エポキシ樹脂系接着剤 特徴 建築補修 強度 耐久性

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 建築補修 強度 耐久性

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エポキシ樹脂系接着剤 特徴 建築活用

エポキシ樹脂系接着剤の建築現場での素性
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高強度と高耐久性

コンクリートと鋼材の接着やひび割れ補修に用いられる理由を、圧縮・せん断強度や付着性の観点から整理します。

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耐薬品性・耐水性の特徴

油や塩分、水分が存在する過酷環境で性能を維持できるエポキシ樹脂系接着剤の性質を、他材料との比較で解説します。

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施工性と失敗パターン

可使時間、硬化条件、下地処理の注意点など、建築従事者が現場でつまずきやすいポイントを具体例とともに紹介します。

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 基本性能と建築用JIS規格


エポキシ樹脂系接着剤は、熱硬化性樹脂をベースとした二液反応型の構造用接着剤であり、硬化後は高い接着強さと寸法安定性、優れた耐薬品性・耐水性・耐熱性を併せ持つことが大きな特徴です。 建築分野ではモルタルやタイル、コンクリートひび割れ補修や浮き補修、アンカーピン固定などを対象とした「建築補修用及び建築補強用エポキシ樹脂」に関してJIS A 6024が規定されており、注入形・パテ状・含浸接着形などの種類ごとに接着強さや引張特性、耐久性試験方法が細かく定められています。
JIS A 6024では、標準養生条件や試験体サイズ、引張せん断接着強さ試験の試験速度(1.5±0.2 mm/minなど)が明示されており、これにより建築補修用エポキシの品質と性能が客観的に比較できるようになっています。 また、注入エポキシ樹脂、パテ状エポキシ樹脂、含浸接着エポキシ樹脂といった種類ごとに適用される試験項目が異なり、用途に応じて必要な性能を満たしているかを確認することが求められます。
エポキシ樹脂接着剤の硬化物は、電気的特性や機械特性、基材との密着性に優れるため、土木建築だけでなく輸送機、船舶、電気電子分野にも広く使われており、建築現場ではとくに長期に大きな荷重がかかる接合部での使用を想定した設計が行われます。 一方で、熱硬化性であるがゆえに再溶解や再成形が基本的にはできず、補修や解体時の取り扱いを前提にしたディテール設計が重要になる点も、建築従事者が押さえておくべき特徴と言えます。
建築分野での代表的な特長としては、まず高い接着強度と剛性が挙げられます。 コンクリートや鋼材、石材などの硬質基材への付着性が高く、構造用接着やひび割れ補修材として利用されるほか、エポキシモルタルやエポキシグラウトとして床下機械基礎などの高荷重部に用いられます。 また、硬化収縮が小さく、すき間充填能力が高いため、アンカー孔やジャンカ・欠損部の充填、鉄骨とコンクリートの隙間充填などにも適しています。alpha-kogyo+3​
耐薬品性・耐油性・耐水性にも優れ、潤滑油や燃料油が存在する機械基礎や、水分と酸素が入り込みやすい鉄筋コンクリート部の防食用途にも使われます。 エポキシモルタルやエポキシグラウトは、セメント系に比べて油濁による劣化に強く、腐食要因となる水や酸素の浸透を抑制するため、鋼材の防錆にも寄与します。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
あまり知られていない点として、エポキシ樹脂モルタルは硬化時の発熱が比較的小さい配合設計が可能であり、その結果としてコンクリートと鉄骨の隙間を比較的大きく取った上で厚み40 mm程度の層を形成しても、内部に有害な温度ひずみを生じにくいという報告があります。 これにより、大型構造物の補強や鋼板巻き立て工法などで、施工誤差をある程度吸収しながらも高い一体性を確保できる点は、現場の自由度を高める実務的なメリットになります。data.jci-net+1​
参考リンク:エポキシ樹脂接着剤の基本特性と建築用途の整理に有用
エポキシ樹脂接着剤 – SANYO CHEMICAL MAGAZINE

