ビシンコニン酸SDS影響とタンパク質定量法の基本知識

ビシンコニン酸SDS影響とタンパク質定量法の基本知識

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ビシンコニン酸とSDSの関係

ビシンコニン酸法

📊 ビシンコニン酸法の特徴
🔬
高感度測定

タンパク質濃度1~2,000 μg/mLの広範囲測定が可能で、界面活性剤の影響を受けにくい

⚗️
銅イオン還元反応

タンパク質によりCu²⁺がCu⁺に還元され、ビシンコニン酸と錯体を形成して発色

操作の簡便性

室温で反応でき、562 nmの吸光度測定により迅速にタンパク質を定量

ビシンコニン酸法(BCA法)は、タンパク質定量の代表的手法として幅広い分野で活用されています。この方法は、ビシンコニン酸(Bicinchoninic Acid)という化学物質を用いてタンパク質を間接的に定量する比色法です。BCA法の最大の特徴は、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)やTriton-Xなどの界面活性剤が共存していても測定が可能という点にあります。
参考)https://www.dojindo.co.jp/products/B037/

測定原理は二段階の化学反応に基づいています。まず、アルカリ性条件下でタンパク質がCu²⁺(2価の銅イオン)と錯体を形成し、タンパク質中のシステインチロシントリプトファンなどのアミノ酸残基によってCu²⁺がCu⁺(1価の銅イオン)に還元されます。次に、このCu⁺にビシンコニン酸を添加すると、ビシンコニン酸2分子がCu⁺と配位結合し、562 nmに強い吸収を示す青紫色の錯体を形成します。この吸光度を測定することで、タンパク質の濃度を求めることができます。
参考)https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/lifescience/protein/protein_determination/index.html

定量範囲は1~2,000 μg/mLと非常に広く、測定精度も高いことから実用性に優れています。また、操作が簡便で感度が高く、Lowry法やBradford法と比較して界面活性剤や緩衝剤の影響を受けにくいという利点があります。これらの特性により、BCA法は医療・製薬・食品・研究開発など多様な分野で標準的な定量法として採用されています。
参考)https://www.cytivalifesciences.co.jp/technologies/protein_preparation/quant.html

ビシンコニン酸法におけるSDSの影響と許容範囲

ビシンコニン酸法におけるSDSの影響

 

SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)は、タンパク質の可溶化によく用いられる陰イオン性界面活性剤です。タンパク質抽出や精製の過程では、膜タンパク質疎水性タンパク質を可溶化するためにSDSが頻繁に使用されます。BCA法は、こうした界面活性剤を含むサンプルでも測定できることが大きな特徴ですが、界面活性剤の濃度には注意が必要です。
参考)https://apro-s.com/files/manual-250.pdf

 

 


富士フイルム和光純薬のタンパク質定量ガイドによると、BCA法はSDS、Triton-Xなどの界面活性剤が存在していても定量分析が可能ですが、界面活性剤の種類や濃度によって許容範囲が異なります。
参考)https://www.atto.co.jp/application/files/3317/1746/5546/Protein_Assay_Kit_240604ss.pdf

各界面活性剤には最大許容量が設定されており、それを超えると測定精度が低下する可能性があります。一般的にBCA法では、界面活性剤の影響が比較的少ないとされていますが、高濃度のSDSが含まれる場合は希釈するなどの対応が必要です。実際の測定では、サンプルとスタンダード(標準液)を同じ溶液条件で調製することで、界面活性剤の影響を補正することができます。
参考)https://www.med.gifu-u.ac.jp/cell_signal/page_610.html

建築業や医療機器の洗浄消毒工程でも、残留タンパク質の測定にBCA法が採用されることがあり、洗剤成分の影響を考慮した測定が重要です。SDSを含む試料を測定する際は、各製品の使用説明書に記載された界面活性剤の許容濃度を確認し、必要に応じて希釈や前処理を行うことが推奨されます。
参考)https://www.jicsa.net/data/jyoho/17-ZENTRAL%20STERILIZATION.pdf

ビシンコニン酸法の測定手順と実験操作の留意点

BCA法の測定操作は比較的簡便ですが、正確な定量結果を得るためにはいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。基本的な測定手順は、試薬の調製、サンプル調製、反応、吸光度測定の4段階に分かれます。
参考)https://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/t9300a_j.pdf

まず試薬の準備として、BCA Reagent A(ビシンコニン酸溶液)とBCA Reagent B(硫酸銅溶液)を50:1の割合で混合してワーキング溶液を作製します。この混合試薬は使用直前に調製することが推奨されます。次にタンパク質サンプルを適切に希釈し、標準タンパク質溶液(通常はBSA:ウシ血清アルブミン)の段階希釈系列を準備します。
参考)https://www.nacalai.co.jp/products/235/

