

現場での振動が多いほど、コリオリ式流量計の測定値は大きくズレていきます。
流量計(コリオリ式)は、「コリオリの力(慣性力)」を応用して流体の質量流量を直接計測する機器です。コリオリの力とは、1835年にフランスの物理学者ガスパルド・コリオリが発見した力で、回転する座標系の中で直線的に移動する物体に対して進行方向と垂直に作用する見かけの力のことをいいます。台風が北半球で右回りに渦を巻くのも、このコリオリの力によるものです。
コリオリ式流量計の内部では、U字形・直管型・S字形などの形状を持つ計測チューブが電磁オシレータによって一定の固有振動数で振動しています。このチューブの中を流体が流れると、入口側と出口側の間でコリオリの力が逆方向に作用し、チューブにねじれが生じます。つまり、原理です。
このねじれに伴う「位相差」を、チューブ左右に取り付けられた電磁ピックオフというセンサが検出します。位相差の大きさは流体の質量流量に比例しているため、この信号を演算することでリアルタイムに質量流量が算出される仕組みです。
また、内部チューブの共振周波数の変化から流体の密度も同時に測定できる点が、他の流量計と大きく異なる特徴です。質量・密度・体積の3種類を1台で計測できるということですね。
内蔵されている主な部品は以下の通りです。
- 💡 電磁オシレータ:チューブを固有振動数で振動させる
- 💡 電磁ピックオフ:チューブのねじれによる位相差信号を検出する
- 💡 温度センサ:チューブの熱変化による弾性係数を補正する
これら3つの部品が連動することで、温度や圧力の変動にも影響されにくい安定した計測が実現しています。他の体積流量計(電磁式・超音波式など)が流体の「体積」から間接的に質量を計算するのに対し、コリオリ式は質量を直接測るため、補正システムが不要になります。これは使えそうです。
コリオリ式が「質量流量計」と呼ばれる理由はここにあります。建築・設備分野で求められる精密な流量管理において、この原理的優位性は大きな意味を持ちます。
参考:コリオリ式流量計の原理と特徴について詳細に解説している権威あるメーカー資料です。
コリオリ式流量計の原理と特徴 | 流量知識.COM | キーエンス
流量計(コリオリ式)がさまざまな産業現場で選ばれる背景には、他の流量計にはない5つの明確なメリットがあります。それぞれ建築・設備の現場に当てはめながら整理していきましょう。
① 質量流量を直接・高精度に測定できる
コリオリ式の最大の強みは、質量流量を直接測定できる点にあります。一般的な体積流量計は「体積」を測定してから密度をかけ合わせて質量を算出しますが、この方式では温度や圧力の変化によって密度が変わるたびに補正計算が必要になります。コリオリ式はそのプロセスをすべてスキップできます。液体においては±0.1〜0.2%という精度を実現しており、これは500リットルを計量したとして誤差がわずか0.5〜1リットル以内に収まるレベルです。高精度が基本です。
② 直管部が不要で、複雑な配管にも対応できる
電磁流量計や超音波流量計では、上流側に口径の10倍程度、下流側に5倍程度の直管部を設ける必要があります。一方、コリオリ式流量計は流速分布の影響を構造上受けないため、直管部が不要です。建築現場のように配管が複雑に入り組んでいる環境では、この点は非常に大きなメリットになります。
③ 液体・気体・スラリーなど多様な流体に対応
コリオリ式は一般的な液体だけでなく、高粘度液、スラリー(固体と液体の混合物)、気体まで幅広い流体に対応できます。実際に、建設現場から出る濁水(土砂混じりの排水)の濃度管理にも活用されています。掘削で発生した濁水をそのまま放流することは環境関連法令で禁じられており、凝集剤を使った処理工程での土砂濃度の把握にコリオリ式が役立っています。多様な流体に対応できるということですね。
④ 密度を同時に測定できる
流量計測と同時に流体の密度もリアルタイムで計測できます。密度の変化は成分濃度の変化を反映するため、混合液の配合管理や品質チェックの指標として活用できます。配管を流れる薬液や混和剤の濃度を自動でモニタリングしたい場合に、1台で完結できる点は大きなコストメリットにつながります。
⑤ 脈動流にも追従できる高速応答性
ポンプの脈動(断続的な圧力変動)が生じる配管環境でも、コリオリ式は応答速度が速いため追従して正確に計測できます。これは応答遅れが測定誤差に直結しやすい体積流量計では得にくい特性です。
| 特長 | 詳細 |
|---|---|
| 精度 | 液体:±0.1〜0.2% |
| 対応流体 | 液体・気体・スラリー・高粘度液 |
| 直管部 | 不要 |
| 密度測定 | 同時計測可能 |
| 脈動流 | 追従可能 |
参考:コリオリ式流量計のメリット・デメリット・選定ポイントが体系的にまとめられています。
