止水板メーカーの種類と選び方・補助金活用法

止水板メーカーの種類と選び方・補助金活用法

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止水板メーカーの種類・選び方と補助金まで徹底解説

止水板を「とりあえず設置すれば安心」と考えていると、水害時に数百万円規模の損害を招きます。


この記事でわかること
🏗️
止水板の2大カテゴリ

「浸水防止用」と「打ち継ぎ用」は名前が同じでも全く別物。建築現場で混同しやすいポイントを整理します。

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主要メーカーの特徴比較

KTX・文化シヤッター・フジ鋼業・三和シャッターなど主要メーカーの製品特性・性能等級・価格帯を整理して紹介します。

💰
補助金で最大150万円

全国の自治体が設置費の最大1/2・上限50〜150万円を補助。申請タイミングと必須条件を解説します。


止水板メーカーを選ぶ前に知っておきたい「2種類の止水板」


建築業に携わる方でも、「止水板」と聞いたとき、全く用途の異なる2種類の製品が存在することを知らないケースは少なくありません。一方は水害(浸水)対策として建物の出入口に取り付けるタイプ、もう一方はコンクリートの打ち継ぎ部に埋め込んで地下水の侵入を防ぐタイプです。どちらも「止水板」と表記されますが、設計・施工・メーカー選定において混同すると、設備の選定ミスやコスト超過に直結します。


まず「浸水防止用止水板」は、台風やゲリラ豪雨のときに建物の開口部から雨水が流入するのを防ぐ製品です。玄関・地下駐車場入口・電気室・ポンプ室などの出入口に設置し、緊急時に人力または自動で起立・展開させて使います。一方の「コンクリート打ち継ぎ用止水板」は、地下構造物や基礎のコンクリートを2回以上に分けて打設する際、継ぎ目から地下水が浸入しないよう打ち継ぎ面に埋め込む帯状の材料です。PVC(塩化ビニル)製やゴム製、水膨張タイプなどがあり、設置は打設時の一回限りの作業となります。


これは基本が原則です。


どちらが必要かを設計段階で正確に判断できていないと、発注先のメーカー選定そのものがずれてしまいます。施主や設計者への提案時に「浸水対策としての止水板が必要なのか、打ち継ぎ止水が必要なのか」を最初に確認することが、適切なメーカー選定への第一歩となります。


比較項目 浸水防止用止水板 打ち継ぎ用止水板
主な用途 建物開口部からの浸水防止 コンクリート打ち継ぎ部の止水
設置タイミング 施工後〜水害発生時 コンクリート打設時(埋込)
代表素材 アルミ、樹脂、ステンレス PVC、ゴム、水膨張材
主な設置場所 玄関、地下出入口、電気室など 基礎、地下壁、擁壁の打継目
代表メーカー KTX、文化シヤッター、フジ鋼業 日本リステン、クニミネ工業


参考:コンクリート打ち継ぎ部の止水板に関する詳細な製品情報はこちら
コンクリート打継部用・水災対策用、名前は同じ止水板でも用途が全く違う|日本リステン株式会社


止水板メーカー主要7社の特徴と製品ラインナップを比較

浸水防止用の止水板市場には、シャッターメーカーを中心に多様な企業が参入しています。それぞれ素材・設置方式・止水性能・価格帯に明確な違いがあります。


KTX株式会社(スーパー止水番2) は、自動車内装金型製造で培った精密加工技術を防災製品に応用しており、業界でも高い注目を集めています。代表製品「スーパー止水番2」は重量わずか6kgと軽量ながら、約2トンの負荷に耐える強度を誇ります。止水性能はJIS A 4716漏水量等級Ws-5相当(4L/h・㎡以下)で、水位30cmでは漏水量が計測不可という試験結果も出ています。マグネット式でワンタッチ設置が可能で、設置に専門知識が不要な点も現場での評価が高い理由です。2026年1月のメーカー認知度ランキング(Metoree調べ)では第1位となっています。


