

ベント管を多く使えば使うほど、圧送がスムーズになると思っていませんか?実際は逆で、ベント管1本が直管6m分もの圧力損失を生み出し、ポンプの能力不足や閉塞を引き起こします。
コンクリートポンプ車は、ミキサー車(正式名称:トラックアジテータ)から受け取った生コンクリートを油圧・機械力で配管に押し込み、型枠へ圧送する専用車両です。その配管系統の中で「曲がり部分」を受け持つのがベント管(ベンド管)です。カタカナの「ノ」の字のような形をしており、直管同士をつなぐ方向転換のジョイントとして機能します。
現場では直管だけで型枠にたどり着けることはほぼありません。ブームの折り曲がり部分や障害物の回避、縦・横方向への切り替え箇所など、必ずといっていいほどカーブが生じます。そのたびにベント管が使われます。
ベント管の角度は主に45°・90°・180°の3種類です。最も多用されるのは90°タイプで、配管を垂直に切り替える場面で活躍します。規格は外径と長さの組み合わせで4B(100A)・5B(125A)・6B(150A)に大別されており、使用するポンプの仕様や粗骨材の最大寸法に合わせて選定します。
重要なのは管径の選定ルールです。輸送管の内径は粗骨材の最大寸法の4倍以上を確保することが求められています。粗骨材の最大寸法が25mmであれば、最低でも内径100mm(4B)以上の管径を使わなければならない計算になります。これを下回ると粗骨材が管内で詰まりやすくなり、閉塞のリスクが急上昇します。つまり管径の選定が条件です。
| 規格 | 外径目安 | 対応する粗骨材最大寸法の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 4B(100A) | 約114mm | 25mm以下 | 比較的短距離・小規模工事 |
| 5B(125A) | 約140mm | 40mm以下 | 一般的な建築・土木工事 |
| 6B(150A) | 約165mm | 40mm・大骨材 | 大型構造物・長距離圧送 |
なお、似た部材に「エルボ管」があります。エルボ管は型に素材を流し込んで成形するのに対し、ベント管は既存のパイプを加工して曲げる製法が一般的です。ただし機能・角度のバリエーションともにほぼ同じであり、現場では混用されることも多いです。区別が曖昧でも実務に支障はありません。
ベント管の数と位置を軽視すると、ポンプの能力計算が狂います。これは多くの現場担当者が見落としがちなポイントです。
コンクリートポンプ圧送において、機械にかかる「圧送負荷 P」は次の式で求められます。
$$P = K(L + 3B + 2T + 2F) + W_0 H \times 10^{-3}$$
| 記号 | 意味 |
|------|------|
| P | 圧送負荷(N/mm²) |
| K | 水平管1m当たりの管内圧力損失 |
| L | 直管の長さ(m) |
| B | ベント管の長さ(水平換算) |
| T | テーパ管の長さ(水平換算) |
| F | フレキシブルホースの長さ(水平換算) |
| W₀ | 生コンの単位容積質量×重力加速度 |
| H | 圧送高さ(m) |
ここで重要なのが「3B」という係数です。ベント管1本の水平換算距離は、一般的な指針値で直管6m相当(係数3×実長2m=6m)とされています。これはコンクリートが曲がり部を通過する際に受ける摩擦抵抗と乱流の影響が、直管に比べてはるかに大きいためです。
具体例で考えてみましょう。90°ベント管(実長約2m)を5本使った場合、その水平換算距離だけで30mになります。これはA4用紙を横に並べると約333枚分、実際の工事用車1台分の配管延長に匹敵する数値です。直管50mと合わせれば水平換算80m相当の負荷がポンプにかかることになります。
