液位計フロートの種類と選び方と設置の注意点

液位計フロートの種類と選び方と設置の注意点

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液位計フロートの仕組みと正しい選び方・設置のポイント

フロート式の液位計は「浮くものは何でも計れる」と思われがちですが、実は比重が0.7未満の液体ではフロートが沈んでオーバーフローを起こすことがあります。


この記事でわかること
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フロート式液位計の仕組みと原理

浮力を利用した構造の基本を解説。マグネットとリードスイッチの働きから、なぜ「比重」が選定の最重要項目になるのかを理解できます。

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建築設備現場で起きやすいトラブルと原因

固着・誤作動・オーバーフローなど、実際の現場で起きた事例をもとにトラブルの原因と対処法を紹介します。

フロート式液位計の正しい選び方と代替案

液体の種類・設置環境・用途別に、フロート式が向く場面と向かない場面を整理。他方式との使い分け基準も明確にします。


液位計フロートの仕組みと基本原理


液位計(レベル計)のフロート式は、液体に浮かべたフロート(浮き)が液面の上下に応じて動く仕組みを利用した計測機器です。構造がシンプルで理解しやすく、歴史的にも古くから工場や建築設備の現場で使われてきました。


具体的には、フロート内部に磁石(マグネット)が内蔵されており、ステム(支柱)の中に等間隔で配置されたリードスイッチが、フロートの位置に応じてON/OFFします。この抵抗値の変化を電気信号として出力することで、液面の高さを連続的またはポイントで検出します。つまり浮力の変化を電気信号に変換するのが基本です。


建築設備の現場では、受水槽・排水槽・汚水槽・雑排水槽など、水位の管理が必要な場所に広く採用されています。コストバランスが優れているのが最大の理由で、電極棒式と組み合わせて使われるケースも多く見られます。


フロート式には大きく分けて「レベルスイッチ(接点信号)」と「レベル計(連続計測)」の2種類があります。


| 種類 | 出力 | 用途 |
|---|---|---|
| レベルスイッチ(1点・多点) | ON/OFF接点信号 | 満水・減水アラーム、ポンプ制御 |
| レベル計(連続計測) | アナログ信号(4〜20mA等) | 液量の連続監視 |


また、フロートの材質もSUS304/SUS316などの金属製と、塩酸・苛性ソーダなどの腐食性液体に対応する樹脂製(PVC・PP・PFA)があり、用途に応じて選定します。材質の選定が基本です。


参考:フロート式レベル計の原理・種類・注意点をまとめた専門解説ページ
フロート式レベル計 原理と選定 山本電機工業


液位計フロートが使えない条件と比重・粘度の落とし穴

フロート式の液位計には、「どんな液体にも使える」というイメージを持っている方が少なくありません。ところが実際には、使用できない液体の条件が複数あり、選定を誤ると計測不能やオーバーフローの原因になります。


まず最も重要なのが「比重」の確認です。フロートが液体に浮くためには、フロートの比重より液体の比重が大きい必要があります。たとえば、軽質油やアルコール系溶剤のように比重が0.7前後の液体では、標準的なフロートが沈んでしまい、正常な液位検出ができません。これは出費につながる見落としですね。比重の確認が条件です。


次に「粘度」の問題があります。蜂蜜のような高粘度液体(粘度の目安は約1,000 mPa·s以上)では、フロートが動くべき位置に到達しても液体の抵抗で動作が遅れたり、最悪まったく動かなくなります。この状態でポンプ制御に使っていると、空運転や過充填を引き起こすリスクがあります。


さらに見落としやすいのが「磁性体の混入」です。フロート式の液位計はマグネットを使った仕組みのため、液体中に鉄粉などの磁性体が含まれていると、マグネット周囲に鉄粉が付着してリードスイッチが誤作動します。切削加工ラインのクーラントタンクや冷却水回路など、金属くずが混入しやすい環境では使用を避けるのが原則です。


以下にフロート式液位計が使用できない・不向きな条件をまとめます。


- 比重が低すぎる液体(目安:液体比重がフロート設計比重を下回る場合)→ 浮かない
- 高粘度液体(蜂蜜状・スラリー状)→ フロートが動かない
- 鉄粉・磁性体を含む液体→ マグネットに付着して誤動作
- 強磁界が発生する環境(電解槽・大型モーター近傍)→ 外部磁界による誤作動
- 付着物・スケールが多い液体→ フロートとガイドパイプの隙間が詰まり固着


