトの技術解説が参考になります。skc-kyoukai+1
室内壁|タイルを張る接着剤・目地材が下地別にわかる(タイルライフ)
内装ボード接着剤に関する不具合として多いのは、仕上げ材の浮き・はがれ・目地割れなどで、原因の多くは「接着剤そのものの性能不足」ではなく、下地の含水率・清掃不足・塗布量不足といった施工条件に起因すると報告されています。 例えば、せっこうボードの粉を十分に除去しなかったり、下地の平滑仕上げが不十分なまま施工すると、仕上げ材の不陸や局所的な浮きが発生しやすくなります。
内装用タイル接着剤のカタログでは、下地が十分に乾燥していることを前提とし、「下地は十分に乾燥させてからタイルを貼ってください」と明記されていますが、短工期現場ではこの養生期間が軽視されがちです。 また、メーカーが指定する標準使用量(例えば0.4~0.5㎡/kgなど)より極端に薄く塗布すると、接着剤層が途切れた部分から音鳴りや浮きが出るリスクが高まります。tilelife+1
さらに、オープンタイム(塗布後に貼り付け可能な時間)を超過した状態で貼り付けると、見た目は付いていても接着力が十分に発現しないまま硬化が進み、後年の剥離につながる恐れがあります。 クレーム未然防止の観点では、ロットが変わるタイミングや新規採用の接着剤を使う際に、小面積で試験張りを行い、剥離試験や打診で接着状態を確認しておくことが有効です。oshika+1
施工上の注意点やトラブル事例は、接着剤メーカーの技術資料も参考になります。
参考)施工上の注意|木材・工業・建築用接着剤、建材は株式会社オーシ…
施工上の注意|木材・工業・建築用接着剤(押尾産業)
内装ボード接着剤と両面テープを併用する「両面テープ弾性接着剤併用工法」は、特殊両面テープを一次接着剤、一液性変成シリコーン系接着剤を二次接着剤として使う工法として紹介されています。 この方法では、施工直後の仮保持を両面テープが担い、その後に弾性接着剤が硬化することで、長期的な追従性と剥がれにくさを確保する仕組みになっています。
同様の発想は内装工事全般でも活かされており、例えば巾木や見切り、モールの固定において両面テープと弾性接着剤を組み合わせて使う手法が現場のプロに広く採用されています。 これにより、施工時の位置決めのしやすさと、完成後の耐久性・振動追従性の両立が図りやすくなり、特にリフォーム現場や営業中店舗の夜間工事など、作業時間に制約があるケースで重宝されています。aa-material+1
また、メンテナンスを見越した内装ボード接着剤の選び方という観点も重要で、将来の交換や改修を想定した場所では、完全に破壊しないと剥がせない高強度接着剤を避け、適度な強度と剥離性のバランスを持つ製品を選ぶケースもあります。 例えば、仮設的な展示壁やサインボードでは、ホットメルトや両面テープで仮止めし、その上から内装ボード接着剤で部分的に固定するといった「解体しやすさ」を意識した納まりが検討されることもあります。monotaro+1
接着剤の種類と使い分けの考え方は、内装全般の接着剤解説が参考になります。
参考)【建設現場のプロが解説】接着剤の種類と使い分け徹底ガイド|選…
接着剤の種類と使い分け徹底ガイド(ミリックス)
内装用パテは、大きく「石膏系パテ」「合成樹脂エマルション系パテ(アクリル系)」「炭酸カルシウム系パテ(乾燥硬化型)」などに分類され、それぞれ硬化メカニズムと得意な用途が異なります。
石膏系パテは水と反応して硬化するため、硬化後の強度が高く、ビス頭やボードジョイントの補修に多用される一方、吸水しやすく湿気の多い場所では下地処理が重要になります。
アクリル系パテなどの合成樹脂エマルション系は水性で作業性がよく、室内の内装用として扱いやすいものが多く、既存壁のちょっとした補修やDIYでも使われます。lasthope+1
炭酸カルシウム系の乾燥硬化型パテは、厚塗りにやや不向きな反面、研磨しやすく上塗りの面出しに向いているため、「埋めパテは石膏系」「仕上げパテは炭カル系」と役割分担するプロも少なくありません。tremolo-co+1
内装用パテは「厚付け用」「中間用」「仕上げ用」と層ごとのグレードが設定されているものもあり、厚付けパテは10mm以内など一度に盛れる厚みの目安が示されている製品もあります。