さらに、高強度コンクリートや超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を圧送する場合、ベント管の水平換算係数が通常のコンクリートより大きくなる実験データも報告されています(大成建設 技術研究報告 2023年)。特殊配合のコンクリートを扱う現場では、指針値の係数をそのまま使うと圧送負荷を過小評価するリスクがあります。注意が必要ですね。
この計算をもとに、コンクリートポンプは最大理論吐出圧力が圧送負荷Pの1.25倍以上になる機種を選定することが基本です。それが原則です。計画段階でベント管の本数・位置を見直すだけで、適切な機種への変更や閉塞リスクの低減につながります。
参考:コンクリートのポンプ施工指針に関する技術的な質疑応答(土木学会)
土木学会 コンクリートポンプ施工指針 Q&A(PDF)
「どこにベント管を置くか」で、圧送中の閉塞リスクが大きく変わります。意外ですね。
日本建築学会近畿支部材料・施工部会によるフィールド実験(2018年)では、同じ配合・同じ吐出量のコンクリートを圧送した場合でも、ベント管の位置が異なるだけで管内圧力損失が変化することが確認されています。特にテーパ管(径が変わる管)の前後にベント管が来る配置は、局所的な乱流と材料分離を起こしやすく、閉塞の引き金になりやすいです。
実際の失敗事例として、ダム建設現場でのトラブルが記録されています。高台のステージから40m下方の底版コンクリートを打設した際、配管がほぼストレートに伸びた状態だったため、コンクリートが高速で落下しました。配管中央部と内周面で速度差が生じ、粗骨材とモルタル分が分離して詰まりが発生しました。スランプ8cm・粗骨材最大寸法40mm・管径125Aという条件での圧送でした。
この事例から学べることは「下向き配管はストレートにしてはいけない」という点です。途中にベント管やフレキシブルホースで意図的にカーブを設けることで、コンクリートの流下速度を抑制し、材料分離を防ぐ効果があります。配管の途中を「コの字」や「W字」に曲げるのは見た目は非効率に見えますが、下向き配管では有効な対策になります。これは使えそうです。
閉塞が起きやすい主な条件は以下のとおりです。
これらの条件が重なるほど閉塞リスクが上がります。閉塞が発生すると、配管の分解・清掃・再組立に数十分〜数時間を要し、生コンの打設タイムリミット(外気温25℃以上では練り混ぜから打設終了まで90分以内)が迫る中でのロスタイムとなります。閉塞1回で現場全体がストップするリスクがある点は、時間・コスト両面でのデメリットとして十分認識しておく必要があります。
参考:下向き配管での閉塞事例(コンクリートコム)
コンクリートコム:現場の失敗と対策「下向きポンプ配管での閉塞」
コンクリートを圧送する前には、必ず「先送りモルタル」を配管内に流し込みます。これは配管内壁に潤滑膜を作り、生コンが直接鉄管に触れてペースト分が剥離するのを防ぐためです。先送りモルタルがないまま圧送すると、コンクリートのモルタル分が管壁にへばりつき、骨材だけが集まってバサバサになり、閉塞の直接原因となります。
先送りモルタルは必須です。ただし、この先送りモルタルには隠れたコストが存在します。0.5㎥(一般的な1回の使用量)あたり約70,000円の負担になるとの試算があります(PUMPMAN 2025年)。さらに、打設後の先送りモルタルは産業廃棄物として処分しなければなりません。大林組の試算では国内建設現場全体で年間60万m³ものモルタルが廃棄されているとされ、環境負荷の問題としても取り上げられています。
ベント管とこのコストはどう関係するのでしょうか?ベント管が多いほど配管総延長(水平換算)が伸びます。配管が長くなればなるほど先送りモルタルの必要量も増え、廃棄量も増えます。つまりベント管の増加は先送りモルタルコストの増大にも直結しているのです。
先送りモルタルの廃棄コスト削減と環境対策に関心がある場合、国土技術政策総合研究所の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された代替先行材の活用も検討できます。セメントレスのプレミックス型先行材などは施工3ステップで使え、廃棄処理が不要なものもあります。圧送計画の初期段階で先行材の種類を検討することが、トータルコスト削減につながります。
