ロックウール吹付けの施工手順と耐火被覆の基礎知識

ロックウール吹付けの施工手順と耐火被覆の基礎知識

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ロックウール吹付けの施工手順と耐火被覆の基礎知識

かさ比重0.28を下回ると、3時間かけた吹付けが耐火認定ゼロになります。


🔍 この記事でわかること
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ロックウール吹付けの基本と耐火性能

1時間〜3時間耐火の認定番号・吹付け厚さの違い、高炉スラグ由来の素材特性まで、基礎から整理します。

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施工前計画と他工事との取り合い

防火区画・天井吊ボルト・外壁との取り合いを誤ると、吹付け後に剥がして補修する羽目になります。

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かさ比重・厚さ検査の正しい手順

5㎡に1か所以上の厚さ確認とかさ比重検査の具体的な方法、不合格時の対応まで解説します。


ロックウール吹付けの基本特性と耐火性能の仕組み


ロックウール吹付けは、製鉄所の高炉で鉄を生産する際に副産物として排出される「高炉スラグ」を主原料とした、鉱物系の人造繊維素材です。セメントを硬化材として、専用の吹付け機を使って鉄骨などの下地に直接吹き付けて施工します。有機物を一切含まない現場施工型の不燃製品(不燃認定番号:NM-8601)であり、50年以上にわたって国内最多使用の耐火被覆材として実績を積んできた工法です。


最大の特徴は、鉄骨が高温にさらされた際に変形・崩壊するのを防ぐ耐火性能です。鉄骨は約500~600℃を超えると急激に強度が低下し、建物全体が倒壊する危険があります。ロックウール吹付けはその熱の伝導を遮断する「断熱ふとん」のような役割を果たし、火災時の鉄骨温度上昇を遅らせます。つまり耐火被覆の本質は「燃えない」ことではなく「熱を伝えにくくする」ことです。


耐火性能は時間単位で区分されており、建築基準法に基づく大臣認定を取得しています。以下の表がその代表的な認定数値です。







































耐火時間 部位 かさ比重 厚さ(mm) 認定番号(例)
1時間 はり・柱 0.28以上 25mm FP060BM-9408
2時間 はり・柱 0.28以上 45mm FP120BM-9411
3時間 はり・柱 0.28以上 60~65mm FP180BM-9414
1時間 外壁 0.30以上 30mm FP060NE-9305


耐火性能に加えて、吸音性・断熱性・結露防止といった付帯性能も持ちます。機械室の内壁に施工すれば吸音効果で騒音を低減でき、断熱性能のおかげで結露水が滴下する心配もほとんどありません。これは使えそうです。


ロックウール工業会の公式認定番号一覧は現場管理での必携資料です。


ロックウール工業会 ー 認定番号一覧(耐火構造・不燃材料)


ロックウール吹付けの施工前に絶対確認すべき4つの取り合い

吹付けロックウールは「どんな形状にも吹付けられる」という自由度の高さが売りですが、他工事との取り合い計画を怠ると大きな手戻りが発生します。現場で実際に問題になりやすい4つの取り合いを解説します。


防火区画の耐火壁・間仕切り壁との取り合い


防火区画や遮音のために鉄骨梁下まで延びる間仕切り壁がある場合、壁の軽鉄ランナーを受ける「先行ピース」を鉄骨に取り付けてから吹付けを行わなければなりません。先行ピースの設置を忘れて吹付けを完了させてしまうと、後から壁を作る際に耐火被覆を剥がして取り付け直し、補修まで行う三重の作業が発生します。ピースの形状はコの字型を縦使いにするのが基本です。□型ピースはピースの中に欠損が生じるため、特別な理由がない限り避けましょう。


② 天井吊ボルト「周辺部から150mm以内」ルール


天井を仕上げで隠す場合、天井下地の吊ボルトを設置する必要があります。吊ボルトは「周辺部から150mm以内」に配置するという基準があり、外壁際や部屋の端部で鉄骨から吊ボルトが取れない箇所がないか、吹付け前に必ずチェックが必要です。後から設置しようとすると、やはり吹付け材を剥がしての補修作業が避けられません。


③ 外壁との取り合い(合成耐火被覆の確認)


外壁ALCパネルなど先行工事がある場合、梁とパネルの隙間が狭く吹付け材を梁全周に巻き込めない箇所が生じます。この場合は「合成耐火被覆」という方法で対応します。認定を受けた外壁材と耐火被覆材を組み合わせて鉄骨を閉じ込め、耐火性能を確保する工法です。使用する外壁材・耐火被覆材それぞれの認定カタログで組み合わせの認定番号を確認することが条件です。


④ 養生計画の事前協議


半乾式ロックウール吹付けでは、ロックウール・セメント・水が混合した材料が周囲に飛散します。施工済みサッシ・天井裏配線・設備機器などへの汚損を防ぐため、元請と専門業者で「どちらがどの箇所を養生するか」を施工前に明確に取り決めておくことが重要です。養生計画が条件です。


施工前の取り合い確認を怠った場合、補修・再施工のコストだけでなく、他業者の工期にも影響を与える連鎖的な損害につながります。痛いですね。


施工手順の全体像と注意点は、建設現場管理者向けの以下の解説記事が参考になります。


【耐火被覆】吹付ロックウールの施工前に注意すべき点と施工手順・検査方法(現場管理者向け)


ロックウール吹付けの半乾式施工手順とかさ比重検査の要点

現在の主流は「半乾式工法」です。ロックウール粒状綿を解綿機(かいめんき)に投入し、セメントと水を撹拌したスラリーと現場で合流させて吹付けガンから噴射します。施工の流れを順番に確認しましょう。