文化シヤッター株式会社 は、長年のシャッター製造ノウハウを活かした脱着式止水板から、自動起伏式の据え付けタイプまで幅広くラインナップしています。代表製品「BX止水板ラクセット」は重量20kg以下・幅600mm・高さ350〜600mmで、届いた日からすぐに使えるのが特徴です。止水性能は20L/h・㎡と中程度ですが、設置の手軽さと信頼性のバランスを重視する施設に向いています。


フジ鋼業株式会社(フラッドガード) は業界認知度日本一を自認し、2024年末時点で導入実績11万台を超えた実績を誇ります。防災グッズ大賞・グッドデザイン賞を受賞しており、デザイン性も重視した製品展開が特徴です。


三和シャッター工業株式会社(ミリオンガード) は、脱着式アルミ防水板「ミリオンガード」をはじめ防水シャッター、防水ドアなど多数の防水製品群を展開しています。幅800〜2000mm・高さ250〜500mmに対応し、設置したまま自動ドアの開閉ができる点が特徴的です。オフィスビルやマンションのエントランスで多く採用されています。


鈴木シャッター株式会社(アピアガード) は浸水防止シャッターの技術評価で止水性能5等級相当を実現しており、電気を使わずに水の浮力で自動起立する起伏型も手がけています。コーナーレール使用でL字・コ字型設置が可能で、複雑な形状の間口にも対応できます。


タキロンシーアイ株式会社(フラッドセーフライト) は樹脂プラスチック専業の知見を活かした製品が特徴で、ペダルを踏んでレバーを倒すだけで設置できる操作性が高く評価されています。1000mm幅で1枚7.3kgと軽量ながら止水性能はWs-6等級相当という高性能を実現しています。


宇根鉄工所(アクアシャッターf) は創業100年超の老舗で、動力を使わずライフラインが停止した状況でも使用できる製品設計が強みです。耐用年数30年という長期信頼性も評価されており、幅20,000mmまで対応できる大型施設向け製品も揃えています。


  • 🏆 KTX:軽量×高止水性能のバランス型。Ws-5相当・6kgでマグネットワンタッチ設置。
  • 🏢 文化シヤッター:バリエーション豊富。脱着式から防水シャッター一体型まで対応。
  • 🔴 フジ鋼業:認知度日本一・導入11万台超。デザイン性と性能を両立。
  • 🔧 三和シャッター:自動ドアと共存可能な設計。オフィス・マンション向け。
  • ⚡ 鈴木シャッター:起伏式(水力自動起立)で停電時にも対応。L字設置も可能。
  • 🌿 タキロンシーアイ:樹脂技術でWs-6相当の高性能と軽量を両立。
  • 🏗️ 宇根鉄工所:耐用年数30年・無動力設計。大規模施設向けにも対応。


参考:主要メーカーの製品仕様・価格帯を一覧で比較できる情報はこちら
浸水対策に!止水板を製造・販売している主要メーカーを一挙紹介|waterstop-building.com


止水板の性能を正しく比較するためのJIS A 4716等級の読み方

止水板を選ぶ際に最も重要なのに、現場担当者が見落としがちなのがJIS性能等級の正しい読み方です。意外ですね。


各メーカーのカタログには「Ws-3相当」「Ws-5相当」など異なる等級が記載されていますが、この数字の意味を正確に理解せずに製品を選ぶと、実際の浸水リスクに対して性能が不足していたというトラブルが起きます。


「JIS A 4716」は浸水防止用設備(建具型)の性能規格で、漏水量によってWs-1からWs-6まで6段階に分類されています。等級の根拠となる「漏水量」の単位は「L/(h・㎡)」で、1時間に1㎡の水圧面積あたり漏れる水の量を示します。Ws-1が最も低性能(漏水量50〜200L)で、Ws-6が最高性能(漏水量1L以下)です。


JIS等級 漏水量の目安(L/h・㎡) 適した設置場所の目安
Ws-1 50超〜200以下 駐車場・道路面に接する開口部
Ws-2 20超〜50以下 一般の出入口・店舗入口
Ws-3 20以下 電気設備室・駐車場入口
Ws-4 10以下 精密機器を置く機械
Ws-5 4以下 医療施設・サーバー室
Ws-6 1以下 地下鉄・重要インフラ施設


