pH調整のやり方と建設現場での排水処理の基本手順

pH調整のやり方と建設現場での排水処理の基本手順

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pH調整のやり方と建設現場での排水処理の正しい手順

pH調整をせずに排水しても、目視で水がきれいなら問題ないと思っていませんか?実は透明な排水でもpH12超えの強アルカリ性であることがあり、そのまま流せば50万円以下の罰金が科される可能性があります。


この記事でわかること
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排水基準とリスク

建設現場の排水は河川放流でpH5.8〜8.6が基準。違反すると水質汚濁防止法により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になります。

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pH調整の基本手順

①pHメーターで現状値を測定→②pH調整剤を選定して投入→③再測定で基準値内を確認→④放流の4ステップが基本です。

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コストへの影響

pH調整をせずに凝集剤を投入すると、薬品使用量が最大3倍に膨らむことがあります。先にpHを整えることでコストを大幅に削減できます。


pH調整のやり方の前に知るべき「排水基準」と法的リスク


建設現場のコンクリート打設や型枠の洗浄作業では、セメントに含まれる水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)が溶け出し、強いアルカリ性の排水が発生します。マンション建設現場などでは、洗い水やはつり後の廃水がpH11〜12.5程度に達することは珍しくありません。


基準は明確です。公共水域(河川・水路など)への放流は「pH5.8以上8.6以下」、海域への放流は「pH5.0以上9.0以下」が水質汚濁防止法の一律排水基準で定められています(環境省)。


法令を知らなかったでは済まされません。排水基準に適合しない排出水を流した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(水質汚濁防止法第31条第1項)。過失の場合でも、3ヶ月以下の禁錮または30万円以下の罰金の対象です。


つまり、工事現場で意図せずpH基準超過の排水を流してしまっても、「知らなかった」では通用しないということです。「透明できれいに見える水だから大丈夫」という認識は危険です。pH12のコンクリート洗浄水は、見た目が透き通っていても家庭用漂白剤(pH12.5)と同等の強アルカリ性を持っています。





























放流先 pH基準範囲 根拠法令
公共水域(河川・水路) pH 5.8〜8.6 水質汚濁防止法 一律排水基準
海域 pH 5.0〜9.0 水質汚濁防止法 一律排水基準
下水道(製造業等) pH 5.8〜8.6 下水道法
下水道(一般) pH 5.0〜9.0 下水道法


pH管理は環境配慮の話だけでなく、現場の責任者が直接問われる法的問題です。これが基本です。


参考:水質汚濁防止法に基づく排水基準と罰則の詳細(環境省・兵庫県環境局)
水質汚濁防止法の概要 - ひょうごの環境(兵庫県)


pH調整のやり方の第一歩:pHメーターと試験紙による正確な測定

pH調整を始める前に、まず現状のpHを正確に把握することが不可欠です。どれだけ優れたpH調整剤を使っても、現在値がわからなければ「どのくらい投入すればよいか」の判断ができません。


測定方法は主に2種類あります。まずpH試験紙(リトマス試験紙)を使う方法で、安価で手軽に使えるのが利点ですが、色の見方に個人差が出やすく、目安としての確認にとどまります。現場での精度を求めるなら、デジタルpHメーター(pH計)を使うのが基本です。


現場でのpHメーターの使い方は以下の順序で進めます。



  • 📌 校正(キャリブレーション):測定前にpH4とpH7の2種類の標準液を使った「2点校正」を実施する。測定値の信頼性を確保するために必須の作業です。

  • 📌 電極の洗浄:校正前・測定前に電極を純水でよく洗い、汚れや気泡を除去する。

  • 📌 電極の浸漬:排水サンプルに電極を浸し、表示値が安定するまで待つ(通常30秒〜1分程度)。

  • 📌 測定値の記録:測定したpH値と日時を記録に残す。pH記録は排水管理の証拠としても機能します。


注意が必要なのは、校正に使った標準液を再利用しないことです。使い回しをすると標準液が汚染され、校正精度が落ちてしまいます。測定値が不正確なら話になりません。


また、建設現場のように排水のpHが大きく変動する環境では、少なくとも1日1回、できれば処理の前後に測定するのが望ましいとされています。pH電極の寿命は使用状況によって異なりますが、劣化すると校正後の傾き(スロープ)が95〜103%の正常範囲から外れるため、定期的な電極交換も忘れないようにしましょう。


