小型家電リサイクル法対象品目と環境省の回収方法処分一覧

小型家電リサイクル法対象品目と環境省の回収方法処分一覧

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小型家電リサイクル法 完全ガイド
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対象品目は28分類

スマホ、PCから電動工具まで、電気や電池で動くほぼ全ての小型家電が含まれます。

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建設業は「産廃」扱い

事業所から出る場合、家庭用回収ボックスは使えません。認定事業者への委託が推奨されます。

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都市鉱山として活用

使用済み製品に含まれる金・銀・レアメタルは、適切なルートで回収することで再資源化されます。

小型家電リサイクル法対象品目と環境省

環境省が管轄する「小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)」は、デジタルカメラやゲーム機、携帯電話といった身近な電子機器に含まれる有用な金属資源(レアメタルなど)を有効活用するために施行されました。この法律の最大の特徴は、対象品目の幅広さにあります。特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で指定されているテレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の「家電4品目」を除く、電気や電池で動作するほぼすべての製品が対象となり得ます。
参考)対象品目

建設業界で働く皆様にとって特に重要なのは、この法律が単なる「ゴミ捨てのルール」ではなく、「都市鉱山の発掘作業」であるという認識を持つことです。日本国内に眠る「都市鉱山」の規模は、金であれば約6,800トン(世界の現有埋蔵量の約16%)、銀であれば約60,000トン(同22%)に達すると試算されており、資源の少ない日本において極めて重要な位置を占めています。
参考)小型家電リサイクル法とは?対象製品や産廃になるのかを解説 -…

しかし、現場の実務においては「どれが対象で、どれが対象外なのか」「建設現場で出た壊れたドリルはどうなるのか」という判断に迷う場面が多々あります。環境省は対象品目として「政令で定める28品目」を指定していますが、実際の運用や回収品目の選定は各自治体に委託されている部分もあり、地域によって回収できるものが異なる場合があるため注意が必要です。ここでは、建設従事者が知っておくべき対象品目の詳細と、業務上のリスク管理について深掘りしていきます。
参考)小型家電回収ボックスによる拠点回収について 堺市

環境省_小型家電リサイクル法 ~法律の概要・関係法令~
※環境省による公式の法律概要と、関連する政省令の全文が確認できるページです。

小型家電リサイクル法対象品目の一覧と携帯電話やパソコンの区分

 

小型家電リサイクル法の対象となる「政令指定28品目」は、非常に多岐にわたります。建設現場や事務所で日常的に使用される機器も数多く含まれており、適切な分類知識が不可欠です。環境省のガイドラインに基づき、主要な品目を整理します。​


  • 通信機器類


    • 携帯電話、スマートフォン、PHS

    • 電話機、ファクシミリ

    • これらの機器は個人情報を含むため、物理的破壊やデータ消去が回収の前提となることが多い品目です。


  • パソコン・事務機器類


    • パーソナルコンピュータ(モニター含む)、タブレット端末

    • プリンター、ハードディスク、USBメモリ

    • 電子辞書、電卓


  • 映像・音響機器類


    • デジタルカメラ、ビデオカメラ

    • DVDレコーダー、HDDレコーダー

    • 携帯音楽プレーヤー、ヘッドホン、イヤホン


  • 建設・作業関連機器(重要)


    • 電動工具(電気ドリル、電気グラインダー、電気サンダーなど)

    • 測定用電気機械器具(レーザー距離計、テスターなど)

    • 電気コード、ケーブル類、ACアダプター


  • その他


    • ゲーム機、電子書籍端末

    • 理容用機器(ドライヤー、電気シェーバー)

    • 懐中電灯、時計

特に注意が必要なのは、「家電リサイクル法」の対象である4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)との混同です。これらは小型家電リサイクル法の対象外であり、郵便局で購入する家電リサイクル券を用いた全く別の処分フローが必要となります。また、太陽光パネルや、取り外しに特殊な工事が必要な機器、電球・蛍光管などは、多くの自治体で小型家電回収の対象外とされているため、現場での解体時には分別を徹底しなければなりません。
参考)RKC 一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター

