

STPG継手の規格は、圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3454)に接続する管継手として、複数のJIS規格によって厳密に規定されています。主要な規格として、JIS B 2311は一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手、JIS B 2312は配管用鋼製突合せ溶接式管継手、JIS B 2313は配管用鋼板製突合せ溶接式管継手が存在します。
参考)https://kikakurui.com/b2/B2311-2015-01.html
これらの規格では、材料による種類の記号として「PG370W」や「PG410W」などが定められており、それぞれSTPG370やSTPG410の鋼管に対応しています。継手の形状は45°エルボ、90°エルボ、180°エルボ、レジューサ、ティー、キャップなどに分類され、ロング形とショート形の区別も明確化されています。
参考)https://kikakurui.com/b2/B2313-2015-01.html
規格では外径、内径、厚さ、寸法許容差、機械的性質、耐圧性能、溶接部の非破壊試験特性などが詳細に規定されており、使用圧力が比較的低い蒸気、水、油、ガス、空気などの配管から、高圧・高温配管まで幅広い用途に対応しています。スケジュール番号(Sch40、Sch80など)による厚さの分類も標準化されており、設計条件に応じた適切な選定が可能です。
参考)https://jis.jts-tokyo.com/category/tubes/alias/stpg-pipe/
STPG継手の接続方法は大きく分けて、溶接式、ねじ込み式、フランジ式の3種類があります。溶接式は更に突合せ溶接式(BW)と差込み溶接式(SW)に分類され、突合せ溶接式は継手本体の開先部と鋼管の先端を突合せて溶接する方法で、高い強度が求められる配管に使用されます。差込み溶接式は継手本体に鋼管を差し込んで溶接する方法で、JIS B 2316に規定されています。
参考)https://www.umezawa-ss.co.jp/wp/wp-content/uploads/bwsw.pdf
ねじ込み式継手は鋼管の端をねじ切り加工して継手にねじ込む方法で、比較的簡単な施工が可能で取り外しもしやすいという利点があります。ただし、ねじ切りした部分が錆びやすいため、サビ止めの塗布などの対策が必要です。圧力配管用として20Kねじ込み継手(STPG Sch40対応)が使用されることが多く、マンションやビルの連結送水管などに適用されます。
参考)https://www.ckmetals.co.jp/product/20k%E3%81%AD%E3%81%98%E8%BE%BC%E3%81%BF%E7%B6%99%E6%89%8B/
フランジ式は部材同士をフランジで接続する方法で、接続・分解がしやすく接合部分の強度も高いため、定期的にメンテナンスが必要な箇所に適しています。それぞれの接続方法は使用圧力、温度、流体の特性、脱着の頻度、コストなどの要因を考慮して選定する必要があります。
参考)https://newji.ai/procurement-purchasing-management/types-of-joints-and-selection-criteria-technology-for-pipe-connections-and-component-assembly-joints/
STPG継手の材料記号は、接続される鋼管の種類によって体系的に分類されています。圧力配管用としては「PG370W」と「PG410W」があり、PG370WはJIS G 3454のSTPG370に、PG410WはSTPG410にそれぞれ対応しています。高温配管用としては「PT370W」「PT410W」「PT480W」があり、JIS G 3456の高温配管用炭素鋼鋼管(STPT)に接続されます。
参考)https://www.benkankikoh.com/wp-content/uploads/2016/07/weldfit-catalogue.pdf
STPG370とSTPG410の主な違いは引張強さにあり、STPG370は370N/mm²以上、STPG410は410N/mm²以上の引張強さを持ちます。STPG370は水、油、ガスなどの輸送用配管で一般的に使用され、比較的柔軟性があり加工性(溶接性)が良好です。一方、STPG410は高圧蒸気、石油、化学工業などの高圧配管に適しており、より高い強度を持っていますが、溶接性はSTPG370に比べるとやや難しくなります。
参考)https://mechanical-engineer48.com/post-8637/
継手の材料は、鋼管、鋼板、鋼帯から製造され、化学成分と機械的性質が規定値に適合する必要があります。溶接鋼管から製造する場合は水圧試験特性または非破壊試験特性への適合も求められます。熱処理については、熱間成形品は製造のままでも可能ですが、冷間成形品は焼ならしまたは焼なましが施されます。
STPG継手の施工では、まず使用する管種と継手の組み合わせが適合しているか確認することが重要です。管の切断は、のこ盤で管軸心に対して直角に行い、切り口は平滑に仕上げる必要があります。パイプカッターやガス切断、アーク切断は管のライニング層を損傷する可能性があるため使用を避けるべきです。
参考)https://www.kuwana-metals.com/Portals/0/resource/pdf/instructions/KW1-23004.pdf
溶接施工については、電気アーク溶接を原則とし、JIS G3524の軟鋼用被覆アーク溶接棒などを使用します。溶接士は、JIS Z 3801、JIS Z 3821、JIS Z 3841による技術検定またはこれらと同等以上の技術検定に合格し、資格を有する者でなければなりません。溶接部の非破壊試験は、放射線透過試験や超音波探傷試験によって実施され、規定の品質基準を満たす必要があります。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000115/115408/(7)m052.pdf
検査は形式検査と受渡検査に区分され、形式検査では分析検査、機械的性質、耐圧性能検査、形状及び寸法検査、外観検査、溶接部の非破壊検査が行われます。受渡検査では形状及び寸法検査と外観検査が実施されます。継手の寸法許容差、オフアングル、オフプレンなどの許容値も厳密に規定されており、直接測定または限界ゲージによって確認されます。
特に圧力配管では、水圧試験によって規定圧力で5秒間以上保持し、漏れが生じないことを確認する必要があります。施工環境や流体の特性によっては、継手の性能が正常に発揮できない可能性もあるため、使用前の十分な確認と定期的な保守点検が推奨されます。
参考リンク:JIS規格の詳細情報について
JIS B 2311:2015 一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手
一般配管用のSTPG継手について、形状、材料、製造方法、性能、寸法などの詳細な規格内容が記載されています。
参考リンク:圧力配管用継手の技術情報
圧力配管用炭素鋼鋼管サイズ(STPG370/STPG410)
STPG370とSTPG410の違い、使い分け、サイズ一覧などの実務的な情報が解説されています。