

塩化ゴム系塗料は、塩化ゴム樹脂をバインダーとした防食用の汎用塗料系で、関西ペイントの重防食ラインナップでは「塩化ゴム樹脂塗料」として独立した系統が整理されています。
同じ系統表では、ジンクリッチペイント、エポキシ樹脂塗料、フタル酸樹脂塗料、フェノール樹脂塗料、ウレタン・フッ素系などと並列に扱われており、「一次プライマー→さび止め→塩化ゴム系中塗・上塗」といった組み合わせが標準的な位置づけになっています。
塩化ゴム系塗料は、アルキド系やフタル酸樹脂系と比べて耐候性・耐水性・耐塩水性に優れる一方、近年はVOC規制や環境対応の観点から、エポキシ・ウレタンなど他樹脂系との使い分けが検討されるケースが増えています。asset.kansai+1
関西ペイントでも、省工程型の「ユニテクト工法」など環境対応システム内で、塩化ゴム系塗料の耐候性や旧塗膜適性データを比較に用いており、既存設備の塗替え用途でなお参照価値の高い系統です。
参考)https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/heavyduty/catalog/pdf/376.pdf
関西ペイントの代表的な塩化ゴム系塗料として「ラバテクトN 上塗」「ラバテクトN 中塗」があり、それぞれ「塩化ゴム系塗料上塗」「塩化ゴム系塗料中塗」として位置づけられています。
製品説明書によると、ラバテクトNは大気汚染環境(腐食性ガスや海塩粒子)に対する耐久性が良く、乾燥が速く付着性にも優れ、フタル酸・フェノール・アクリル樹脂系一般品より耐候性が高いとされています。
この「速乾性+付着性+耐候性」のバランスは、昼夜の温度変化や海風による塩分付着が厳しいプラント外面・タンク外面でメリットになります。asset.kansai+1
実務上は、塗替え時に足場養生期間を短縮したい案件や、塩害地域の鉄骨・ダクト外面など、既存塗膜に塗り重ねて防食レベルを底上げしたい場面で、ラバテクトNを含む塩化ゴム系仕様が検討候補になりやすいと言えます。asset.kansai+1
関西ペイントの「水処理設備塗装」資料では、塩化ゴム系塗料を用いた代表的な塗装仕様として「塩化ゴム系塗料下塗→ラバテクトN中塗→ラバテクトN上塗」の3コート仕様が提示されており、下塗40μm・中塗30μm・上塗30μmといった膜厚の目安が示されています。
この仕様は、水処理設備の非没水部のように常時水没はしないものの、湿潤や飛沫、化学薬品ミストの影響を受けやすい部位向けの標準例であり、塗膜トータル100μm前後で実務的な耐久性を確保する設計になっています。
同資料では、低温環境ではエポキシ系下塗「エポマリンJW低温用」への切替推奨も記載されており、下塗をエポキシ、上・中塗を塩化ゴム系とするハイブリッド仕様によって、素地調整条件や施工温度に応じた柔軟な防食設計が可能とされています。asset.kansai+1
さらに、塩化ゴム系塗料を用いたタンク外面の塗替仕様(PR05「塩化ゴム系(塗替)」)では、既存塗膜上にラバテクトN中塗・上塗・シルバーを組み合わせ、塗料用シンナーAで0~10%程度の希釈、1回あたり30~35μmの膜厚を確保しながら、現地上塗で外観と防食性を両立させる手順が整理されています。
参考)https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/heavyduty/plant/pdf/PR05.pdf
水処理設備塗装における塩化ゴム系仕様と膜厚・工程の詳細(下塗・中塗・上塗の構成とμmの目安)
関西ペイント「水処理設備塗装」カタログ
ラバテクトNシリーズの説明書では、「大気汚染の環境(腐食性ガスや海塩粒子など)における耐久性が良い」と明記されており、工業地域や臨海部の鉄骨・タンク・配管などを想定した設計になっています。
さらに、フタル酸やフェノール樹脂系の旧塗膜に対しても良好な付着性が謳われているため、「既存仕様を大きく変えずに防食レベルだけ底上げしたい」塗替え案件で採用しやすいのが実務上の強みです。
海塩粒子環境では、塩分の結晶が塗膜上に付着することで、濡れ乾きの繰り返しと局部電池の形成が進みやすく、膜厚不足やピンホールがあると鋼材腐食が加速します。
