
TC型は、NOKオイルシールの中でも最も汎用性が高い型式として建築現場で広く使用されています。この型式は、油用でダストがある場合のシールに適しており、圧力上限は0.03MPa(0.3kgf/cm²)となっています。
TC型の主な特徴。
建築機械では、油圧ショベルの旋回モーター部分やクレーンの駆動部など、粉塵が多い環境で威力を発揮します。TC型の寸法表では、内径は6mmから500mmまでの幅広いサイズがラインナップされており、外径と厚さも用途に応じて最適化されています。
特に注目すべきは、TC型がJIS規格のD型(4種)、ISO規格、JASO規格のD型に対応している点です。これにより、海外製の建設機械部品との互換性も確保されており、緊急時の部品調達において大きなメリットとなります。
SB型とSC型は、どちらもS型(シングルリップ)カテゴリーに属しますが、構造と用途に明確な違いがあります。建築現場での適切な選択には、この違いを理解することが重要です。
SB型の特徴。
SC型の特徴。
建築現場では、コンクリートミキサー車の油圧システムなど、比較的清浄な環境ではSC型を、建設機械の足回り部分など粉塵環境ではSB型を選択するのが一般的です。
メーカー対照表によると、SB型はNOK以外では武蔵オイルシール工業のHMS、CRS、YSN型、KOYOのMS、AK型などが相当品となります。緊急時の代替品調達時に、この情報は非常に有用です。
NOKオイルシールの型式対照表は、建築現場でのメンテナンス作業において欠かせないツールです。特に、複数メーカーの機械が混在する現場では、各社の型式対応関係を把握することで効率的な部品管理が可能になります。
主要メーカーとの対照関係。
国際規格との対応も重要なポイントです。TC型はISO TYPE4、JIS D型、JASO D型に対応しており、国際的な建設プロジェクトでも統一された規格で部品調達が可能です。
また、旧JIS規格との対応関係も記載されているため、古い建設機械のメンテナンスにも対応できます。例えば、TC型は旧JIS規格のPJ型に相当し、30年以上前の機械でも適切な代替品を見つけることができます。
型式対照表を活用する際のポイント。
ZF型は、プランマブロックの台形溝用グリースシールとして特化した型式で、建築現場ではあまり知られていない特殊なオイルシールです。しかし、特定の機械では重要な役割を果たしています。
ZF型の詳細寸法データ(一部抜粋)。
ZF型の特徴。
建築現場では、タワークレーンのマスト部分やエレベーター昇降機構など、プランマブロックが使用される箇所でZF型が活用されています。軽微なダスト条件下では、ZT型の使用が推奨されており、現場環境に応じた選択が重要です。
寸法範囲は内径10mmから380mmまでと幅広く、大型建設機械にも対応可能です。厚さは4.2mmから19.1mmまでの設定があり、取り付けスペースの制約にも柔軟に対応できます。
建築現場でのNOKオイルシール選定には、カタログスペックだけでは分からない実践的な注意点があります。現場経験を基にした選定ポイントを解説します。
環境条件による選定基準。
建築現場特有の問題として、セメントダストによるシール面の摩耗があります。一般的なカタログ寿命の60-70%程度を目安とした交換計画が現実的です。
取り付け時の実践的な注意点。
在庫管理のコツ。
建築現場では、機械の稼働率が収益に直結するため、適切なオイルシール選定と計画的な交換が重要です。NOKの寸法表と型式対照表を活用し、現場条件に最適な製品選択を行うことで、機械の信頼性向上とメンテナンスコスト削減を両立できます。
参考:NOKオイルシール技術資料の詳細情報
https://www.sakura-seal.co.jp/category/2024994.html
参考:オイルシールメーカー型式対照表の完全版
https://www.packing.co.jp/OILSEAL/oilsealmakerkata1.htm