参考:pHメーターの正確な使い方と校正方法について
pH測定器の選び方と使い方|種類・仕組み・校正方法・トラブル対応 - セイスイ工業


pH調整のやり方:調整剤の種類と正しい投入手順

pHの現在値が確認できたら、いよいよpH調整剤を投入するステップです。薬品の種類は「下げたいか、上げたいか」で選び方が変わります。


建設現場で最も多いのは、コンクリートやセメント由来の「アルカリ性排水のpHを下げる」ケースです。代表的な調整剤は以下の3種類です。



  • 🔵 希硫酸(H₂SO₄):最もよく使われる酸性pH調整剤。中和効果が高く処理能力に優れますが、「劇物」に分類されており、取扱いには法定の教育・保護具着用が必要です。カルシウム分が多い排水に使うと硫酸カルシウムのスケールが生じる場合があるため注意が必要です。

  • 🔵 炭酸ガス(CO₂):炭酸ガスを排水に吹き込むことでpHを下げる方法。過剰投入してもpHが酸性側に傾きすぎない安全性があり、劇物指定を受けないため取り扱いの届け出が基本不要です。建設現場での採用実績が多く、自動中和処理装置と組み合わせて使われます。

  • 🔵 希塩酸(HCl):酸性pHへの調整に使えますが、塩素ガスが発生するリスクがあり、コンクリート洗浄水など建設現場での使用例は希硫酸や炭酸ガス方式に比べて少ないです。


投入手順の基本は「少量ずつ、撹拌しながら投入し、再測定を繰り返す」という方法です。一度に大量に入れると過剰中和でpHが今度は酸性側に振れてしまい、再調整が必要になります。


薬品投入のながれをまとめると、次の通りです。



  1. 排水をノッチタンク(沈殿槽)に一時貯留する

  2. pHメーターで現状値を確認する(例:pH11.5)

  3. 目標pH(例:pH7〜8)に向けて調整剤を少量ずつ投入する

  4. 槽内を撹拌して均一に混合する

  5. pHを再測定し、基準値内(5.8〜8.6)に入っていれば放流可能と判断する

  6. 測定結果を記録に残す


pH調整剤は安価なものが多いですが、取り扱いが要注意なものがほとんどです。これが原則です。希硫酸を扱う際は必ず防護メガネ・耐酸性手袋・保護衣を着用し、誤って皮膚に付着した場合はすぐに大量の水で洗い流してください。


参考:建設現場向けのアルカリ排水中和剤の使い方と具体的な手順について
アルカリ中和剤(工事現場用)の使用方法 - ETS水処理.COM


pH調整のやり方が凝集剤コストを左右する理由

「どうせ最終的に凝集処理をするなら、pHはあとで合わせればいい」と考えていませんか?ここが、現場での大きなコストロスにつながる落とし穴です。


pH調整の有無によって、使用する凝集剤の量が最大3倍以上変わることがあります。これは、凝集剤が持つ「最も効果を発揮するpH帯(一般的にpH6〜8付近)」があるためです。pH8のアルカリ性排水に凝集剤をそのまま投入しても、凝集反応がなかなか進まず、大量の薬品が無駄になってしまいます。


先にpH調整をして最適なpH帯に整えてから凝集剤を投入する、という順序が正解です。たとえば1日の処理量が10㎥の小規模現場でも、pH調整の有無で凝集剤のコストに数千円〜数万円単位の差が出ることがあります。


痛いですね。


さらに、pH調整が不十分なまま凝集処理をすると、処理後の排水のpHも基準を超えたままになりやすく、最終的に再処理が必要になるケースも出てきます。つまり「pH調整を省いてコスト削減」は、むしろコスト増になるということです。


なお、小規模現場(排水量10㎥/日程度)では、pH調整を別途行わなくても凝集処理が完結する「粉末一剤型凝集剤」という選択肢もあります。劇物を扱うことなく凝集処理ができるため、管理負担の軽減につながります。排水処理の手間を少しでも減らしたいなら、採用を検討する価値があります。