参考)https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/heavyduty/pdf/321.pdf
このため、塩化ゴム系塗料を用いる場合も、単に「耐塩水性のある塗料を使う」だけでなく、素地調整・膜厚管理・塩分除去洗浄をエポキシ系防食仕様と同じレベルで行うことが、カタログ上の試験データ通りの寿命を確保する条件になります。asset.kansai+1
塩化ゴム・アクリル系塗料「シーラバンAC-HB」は、関西ペイントマリンの船底塗料用中塗として防食性・耐海水性・防汚塗料との付着性がうたわれており、これも実質的に高塩分環境での実績に裏打ちされた系統といえます。
参考)https://penki-sasaki.com/smartphone/switch_pc.html?loc=detailamp;param=000000000792
建築設備の視点では、直接海水に浸かる用途は少ないものの、港湾倉庫の鉄骨や桟橋上部構造物など、「海水に近い飛沫帯」ではこうしたマリン用途系統の知見を流用することで、塗替え仕様の信頼性を高めることができます。penki-sasaki+1
関西ペイントの重防食ガイドブックでは、エポキシ樹脂塗料の説明中に「アルキド系、塩化ゴム系、エポキシ系、ウレタン系、フッ素系塗料などのプライマーとして使用できる」とされており、エポキシ系さび止めと塩化ゴム系上・中塗の組み合わせが想定されています。
また、環境対応型省工程塗装システム「ユニテクト工法」の資料では、塩化ゴム系塗料を含む旧塗膜への塗り重ね適性(冷熱サイクル試験や複合サイクル試験)の比較データが掲載されており、塩化ゴム系塗装面に対する上塗り適性が○~△といった評価で整理されているため、既存塩化ゴム仕様からの更新計画の検討材料になります。
現場目線で見ると、塩化ゴム系は「塗替えしやすいが、将来の上塗り選択肢を狭める可能性がある」系統でもあります。
例えば、既存が厚膜の塩化ゴム系塗装の場合、将来フッ素系など高性能上塗へ変更する際に、旧塗膜との付着性や溶剤攻撃の問題で一部除去やブリッジコートが必要になることがあり、仕様検討時点で「次回更新時に何を乗せたいか」まで逆算して系統を選んでおくと、ライフサイクルコストが変わってきます。asset.kansai+1
一方、エポキシ系さび止め+塩化ゴム系中・上塗という構成は、素地側の防食性能をエポキシで確保しつつ、仕上げ側で速乾性と作業性を担保する折衷案として機能します。asset.kansai+1
このとき、エポキシ下塗の塗り重ね可能時間や表面粗さ、塩化ゴム側の推奨シンナー(塗料用シンナーAなど)との相性をSDS・製品説明書で事前に確認しておけば、現場の勘に頼らずに、可使時間内で確実な付着を得る条件を設計できます。asset.kansai+1
エポキシ系さび止め塗料の旧塗膜適性や塩化ゴム系を含む上塗との組み合わせ方の根拠(素地調整と試験データ部分)
関西ペイント「浸透形エポキシ樹脂系さび止め塗料」カタログ
関西ペイントの重防食ガイドなどでは、代表的な塗料ごとに「耐久性と用途適性」の一覧が示されており、塩化ゴム系は中程度の耐久性と幅広い用途適性を持つ汎用防食系として位置づけられています。
建築設備の設計・積算で塩化ゴム系を採用する際は、「非没水かつ塩分・腐食性ガスの負荷が中~高程度」「既存塗膜との親和性を優先」「速乾性を重視」といった条件が揃うかどうかを、エポキシやポリウレタンなど他系統との比較で確認するのが実務的です。
図面や仕様書に落とし込むときには、単に「塩化ゴム系上塗」と記載するのではなく、以下のような情報まで書き込むと、施工者・監理者双方の手戻りを減らせます。
また、重防食系のガイドブックや施工要領書では、塩化ゴム系を含む各種塗料の促進耐候性試験結果や旧塗膜適性がグラフで示されているため、これを根拠資料として設計説明・VE提案に添付しておくと、発注者との合意形成がスムーズになります。asset.kansai+1
その意味で、塩化ゴム系塗料は「古いがまだまだ使われている系統」ではなく、「既存ストックを延命するための現実解」として、関西ペイントのエポキシ・ウレタン系とセットで理解しておくのが建築従事者にとって実務的なスタンスと言えるでしょう。kansai+1