

建築現場で扱う油汚れの多くは、グリースやフォームタイ油、脱型剤、機械油などの油脂分を多く含む酸性寄りの汚れであり、アルカリ洗浄剤はこれらを化学的に変化させて落としやすくするのが特徴です。 アルカリ成分は脂肪酸と反応して水に溶ける石けん成分を生じさせる「ケン化反応」を起こし、界面活性剤と組み合わさることで乳化・分散が進み、コンクリート床や鉄骨部材から油分を浮かせて除去しやすくします。
アルカリ洗浄剤は、動物性・植物性油脂だけでなく、工業用グリスやエンジンオイルなど工場・建設現場で使われる頑固な油汚れにも高い洗浄性能を発揮するため、機械設備や金属部品の洗浄に広く採用されています。 一方で、強力なアルカリは素材を痛めるリスクもあるため、pHや希釈倍率を把握し、現場の汚れの種類と素材に合わせて最小限の濃度で使うことが安全かつ経済的な運用につながります。
油汚れ除去アルカリ洗浄剤には、苛性ソーダなどを主成分とした強アルカリタイプから、炭酸塩やケイ酸塩、有機アルカリを用いた弱アルカリタイプ、さらに水を電気分解して作る強アルカリ電解水まで、幅広いバリエーションがあります。 強アルカリ電解水はpH8〜12.5程度まで調整可能で、タイヤ痕やしつこい油汚れに対しても高い洗浄力を発揮しながら、界面活性剤をほとんど含まないため、すすぎの手間や残留リスクを抑えられる点がコンクリート床洗浄で評価されています。
一方、弱アルカリの油汚れ除去アルカリ洗浄剤は、金属表面や塗装面、樹脂床など、仕上げ材への攻撃性を抑えながら油脂汚れを落としたい場面で重宝され、生分解性の高い界面活性剤を組み合わせた環境配慮型製品も増えています。 建築現場では「日常清掃には弱アルカリ+界面活性剤」「頑固な硬化油やタイヤ痕・エンジン周りには強アルカリまたは高pH電解水」といったように汚れのレベルと作業頻度に応じて使い分けることで、洗浄効率と素材保護、環境負荷のバランスを取りやすくなります。
油汚れ除去アルカリ洗浄剤をコンクリート床に使う際は、まず大きな砂・切粉・コンクリート粉塵をほうきや掃除機で除去し、必要に応じてテストエリアを決めて希釈倍率とブラッシング方法を確認することが重要です。 物流倉庫や工場床のような広面積では、自動床洗浄機やポリッシャーに合わせた専用ブラシや特注アタッチメントが用いられ、アルカリ電解水や水性アルカリクリーナーを10〜15倍前後に希釈して散布し、ブラッシング→汚水回収→清水すすぎの流れで短時間に施工されます。
鉄骨・ステンレス・金物などの金属部材には、苛性ソーダを含まない防錆剤入りアルカリ洗浄剤が選ばれることが多く、部品洗浄槽での浸漬洗浄や、スプレー洗浄、ウエス洗浄といった方法でグリスや切削油を除去します。 メッキ前や塗装前処理として油汚れ除去アルカリ洗浄剤を使う場合は、洗浄後の水洗いと乾燥を十分に行い、アルカリ残渣が密着不良や塗膜膨れの原因とならないよう管理することが、仕上げ品質を安定させるポイントです。
油汚れ除去アルカリ洗浄剤の中でも、強アルカリ性の剥離剤や業務用油汚れ用洗剤は、皮膚や眼に対して強い腐食性を持ち、原液や高濃度状態での飛散・浸み込みが災害につながるケースが報告されています。 ビルメンテナンス業の事例では、強アルカリ剥離剤を床面に使用中に足へ付着し化学熱傷を負ったケースや、洗剤を混合した際に有害ガスが発生し吸入事故につながったケースなどが挙げられ、ゴーグル、耐薬品手袋、安全靴、長袖作業着の着用が基本となっています。
安全データシート(SDS)では、GHS分類の項目に皮膚腐食性・眼損傷性・吸入危険性などが記載されており、作業者は「推奨用途」「使用上の制限」「応急措置」の欄を事前に確認しておくことが重要です。 特に建築現場では、高所作業や狭い機械室など換気の悪い環境で油汚れ除去アルカリ洗浄剤を噴霧する場面もあるため、局所排気や送風機の併用、希釈液をスポンジやモップに含ませて塗布する方法への切り替えなど、ミスト化を抑える工夫が求められます。
建築現場でのアルカリ系洗浄剤の危険性と安全対策の詳細がまとめられています。
厚生労働省:ビルメンテナンス業で使用している洗剤に含まれる化学物質
油汚れ除去アルカリ洗浄剤は強力な洗浄剤というイメージが先行しがちですが、pHがやや高い弱アルカリ電解水や環境配慮型水性アルカリクリーナーを上手く組み合わせることで、ワックスやコーティングを完全に剥離せずに油膜だけを選択的に落とす「リフレッシュ洗浄」として活用することも可能です。 例えば、物流倉庫のコンクリート床や工場ライン周りでは、定期清掃で弱アルカリとポリッシャーを併用し、年に一度だけ強アルカリによるリセット洗浄を行うことで、油汚れの蓄積を抑えながら床材の寿命を延ばす運用が行われています。
また、金属部品洗浄では防錆剤配合のアルカリ洗浄剤を採用することで、洗浄と同時に一時的な防錆皮膜を形成し、次工程までのサビ発生を抑制する使い方が広がっており、溶剤洗浄からの置き換えによりVOC排出量を減らす取り組みも進んでいます。 アルカリ洗浄剤の種類や希釈倍率、温度条件をきめ細かく調整することで、仕上げ品質・作業安全性・環境負荷の三つのバランスを現場単位で最適化できる点は、まだ十分に共有されていない意外なメリットと言えるでしょう。

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