「パソコン」に関しては、資源有効利用促進法(PCリサイクル法)に基づくメーカー回収も存在しますが、小型家電リサイクル法の認定事業者に引き渡すことも可能です。認定事業者ルートであれば、メーカーごとの手続きが不要で、周辺機器とまとめて処理できるメリットがあります。
参考)読み解く!各種リサイクル法(1) ~小型家電リサイクル法~

環境省_小型家電リサイクル法 ~消費者の皆様へ(対象品目一覧)~
※消費者向けにわかりやすく解説された対象品目の一覧と、出し方のポイントが掲載されています。

環境省が定める自治体回収ボックスや認定事業者の処分方法

一般家庭から排出される場合と異なり、建設業などの事業活動に伴って排出される小型家電の処分ルートは厳格に定められています。まずは基本的な回収方法の全体像を把握し、その上で「誰に」「どのように」渡すべきかを理解しましょう。環境省は大きく分けて以下の4つの回収方式を推奨しています。
参考)https://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/attach/gl_collect130306.pdf


  1. ボックス回収


    • 公共施設(市役所、公民館)や大型スーパーなどに設置された「回収ボックス」に投入する方法です。

    • 投入口のサイズ(例:30cm×15cmなど)が決まっており、それに入るものが対象です。

    • 注意点: これは主に「一般家庭」からの排出を想定しています。事業所から出るゴミを無断で投入することは、廃棄物処理法違反になる可能性があります。


  2. ステーション回収


    • ゴミ集積所(ステーション)で、資源ゴミの日に回収する方法です。

    • 自治体指定のコンテナなどに入れる形式が一般的です。


  3. ピックアップ回収


    • 不燃ゴミや粗大ゴミとして出されたものの中から、清掃工場などで作業員が手作業で選別し、小型家電としてリサイクルラインへ回す方法です。


  4. イベント回収


    • 地域のイベント会場などで臨時に回収窓口を設ける方式です。

そして、最も重要なのが**「認定事業者」による回収**です。これは、環境大臣および経済産業大臣から「適正にリサイクルを行う能力がある」と認定を受けた事業者のことです。
参考)小型家電リサイクル法とは - 一般社団法人 小型家電リサイク…

認定事業者を利用する最大のメリットは、廃棄物処理業の許可を持たない事業者であっても、特例として使用済み小型家電の回収が認められている点です。通常、廃棄物を運搬・処分するには厳格な許可が必要ですが、この法認定を受けた事業者は広域的に回収を行うことが可能です。これにより、複数の現場や支店を持つ建設会社でも、契約を一元化しやすくなります。
また、認定事業者は高度なセキュリティ管理や環境対策が義務付けられているため、パソコンやタブレット等のデータ漏洩リスクが高い機器を処分する際も、物理破壊や強固なデータ消去プロセスを経て処理されるため安心です。回収料金については事業者や品目によって異なり、「パソコンを含むなら無料」「ダンボール1箱で〇〇円」といった宅配回収サービスを展開している認定事業者も増えています。
参考)小型家電リサイクル

一般社団法人 小型家電リサイクル協会
※認定事業者の一覧や、回収を行っている事業者検索、最新のニュースが確認できる公式サイトです。

建設業の事業所から出る小型家電リサイクル法対象品目の扱い

建設業の皆様が最も注意しなければならないのが、**「排出者責任」「産業廃棄物」**の区分です。
原則として、小型家電リサイクル法に基づく市町村の無料回収(ボックス回収など)は、「一般家庭」から排出される廃棄物を対象としています。会社の事務所で使用していたパソコン、現場で使用して壊れた電動工具、社用の携帯電話などは、すべて**「事業活動に伴って生じた廃棄物」**とみなされます。
参考)小型家電リサイクル

