
NOKオイルシールは世界最大手メーカーとして、建物設備や産業機械で広く採用されています。主要型式の寸法規格を理解することで、適切な設備選定が可能になります。
TC型(回転軸用標準型)の寸法規格
TC型は最も汎用性の高いオイルシールで、内径13mmから大径まで幅広くラインナップされています。代表的な寸法例。
これらの寸法は、エレベーター機械室の減速機や空調設備のポンプ軸封など、建物設備の重要箇所で使用されています。
SB型(金属環露出型)の特徴と寸法
SB型は金属環の外周が露出した構造で、ハウジングとの嵌合性に優れています。主な寸法例。
VC型(バネ無しシングルリップ型)の用途と寸法
VC型は金属環の外周がゴム材質で覆われた型式で、低速回転や往復動用途に適しています。小径から大径まで豊富な寸法展開。
オイルシールの性能は材質によって大きく左右されます。建物設備の使用環境に応じた最適な材質選択が、設備寿命とメンテナンス費用に直結します。
ニトリルゴム(NBR)の特性と適用範囲
ニトリルゴム(NBR)は最も一般的な材質で、コストパフォーマンスに優れています。
主な特徴。
適用設備例。
フッ素ゴム(FKM)の高性能特性
フッ素ゴム(FKM)は高温・耐薬品性に優れた高機能材質です。
主な特徴。
適用設備例。
シリコンゴム(VMQ)とアクリルゴム(ACM)
TCN型は耐圧用オイルシールとして、圧力のかかる設備での使用に特化した型式です。最大0.3~0.98MPa(3~10kgf/cm²)程度の高圧に対応可能で、建物の高圧設備には必須の選択肢となります。
TCN型の技術的特徴
耐圧設計により、通常のTC型では対応できない高圧環境でも確実な密封性能を発揮します。圧力がかかる箇所で一般的なオイルシールを使用すると、リップ先端の当たり面が広くなり摩耗が進行し、最終的に漏れが発生してしまいます。
詳細寸法データ(25mm~200mm対応)
小径サイズ(25mm~50mm)。
中径サイズ(50mm~100mm)。
大径サイズ(100mm~200mm)。
高圧設備での使用上の注意点
耐圧用オイルシールの使用時は発熱が発生するため、以下の点に注意が必要です。
これらの配慮により、建物の高圧設備でも長期間安定した性能を維持できます。
NOKオイルシールの型式は国際規格との対照が可能で、グローバルな設備調達や部品交換において重要な参考資料となります。
主要規格との対照関係
NOK型式と各国際規格の対応関係。
NOK型式 | JIS規格 | ISO規格 | JASO規格 | 旧JIS | 用途 |
---|---|---|---|---|---|
SC | タイプ1 | TYPE1 | S | AJ | 一般回転軸用 |
SB | タイプ2 | TYPE2 | SM | AK | 金属環露出型 |
TC | タイプ4 | TYPE4 | D | PJ | 標準回転軸用 |
TB | タイプ5 | TYPE5 | DM | PK | ダストリップ付 |
VC | - | - | G | BJ | バネ無し型 |
VB | - | - | GM | BK | 金属環被覆型 |
海外メーカーとの互換性
ガーロック(Garlock)、シカゴローハイド(CR)、ナショナル(NATIONAL)との対照も可能です。
部品番号による型式判別方法
NOK部品番号の頭2桁で型式分類が可能です。
例:部品番号AE1234E0の場合、頭文字「A」が大分類、2文字目「E」が小分類を示し、TC型を表します。
この規格対照により、海外製設備の部品交換や国際調達において、適切な代替品選定が可能になります。
不動産業界においてオイルシールの適切な選定は、建物設備の信頼性確保とメンテナンス費用削減に直結する重要な要素です17。設備投資の最適化とライフサイクルコスト管理の観点から、戦略的な選定が求められます。
建物設備別最適型式選定指針
エレベーター設備。
空調設備。
給排水設備。
コスト最適化戦略
初期投資とランニングコストのバランス。
在庫管理の効率化。
設備更新時の選定ポイント
既存設備との互換性確認。
将来対応への配慮。
トラブル予防と早期発見
定期点検での着眼点。
交換タイミングの判断。
これらの実践的な選定ポイントを活用することで、建物設備の信頼性向上とメンテナンス費用の最適化を同時に実現できます。NOKオイルシールの豊富なラインナップと技術資料を活用し、各建物の特性に応じた最適な設備仕様の構築が可能になります。