

床用ウレタンプライマー材の多くは、一液型の湿気硬化ウレタン樹脂を主成分とした溶剤系下塗材として設計されており、コンクリートやモルタル下地に深く浸透して素地を補強する役割を持っています。
コンクリートは表面のレイタンスや巣穴、微細な気泡が多く、そのまま上塗りすると塗料が下地に吸い込まれて光沢ムラやピンホール、フクレの原因になるため、床用ウレタンプライマー材で吸い込みをコントロールすることが仕上がり品質の前提条件になります。
床用ウレタンプライマー材は、樹脂が低粘度で浸透性に優れるため、コンクリート内部の毛細管に入り込み、上塗りとの間に「アンカー」のような役割を果たすことで付着力を高めます。atomix+1
特に湿気硬化型タイプは、周囲の空気中や素地に含まれる水分と反応して硬化するため、適正な含水率の範囲であれば、一般的なエポキシプライマーよりも乾燥が早く、工期短縮にも寄与する設計になっているのが特徴です。yukatoryo+1
床用ウレタンプライマー材を塗布することで、下地が含む空気が追い出され、上塗り時のピンホールやブリスターの発生を抑制できるため、特に厚膜型ウレタン床材や防水材の下地では「一見きれいに見えるコンクリートほどプライマーが効く」という逆説的なシーンも少なくありません。abc-t+1
また、ホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆を取得した床用ウレタンプライマー材もあり、食品工場や倉庫など長時間滞在する作業者がいる空間では、安全性の観点からも製品選定時にチェックしておきたいポイントです。atomix+1
床用ウレタンプライマー材は、一般的なモルタル・コンクリート素地だけでなく、既存のウレタン塗膜防水材やウレタン弾性床材の塗り替えにも適用できる製品が多く、下地によって推奨銘柄や工法が細かく分かれています。
例えば、ユカクリート密着プライマーのように「一般的なモルタル・コンクリート素地や既存ウレタン樹脂塗膜に適用できる」と明記された床用ウレタンプライマー材では、改修工事で既存塗膜を全面撤去せずに塗り重ねる選択肢が取りやすくなります。
一方で、アトミクスのプライマーUのように「一般コンクリート用」と用途を絞った床用ウレタンプライマー材もあり、この場合は金属や木質下地、脆弱な旧塗膜への使用が前提になっていないことから、設計段階での適用範囲の確認が欠かせません。takiron-ci+1
セメント配合タイプの床材(例:フロアガードUモルタル工法など)では、ノンプライマー施工が原則となるケースもあり、床用ウレタンプライマー材を「どこでも塗れば安心」と誤解して追加すると、逆に層間剥離のリスクになる場合もあるため注意が必要です。atomix+1
また、下地が荒れていてプライマーだけでは不安な場合、フローンパウダーのような下地調整材を床用ウレタンプライマー材に混合し、巣穴の充填と密着性向上を同時に狙う工法も提案されています。
参考)下地が荒れているときの下地処理やプライマーだけでは不安な時は…
このような「プライマー+粉体」の組み合わせは、吸い込みの激しいケイカル板やスカスカなコンクリートに対して、下塗りの回数を増やさずに十分なプライマー層を形成できる点で、工期・材料コストの両面でメリットがあるのが意外と知られていないポイントです。monotaro+1
床用ウレタンプライマー材は、基本的にはコンクリートやモルタル用として設計されていますが、メーカーの仕様書を見るとステンレスや鉄板、磁器タイルなどの特殊下地についても条件付きで適用可能と記載されているケースがあります。
ただし、これらの下地では素地の動きや平滑性、防錆性などの要素が関係するため、単に床用ウレタンプライマー材を塗るだけでなく、サンディングやケレンによるアンカー付与、錆止め塗装の併用など、前処理を含めた体系的な仕様設計が不可欠です。
磁器タイルの場合、目地部を樹脂モルタルで充填してから上塗りを行うことが推奨されており、床用ウレタンプライマー材はあくまで「タイル表面と上塗りの橋渡し役」であることを意識する必要があります。takiron-ci+1
また、埋め込み式ノンスリップ金物や段差が残る部位では、タキロンシーアイや東リの施工マニュアルが推奨するように、金物の撤去とカチオン系樹脂モルタルによる段差補修を行った上で床用ウレタンプライマー材を使用することで、局部的な剥離やクラックのリスクを抑えられます。toli+1
金属下地に床用ウレタンプライマー材を使う場合は、防錆処理の有無や既存塗膜の種類によって仕様が大きく変わります。錆びた鋼板に直接床用ウレタンプライマー材を塗布すると、錆層ごと剥がれる可能性があるため、SSPC等級に準拠したケレンと防錆塗料を先行させ、その上で床材用のプライマーを選定する流れが推奨されます。abc-t+1