重要なのは「相当」という表記の取り扱いです。JIS A 4716の規格対象はシャッター型とドア型のみであり、脱着パネルタイプはJIS規格の適用範囲外となります。そのため多くのメーカーが「Ws-○相当」と表記していますが、これは公的に認定された等級ではなく、あくまで同等の試験を行ったという意味での自己申告です。


これが条件です。


選定に際しては「Ws-○相当」と記載された製品について、試験機関(建材試験センターなど)の第三者試験レポートの提示を求め、実測値を確認することが望ましいです。設置後に「カタログの性能が実際と異なる」というトラブルを避けるための、現場担当者として押さえておくべき判断基準です。同じ漏水量等級でも、耐水圧性能・設置時間・操作のしやすさの等級も別途設けられているため、総合的に評価することが重要です。


参考:JIS A 4716の等級と実際の漏水量イメージが詳しく解説されています
防水板の止水性能基準とは。漏水量はどのくらい?|鈴木シャッター株式会社


止水板メーカーに求めるべき「設置タイプ」と現場条件の照合ポイント

止水板は性能だけで選ぶと失敗します。


メーカーを決める前に、設置現場の条件と照合すべき項目が複数あります。設置タイプ・間口の形状・運用時の作業者・将来の管理体制という4つの軸で考えることが、メーカー選定の失敗を防ぐ最も確実な手順です。


① 設置タイプ(持ち運び型・据え付け型・建具一体型)の選択


「ウォール型(持ち運び型)」は既製品が多く比較的安価で、連結して広範囲に対応可能ですが、一般的に高さ1m程度までの製品が中心です。緊急時に設置作業が発生するため、人手の確保が課題になります。「脱着式」は設置場所の間口に合わせて専用フレームを施工しておく必要がありますが、取り外しが容易で高さ2m超の浸水にも対応できる製品があります。KTXや三和シャッターが得意とするタイプです。「据え付け型(浮上式・自動起立式)」は水の浮力を感知して自動で展開するため、設置し忘れのリスクがゼロです。ただし大がかりな床下工事が必要で、初期費用が高くなります。


② 間口の形状と寸法確認


L字・コ字型の間口や、傾斜している床面、段差のある出入口など、特殊な形状への対応はメーカーによって差が大きい部分です。幅2,500mmを超える間口では、単一パネルで対応できる製品が限られます。複数パネルの連結精度が低いと連結部からの漏水が増加するため、連結方式の確認が不可欠です。


③ 作業者の体力・人数・訓練状況


止水板の重量は製品によって6kgから20kg超まで幅があります。女性スタッフや高齢の管理員が緊急時に単独で設置する想定がある場合、軽量かつシンプルな操作で設置できる製品を選ぶことが安全管理上も重要です。タキロンシーアイや旭日建設の「浸水ストッパー」(1枚3kg)などは女性一人でも設置可能な軽量設計です。


④ アフターフォロー・定期点検の対応体制


止水板のゴムパッキンは紫外線・温度変化で劣化し、5〜10年程度での交換が推奨されます。地元の施工業者と連携しているか、メーカー直営の点検サービスがあるか、補修部品の供給体制が整っているかを事前に確認しておかないと、いざ使うときに性能が発揮できないという事態になりかねません。これは使えそうです。


  • 🔍 チェック①:ハザードマップで想定浸水深を確認し、製品高さが十分かを照合する
  • 📐 チェック②:間口の形状(L字・コ字・傾斜)をメーカーに事前に伝えてカスタム対応可否を確認する
  • 👤 チェック③:緊急時の設置担当者の体力・人数を想定し、重量と操作方法を選定基準に加える
  • 🔧 チェック④:パッキン交換・定期点検のサービス内容と費用をメーカーに確認する


止水板設置で使える補助金・助成金制度と申請の注意点

止水板の導入費用は、補助金を使わないと丸々損します。


全国の自治体が止水板の設置費用に対して補助金・助成金制度を設けており、設置費用の最大1/2・上限50万円〜150万円の補助を受けられるケースがあります。たとえば仙台市では「設置工事費総額の2分の1・上限50万円」、大田区(東京都)では建築物の新設・既設を問わず設置費用の一部を助成しています。熊本市は工事が必要な止水板を1件あたり50万円(10件分)、工事不要の自立式を1件あたり10万円(50件分)として2026年1月から補助を開始しました。


