

立上り端部用シール材は、防水層そのものではなく、防水シートや塗膜の端部を「終わらせる」ための仕上げとして機能する材料です。 屋上防水では立上りとシート接合部、端末部、パラペット天端など、雨水が最後に入り込む可能性があるラインに集中的に使用されます。
塩ビシート防水や加硫ゴムシート防水では、継ぎ目や端部、コーナーなどに隙間が生じやすく、そこを補うのが立上り端部用シール材の役割です。 こうした部分のシールを怠ると、見た目には水がかからなさそうな位置でも湿気や毛細管現象によってシートが徐々に浮き、剥離につながることが報告されています。1st-construction-toranomaki+2
一級建築士試験や施工管理技士試験の問題でも、立上り防水層末端部を押え金物で固定し、適切な系統のシール材で処理するかどうかが頻出ポイントとなっており、設計段階から重要なディテールとして扱われています。 つまり、立上り端部用シール材は「現場判断でなんとなく塗るもの」ではなく、仕様書・標準ディテールとセットで設計されるべき部材です。ads3d+3
立上り端部用シール材として一般的に使われるのは、変成シリコーン系、ポリウレタン系、ゴムアスファルト系、さらに一部ではアクリル系やシリコーン系などです。 それぞれ耐候性、塗装の可否、可塑剤との相性、下地との密着性などが異なるため、用途を踏まえた選定が欠かせません。
変成シリコーン系は、シリコーンと同等の耐候性を持ちながら塗料密着性に優れ、外装目地や露出部のシールとして広く使われています。 シリコーン系よりやや高価ですが、外壁タイル目地や屋上笠木のつなぎ目など、上から塗装しない立上り端部に適した選択肢です。sekisui-fuller+1
ポリウレタン系は、弾性・追従性に優れ、アスファルト防水の端部などで用いられますが、紫外線や水分の影響を受けやすく、上から塗膜防水や保護仕上げをかぶせる前提で使うことが多い系統です。 一方、ゴムアスファルト系シール材はアスファルト系防水との相性がよく、立上りの押さえ金物と一体で末端を処理するケースが試験問題でも取り上げられています。3244650.fc2+2
床仕上材の世界では、タジマの「VGシール」のように、ビニル床シートの立ち上げ部やシート端部専用に設計されたウレタン樹脂系シーリング材も存在します。 これらは滑り止め機能を持つ防滑シートの端部処理に特化し、色数も豊富で仕上がりを意識したラインナップになっている点が一般の建築シーリング材と異なる特徴です。
参考)タジマ 【VGシール】 シーリング材 (2本/箱) ビュージ…
立上り端部用シール材の施工は、単に「隙間を埋める」作業ではなく、目地設計と下地処理、プライマー、仕上げの一連の流れの中で考える必要があります。 立上り入隅は面取りして応力集中を抑え、防水層の立上り末端は必ず金物固定または専用パーツで押さえる、という基本が多くの技術資料で繰り返し示されています。
シーリング施工では、三面接着を避けるためのボンドブレーカーやバックアップ材の使用が重要です。 鉄筋コンクリート外壁のひび割れ誘発目地でボンドブレーカーを省き三面接着にすると不適切とされるように、立上り端部でも「動く面は二面接着」が基本原則であり、これを外すと数年で割れが発生することがあります。bousuikouji+2
また、防水メーカーが公表している屋上防水システムでは、立上り端部アンカー固定工法や接合端部の処理に専用シール材やFLシールなどの製品を組み合わせる納まり例が示されています。 仕様書通りのプライマー・シール材を使わず、現場在庫のシーリング材で「間に合わせる」と、メーカー保証の対象外となるだけでなく、塩ビシートの可塑剤により軟化・ベタつきが起こる事例も報告されています。sekisui-fuller+1
立上り端部用シール材で多いトラブルは、ひび割れ、剥離、変色・汚染、そして防水シートとの界面からの水の回り込みです。 ひび割れや剥離の背景には、温度変化や地震による動きに対して硬すぎる材料の選定、三面接着による応力集中、目地幅・深さの不足などの設計・施工上の要因があります。
意外と見落とされがちなのが、「水が直接かからないから大丈夫だろう」と判断された笠木裏や立上り頂部の裏側のシールです。 実際には、風雨や毛細管現象、結露水がじわじわと侵入し、立上り防水の裏側からシートが膨れたり、サビ汁が出たりする例が現場レポートで報告されています。doctor-homes+1
さらに、外壁塗装との取り合いで、シリコーン系シール材が立上り端部に使われているケースも問題になります。 シリコーンは塗料密着性が低く、上からの再塗装時に塗膜がはじかれ、端部だけ早期に劣化する原因となるため、将来の改修を見据えた材料選定が必要です。bousuikouji+1
立上り端部用シール材は、施工完了時だけ完璧でも、10年・15年スパンで見れば「消耗部材」としての扱いが現実的です。 屋上防水やバルコニー防水の点検時には、防水層本体の膨れや亀裂だけでなく、立上り端部のシールに爪を立ててみて柔らかさと付着を確認するなど、意図的に端部に着目したチェックが有効です。
また、施工時に立上り端部用シール材のメーカー・品番・色番を記録写真とともに残し、図面や工事写真台帳に明記しておくと、改修時の材料選定がスムーズになります。 特にVGシールのような内装用の専用シーリング材は色合わせが重要になるため、竣工後数年経ってから同色を探す際、この情報があるかどうかで手間が大きく変わります。wako-dou-store+1
独自の運用として、立上り端部シールを「一年点検時に必ず確認するチェックリスト項目」として明文化し、写真付きで管理者に引き継ぐ運用を採用しているビルもあります。 こうしたルール化により、軽微なシール切れを早期に補修でき、結果として大規模な防水改修の周期を伸ばすことにつながります。doctor-homes+2
参考リンク:立上り端部を含む防水ディテールの基本と注意点を整理した技術資料(立上り端部用シール材の配置を検討する際に有用)
一般社団法人 日本防水材料協会「屋上防水ディテールのポイント」