ナット寸法インチ一覧:ウィット・ユニファイ規格対辺早見表

ナット寸法インチ一覧:ウィット・ユニファイ規格対辺早見表

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ナット寸法インチ一覧規格表

インチナット規格の基本情報
🔧
ウィットねじ規格

建築・設備工事で使用される英国規格のインチナット

⚙️
ユニファイねじ規格

航空機・自動車業界で標準化されたアメリカ規格

📏
対辺寸法早見表

現場で素早く確認できるサイズ一覧

ナット寸法ウィットねじ規格一覧表

ウィットねじ規格は1841年にイギリスのジョゼフ・ウィットウォースが考案した規格で、ねじ山の角度が55度という特徴があります。建築業界では現在でも広く使用されており、特に水道・電気・空調設備関係で標準的な規格となっています。

 

ウィットねじ六角ナット対辺寸法表

インチ表示 呼び方 1インチあたりの山数 ピッチ(P)約 六角対辺(mm)
1/8 1分 40 0.64 6
3/16 1分5厘 24 1.06 8
1/4 2分 20 1.27 10
5/16 2分5厘 18 1.41 14
3/8 3分 16 1.59 17
1/2 4分 12 2.12 21
5/8 5分 11 2.31 26
3/4 6分 10 2.54 32
1" 1吋 8 3.18 41

ウィットねじの特徴として、インチ表示の分数を日本語の「分」「厘」で呼ぶ慣習があります。例えば1/4インチを「2分(にぶ)」、3/8インチを「3分(さんぶ)」と呼びます。この呼び方は建築現場で今でも使われており、熟練の職人さんとのコミュニケーションでは重要な知識です。

 

💡 実務ポイント: ウィットねじのピッチ計算は「25.4÷分母×分子」で簡単に求められます。例えば3/8の場合、25.4÷8×3=9.525mmとなります。

 

ナット寸法ユニファイねじ規格一覧

ユニファイねじ規格は1949年にアメリカ・イギリス・カナダで統一された規格で、ねじ山の角度が60度です。UNC(並目)とUNF(細目)の2種類があり、航空機や自動車、バイクなどの精密機械で使用されています。

 

ユニファイねじ六角ナット対辺寸法表(UNC並目)

インチ表示 山数/inch 対辺寸法(mm) 用途例
1/4 20 10 一般機械部品
5/16 18 14 中型機械部品
3/8 16 17 自動車部品
7/16 14 19 重機部品
1/2 13 21 構造用部品
5/8 11 26 大型機械
3/4 10 32 重量構造物

ユニファイねじ六角ナット対辺寸法表(UNF細目)

インチ表示 山数/inch 対辺寸法(mm) 特徴
1/4 28 10 緩み止め効果
5/16 24 14 精密締付け
3/8 24 17 振動対策
7/16 20 19 高強度要求
1/2 20 21 重要部位

ユニファイ細目ねじ(UNF)は並目(UNC)よりもピッチが細かく、緩み止め効果が高いため、振動の多い環境や重要な締結部に使用されます。

 

建築現場でユニファイねじに遭遇するのは、輸入機械や設備を扱う際です。特にアメリカ製のエアコン設備やエレベーター部品では、ユニファイ規格が使用されることがあります。

 

ナット六角対辺寸法早見表の見方

インチナットの六角対辺寸法を現場で素早く判別するためには、規格の違いを理解することが重要です。同じインチ表示でも、ウィット規格とユニファイ規格では対辺寸法が異なる場合があります。

 

規格別対辺寸法比較

インチ表示 ウィット(W) ユニファイ(UN) 差異
1/4 10mm 10mm 同一
3/8 17mm 17mm 同一
1/2 21mm 21mm 同一
5/8 26mm 26mm 同一
3/4 32mm 32mm 同一

幸い、よく使用されるサイズではウィット規格とユニファイ規格の対辺寸法は同じです。しかし、ピッチ(山数)が異なるため、ナットとボルトの組み合わせでは注意が必要です。