令和5年の水害被害額は全国で約7,100億円(国土交通省発表)に達しており、令和6年は石川県だけで約4,660億円を含む全国約7,700億円という過去最大級の被害が報告されています。自治体が止水板補助に積極的なのはこうした背景があるからです。


申請時には、いくつかの重要な注意点があります。多くの自治体では「工事着工前の申請」が必須条件となっており、先に工事を行ってしまうと補助対象外となります。補助を前提として発注スケジュールを組む場合は、着工前の申請→承認後の発注という順番を必ず守ることが条件です。また、補助対象となる製品にはJIS A 4716等級や建材試験センターの性能認定を取得していることが要件となる自治体もあります。採用メーカーの製品が補助要件を満たしているかを事前に確認しておくことが不可欠です。


  • 📋 申請のステップ:ハザードマップで浸水リスク確認 → 自治体の補助制度確認 → 着工前に申請書提出 → 承認後にメーカー発注・工事 → 完了報告書の提出・補助金受領
  • ⚠️ 注意:年度途中で予算が尽きる自治体も多く、早めの申請が有効です(熊本市の例では年度途中申請可能と明記)
  • 💡 確認先:まず施設所在地の市区町村の「都市整備課」「下水道管理課」「防災課」などに問い合わせると補助制度の有無を確認できます


参考:全国の止水板補助金制度の対象自治体・補助額・申請手続きの詳細はこちら
止水板の補助金制度まとめ|対象自治体・申請方法・注意点|フジ鋼業株式会社


止水板メーカー選定で建築業従事者が見落としがちな「独自視点」の盲点

最も性能が高い止水板を選んでも、設置場所を間違えると水害時に全く機能しません。


建築業の立場でメーカー選定をサポートする際に見落とされやすいのが、「設置箇所の網羅性」という観点です。建物に1か所でも止水板のない開口部があれば、そこから水が侵入し全体の止水計画が崩壊します。止水板単体の性能を追求することに意識が向きがちですが、複数の開口部すべてをカバーできるメーカー・製品の組み合わせを設計に組み込む視点が実は重要です。


たとえば正面玄関には高性能な脱着式を導入しても、地下駐車場のスロープ入口・非常口・換気口ルーバーがノーケアでは意味がありません。「建物全体の止水計画」として国土交通省が公開しているガイドラインでは、地下施設の出入口だけでなく「坑口部」や「電気室開口部」なども止水対策の対象として明示されています。


また、「同一メーカーで全箇所をそろえる必要はない」という点も重要な判断基準です。場所ごとに求められる性能・操作者の習熟度・設置時間が異なるため、主要入口には高止水性能の脱着式、補助出口には軽量ウォール型を組み合わせるといったハイブリッド選定が現実的で合理的な場合があります。この場合は、施工後のメンテナンスを一括で依頼できる地域業者や施工管理を担えるメーカーがあるかを先に確認しておくと、維持管理コストを抑えることができます。


さらに見落とされがちなのが「停電時の動作確保」です。電動式・自動起伏式は通常時の利便性が高い一方、停電を伴う大規模水害では自動起動しないリスクがあります。無動力で設置できる脱着式やフロート式(水の浮力のみで起立)を主力にすることが、BCP(事業継続計画)の観点から推奨されています。宇根鉄工所や鈴木シャッターの起伏型製品はこの点を強みとして打ち出しています。


結論は「全体最適で選ぶ」です。


個々の製品スペックの比較だけでなく、建物全体の開口部マップを作成した上でメーカーに相談することで、過不足なく合理的な止水計画を提案できるようになります。建築業従事者として施主へのアドバイス品質を高めるためにも、ぜひ意識しておきたい視点です。


参考:国土交通省による建築物の電気設備浸水対策ガイドライン(設置箇所の考え方が詳細に記載)
建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン|国土交通省(PDF)




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