

断熱材接着剤と一口に言っても、ゴム系溶剤形、ウレタン系、アクリル系、水性系、両面テープ型など、成分と形態によって特性が大きく変わります。
例えば、発泡スチロールなどの発泡ポリスチレン系断熱材では、トルエンやキシレンを含む溶剤が直接触れると溶けてしまうため、「発泡体を侵さない」ことが明記されたゴム系断熱材用接着剤や、発泡体接着用両面テープを選定する必要があります。
ゴム系溶剤形は初期接着力と速乾性に優れ、ダクト周りの断熱材ピンの接着や金属板と断熱材の貼り合わせなどに多用されます。
参考)https://www.monotaro.com/s/q-%E6%96%AD%E7%86%B1%E6%9D%90%E7%94%A8%E6%8E%A5%E7%9D%80%E5%89%A4/
一方、発泡ウレタン系の一液充填タイプは、断熱ボードやパイプ保温材の接着と同時に隙間充填・結露防止も兼ねられるため、住宅のサッシ周り・配管貫通部などで「断熱材+気密+充填」を1工程で済ませたいときに重宝します。monotaro+1
水性アクリル系や低VOCタイプは、室内環境への配慮や防火材料との組み合わせで採用されることが多く、床仕上げ材用の接着剤と同様、下地の吸水性・乾燥状態が接着力に直結します。contents.sangetsu+1
両面テープ型の発泡体接着用テープは、工場製作のサンドイッチパネルや自動車内装の吸音材固定などで使われますが、建築分野でも機器裏の断熱材固定など「狭く届きにくい」「養生期間を取れない」場面で有効です。
参考)【用途事例】くっつきにくい発泡体素材には「発泡体接着に適した…
断熱材接着剤の性能を引き出せるかどうかは、下地の吸水性と表面強度の把握にかかっています。
サンゲツやシンコールなど床仕上げ材の施工マニュアルでも、下地の吸水性(高吸水・中吸水・非吸水)によって接着剤の塗布量やオープンタイムを変えることが重要だと明記されており、これは断熱材接着でも同様です。
コンクリートやモルタル下地が十分に乾燥していない状態で施工すると、接着剤に含まれる水分や溶剤が下地側に逃げきれず、密着不良・白化の原因になります。
参考)https://sincol-group.jp/digitalcatalog/pdf/SINCOLFLOOR23_07.pdf
逆に、極端に吸水性が高いスラブやALCのまま施工すると、接着剤の水分が急激に吸い取られ、所定の接着層厚みが確保できず発泡断熱材の浮き・反りを招くことがあります。machiken-pro+1
吸水性が高い下地には、吸水調整材やシーラーをローラーや刷毛で均一に塗布し、接着剤の水分や溶剤が下地に一方的に奪われないようにすることが推奨されています。machiken-pro+1
さらに、表面強度のないレイタンス層や塗装は、いくら接着剤が強力でも「弱い層ごと剥がれる」原因になるため、研磨・ケレン・清掃により健全な下地まで出してから施工するのが基本です。sincol-group+1
発泡ウレタン系の断熱材接着剤や充填フォームは、「断熱ボードやパイプ保温材の接着」と同時に「隙間充填・結露防止」を狙える便利な材料ですが、発泡倍率と硬化時間の管理が甘いと仕上がりに歪みを残します。
現場発泡のウレタンフォームには一液タイプと二液タイプがあり、一液タイプは空気中の水分と反応して発泡・硬化するため、温度・湿度条件に敏感です。
冬場の低温・低湿環境では、発泡が弱く硬化が遅れ、断熱ボードの押さえを早く外すと戻りで隙間が開くことがあります。
参考)断熱材 ~発泡ウレタンについて~|吹き付けやFP板
逆に、夏場の高温・高湿では想定以上に発泡して断熱材を押し出し、サッシ枠の反りや石膏ボードの膨らみとして現れるケースもあり、メーカーは施工可能温度や推奨の養生時間を細かく設定しています。monotaro+1
意外と知られていないポイントとして、一部の発泡ウレタン接着剤は「断熱ボードの補修・固定」用途を前提としており、広い面積の全面接着には適さないものがあります。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E7%99%BA%E6%B3%A1%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3%20%E6%8E%A5%E7%9D%80%E5%89%A4/