参考:pH調整と凝集剤の関係性、コスト面の詳細解説
pH調整が排水処理の鍵!排水基準や調整方法などをわかりやすく解説 - nextry


pH調整のやり方を炭酸ガス方式で自動化する現場の実例

建設現場でのpH調整をより確実かつ効率的に行うには、炭酸ガス方式のpH自動中和処理装置の活用が有力な選択肢です。希硫酸方式と比較すると、それぞれに特徴があります。


































比較項目 炭酸ガス方式 希硫酸方式
反応速度 速い(気体の拡散が早い) 速い
過剰投入リスク 低い(pH6以下にはなりにくい) 高い(酸性側に振れやすい)
劇物指定 原則不要 必要(取扱届け出・保護具等)
維持管理 比較的容易 やや手間がかかる
スケール問題 ほぼなし カルシウム排水で発生しやすい


炭酸ガス式は中和反応が速く、万が一過剰投入しても処理水のpHが異常に低下しない安全性が高い方法です。鶴見製作所(ツルミポンプ)などが製造するpH自動中和処理装置では、槽内のpH電極が値を検知し、設定値を超えれば炭酸ガスの注入電磁弁が開き、設定値以下になれば閉じるON-OFF制御方式が採用されています。


これは使えそうです。


実際の使用事例として、マンション建設現場では生コン洗い水やはつり廃水のpHが11〜12.5程度に達することが多く、炭酸ガス方式の自動中和装置でpH7前後まで中和処理してから放流しているケースがあります。ISO14001の環境管理の一環として導入した公共施設建築現場での実績もあります。


炭酸ガス方式の装置は台車型でコンパクトにまとまっており、折りたたみハンドル付きで現場内の移動も容易です。処理能力によってサイズが異なり、小規模向け(1〜3㎥/時)から大規模向け(6〜15㎥/時)まで選べます。レンタルサービスも展開されているため、工期ごとに必要な規模を選んで借りることも可能です。


参考:建設現場向け炭酸ガス式pH自動中和処理装置の仕様と使用事例
pH中和処理装置(炭酸ガス方式)レント - 株式会社レント


pH調整が見落とされがちな場面:セメント系地盤改良工事と独自視点の注意点

コンクリートやモルタルの洗い水に目が行きがちですが、建設現場でのpH問題はそれだけではありません。見落とされやすいのが、セメント系固化材を使った「地盤改良工事」後の土壌と排水です。


東邦グリーンインフラの研究によると、セメント系固化材で改良した土壌のpHは最低pH8.0、最高pH12.0に達することがあり、対象面積は1物件あたり最小30㎡〜最大50,000㎡に及んでいます。地表面のpHが下がっていても、地表から10cmの深さではpH11.3のままということが調査データで示されています(セメント協会、1985)。


「雨が降れば自然にpHは下がるから大丈夫」という考え方は危険です。自然降雨によるpH降下はあてにならないことが実証されています。


この視点が重要な理由があります。地盤改良後の土壌から雨水や地下水がアルカリ性排水として流れ出すことがあり、「工事中は管理していたけれど完了後に問題が発生した」というケースに発展しかねないからです。特に次のような状況では注意が必要です。



  • ⚠️ 地盤改良工事後の雨天時:改良土がアルカリ性のまま残っていると、雨水が排水側溝に流入する際にpH超過が発生する。

  • ⚠️ 再生砕石の使用時:コンクリート由来の再生砕石が植栽基盤や埋め戻し土に混入すると、長期間にわたりpH11〜12の浸出水が出続ける可能性がある。

  • ⚠️ 地下工事後の湧水処理:シールド工事やトンネル工事では、セメント系裏込め材がpH12前後の強アルカリ性湧水を発生させることがある。


こうした場面では、工事完了後もpHのモニタリングを続け、基準超過が確認されたらその都度pH調整(中和剤の投入や炭酸化促進など)を行う体制が必要です。pH問題は「工事中だけの話」ではないということを覚えておけばOKです。


参考:セメント系アルカリ障害の原因・影響・対策の研究データ
コンクリートのpHは12.6 - 東邦グリーンインフラ アルカリガイド




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