コリオリ式流量計とは?原理・特徴・用途を徹底解説 | HORIBA
高性能なコリオリ式流量計にも、当然ながら弱点はあります。建築現場での導入前に必ず確認しておくべきデメリットを4つ挙げます。
① 価格が他の流量計と比べて高い
コリオリ式流量計は、精密なセンシング機構と高度な電子回路を内蔵しているため、本体価格・設置工事費ともに他方式と比べて高額になります。機種によっては数十万〜100万円を超えるものも少なくありません。電磁流量計や差圧式流量計と比較した場合、初期コストの差は数倍に及ぶこともあります。痛いですね。
小規模な設備や多点設置が必要な現場では、全箇所をコリオリ式にするとコストが跳ね上がるリスクがあります。「どの箇所に最も高精度な計測が必要か」を事前に整理したうえで、用途に応じた方式の使い分けが重要です。
② 外部振動の影響を受けやすい
これが建築現場での運用における最大の注意点です。コリオリ式は内部チューブの微細な振動を検出する仕組みのため、外部からの振動が測定値に干渉します。ポンプ、コンプレッサー、重機などが稼働する環境では、これらの振動が信号ノイズとなり、計測値が不安定になったり、ゼロ点がドリフト(ずれていく)したりする現象が起きます。振動源から離した設置が原則です。
対策として、振動源(ポンプ・大型機器)から物理的に離れた場所に設置する、防振架台を使用する、といった工夫が有効です。設置場所を決める際は、計器の仕様書に記載されている振動耐性の数値も確認しておきましょう。
③ 気泡の混入に弱い
測定管内に気泡が混入すると、流量計内のチューブバランスが崩れて計測誤差が生じます。最悪の場合、測定そのものが停止してしまうケースもあります(横河電機技術資料より)。建築設備の配管では、配管内のエア抜きが不十分な状態で計測を開始すると誤差が発生しやすいため注意が必要です。
気泡への対策としては、ラインの圧力を上げて溶存気体を抑制する、計器の設置位置を液体が常に充満する場所(上昇管の下部など)にする、といった方法が有効です。
④ 圧力損失が他方式より大きい
チューブを屈曲させた構造のため、流路抵抗が大きく、圧力損失が生じやすいです。特に内径の小さいモデルや2本チューブ構造のものでは顕著になります。ポンプ能力の設計に影響するため、システム全体のエネルギー計算に組み込む必要があります。
参考:コリオリ流量計の気泡問題や設置上の注意点について詳しく解説されています。
コリオリ式流量計は、直管部が不要という設置の柔軟性がある一方で、正確な計測を行うためには適切な設置条件を満たす必要があります。特に見落とされがちな「ゼロ調整」は、設置後の最初の作業として非常に重要です。
設置方向について
チューブ内に気泡が溜まらないよう、設置の向きには注意が必要です。U字管型のコリオリ式流量計を縦配管(鉛直方向)に設置した場合、U字の頂部に気泡が溜まりやすくなります。基本的には配管が水平または上昇方向になるよう設置し、液体が常に計測チューブを満たした状態を維持することが推奨されます。設置向きが計測精度を左右するということです。
ゼロ調整(ゼロ点校正)の重要性
ゼロ調整とは、流体の流れがゼロの状態(バルブを閉じて流体を完全に止めた状態)で、流量計の出力もゼロとなるように合わせる作業です。コリオリ式流量計は温度変化や外部振動などの影響を受けてゼロ点がずれる「ゼロドリフト」が起こることがあります。これを放置すると、流れがないのに流量が表示されたり、実際の流量と表示値がずれ続けたりします。
ゼロ調整は以下の手順で行うのが基本です。
1. 🔧 計測ラインを液体で満液状態にする(空気を完全に抜く)
2. 🔧 上流・下流のバルブをともに閉じて流れをゼロにする
3. 🔧 変換器の設定メニューからゼロ調整を実行する
4. 🔧 調整完了後、流量表示が安定してゼロを示すことを確認する
流体が止まっていない状態や気泡が残った状態でゼロ調整を行っても、正確なゼロ点は取れません。「とりあえず動かしながらゼロ調整」はNGです。ゼロ調整の完成度が、その後の計測精度全体を左右するため、新規設置時・長期停止後の再稼働時には必ず丁寧に実施する必要があります。
また、コリオリ式流量計は逆流(流体が逆方向に流れる状態)でも計測が可能です。これは他の多くの流量計では対応が難しい特性で、往復ポンプや特殊な配管設計においても適用範囲を広げています。
参考:コリオリ流量計のゼロ調整と選定に役立つ技術的情報が掲載されています。
建築・設備工事の現場では、用途に応じた流量計の選択が非常に重要です。コリオリ式はあらゆる場面で最適というわけではなく、他の方式と比較した上で適材適所で選ぶことが、結果的にコスト削減と計測精度の両立につながります。
コリオリ式 vs 電磁流量計
