

省令第3条の届出を出せば、分別解体の計画はどう書いても問題ないと思っていると、実際には行政から計画書の差し戻しを受けて着工が数週間遅れることがあります。
建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)は、2000年に制定され2002年に完全施行されました。この法律の核心にあるのが「分別解体」という概念です。
分別解体とは、建築物を解体する際に、廃棄物をひとまとめに壊して捨てるのではなく、コンクリート・木材・金属・ガラス・石膏ボードといった素材ごとに分けながら解体を進める工法のことを指します。混合廃棄物のまま処理すると最終的な処分費用が高くなるうえ、リサイクル率が下がります。これが原則です。
では、なぜ省令(施行規則)第3条が重要なのでしょうか?
建設リサイクル法第10条は、対象建設工事の発注者または自主施工者に対して、都道府県知事(政令市は市長)への届出を義務付けています。その届出書類に記載すべき事項を具体的に定めているのが、国土交通省令(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則)第3条です。
施行規則第3条は、届出書に記載すべき事項として「分別解体等の計画」の内容を定めており、これを満たさない届出書は受理されません。
建設業従事者にとって、この条文は「知っておかないと着工できない」という意味で直接的な影響があります。
参考リンク(国土交通省による建設リサイクル法の解説・届出様式含む)。
国土交通省:建設リサイクル法関連情報(届出制度・様式)
施行規則第3条が求める「分別解体等の計画」には、具体的にどのような項目を記載しなければならないのかを整理します。
まず、工事の種類・規模に関する情報が必要です。解体工事なのか、新築・増築工事なのかを区別したうえで、延べ床面積(㎡)や請負代金の額(税込)を明記します。床面積80㎡以上の建築物の解体、または請負代金が500万円(税込)以上の新築・増築工事が届出対象の基準となります。
次に、分別解体等の方法の記載が求められます。これは単に「分別して解体する」と書くだけでは不十分です。具体的には以下の内容が必要になります。
また、特定建設資材廃棄物の種類ごとの量の見込みを記載する必要があります。これは概算で構いませんが、根拠のある数字が求められます。建物の床面積や構造種別(木造・RC造・鉄骨造など)から算出する方法が一般的です。
さらに、その他国土交通省令で定める事項として、解体作業の開始予定日・終了予定日、現場の住所、発注者・元請業者・現場責任者の氏名と連絡先も記載項目に含まれます。
つまり、計画書は「誰が・どこで・いつ・何を・どのように分別するか」を網羅した文書である必要があります。
一点見落とされやすいのが、工事着手の7日前までに届出を完了しなければならないという期限です。施行規則第3条の届出が7日前を切って受理された場合でも、着工は法律上できません。これは必須です。
参考リンク(建設リサイクル法の届出様式と記載例:都道府県窓口案内)。
東京都都市整備局:建設リサイクル法に基づく届出について
省令第3条の届出が必要な「対象建設工事」の規模基準は、工事の種類によって異なります。
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体 | 床面積の合計が80㎡以上 |
| 建築物の新築・増築 | 床面積の合計が500㎡以上 |
| 建築物の修繕・模様替 | 請負代金が1億円以上(税込) |
| その他の工作物に関する工事 | 請負代金が500万円以上(税込) |
この数字だけを見ると「80㎡以上の解体なら必ず届出が必要」と理解しやすいですね。
ところが、現場では「増築後の総床面積」ではなく「増築する部分のみの床面積」で判断してしまい、届出不要と誤認するケースがあります。増築の場合、既存部分と増築部分の合計が500㎡を超えるかどうかではなく、増築する部分単体の床面積で判断します。勘違いしやすい点です。
また、80㎡という数値をイメージしにくい場合は、一般的なLDK+3LDKの木造2階建て住宅の延べ床面積が概ね90〜120㎡程度であることを基準にすると分かりやすいでしょう。つまり、ごく一般的な戸建て住宅の解体はほぼ全件が届出対象になります。
「小さい現場だから届出は不要だろう」という思い込みは、実際には80㎡という閾値を下回るケースはかなり少ないため、事実上ほとんどの解体現場で届出が必要です。これが基本です。
2021年の建設リサイクル法改正(2023年10月施行)により、分別解体の事前調査に関するルールが大幅に強化されました。省令第3条の計画書を正確に作成するためには、この事前調査が適切に行われていることが前提条件になります。
