金属フレキシブルホースのガス施工で知っておくべき選び方と安全基準

金属フレキシブルホースのガス施工で知っておくべき選び方と安全基準

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金属フレキシブルホースのガス施工で押さえるべき基礎知識と注意点

一度使った金属フレキシブルホースを再接続すると、法規違反でガス漏れ事故を起こすリスクがあります。


この記事のポイント
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種類と使い分け

都市ガス用「金属可とう管」とLPガス用「金属フレキシブルホース」は別物。器具の種類と設置環境によって正しく選び分けることが安全施工の第一歩。

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再使用は法規上禁止

一度取り外した金属フレキシブルホースは、フレアシート部のシール性が失われるため法規上再使用禁止。再接続によるガス漏れ事故が現場で後を絶たない。

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使用禁止の器具がある

GHP(ガスヒートポンプ)など振動の大きい器具への接続は金属フレキシブルホースでは不可。振動による金属疲労で破損・ガス漏れが発生するため、強化ガスホースが必要。


金属フレキシブルホースのガス用途における基本的な役割と構造


金属フレキシブルホースは、ジャバラ(蛇腹)状に加工されたステンレス鋼管を芯体として、その外側にブレードと呼ばれる編組保護層を巻き付けた構造の配管材です。「可とう」=「曲げることができる」という機能を活かし、狭いスペースでも自由に取り回せることが、現場での最大の利点です。


ガス設備においては、ガス栓と給湯器・ビルトインコンロといった固定型ガス機器の間を結ぶ「器具接続配管」として主に使われています。一般的な長さは200mm〜600mm程度が流通の中心で、給湯器の背面スペース(横幅50cm前後)に収める短い接続区間をカバーするために設計されています。


内側のチューブ素材には、耐食性が高いオーステナイト系ステンレス鋼(JIS G 4305 SUS304)が広く採用されています。これはなぜかというと、都市ガスやLPガスの成分によって内面が腐食すると、ガス漏れに直結するリスクがあるためです。金属製という点で「丈夫だから何でも使える」と思われがちですが、実際には流体・圧力・使用環境の条件が厳格に定められています。


また、外側のブレード層の有無と種類によって耐圧強度が大きく変わる点も覚えておきたいポイントです。丸線ブレードは変位吸収性に優れ、平線ブレードは内圧への強度が高く、綾織ブレードはその両方をバランスよく兼ね備えます。用途に応じて最適な構造が選ばれています。


つまり、「曲がる金属管」という見た目のシンプルさの裏に、素材・構造・規格の複数の選定基準があるということです。


| 構成要素 | 素材・種類 | 主な役割 |
|---|---|---|
| チューブ(内管) | SUS304(ステンレス鋼) | ガスを通す流路、耐食性確保 |
| ブレード(外装) | 丸線・平線・綾織 | 耐圧補強、保護 |
| 接続金具 | 鍛造真鍮・ステンレス | ガス栓・機器との気密接続 |
| 保護カバー | 軟質塩化ビニル等 | 外面腐食・傷つき防止 |


ガス用フレキシブルホースの基準については、日本エルピーガスプラント協会(JLPA)や高圧ガス保安協会(KHK)が定める規格(JLPA 209、KHKS 0715)に基づいて製品の耐圧性能・強度・外観・材料が規定されています。現場での選定には、これらの認定品を使うことが原則です。


参考:ガス用金属フレキシブルホースの耐圧性能・構造・試験方法を定めたJLPA基準の概要(JLPA 209基準)
https://jlpa.or.jp/wp-content/uploads/2025/02/kijun-209.pdf


金属フレキシブルホースのガス種別・器具別の正しい選び方

「金属フレキシブルホースならどれでも同じ」という認識は、現場での選定ミスを招く典型的な落とし穴です。実は、ガスの種類(都市ガス・LPガス)と接続する器具の種類によって、使用すべき配管材が明確に区分されています。


まず大前提として、都市ガス用と表記されたものはLPガスに、LPガス用と表記されたものは都市ガスには使用できません。ガスの成分・供給圧力・対応するシール材やパッキンの仕様が異なるためです。ゴムパッキンがガス成分と反応して劣化し、微細なガス漏れを起こすケースが実際に報告されています。この点が大きなリスクです。