電磁流量計は導電性のある液体(水、薬液など)に特化した方式で、コリオリ式より低コストかつ圧力損失も小さいのが特長です。ただし、気体や非導電性流体には使えず、密度測定もできません。純粋に水系の流体の体積流量を測定する用途であれば、電磁流量計の方がコストパフォーマンスに優れます。電磁流量計が向いている場面も多いですね。
コリオリ式 vs 超音波流量計
超音波流量計はクランプオン型(配管に外付けするタイプ)があり、既設配管に後付けが可能です。直管部が必要なのが弱点ですが、既存配管を改造せずに流量計を設置したいケースでは有力な選択肢です。ただし気泡に非常に弱く、わずかな気泡で計測不能になる場合もあります。
コリオリ式 vs 差圧式流量計(オリフィス)
差圧式は構造がシンプルで部品コストが低く、高温・高圧にも対応できますが、上流側に口径の10倍以上の直管部が必要です。精度はコリオリ式に比べて低く、配管条件の影響を受けやすいため、設置環境が整っている場合のみ有効です。
| 方式 | 精度 | 直管部 | 対応流体 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| コリオリ式 | ±0.1〜0.2% | 不要 | 液・気・スラリー | 高い |
| 電磁式 | ±0.2〜0.5% | 必要 | 導電性液体のみ | 中程度 |
| 超音波式 | ±1〜2% | 必要 | 液体(気泡NG) | 中程度 |
| 差圧式 | ±0.5〜1% | 必要(長め) | 液・気・蒸気 | 低〜中 |
建築設備の現場でコリオリ式が特に有効なのは、「スラリーや高粘度液を扱う配管」「直管スペースが確保できない複雑な配管」「質量ベースでの正確な薬液管理が求められる設備」の3つのシーンです。これが条件です。
逆に、予算が限られており、水系の流量管理が主目的であれば、電磁流量計や超音波流量計の方が費用対効果は高い場合があります。まず「何を計測したいのか」「どの程度の精度が必要か」を整理してから選定するとよいでしょう。
参考:流量計の種類・方式ごとの比較と選定基準をわかりやすくまとめた解説ページです。
流量計の種類と特徴【方式別のメリット・デメリットを解説】 | クローネ
コリオリ式流量計は製造業・石油ガス業のイメージが強いですが、実は建設現場の環境管理においても注目されています。この視点はあまり一般的ではないかもしれませんが、建築業従事者にとって知っておく価値は高いと言えます。
建設排水規制とスラリー計測の関係
現在の日本では、建設工事で発生する掘削濁水(土砂・シルトを多く含む排水)をそのまま河川や下水に放流することは、水質汚濁防止法や各自治体の条例で厳しく制限されています。処理設備では凝集剤を注入して土砂を沈降させる工程が一般的ですが、この凝集剤の投入量を適切に管理するためには、濁水中の土砂濃度をリアルタイムで把握することが欠かせません。
ここでコリオリ式流量計の出番です。コリオリ式は密度を直接計測できるため、流体の「密度の変化=土砂含有量の変化」として捉えることができます。つまり、別途濁度センサーを用意しなくても、流量計1台で流量と土砂濃度の両方を管理できる可能性があるわけです。1台で完結できるのは大きなメリットです。
コスト削減と環境コンプライアンスの両立
建設現場での廃水処理は、行政への報告義務が伴う場合も多く、計測データの信頼性が重要です。高精度な計測値が記録として残るコリオリ式は、第三者への説明責任を果たす上でも有利に働きます。万が一、基準値を超える濃度の濁水が放流された場合には、環境への損害賠償や行政指導といった法的・経済的リスクが発生します。精度の高い計測記録があるかどうかで、対応の差が出ることになります。
また、近年は小型・軽量化が進んだポータブルタイプのコリオリ流量計も登場しており、工期が短い現場への仮設設置も現実的になってきています。仮設設備であれば、購入ではなくレンタルを検討するのも選択肢の一つです。「コリオリ式流量計 レンタル」で検索すると、計測機器専門のレンタル会社が複数見つかります。レンタルの活用で初期コストを大幅に抑えることができます。
建設現場での環境管理の観点から、コリオリ式流量計の活用方法は今後さらに広がっていく可能性があります。「うちの現場には関係ない」と思っていた方も、改めて見直してみる価値は十分あります。
参考:建設現場の濁水管理への応用を含む、コリオリ式流量計の多様な用途が解説されています。

Fouytuiデジタル流量計 ±1%高精度 累積/瞬間計測 0.6MPA ステンレス アルミ合金 耐用・抗磨・抗腐食性能強・高硬度 流量計メーター 流量計測 タービンデジタルディーゼル燃料流量計 流量センサー 液晶ディスプレイ 簡単操作 ガソリン/水/燃料/ディーゼル/灯油 (6分)