参考)パテの種類を目的別に解説!車・建築など用途に合わせた選び方・…
また、エポキシ系など高強度で耐水性・耐薬品性に優れるパテは、一般的な居室というよりは、湿気の多いバックヤードや水回り、屋外など特殊条件での下地調整に重宝されています。
意外に見落とされがちなのが、「自動車用パテ」など別分野のパテとの混用で、建築用に設計されていないものを内装用パテの代用にすると、密着不良や硬度のミスマッチでクラックや段差が顕在化しやすくなります。
建築用パテはクロス糊や室内環境に合わせて設計されているため、安易な代用ではなく「建築用」「内装用」と明記された製品を選ぶことが、トラブル回避の基本です。office-ball+1
内装用パテの施工は、一般的に「下地チェック → 下塗り(埋めパテ) → 乾燥 → 研磨 → 上塗り(面出し) → 乾燥 → 仕上げ研磨」というプロセスで行われ、特にボード継ぎ目とビス頭の処理が仕上がりを左右します。
新築・改修にかかわらず、石膏ボード張り後のパテ処理はクロス貼りや塗装前に必須で、ジョイントのVカットやテープ処理、欠け・段差の補修を確実に行うことが前提条件になります。
下塗りでは、粒子の粗い「下塗り用パテ」でV溝や大きな段差、ビス穴を埋めていき、厚塗りし過ぎないように2〜3回に分けて充填することが推奨されています。
パテは水で練ってから使える時間に応じて60分・90分・120分タイプなどがあり、時間内に塗り切れる量だけ作ること、練り置きによる硬化途中のパテを無理に使わないことが品質管理の基本です。
上塗りでは、テープ段差を消すようにジョイントから広くパテベラを走らせ、ビス頭は周囲まで薄く広げることで、広い面で光を受けたときのうねりや映り込みを抑えます。tremolo-co+1
クロス下地では通常2回塗りで十分なことが多いものの、塗装仕上げでは3回以上のパテ処理で密度と平滑度を上げることが推奨されており、塗装の「シビアな映り」を前提に工程を増やすプロも多くいます。
参考)パテ処理とは?失敗しない内装現場のポイントとプロの仕上げテク…
施工時には、パテ盆の上のパテが乾いてきたら適宜練り直し、塗りつける直前に乾き具合を確認しながら作業することで、硬化途中のパテによる「引け」や「ポロつき」を抑えやすくなります。
参考)塗装のためのパテ処理をしてみた!
また、乾燥後のチェックで凹みや段差、ピンホールを早めに見つけ、2度・3度とパテ処理を重ねて表面がフラットになるまで仕上げることが、後戻りの少ない現場運営につながります。tremolo-co+1
内装用パテを使う前には、下地の吸い込みや汚れを把握することが重要で、湿気の多い場所や既存下地の吸い込みが激しい場合には、シーラーやプライマーで吸い込みを調整してからパテ処理を行うことがあります。
特に古いボードや既存クロス剥がし後の下地では、部分的に吸い込みが異なるため、そのままパテを打つとムラ乾きやクラックの原因になりやすく、下地調整材の選び方が仕上がりに大きく影響します。
施工環境としては、温度・湿度の変化にも注意が必要で、冬場の低温や梅雨時期の高湿度ではパテの乾燥時間が大きく変わり、表面だけ乾いて内部が生乾きのまま次工程に入ると、後日の凹みや浮きが発生するリスクが高まります。r-toolbox+1
夜間にエアコンを停止する現場や、引き渡し直前の急な暖房立ち上げなど、環境条件の変化が急激な場合には、乾燥収縮が一気に進むため、パテの厚みや工程間インターバルを保守的に設定する工夫も有効です。r-toolbox+1
内装リペアの専門家は、傷の大きさ・形状・補修部位・必要な耐久性・色や質感など、少なくとも5つの視点で補修材料を選び分けることを推奨しており、パテ選定でも同様の考え方が応用できます。
参考)【内装リペア/補修材】住宅内装用/補修材の選び方まとめ
例えば、躯体コンクリートに直接パテ処理をする場合と、石膏ボード上にパテを打つ場合では、求められる追従性や密着性が異なるため、同じ「内装用パテ」でも製品の想定用途を確認してから採用する必要があります。office-ball+1
意外と知られていないポイントとして、配管まわりや貫通部など、耐火パテが必要な箇所に通常の内装用パテを使ってしまうと、法令上の性能要件を満たせなくなるケースがあります。e-sugimoto+1