次に、器具との対応関係を以下の通り整理します。


| 接続器具 | 都市ガス用 | LPガス用 |
|---|---|---|
| 給湯器・瞬間湯沸器・ビルトインコンロ(固定型) | 金属可とう管 | 金属フレキシブルホース |
| GHP・振動のある器具・移動設置型 | 強化ガスホース | 燃焼器用ホース |
| ガスファンヒーター・炊飯器 | 強化ガスホース・ガスコード | 燃焼器用ホース・ソフトコード |


表にある通り、GHP(ガスヒートポンプ)などの振動が発生する器具には、金属フレキシブルホースではなく強化ガスホースや燃焼器用ホースが正しい選択です。これは非常に重要なポイントで、後述のセクションで詳しく解説します。


代表的なLPガス用金属フレキシブルホースの製品例として、桑名金属工業「ソフレミニ」(全長200〜450mm)、正栄製作所「ショーフレ」(最長1200mm)、吉野川電線「モレーヌ」があります。都市ガス用「金属可とう管」には協成「キーロン」、JFE「メタルホース」なども広く流通しています。これは使えそうですね。


長さの選定も重要です。短すぎると施工時に無理な曲げが生じ、長すぎると床面や壁に接触してホースに余分な荷重がかかります。原則として、「ホース長さは最小限の余裕を確保しつつ、無用な曲げやたるみが生じない長さ」を選定することが各メーカーの施工基準で求められています。


参考:器具別のガス配管と末端ガス栓の選び方を詳しく解説(ベストパーツメディア)
https://www.best-parts-media.jp/element/fuel_piping/416


金属フレキシブルホースのガス工事における再使用禁止と法的根拠

現場でよく起こるのが、給湯器やビルトインコンロを交換した際に「まだきれいだから」と既設の金属フレキシブルホースをそのまま流用するケースです。これは法規上、明確に禁止されている行為です。


一度取り外した金属フレキシブルホース(金属可とう管を含む)は、接続金具のフレアシート部(ガス栓に差し込む先端部分)のシール面が変形・微細損傷を起こすため、再取り付け後に金属面同士の密着が保証されなくなります。フレアシートはいわば「1回使い捨てのシール面」として設計されている、ということです。


桑名金属工業のソフレミニ取扱説明書には「ソフレミニの再使用はできません。フレアシート部のシール性が損なわれ、ガス漏れの原因となります」と明記されています。これは当該製品に限らず、ほぼ全メーカー共通のルールです。


法的根拠としては、液化石油ガス法(液石法)および都市ガス関連の技術基準にホースの接続条件が定められており、保安検査や定期調査で再使用品が発見された場合、施工業者の法的責任が問われる可能性があります。実際、給湯器交換後のガス点検でガス会社の担当者から「再利用されている」と指摘される事例が知恵袋等でも多数報告されています。


痛いですね。「工期が短い」「部材がない」という現場事情があったとしても、再使用はコスト削減どころか事故・クレーム・賠償リスクという大きな損失につながります。


施工時のルールをまとめると以下の通りです。


- 🚫 一度でも取り外したものは必ず新品に交換する(ガス器具の交換時を含む)
- ✅ 保護カバー付きの製品を選び、外面腐食・傷つきを防止する
- ✅ 接続後は必ずガス漏れ検知液(石鹸水等)を使って気密確認を行う
- 🚫 フレアシート部を素手で触ったり傷つけたりしない
- ✅ 施工記録として製品のロット番号や型番を現場書類に残す


再使用禁止は新品への交換コスト(一般的に1本あたり1,000〜3,000円程度)を惜しんだ結果、万単位の補修費用や信頼損失につながるケースを防ぐためのルールです。交換コストは最小限です。


参考:金属可とう管(フレキ管)の再使用禁止とガス漏れリスクについての解説(桑名金属工業)
https://www.kuwana-metals.com/Portals/0/resource/pdf/instructions/KG2-24031.pdf


金属フレキシブルホースのガス接続でやってはいけないGHPなど振動機器への使用

建築現場や業務用厨房、空調設備工事で頻繁に遭遇するのがGHP(ガスヒートポンプ空調機)の設置です。GHPはガスエンジンを内蔵しているため、運転中に大きな振動が発生します。経済産業省の資料では「金属フレキシブルホースは、接続先の機器等の振動による疲労破壊が発生することから、主にガスヒートポンプとガス栓との接続管には使用されていない」と明記されています。