全面に厚塗りすると、内部にガスが閉じ込められていつまでも柔らかい層が残り、長期的には沈み込みや床なりの原因になることもあるため、仕様書に記載されている塗布パターン(ライン状・点状など)を守ることが重要です。monotaro+1
発泡ウレタンフォームやポリエチレン発泡体、気密フィルムなど、いわゆる「くっつきにくい」材料に断熱材接着剤で対応する場合、表面エネルギーと可塑剤移行の問題を無視できません。
発泡体接着用両面テープは、ウレタンフォームやポリエチレン発泡体に対応した特殊アクリル系接着剤を用いており、少ない接地面積でも高い接着力を発揮するよう設計されています。
透湿シート・気密フィルム・断熱材に強力に接着し、夏季・冬季や粗面への接着性が確保された多用途テープは、トルエン・キシレン・可塑剤を使わない低VOC設計のものもあり、長期性能と健康配慮を両立しやすくなっています。
こうしたテープ類は、「薄くて丈夫で手を汚さず施工できる」「重ね貼りが可能」という特徴があり、断熱施工の手直しや補修で威力を発揮しますが、下地側の埃・水分・油分をきちんと除去しないと粘着層が十分に働きません。monotaro+1
あまり知られていない点として、発泡体そのものよりも、その表面に印刷インキや離型剤が残っていることが剥離の原因となるケースがあります。
工場出荷時のラミネートフィルムや印刷面をそのまま接着に使うのではなく、研磨やワイピングで「素地」と「汚れ」を切り分けるだけで、同じ接着剤でも密着性が大きく改善することがあります。sincol-group+1
断熱材接着剤というと「とにかく全面に塗って剥がれないようにする」という発想になりがちですが、熱橋・音橋の観点から見ると、あえて接着範囲をコントロールすることが有効な場合があります。
断熱材と躯体を全面強固に密着させると、熱はもちろん、振動もその経路を通じて伝わりやすくなり、特に軽量鉄骨造や金属パネル構造では遮音・断熱性能の設計値から外れることがあります。
複合材料の分野では、熱伝導や振動伝達を制御するために、接着層の材質だけでなく「厚み」「面積」「配置」を設計するアプローチが一般的で、建築における断熱パネルやサンドイッチパネルでも同じ考え方を取り入れる余地があります。
参考)https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/5066/files/ot4825.pdf
例えば、金属板と断熱材を面全体で硬く貼り付けるのではなく、弾性を持たせた接着剤をライン状・点状に配置し、残りを空気層や低剛性層とすることで、熱橋・音橋を分断する設計が可能です。dannetsuzai+1
現場レベルではそこまで計算されていないことが多いものの、機械室周りや車両基地、音楽スタジオなど「熱と音の両方を制御したい」建物では、断熱材接着剤の選定と塗布パターンの設計を、躯体の振動モードや使用環境とセットで考えると、同じ材料でも一段上の性能が引き出せます。
この視点から施工計画を見直すときは、単に「剥がれないように」ではなく、「どの経路で熱と音を逃がし、どこで止めるか」を明確にし、そのための接着剤種別・塗布パターン・下地条件を図面レベルで共有することが重要です。sincol-group+1
断熱材と発泡ウレタンの基本特性と現場発泡の考え方の参考(発泡挙動と断熱性能の関係を整理するのに有用です)。
断熱材.jp「断熱材 ~発泡ウレタンについて~」
床材施工における下地吸水性・下地調整と接着剤選定の基本(断熱材接着でも応用できる下地評価の考え方の参考になります)。
サンゲツ「下地の確認・吸水性と下地の種類」
発泡体接着用両面テープの構造と「くっつきにくい発泡体」への対応方法(発泡断熱材や気密部材への接着戦略の参考です)。
テープおまかせナビ「発泡体接着に適したテープ」
床仕上げにおける下地条件・含水率・接着剤との関係を整理した技術資料(湿気のある下地・表面強度不足が接着力低下要因となる点の参考)。

LOCTITE(ロックタイト) 発泡ウレタン グリーンフォームミニ 297g - あらゆるすき間の充填、防音、昆虫・ネズミ対策として多用途に使えるエコノミータイプの一液型発泡ウレタン