反応条件には標準法と高感度法の2種類があります。標準法では37℃で30分間インキュベートし、高感度法(低濃度測定)では60℃で30分間インキュベートします。反応後、室温まで冷却してから分光光度計またはマイクロプレートリーダーで562 nmの吸光度を測定します。​
同仁化学研究所のビシンコニン酸ナトリウム製品情報では、測定時の具体的な留意点が解説されています。​
測定における重要な注意点として、以下が挙げられます。
📌 試薬の保存条件:BCA Reagent AとBは室温保存、BSA標準液は4℃保存です​
📌 反応時間の厳守:インキュベーション時間と温度を正確に守ることで、再現性が向上します
参考)https://www.iqb.u-tokyo.ac.jp/chem/IMCB-8ken-HP/Lab_Manuals/entori/2012/9/6_tanpaku_ding_liang_fa_files/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%82%AF%E5%AE%9A%E9%87%8F(BCA%E6%B3%95).pdf

📌 サンプルの均一化:タンパク質サンプルとビシンコニン酸試薬はよく混和する必要があります
参考)https://www.smu-tisdevreg.jp/wp-content/uploads/2018/08/protocol06.pdf

📌 測定タイミング:室温でも発色は緩やかに進行するため、測定時間に注意が必要です
参考)https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/protein-basic4/

また、実験者が着用する手袋にも注意が必要です。パウダー付きの手袋を使用すると、埃や手袋のパウダーがアミノ酸の含量を増加させる可能性があるため、パウダーフリーのラテックス手袋を使用することが推奨されます。試料バイアルの開閉時には特に注意し、埃の混入を防ぐことが重要です。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000203128.pdf

ビシンコニン酸法の測定精度に影響する物質と対処法

BCA法は界面活性剤の影響を受けにくいという利点がありますが、測定を阻害する物質も存在します。正確な定量結果を得るためには、これらの干渉物質を理解し、適切に対処することが重要です。
参考)https://www.chem-station.com/blog/2022/10/pq4a.html

BCA法の測定を阻害する主な物質には、還元剤、キレート剤、高濃度の糖類などがあります。特にジチオスレイトール(DTT)やβ-メルカプトエタノール(β-Me)などのチオール系還元剤は、銅イオンを還元してしまうため、BCA法では測定できません。これらの還元剤が含まれるサンプルの場合、還元剤適応型のBCA試薬を使用するか、透析や脱塩カラムで還元剤を除去する必要があります。
参考)https://apro-s.com/products/bca-protein-assay-kit/

サーモフィッシャーのタンパク質定量法解説では、BCA法のデメリットとして還元剤や銅イオンのキレート剤による反応阻害が挙げられています。​
干渉を受ける主な物質は以下の通りです。
⚠️ 還元剤:DTT、β-メルカプトエタノール、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)など​
⚠️ キレート剤:EDTA、EGTA など、銅イオンと結合する物質​
⚠️ 硫酸塩:硫酸アンモニウムなど​
⚠️ 脂質:リン脂質など​
⚠️ 糖類:グルコース、サッカロースなど高濃度の糖類​
これらの干渉物質が含まれる場合の対処法として、サンプルの希釈、透析による妨害物質の除去、脱塩カラムの使用、別の定量法への変更などが考えられます。また、還元剤の影響を低減して定量できるBCAアッセイキットも市販されており、状況に応じて選択することができます。
参考)https://www.cytivalifesciences.co.jp/technologies/protein_preparation/chapter2_9.html

実際の測定では、干渉物質の濃度を事前に確認し、許容範囲内に収まるようサンプル調製を行うことが重要です。各BCA試薬キットの使用説明書には、干渉物質の許容濃度が記載されているため、必ず確認してください。​

ビシンコニン酸法と他のタンパク質定量法の比較選択

タンパク質定量法には、BCA法以外にもBradford法、Lowry法、紫外吸収法(UV法)など複数の方法があり、それぞれに特徴があります。目的やサンプルの性質に応じて最適な方法を選択することが、正確な定量結果を得るための鍵となります。
参考)https://www.biodynamics.co.jp/basic_information/vol13/

Bradford法(CBB法)は、クマシーブリリアントブルー(CBB)色素がタンパク質と結合する原理を利用した方法です。操作が簡便で迅速に測定できますが、界面活性剤の影響を受けやすいという欠点があります。一般的なBradford法試薬はSDSなどの界面活性剤存在下では使用できませんが、界面活性剤適応型のBradford試薬も開発されています。
参考)https://apro-s.com/products/detergent-compatible-bradford/

Lowry法は、BCA法の前身となる方法で、銅イオンの還元とフェノール試薬(Folin試薬)を組み合わせた高感度測定法です。BCA法はこのLowry法を改良したもので、フェノール試薬の代わりにビシンコニン酸を使用することで、操作の簡便性と界面活性剤への耐性を向上させました。​
サイティバライフサイエンスのタンパク質定量ガイドでは、各定量法の特徴が詳しく解説されています。​
各定量法の特性比較。