これは理論上の話ではありません。金属疲労による破損事故が実際に複数件報告されており、高圧ガス保安協会(KHK)の事故事例データベースにも振動による金属疲労で可とう管が破断した事例が記録されています。


なぜ振動が問題になるのか説明します。金属は繰り返し変形を受け続けると、材料内部に微細な亀裂が進行する「疲労破壊」が起きます。ステンレス鋼製のフレキシブルホースといえど、GHPエンジンの始動・停止を1日数十回繰り返すと、接続部付近に応力が集中し、数年内に亀裂が発生するリスクがあります。これが金属フレキシブルホースとGHPの相性が悪い本当の理由です。


振動機器への接続が正しい対応です。


- ✅ GHP → 強化ガスホース(都市ガス) または 燃焼器用ホース(LPガス)
- ✅ 回転釜・業務用焼き物機(移動型) → 強化ガスホース/燃焼器用ホース
- ✅ ガスエンジン発電機設備仕様書に指定の可とう管・ホースを選定


強化ガスホースはゴム製チューブに鋼線補強を施したもので、金属フレキシブルホースに比べて振動吸収性が大幅に優れています。耐候性も付与されており屋外でも使用可能です。結論は強化ガスホース一択です。


日本継手(株)のメタルホースカタログには「始動時や停止時のみでも振動のある機器(GHP等)、または清掃等の目的で移動する恐れのある場合に使用されると、金属疲労による切損事故が発生するなど、たいへん危険です」と注記されています。製品カタログに明記されている警告は、施工前に必ず確認する習慣が重要です。


参考:可とう管の事故事例と振動による金属疲労の詳細(高圧ガス保安協会)
https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/ruikeika/katoukanR.pdf


金属フレキシブルホースのガス施工で見落とされがちな屋外設置・腐食対策と交換目安

屋外の給湯器設置工事で金属フレキシブルホースを使う際、「ステンレス製だから腐食しにくい」という認識から保護対策を省略するケースが見受けられます。しかし実際には、屋外露出設置環境では腐食・劣化の進行が著しく速いことが経産省の調査でも示されています。過去3年間でLPガス事故のうち11件が金属フレキシブルホースの損傷・腐食・劣化によるものだったというデータがあります(経済産業省委託調査 2017年度)。


なぜ屋外が問題になるのでしょうか?ステンレス鋼管は大気中では高い耐食性を持ちますが、海岸近くや工業地帯の塩素・硫黄を含む環境下では表面から腐食が進行します。また、ホースを覆う保護カバー(塩化ビニル製)は紫外線により数年で硬化・ひび割れを起こし、内側のステンレス部分への水分浸入を招きます。外観から判断しにくいのが落とし穴です。


屋外使用時の対策と確認ポイントをまとめます。


- 🔍 保護カバー付き製品を原則選択する(保護カバーなし品は屋外原則不可)
- 🔍 沿岸・塩害エリアでは年1回以上の目視点検を実施する
- 🔍 カバーのひび割れ・変色が確認されたら保護カバーの有無に関わらず交換
- 🔍 消防庁通知では「金属可とう管を屋外に使用する場合は、保護カバー付のものを使用すること」と明示されている


交換の目安については、一般的には給湯器の交換サイクルに合わせて接続ホースも同時交換するのが合理的な対処です。給湯器の法定点検推奨期間(10年程度)に到達したタイミングで、合わせてホースを新品にすれば、別途工事費が最小限で済みます。これが基本です。


なお、LPガス供給機器の期限管理についても一般社団法人日本エルピーガス供給機器工業会(JLIA)が指針を公開しており、高圧ホース・低圧ホースともに安全使用期間は7〜10年を目安としています。定期点検の際に交換時期の管理を怠ると、気づかないうちに使用期限を超過してしまいます。意外ですね。


また、施工業者として覚えておくべき追加知識として、消防庁が公表している「業務用ガス機器の設置基準」(2007年改正通達)には接続具の固定方法も規定されており、金属フレキシブルホース・金属可とう管を使用する場合はガス機器が日常操作などの外力で容易に動かないよう固定することが求められています。固定が原則です。


参考:LPガス供給機器の安全使用期間と期限管理の具体的な目安(日本エルピーガス供給機器工業会)
https://jlia-spa.or.jp/pages/53?detail=1&b_id=246&r_id=29


参考:業務用ガス機器の設置基準改正通知(接続具の固定方法を含む)(消防庁)
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/070731yo167.pdf




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