
フランジ10kの寸法は、JIS B 2220-2012およびJIS B 2238-1996に準拠して標準化されています。これらの規格では、呼び径10mmから1500mmまでの広範囲にわたって、フランジの各部寸法が詳細に規定されています。
基本的な寸法項目には以下があります。
JIS B 2220-2012では、呼び径10~1000のSOP形FFと450~1000のSOH形FF、さらに10~750のBL形FFを規定しており、それ以外の寸法についてはJIS B 2238の基準寸法が適用されます。
フランジ10kには複数の型式が存在し、それぞれ用途や特徴が異なります。主要な型式は以下の通りです。
SOP形(Slip-On Plate type)
最も一般的な型式で、配管に差し込んで溶接する構造です。呼び径10~1500mmまで対応しており、軽量で経済的な特徴があります。
SOH形(Slip-On Hub type)
ハブ付きの構造で、呼び径250~1500mmに対応しています。SOP形よりも強度が高く、高圧用途に適しています。
BL形(Blind type)
配管の端部を閉塞するためのブラインドフランジで、呼び径10~1500mmまで製作可能です。
LJ形(Loose Joint type)
遊合形フランジとも呼ばれ、呼び径15~600mmに対応しています。配管の熱膨張や振動を吸収する機能があります。
寸法表を読む際の重要なポイントとして、ねずみ鋳鉄以外の材質では厚みが異なる場合があることです。特に呼び径が大きくなるほど、材質による寸法差が顕著に現れます。
配管設計においてフランジ10kを選定する際には、複数の技術的要素を考慮する必要があります11。
圧力条件の確認
フランジ10kは呼び圧力1.0MPa(10kg/cm²)に対応していますが、実際の使用圧力だけでなく、温度による圧力変動も考慮が必要です。特に高温用途では、材質の許容応力低下により、実質的な使用圧力が制限される場合があります。
材質選定の重要性
炭素鋼、ステンレス鋼、鋳鉄など、使用環境に応じた適切な材質選定が重要です。腐食性流体や高温環境では、ステンレス鋼製フランジの採用が推奨されます。
ガスケット座の寸法管理
ガスケット座の径(g)と厚み(f)は、シール性能に直接影響する重要な寸法です。特に呼び径が大きくなるほど、ガスケットの選定とフランジ面の仕上げ精度が重要になります。
ボルト締付管理
適切なボルト締付トルクの管理は、フランジ接続部の信頼性確保に不可欠です。呼び径により使用するボルトサイズが異なるため、それぞれに応じた締付トルク値の設定が必要です。
フランジ10kの材質選定は、使用環境と要求される耐圧性能に基づいて決定されます。一般的に使用される材質とその特徴は以下の通りです。
炭素鋼(SS400、S25C等)
最も汎用的な材質で、一般的な水配管や空気配管に使用されます。コストパフォーマンスに優れていますが、腐食環境では適用できません。
ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)
耐食性に優れ、食品や化学プラント用途に適しています。SUS316はSUS304よりも耐食性が高く、海水や塩化物環境でも使用可能です。
鋳鉄(FC200、FCD400等)
重量がある代わりに振動吸収性に優れており、大口径配管に適用されることが多いです。ただし、衝撃に弱いという特性があります。
耐圧性能については、JIS規格で規定された寸法を遵守することで、設計圧力1.0MPaでの安全な使用が保証されます。ただし、温度上昇に伴う材質強度の低下や、繰り返し荷重による疲労現象も考慮する必要があります。
実際の設計では、安全率を考慮して使用圧力を設計圧力の80%以下に設定することが一般的です。また、定期的な点検により、フランジ面の変形やボルトの緩みがないかを確認することが重要です。
現場でのフランジ寸法確認は、配管工事の品質確保において極めて重要な作業です11。適切な確認手順により、施工不良や後工程でのトラブルを防止できます。
外径寸法の確認手順
フランジ外径(D)は、ノギスまたはパイ尺を使用して測定します。測定は直交する2方向で行い、真円度も同時に確認します。JIS規格では許容差が規定されているため、測定値が規格値内であることを確認が必要です。
ボルト穴寸法の確認
ボルト穴中心円径(C)の確認には、専用のピッチゲージまたはボルト穴用テンプレートを使用します。穴径(h)についても、ピンゲージやボールゲージで正確な寸法を確認します。
フランジ面の確認事項
上水フランジとの判別方法
水道メーター等で使用される上水フランジとJIS10Kフランジは外観が似ているため、寸法による判別が重要です。例えば、口径50mmの場合、上水フランジの取付け径は143mmですが、JIS10Kフランジは120mmとなります。
現場確認用チェックシート
施工現場では、以下の項目を含む確認シートの活用が効果的です。
適切な寸法確認により、配管システムの信頼性向上と長期的な維持管理コストの削減が実現できます。特に大規模なプラント工事では、事前の寸法確認不足が後工程での大きな手戻りにつながる可能性があるため、十分な時間をかけた確認作業が重要です。