定量法 測定範囲 特徴 界面活性剤の影響
BCA法 1~2,000 μg/mL 高感度、広範囲、操作簡便 影響を受けにくい​
Bradford法 1~1,400 μg/mL 迅速、試薬安定 影響を受けやすい​
Lowry法 5~100 μg/mL 高感度 影響を受けやすい​
UV法 100~3,000 μg/mL 非破壊、迅速 影響なし​

定量精度については、BCAベースの方法が最も精度が高いとされています。BCA法では測定波長562 nmでタンパク質間の偏差が小さく、検量線の直線性も高い(r² > 0.95)ため、様々なタンパク質の定量に適しています。
参考)https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/protein-basic3/

選択のポイントとしては、界面活性剤や還元剤を含むサンプルにはBCA法、迅速測定にはBradford法、非破壊測定にはUV法というように、実験条件に合わせて使い分けることが推奨されます。また、建築業における洗浄検証や医療機器の清浄度確認では、界面活性剤の影響が少ないBCA法が頻繁に採用されています。
参考)https://meilleur.co.jp/salway/journal/validation-and-routine-monitoring-of-wd-2/

ビシンコニン酸を用いた建築業における実用的応用例

ビシンコニン酸法は研究室だけでなく、建築業や産業分野でも実用的に活用されています。特に建築物のメンテナンス、清浄度管理、品質保証の分野で、タンパク質汚れの評価や洗浄効果の検証に使用されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/69/4/69_238/_pdf

建築業における具体的な応用として、洗浄消毒装置の性能検証があります。医療施設や食品工場などの建築物では、ウォッシャー・ディスインフェクター(洗浄消毒機)の洗浄性能を定期的に確認する必要があり、その際に残留タンパク質量の測定が行われます。EN ISO 15883という国際規格では、洗浄性能の適格性確認にビューレット法またはBCA法による蛋白質測定が推奨されています。​
BCA法は界面活性剤(洗剤成分)の影響を受けにくいため、洗浄後の表面に残る洗剤と共存する形でタンパク質を測定できます。これは洗浄検証において大きな利点となります。測定方法は大きく分けてOPA変法、BCA法、CBB法の3種類がありますが、界面活性剤の影響を受けにくいBCA法がよく用いられています。​
日本家政学会誌に掲載された研究では、ビシンコニン酸を用いたタンパク質汚れの簡易評価法が報告されています。​
建築業や施設管理での応用例。
🏗️ 建築施設の清浄度評価:病院、食品工場、研究施設などの清浄区域における表面清浄度の確認​
🧼 洗浄プロセスの検証:洗浄消毒装置のバリデーション時における洗浄性能の定量評価​
🔬 施工品質管理:建築材料や設備の表面処理後の残留物検査
参考)https://www.e3s-conferences.org/articles/e3sconf/pdf/2018/28/e3sconf_icaeer2018_03074.pdf

📋 定期モニタリング:稼動中の施設における洗浄工程のルーチンモニタリング​
洗浄消毒工程のバリデーションでは、タンパク質汚染の指標として特定の限度値(通常は試験器具当たり200μg以下など)が設定され、BCA法による測定値がこの基準を満たすことが求められます。もし限度値を超えた場合は、ウォッシャー・ディスインフェクターの作動を中止し、工程パラメーターを再評価して洗浄性能を最適化する必要があります。​
また、ろ紙BCA法という応用技術では、表面に付着したタンパク質をろ紙に転写してから測定することで、非破壊的な簡易評価が可能になります。この方法はアルブミン濃度に依存して表面反射率が変化する性質を利用しており、建築施設における清浄度の迅速評価に活用できます。
参考)https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/49539/files/24349356_73_38.pdf

建築業従事者にとって、ビシンコニン酸法を理解することは、施設の衛生管理や品質保証の観点から重要です。適切な測定手順と評価基準を把握することで、建築物の維持管理における科学的根拠に基づいた判断が可能になります。​

 

 


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ビシンコニン酸法におけるSDSの影響と許容範囲

 

SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)は、タンパク質の可溶化によく用いられる陰イオン性界面活性剤です。タンパク質抽出や精製の過程では、膜タンパク質や疎水性タンパク質を可溶化するためにSDSが頻繁に使用されます。BCA法は、こうした界面活性剤を含むサンプルでも測定できることが大きな特徴ですが、界面活性剤の濃度には注意が必要です。

富士フイルム和光純薬のタンパク質定量ガイドによると、BCA法はSDS、Triton-Xなどの界面活性剤が存在していても定量分析が可能ですが、界面活性剤の種類や濃度によって許容範囲が異なります。

各界面活性剤には最大許容量が設定されており、それを超えると測定精度が低下する可能性があります。一般的にBCA法では、界面活性剤の影響が比較的少ないとされていますが、高濃度のSDSが含まれる場合は希釈するなどの対応が必要です。実際の測定では、サンプルとスタンダード(標準液)を同じ溶液条件で調製することで、界面活性剤の影響を補正することができます。