施工ステップ


- 材料・機材搬入:ロックウール粒状綿、セメント、スラリーミキサー、圧送ポンプ、吹付け機を搬入・設置
- 養生:事前協議の内容に基づいて汚損防止養生を実施
- 吹付け:ガンからロックウールとセメントスラリーを合流噴射。ブルーシートで飛散を抑えながら施工
- コテ均し:吹付け後、コテで平らに表面を押さえ、均一な厚さに仕上げる
- 厚さ確認:ロックウール工業会指定の厚さ確認ピン(測定具)を用いて、吹付け面積5㎡ごとに1か所以上測定
- 補修施工:梁上フランジ部分や吹付けにくい隙間は補修材を用いて充填
- かさ比重検査:特記仕様書に定められた検査が必要な場合は必ず実施


かさ比重検査は、施工後にコアドリルで試料を切り取り、100〜110℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させてから重量を測定し、比重を計算します。この値が認定基準(はり・柱は0.28以上、外壁は0.30以上)を下回ると施工不合格です。不合格の場合は吹き増し施工か、一度かき落として再施工という対応になります。


かさ比重が基準を下回るケースは、セメントスラリーの調合不良や水分比の管理不足が主な原因です。吹付け機の調整が基本です。


特記仕様書で指定される検査頻度は物件ごとに異なりますが、国土交通省の工事監理ガイドラインでは「配合・かさ比重・厚さ・耐火表示」の管理記録が確認項目として明記されています。記録の保管も忘れずに。


国土交通省 工事監理ガイドライン(案)確認項目一覧表 ー ロックウール吹付けの確認事項を含む


ロックウール吹付けとアスベスト混入問題:昭和63年以前の建物に注意

現場管理者が見落としがちな重大リスクがあります。昭和50年(1975年)に吹付けアスベストが原則禁止となった後も、代替品として登場した「吹付けロックウール」の一部にアスベストが混入されており、おおむね昭和63年(1988年)まで使用されていました。これは当時、アスベストを混入することで吹付け材の付着力を高めていたためです。


この「石綿含有吹付けロックウール」は、アスベスト建材の危険度分類において最も高い「レベル1」に該当します。レベル1とは飛散性が高い吹付け系の建材で、解体・改修工事では大気汚染防止法石綿障害予防規則に基づく厳格な除去作業が義務付けられています。視覚的にアスベスト含有の有無を判断することは専門家でも困難です。


重要なポイントを整理すると、以下の年代の建物では特に注意が必要です。


- 昭和50年以前:吹付け石綿(クリソタイル等)の直接吹付けが行われていた
- 昭和50年〜昭和63年頃:吹付け石綿の代替として石綿含有吹付けロックウールが使用
- 昭和63年以降:業界の自主規制により石綿含有の吹付けロックウールは使用終了


解体・改修工事で昭和63年以前の建物に入る場合は、必ず事前調査(建築物石綿含有建材調査者による調査)を実施してから施工計画を立ててください。調査が条件です。平成18年(2006年)の建築基準法改正により、石綿含有率が重量の0.1%を超える吹付けロックウールを新たに施工することも禁止されています。


なお、現在製造・流通しているロックウール吹付け製品はアスベストを含有しておらず、ロックウール工業会が製造以来80年以上にわたってロックウール繊維によるじん肺等の健康被害は報告されていないことを確認しています。現行品なら問題ありません。


アスベストとロックウールの違いと含有リスクを詳しく解説した専門家解説記事。


吹付けロックウールにはアスベスト含有の可能性があるか?目視判断が困難な理由と対策


ロックウール吹付けの施工単価・コスト目安と他工法との独自比較

ロックウール吹付けのコストを把握せずに工事費を見積もると、後から査定で跳ね返ってくる場合があります。積算資料(公表価格)の市場単価データによると、半乾式吹付けロックウールの材工込み単価の目安は以下のとおりです。
























部位・耐火時間 被覆厚さ 市場単価目安(材工込み/㎡)
はり・柱 1時間耐火 25mm 約2,500〜3,000円前後
はり・柱 2時間耐火 45mm 約3,500〜4,200円前後
柱 3時間耐火 65mm 約4,100〜5,600円前後


※上記はあくまで参考目安です。施工規模・現場条件・地域によって大きく変動します。正式な積算は専門業者への見積もりで確認してください。


比較として巻付け耐火被覆(マキベエなど)は材工価格で1時間耐火が約3,500円/㎡、3時間耐火が約7,000円/㎡というデータもあります。一概にどちらが安いとはいえませんが、ロックウール吹付けは複雑な形状にも対応しやすく、施工規模が大きいほど単価が下がりやすい傾向があります。


気をつけたいのは「厚さ不足・かさ比重不足で再施工になった場合」のコスト増です。一度吹付けた材料を削り落として再施工するケースでは、当初工事費の数倍のコストと工期ロスが発生することがあります。施工管理担当者による品質確認が一番のコスト管理です。


また、ロックウール工業会は「吹付けロックウール被覆耐火構造 施工管理担当者講習会」を5年に1度開催しており、合格者には有効期限5年の「施工管理担当者証」が発行されます。次回は2027年度開催予定です。担当者証の取得は発注者への信頼性向上にも直結します。これは使えそうです。


工事費の積算根拠データは国土交通省の以下の資料で確認できます。


国土交通省 公共建築工事標準単価積算基準 ー 耐火被覆工事を含む積算基準




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