したがって、これらを市役所の回収ボックスにこっそり捨てる行為は不法投棄とみなされるリスクがあります。事業者は以下のいずれかの方法で適正に処理する必要があります。


  • 産業廃棄物として処理する


    • 従来のルール通り、産業廃棄物収集運搬業者および処分業者と委託契約を結び、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行して処理を委託します。

    • 「廃プラスチック類」「金属くず」「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」などの混合廃棄物として扱われることが一般的です。


  • 小型家電リサイクル法の認定事業者に引き渡す


    • 同法第7条では、事業者は認定事業者へ引き渡すよう「努めなければならない(努力義務)」とされています。​

    • 認定事業者に引き渡す場合、マニフェストの発行は必須ではありませんが、企業のコンプライアンス管理として、リサイクル完了報告書などを発行してもらう契約にしておくことが望ましいでしょう。

    • 一部の認定事業者は、法人向けの回収サービスを強化しており、セキュリティ輸送や資産除去債務の対応など、企業ニーズに合わせたプランを提供しています。

特に建設現場では、解体工事に伴って残置物としての家電製品が出てくるケースがあります。この場合、元々家庭にあったものであっても、解体業者が請け負って撤去する場合は「業者の事業活動に伴う廃棄物(=産業廃棄物)」となるのか、発注者(施主)が排出者として自治体の処分を利用するのかで、法的解釈とコストが大きく変わります。
参考)https://www.okamura-sangyo-53.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/12/51cfa14c946163d26b52cdf7e667d7db.pdf

環境省のガイドラインや自治体の条例によっては、残置物の扱いについて細かな規定があるため、「施主様ご自身でボックスに入れてください」と案内するのか、業者が「産廃」として引き取るのか、事前に明確な取り決めをしておくことが、トラブル防止の鍵となります。
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)_産廃知識 基礎編
※産業廃棄物の定義やマニフェスト制度など、建設業者が必ず押さえておくべき基礎知識が網羅されています。

小型家電リサイクル法対象品目としての電動工具と都市鉱山の可能性

多くの解説記事ではパソコンやスマートフォンに注目が集まりがちですが、建設業界ならではの視点として**「電動工具」**のリサイクル価値について触れておく必要があります。これは一般的な検索上位記事ではあまり深く語られない、独自性の高い視点です。
近年主流となっている充電式のインパクトドライバー、ドリル、グラインダーなどの高性能電動工具には、小型で強力なモーターが搭載されています。これらのモーター、特にブラシレスモーターには、ネオジム磁石などの高性能磁石が使用されており、そこには**「ネオジム(Neodymium)」「ジスプロシウム(Dysprosium)」**といった希少なレアアースが含まれています。
参考)https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y0324-05/mat02.pdf

従来のスクラップ処理(破砕して鉄とアルミだけを回収する方法)では、これらのレアアースはスラグ(溶解残渣)として埋め立てられたり、鉄と一緒に溶かされて消失したりしていました。しかし、小型家電リサイクル法の認定事業者による高度な選別ルートに乗せることで、基板からの金・銀・パラジウム回収だけでなく、モーター部分からのレアアース回収の道が開かれます。
建設会社として、壊れた工具を単なる「鉄くず」として売却・廃棄するのではなく、認定事業者を通じた「資源リサイクル」に回すことは、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも非常に高いPR効果を持ちます。特にISO14001などの環境マネジメントシステムを取得している建設会社にとっては、電動工具のリサイクルフロー確立は、具体的な環境負荷低減活動の実績としてアピールできる材料になります。
さらに、レーザー墨出し器や測量機器などの精密機器には、一般的な家電よりも高品質な電子基板が使用されていることが多く、これらもまた「都市鉱山」としての品位が高い廃棄物です。現場のゴミ箱に無造作に捨てるのではなく、「資源」として分別保管し、認定事業者へ引き渡すルートを構築することは、資源枯渇リスクへの備えというマクロな視点だけでなく、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも重要な戦略となり得るのです。
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
※日本の都市鉱山埋蔵量の推計や、レアメタルリサイクル技術の最先端研究情報を発信している研究機関です。

 

 


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