 

🔧 実務での識別方法:

  • ナットやボルトの刻印を確認(WまたはUNの表示)
  • ピッチゲージでねじ山を測定
  • 設備の製造国や仕様書で判断

現場では、インチナット用のスパナセットを用意しておくと作業効率が向上します。一般的な対辺寸法は10mm、14mm、17mm、19mm、21mm、26mm、32mmです。

 

ナット寸法規格の建築現場での使い分け

建築現場でインチナットを使用する際の実践的な使い分けについて解説します。これは教科書には載っていない現場での経験に基づく知識です。

 

用途別規格選択の実務ガイド
🏗️ 配管工事(水道・ガス)

  • ウィットねじ規格を使用
  • 1/8"〜1"が主流
  • 理由:日本の配管規格がウィット基準のため

🔌 電気工事(コンジット・ボックス)

  • ウィットねじ規格を使用
  • 1/2"、3/4"が多用
  • 理由:電気設備規格がウィット準拠

❄️ 空調設備工事

  • 国産機器:ウィットねじ
  • 輸入機器:ユニファイねじ
  • 混在する場合があるため要注意

🏢 構造用鋼材接合

  • 通常はメートルねじを使用
  • 特殊な場合のみインチねじ

現場での判断基準

  1. 既存設備の規格に合わせる
  2. 設計図書の指定に従う
  3. 機器メーカーの推奨規格を確認
  4. 保守性を考慮した規格統一

実際の現場では、同じ建物内でもエリアによって異なる規格が混在することがあります。例えば、機械室では輸入設備のユニファイねじ、一般エリアの配管ではウィットねじという具合です。

 

⚠️ 注意事項: 異なる規格のナットとボルトを間違って組み合わせると、初期は締まっても後で緩んだり、最悪の場合はネジ山が破損します。

 

ナット寸法JIS規格との比較違い

日本工業規格(JIS)のメートルネジと、インチねじ規格の違いを理解することで、現場での規格判別がより確実になります。

 

JISメートルネジとインチネジの比較

項目 JISメートルネジ インチネジ
基準単位 ミリメートル インチ
ピッチ表示 P=0.8、P=1.25等 1インチあたりの山数
ねじ山角度 60度 ウィット55度、ユニファイ60度
対辺寸法例 M10=17mm 3/8"=17mm

サイズ近似値の注意点
メートルネジとインチネジで、偶然対辺寸法が近いものがあります。

  • M10(17mm対辺)≈ 3/8"(17mm対辺)
  • M12(19mm対辺)≈ 7/16"(19mm対辺)
  • M16(24mm対辺)≈ 不一致

これらは外見上似ていますが、ピッチが全く異なるため互換性はありません。

 

JIS六角ナットの種類と特徴
JIS規格では1種、2種、3種の区分があります。

  • 1種:片側面取り(締付け方向あり)
  • 2種:両側面取り(一般的)
  • 3種:両側面取り低ナット

インチナットにはこのような細かい種別はなく、主にフィニッシュナットとヘビーナットの区分があります。

 

実務での規格判別方法
🔍 外観による判別:

  • ナット刻印の確認(M、W、UNの表示)
  • ピッチの粗さを目視確認
  • 対辺寸法の測定

📐 工具による確認:

  • ピッチゲージでの測定
  • ノギスでの精密測定
  • 専用ゲージでの規格判定

建築現場では、新築時は図面指定の規格を使用しますが、改修工事では既存設備の規格に合わせる必要があります。特に古い建物では、建設時期によってウィットねじ、メートルねじ、さらには古い尺貫法の規格が混在している場合もあります。

 

このような複雑な状況に対応するため、経験豊富な職人は複数の規格に対応できる工具セットを常備しています。また、規格が不明な場合は、必ず現物合わせで確認してから作業を進めることが重要です。

 

建設・電気設備工事の詳細な寸法規格については、こちらの記事も参考になります。
トップ工業 ボルト・ナット対辺寸法表