さらに、床暖房配管が埋設されたスクリードや、薬品・熱水にさらされる工場床では、厚膜型硬質ウレタン樹脂系塗り床材と床用ウレタンプライマー材をセットで検討し、耐薬品性やひび割れ追従性といった性能をカタログで確認しておくと、長期的な維持管理コストの見通しが立てやすくなります。atomix+1
床用ウレタンプライマー材の標準的な施工手順は、下地処理→清掃→含水率確認→プライマー塗布→乾燥→上塗りという流れですが、実務上の失敗要因は「下地処理」と「吸い込みの見落とし」に集中しています。
コンクリート打設後1か月以上経過していること、汚れ・レイタンス・エフロレッセンスをサンダー等でしっかり除去すること、濡れた下地を十分乾燥させることは、タイル・シート床材の施工マニュアルでも共通して強調されており、床用ウレタンプライマー材も同じ土台の上に成り立つ仕様です。
吸い込みの激しい下地では、床用ウレタンプライマー材1回塗りでは完全に吸い込みが止まらず、塗りムラや光沢差の原因になります。この場合、メーカーは「再塗装で吸い込みがなくなるまで塗布する」か、「フローンパウダーのような粉体を併用して巣穴を埋める」工法を推奨しており、下塗りの回数を現場判断でケチると後工程に負担が跳ね返ってきます。monotaro+1
また、床用ウレタンプライマー材の上塗り塗装間隔は、23℃で2~6時間程度と規定されている例が多く、乾燥不足のうちに上塗りを行うと溶剤が閉じ込められ、後日フクレや白化として現れることがあるため、気温と湿度を踏まえたインターバル管理が重要になります。yukatoryo+1
意外なポイントとして、床用ウレタンプライマー材の塗布量を「多めに塗れば安心」と過大にすると、表面に樹脂のリッチ層ができてしまい、逆に上塗りの食いつきが悪くなるケースがあります。メーカー仕様書には標準塗布量と希釈条件が細かく記載されているため、床面積から必要量をあらかじめ算出しておき、足りない場合は「薄塗り2回」で調整する方が現実的な対処になります。monotaro+1
さらに、既存のウレタン防水や弾性床材を塗り替える場合、床用ウレタンプライマー材には上塗りとの付着性だけでなく「旧塗膜の可塑剤や残留溶剤に対する耐性」も求められるため、メーカーが指定するプライマーを使わずに汎用品で代用すると、短期間でベタつきや軟化が発生するリスクがあることは押さえておきたい注意点です。monotaro+1
床用ウレタンプライマー材は、本来は「下塗り材」として位置付けられていますが、現場では仕様書に書かれていない使い方として、ひび割れや目地まわりの「局部補強層」として活用されるケースがあります。微細なヘアクラック部に重点的に床用ウレタンプライマー材を塗布し、浸透硬化させることで、後工程の下地補修材やウレタン床材のクラック追従性を安定させるという考え方です。
特に、ひび割れ追従性に優れた厚膜型硬質ウレタン樹脂系塗り床材と組み合わせる場合、床用ウレタンプライマー材で「新旧コンクリートの接合部」や「ひび割れの集中しやすい柱まわり」をあらかじめ補強しておくと、局部的な剥離や割れを抑えられるという声も聞かれます。
もう一つの独自活用として、「試し塗りによる下地診断ツール」として床用ウレタンプライマー材を使う方法があります。小面積に試し塗りを行い、どの程度の吸い込みがあるか、ピンホールの出方、プライマーの乾燥時間を観察することで、その現場のコンクリートの緻密さや含水状態を把握し、上塗りのグレードや膜厚、必要な下地処理レベルを逆算するというアプローチです。hnt-net+1
この「プライマーで下地のコンディションを読む」方法を取り入れると、設計図書には現れない現場ごとの癖を事前に把握できるため、床用ウレタンプライマー材を単なる材料ではなく、「床仕様を決めるためのセンサー」として位置付けられます。結果として、床材のグレードダウンや工程削減のVE提案をする際にも、プライマーの挙動を根拠とした説得力のある説明が可能になり、発注者や設備ユーザーとの合意形成がスムーズになるはずです。hnt-net+1
床用ウレタンプライマー材の基本仕様と施工の勘所(コンクリート下地・既存塗膜・吸い込み止め・標準塗装間隔の確認に有用)
下地が荒れているときの下地処理やプライマーだけでは不安な時は…
床用ウレタンプライマー材とウレタン床材の代表的な製品仕様(湿気硬化型一液ウレタンプライマー、適用下地、上塗り適性、F☆☆☆☆等級の確認に有用)
https://www.atomix.co.jp/product_items/primer_u/
床用ウレタンプライマー材とユカクリート系下塗材の位置付け(既存ウレタン塗膜・モルタル素地への密着プライマーの考え方と改修工事での使い方の参考)
https://yukatoryo.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/4fae52b2101dd48eeff263dc950533b5.pdf