先送りモルタルの量はベント管の数と配管計画に大きく左右されます。配管設計の段階でベント管を最小限に抑えることが、コスト削減の第一歩になります。コスト削減が条件です。
参考:先送りモルタルの産廃問題と代替材の動向
大林組:コンクリート打設時の先送りモルタルが不要な「ノン先送りモルタル工法」を開発
圧送計画書を作成する際、ベント管の「本数」を記載している現場は多いですが、「どこに配置するか」まで明記しているケースは意外と少ないです。これが現場トラブルの温床になっています。
前述の学会実験が示すように、ベント管・テーパ管の配置順序は管内圧力損失の大きさに直接影響します。本数が同じでも位置が違えばリスクレベルが変わります。特に注意が必要なのは「テーパ管の直後にベント管を置くパターン」です。テーパ管(径が絞られる部分)を通過したコンクリートは流速が変化しており、そこにすぐカーブが来ると乱流が発生しやすくなります。配管を設計する際には「テーパ管とベント管の間には直管を1本以上挟む」ことが望ましいです。それが原則です。
さらに「ベント管の摩耗管理」も見落とされがちです。ベント管はコンクリートの流れが曲がる部分であるため、外カーブ側(コンクリートが押し付けられる側)の摩耗が内カーブ側よりも早く進みます。管壁の厚みが減るとピンホールが開き、高圧の生コンが噴出する事故につながります。コンクリートポンプ車の耐用年数は約6年程度とされていますが、ベント管などの消耗部品は車体よりも早く交換サイクルが来ることが一般的です。
現場での摩耗確認のポイントは以下のとおりです。
摩耗による管破損は、コンクリートの飛散という重大な安全事故につながります。高圧で送り込まれた生コンが配管破裂で噴出すると、作業員に直撃するリスクがあります。ベント管の摩耗管理はコスト(交換費用)と安全(事故リスク)の両面で軽視できない作業です。
圧送計画書にベント管の配置図・型番・累積使用量を明記する運用にしておけば、管理不足による事故を未然に防ぐことができます。現場全体での情報共有が大切ですね。
これまで解説してきたベント管に関する知識を、実際の施工に活かすためのまとめを整理します。
まず、ポンプ選定の基本に戻ります。コンクリートポンプは、圧送負荷Pの1.25倍以上の最大理論吐出圧力を持つ機種を選ぶことがルールです。この計算の中にベント管の水平換算距離が含まれるため、ベント管の本数を正確に把握しないとポンプ能力が不足し、途中で圧送できなくなります。
スランプ値の管理も重要です。スランプが大きいほど圧力損失は小さくなり、圧送距離・吐出量ともに有利になります。閉塞を起こしやすい下向き配管や長距離圧送では、高流動コンクリート(スランプ18cm以上)を選択することも対策の一つです。ただし、スランプが大きすぎると材料分離や構造体強度への影響が出るため、設計強度を確認した上で調整します。
管径は粗骨材の最大寸法の4倍以上を守ることが基本です。ただし大きな管径を使えばポンプの吐出量と設備コストも変わります。100A(4B)で小規模・近距離、125A(5B)で標準的な建築・土木工事、150A(6B)で大型構造物・長距離圧送という使い分けが一般的です。
施工当日の確認事項をまとめると。
コンクリートポンプ圧送は、配管設計・機種選定・コンクリート配合・施工手順のすべてが連動した工程です。ベント管1本のミスが圧送中断・工程遅延・安全事故につながるリスクを、あらためて認識しておくことが大切です。専門的な圧送計画が必要な場合は、「登録コンクリート圧送基幹技能者」の資格保有者への相談も有効な手段です。
圧送計画全体の参考になる指針として、全国圧送連合会の「最新 コンクリートポンプ圧送マニュアル」があります。
全国圧送連合会:最新コンクリートポンプ圧送マニュアル(PDF)

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