参考:フロート式を含む各種レベル計の特長・短所を比較した解説
フロートガイドパイプ式レベルスイッチ 原理と構造|KEYENCE


液位計フロートの設置時に建築現場で起きやすいトラブル事例

建築設備の現場でフロート式液位計を設置する際、理論上は問題ないはずでも、実際の使用環境では様々なトラブルが起きています。代表的な事例を把握しておくことが、無駄な工事費や水道代のロスを防ぐ近道です。


【事例1】スラッジ固着によるオーバーフロー


汚水槽や排水槽では、液体中に汚泥(スラッジ)や固形物が浮遊しています。これらがフロートとガイドパイプの隙間に少しずつ蓄積すると、ある日突然フロートが動かなくなります。フロートが液面の上昇に追従しないため、満水アラームが発報されず、水槽からオーバーフローが発生します。水があふれると水道代が無駄になるだけでなく、あふれた水が建物内に回ってしまう二次被害のリスクもあります。これは痛いですね。


【事例2】波立ちによる誤検知


受水槽への給水口の真下や、曝気装置の近くにフロートを設置すると、液面の波立ちによってフロートが不規則に上下し、ポンプの頻繁な発停(ハンチング)が起きることがあります。ポンプへの負荷が増大し、寿命を縮める原因になります。この対策として「防波管(ストームパイプ)」の取り付けが有効です。防波管の設置が原則です。


【事例3】強磁界による誤作動


電磁弁や大型モーターの近くにフロート式液位計を設置した場合、外部から発生する強い磁界がリードスイッチに干渉し、液面とは無関係なON/OFF信号が出力されることがあります。制御パネル側から見ると「頻繁に満水・減水を繰り返す」という症状が出るため、現地確認なしには原因特定が困難です。電気的なトラブルに見えることが多いので注意が必要です。


【事例4】材質の不一致による腐食・破損


排水処理施設や化学薬品を扱う設備では、液体のpHが強酸性・強アルカリ性であることがあります。SUS304製のフロートでも、塩化物イオンが多い液体では孔食(ピッティング)が発生し、1〜2年でフロートが破損することがあります。SUS316Lへのグレードアップや樹脂製フロートへの変更を最初から検討するのが賢明です。


参考:フロート式液位計のトラブル事例と対策を紹介したページ
フロート式のトラブル対策事例|レベルセンサ塾 KEYENCE


液位計フロートの正しい選定手順と他方式との使い分け

フロート式液位計の選定で失敗しないためには、「液体の性状」→「設置環境」→「検出目的」の順で確認を進めるのが正しいアプローチです。この順番が基本です。


ステップ1:液体の性状を確認する


最初に確認すべきは、液体の比重・粘度・腐食性・混入物の4点です。比重が使用予定のフロートの設計比重(多くの場合0.85前後)を下回っていないか、粘度が高くないかを必ずスペックシートで確認します。腐食性がある場合は材質をSUS316L以上または樹脂製にします。


ステップ2:設置環境を確認する


波立ちや流れがある場所では防波管が必要です。磁界発生源の近くでは他方式の検討が必要になります。タンク・槽の深さに応じてステムの長さを指定し、制御したい液面高さに応じてフロートの位置を決めます。


ステップ3:検出目的を明確にする


「ポンプの起動・停止制御のみ(2点)」なのか、「満水・復帰・減水・渇水まで必要(4点以上)」なのかによって、フロートの数が変わります。受水槽の場合は一般的に電極棒式(フロートレス)との組み合わせで4〜5点制御が標準的です。


フロート式が向かない場合の代替方式として、以下を参考にしてください。


| 状況 | 代替として有力な方式 |
|---|---|
| 付着・固着が多い環境 | ガイドパルス式(電波誘導式) |
| 粘性が高い液体 | 静電容量式 |
| メンテナンスをほぼゼロにしたい | 超音波式・電波式(非接触) |
| 強磁界がある環境 | 電極式(フロートレス) |
| 腐食性が非常に強い液体 | 樹脂製フロート式またはガイドパルス式 |


参考:各種液面計の種類と特徴を解説したプラントエンジニア向け記事
【計装】プラントで使用される液面計(レベル計)の種類と特徴の解説


液位計フロートのメンテナンス周期と長寿命化のポイント(独自視点)