改正後の制度では、解体工事の発注者は着工の7日前までに、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査結果を都道府県知事へ報告することが義務付けられました。これは大気汚染防止法の改正とも連動しています。
事前調査の対象となる主な項目は以下の通りです。
これらの調査結果が省令第3条の計画書における「特定建設資材廃棄物の量の見込み」欄に反映されます。調査が不十分だと計画書の数値に根拠がなくなり、行政窓口での確認・差し戻しが発生します。
特に石綿含有建材の調査は、目視調査だけでなく設計図書の確認も必要です。
1975年以前に施工された建物では吹付けアスベストが使用されている可能性が高く、2004年以前の建物では石綿含有スレートや石綿含有ビニル床タイルが含まれているケースが多いです。建設年次の確認は調査の第一歩になります。
石綿の事前調査を行う資格として「建築物石綿含有建材調査者(一般・特定・一戸建て等)」がありますが、2023年10月以降は一定規模以上の解体工事では有資格者による調査報告が必須となっています。厳しいところですね。
参考リンク(石綿含有建材の事前調査制度の解説:環境省)。
環境省:大気汚染防止法に基づく石綿含有建材の事前調査結果の報告制度
法令の条文を読むと「罰則は20万円以下の過料」とあるため、金銭的なリスクが低いと感じる方もいるかもしれません。しかし、現場の実務で本当に怖いのは罰金の金額ではありません。
届出不備や届出忘れが発覚した場合、都道府県の建設リサイクル担当窓口から改善指導が文書で発出されます。この記録は、元請業者の経営事項審査(経審)に影響する「法令遵守状況」の評価項目と無関係ではありません。直接的なマイナス評価につながるかどうかは自治体の運用によりますが、行政指導の履歴が残ること自体が、公共工事の入札資格審査において不利に働く可能性があります。
また、届出なしに工事を着工した場合、都道府県知事は工事の中止または計画変更を勧告できます(建設リサイクル法第15条)。勧告に従わない場合はその旨が公表されます。公表によるレピュテーションリスクは、20万円の過料よりも実害が大きいと言えます。
一方で、あまり語られていない視点として「計画書の精度が廃棄物処理コストを左右する」という点があります。
省令第3条の計画書に記載する特定建設資材廃棄物の量の見込みが大きくずれていると、分別した廃棄物の搬出先(再資源化施設)との数量調整が困難になります。木材の量を過小見積もりした結果、現場で木材チップ処理業者の手配が追いつかず、仮置き期間が長引いて現場管理費が増加するといったケースが実際に起こっています。
計画書の精度を高める実践的な方法としては、建物の構造別に廃棄物の発生量を概算できる「建設廃棄物発生量原単位」のデータを活用する方法があります。国土交通省が公表している原単位データでは、例えば木造住宅の場合1㎡あたりの廃棄物発生量が平均的に示されており、床面積から逆算して計画書の数量欄を埋めることができます。
参考リンク(建設副産物実態調査・廃棄物発生量原単位データ)。
国土交通省:建設副産物実態調査(廃棄物発生量の原単位データ含む)
もう一つ実務上見落とされがちなのが、請負契約書への分別解体等の費用の明示義務(建設リサイクル法第13条)です。省令第3条の届出とは別に、元請業者は発注者との請負契約において分別解体の費用を契約書上に明示しなければなりません。
この費用明示が漏れている契約書は、発注者とのトラブル(「解体費用の内訳が不明確だ」という苦情)を引き起こすリスクがあります。計画書の提出と同時に、契約書の記載内容も確認する習慣を持つことが重要です。これは使えそうです。
| 確認事項 | 根拠条文 | 期限・タイミング |
|---|---|---|
| 都道府県知事への届出(省令第3条の計画書含む) | 建設リサイクル法第10条 | 着工7日前まで |
| 石綿含有建材の事前調査・報告 | 大気汚染防止法第18条の15 | 着工7日前まで |
| 請負契約書への分別解体費用の明示 | 建設リサイクル法第13条 | 契約締結時 |
| 再資源化完了の発注者への書面報告 | 建設リサイクル法第18条 | 再資源化完了後速やかに |
上の表のように、省令第3条の届出は一連の法的手続きのうちの一つです。前後の手続きと組み合わせて管理することで、抜け漏れを防ぐことができます。
現場担当者や施工管理者がこの一覧表をチェックリストとして使う運用が、実務上もっとも確実なリスク回避につながります。

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