建築用副資材のカタログでは、耐火パテの施工例や配管貫通部の充填方法が詳細に示されていることが多いため、仕様書の「耐火」「内装用」の文言を読み飛ばさず、部位ごとに適合性を確認することが求められます。e-sugimoto+1
内装用パテの仕上がりを大きく左右するのがサンダー掛けで、下塗り・上塗りそれぞれの乾燥後に、平滑さだけでなく「面のつながり」を意識しながら研磨することが重要です。
サンダー掛けではパテの面だけを削るのではなく、周囲のボード面との段差を感じながら、光を当てたときの「映り」をイメージして面をつなぐことが、クロス仕上げでも塗装仕上げでも共通するポイントです。
作業中は、パテ台の上のパテが乾き始めるとサンダー目が出やすくなるため、こまめにパテを練り直し、柔らかすぎず硬すぎない状態で塗り付けることが、研磨工程の負荷軽減につながります。
乾燥後、手のひらやライトを使って凹凸をチェックし、気になる箇所には局所的に追いパテをしてから再度サンダー掛けを行うことで、全体の平滑度を高めつつパテ厚を最小限に抑えられます。mirix+1
クロス仕上げの場合、サンダー掛けが足りないとテープ段差やビス頭が「透けて」見え、逆に削り過ぎるとテープが露出して再度のパテ処理が必要になります。tremolo-co+2
塗装仕上げでは、横からのグレア光で微細な波打ちが強調されるため、通常より一段細かい番手のペーパーを使い、上塗り回数も増やして「平滑さ優先」のチューニングを行う職人も多くいます。tremolo-co+1
研磨時の粉じん管理も見逃せないポイントで、こまめな清掃と集じん機付きサンダーの活用により、粉の再付着や混入を抑え、後工程のクロス糊や塗料の密着不良を防ぐことができます。office-ball+2
特に仕上げ前の清掃が不十分だと、ホコリを巻き込んだままクロスを貼ってしまい、小さなポッチや膨らみとして目立つため、サンダー掛けとセットで「清掃」を工程として明示しておくと品質が安定します。office-ball+1
内装用パテの施工では、現場ごとに条件が異なるため、マニュアル通りの手順だけでなく、職人ごとの小技や工夫が品質の差として現れます。
例えば、時間当たりの作業量とパテの可使時間を逆算し、60分タイプと90分タイプを現場の人員体制に合わせて使い分けることで、無駄な廃棄を減らしつつフレッシュなパテで施工を続ける工夫などがあります。
既存クロスの上から塗装仕上げを行う場合、一度クロス上に薄く内装用パテを「面で」かけてからサンダーでならし、その上に塗装することで、ジョイントの痕や柄の段差を目立たなくするテクニックも用いられます。r-toolbox+1
この際、クロスの浮きや剥がれがある部分には事前にカット・張り替えや接着補修を行い、パテで無理に押さえ込もうとしないことが、後日の膨れを防ぐうえで重要になります。office-ball+1
また、躯体コンクリートに直接パテ処理を行う場合、配管やスリーブ周りを耐火パテで処理した上で、内装用パテで面を整えるという「二層構造」にすることで、法令上の性能と仕上がりの両立を図る方法もあります。e-sugimoto+1
このように、内装用パテ単体ではなく、シーラー・プライマー・耐火パテ・仕上げ材など、周辺材料との組み合わせを設計することが、建築従事者としての提案力とトラブル回避力につながります。house-box+3
下地の傷や補修範囲を事前にマーキングしておき、「厚付け → 中間 → 仕上げ」とパテの種類ごとに順路を組むことで、工具の持ち替えや移動ロスを減らしつつ、打ち漏れのない施工を実現している現場もあります。lasthope+1
小さな工夫の積み重ねが、仕上がりの安定と工期短縮、クレーム削減に直結するため、内装用パテの基本だけでなく、現場から生まれた改善事例をチーム内で共有していくことが今後ますます重要になっていくでしょう。mirix+1
内装用パテ全般の種類と使い分けの整理に役立つ技術情報として、建築用パテの種類や用途別の特徴を解説した資料が参考になります。
建築用パテの種類と用途別の使い分け解説(ラスホープ株式会社 コラム)

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