フロート式液位計は「可動部がある」という構造上の宿命から、定期的なメンテナンスが必要です。ところが、建築設備の現場では「設置したら数年は触らない」という扱いをされているケースが少なくありません。これがトラブルの温床です。


農業水利施設の機能保全に関する国土交通省の資料でも「故障頻度が多くなったフロート式水位計を交換する」という表現が登場しており、フロート式は消耗品として計画的に交換することが前提の機器だと考えるべきです。目安として、汚水・排水系の環境では3〜5年ごとの点検・清掃、7〜10年ごとの交換が推奨されています。結論は定期交換が前提です。


メンテナンスで特に注意すべき3つのポイントを整理します。


- フロートとガイドパイプの隙間のスラッジ除去:定期清掃で固着を防ぐ。清掃は必ず電源を落としてから実施する。


- リードスイッチの動作確認:フロートを手で動かしてON/OFFが正常に切り替わるか確認する。動作がぎこちない場合は早期交換を検討する。


- フロート本体の腐食・変形確認:フロートに孔食や変形があると比重バランスが崩れ、浮力が変化する。変形は問題ありません、という判断は禁物です。


長寿命化のための設計段階での工夫としては、「フロートとガイドパイプの材質を液体に合わせた最適なものにすること」「波立ちがある環境では最初から防波管を設けること」「予備品を1〜2セット現場に常備しておくこと」の3点が有効です。これは使えそうです。


建築設備の維持管理においては、建築物衛生法に基づき排水設備は6ヶ月以内ごとに1回の清掃が義務付けられています(厚生労働省規定)。この清掃のタイミングで液位計フロートの状態確認をあわせて実施するのが、最もコストを抑えた管理方法です。法定清掃のタイミングを活用するのが条件です。


参考:排水設備のメンテナンスに関する厚生労働省の管理基準(第4章)
第4章 排水の管理 排水設備の維持管理方法|厚生労働省


液位計フロートに関するよくある誤解と現場での正しい知識

フロート式液位計についての誤解は、経験豊富な建築設備の担当者の間でも根強く残っています。よくある誤解を正しく理解しておくことで、無駄なトラブルを事前に防げます。


誤解1:「フロート式は電気的特性に影響されないから水ならすべて使える」


確かにフロート式は液体の導電率・比誘電率に依存しないという大きな利点があります。しかしこれは「液体の電気的な特性を選ばない」という意味であって、「どんな液体にも使える」という意味ではありません。比重・粘度・混入物の確認は必須です。


誤解2:「安価だからメンテナンスが不要」


初期費用が安いことと、維持管理が不要であることは別の話です。むしろ可動部を持つフロート式は、固着・腐食・変形といった劣化が起きやすく、高頻度のメンテナンスが必要な方式です。ガイドパルス式や超音波式のほうが長期的なランニングコストは低いケースもあります。意外ですね。


誤解3:「警報が出ていないから正常に動いている」


フロートが固着して動けない状態になっていると、警報もポンプ信号も出ません。「何も警報が出ていない=正常」ではなく、「動作確認をしていないだけかもしれない」という認識を持つことが重要です。定期的な動作確認が必須です。


誤解4:「フロートレスイッチ(電極棒式)と同じと思っている」


建築設備の現場では、電極式(フロートレス式)とフロート式が混在して設置されていることがあります。電極式は液体の導電性を利用するため、純水・油・薬液では使えません。一方フロート式は電気的特性に依存しませんが、比重・粘度の制約があります。それぞれ得意な領域が異なる、という認識が正しいです。これだけ覚えておけばOKです。


誤解5:「縦型と横型はどちらでも同じ」


フロート式レベルスイッチには、タンク上部から縦に挿入する「縦ざし(ガイドパイプ式)」と、タンク側面から横に取り付ける「横ざし(ボールフロート式)」があります。縦ざしは1台で多点検出が可能で、フロートの数を増やすだけで検出ポイントを追加できる利点があります。横ざしは構造が単純ですが、検出ポイントごとに1台必要です。設置スペースと検出ポイント数が選定の条件です。


参考:各方式の長所・短所を詳しく比較した水位計の総合解説
水位計の種類 原理や長所・短所・向いているケースを詳しく紹介|アカサカテック




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