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 種類別の用途とメリット・デメリット

エポキシ樹脂系接着剤は、同じ「エポキシ」と呼ばれていても、注入型、パテ状(可とう性タイプを含む)、含浸接着型、モルタル・グラウト型などに細分され、それぞれ建築用途と特徴が異なります。 注入型はひび割れ内部や細い隙間に低粘度で入り込むことが求められ、コンクリートのひび割れ補修やあと施工アンカーなどへの使用が一般的で、流動性と硬化後の高い接着強度がメリットになります。
パテ状エポキシ樹脂は、欠損部の充填や段差調整、タイル・石材の浮き補修などで用いられ、可とう性タイプでは微小なひび割れ追従性とタレにくさが重視されます。 含浸接着型は、繊維シート補強工法(FRP巻き立てなど)の含浸樹脂として使用され、繊維との濡れ性や機械的特性、長期耐久性のバランスが重要になります。
建築分野で特徴的なのは、エポキシモルタル・エポキシグラウトの位置付けです。 これらはエポキシ樹脂をバインダーとし、骨材を混合したもので、セメントモルタルに比べて圧縮強度・引張強度・接着強度が高く、高靱性で繰り返し荷重に耐えることができます。 特に機械基礎や柱脚周りで、潤滑油や燃料油が漏れやすい環境においても、油による劣化が小さく長期に安定した支持が可能であるため、セメント系グラウトの代替として選定されるケースが増えています。alpha-kogyo+1​
一方で、エポキシ系接着剤にはデメリットも存在します。 代表的なものとして、セメント系材料に比べて材料単価が高いこと、可使時間(ポットライフ)が限定され温度条件によって大きく変動すること、硬化後は剛性が高く、基材の変形を吸収しにくい場合があることが挙げられます。 また、可とう性パテ状エポキシは柔軟性を持たせているとはいえ、ゴム系やポリウレタン系シーリング材ほどの大変形追従性はないため、構造目地や大きな動きのある部位には不向きであり、用途の見極めが重要です。bond+3​
さらに、建築補修用・補強用エポキシでは、JIS適合品であるかどうかが品質保証の一つの目安となりますが、同じJIS適合でも粘度、硬化時間、硬化後弾性率などは製品ごとに大きく異なります。 施工者側が仕様書やカタログから「室温○℃でのゲルタイム」「硬化時間」「施工可能温度範囲」を把握し、施工計画に織り込まないと、可使時間切れや冬期の硬化遅延によるトラブルにつながるため、材料選定と施工計画をセットで検討することが求められます。kikakurui+2​
参考リンク:エポキシモルタル/グラウトの物性比較や建築基礎への活用例に有用
エポキシモルタル/グラウトとセメントモルタル/グラウトの物性比較

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 施工手順と下地処理・失敗例

エポキシ樹脂系接着剤の性能を最大限に引き出すには、適切な下地処理と混合・塗布手順の管理が不可欠です。 代表的な下地処理としては、コンクリートやモルタル表面のレイタンス除去、油分・汚れの除去、素地の乾燥状態の確認があり、とくに油が浸透した機械基礎では油抜きや表層除去を十分に行わないと接着不良の原因になります。 また、鋼材に対してはさび・ミルスケールの除去や適切な粗面化(ブラスト処理など)が推奨されており、表面処理レベルによって長期付着性能が大きく変わることが知られています。
混合においては、主剤と硬化剤を規定の混合比(質量比1:1など)で正確に計量し、底や壁面に未混合部が残らないよう十分に撹拌することが重要です。 多くのメーカーは、プライマー塗布や二度塗りを推奨しており、例えばパテ状エポキシでは専用プライマーを事前に塗布することで、下地への浸透と界面付着力の向上を図る施工仕様が提示されています。
一方で、現場で頻発する失敗例には共通パターンがあります。sanyo-chemical+1​

  • 可使時間を超えてゲル化が始まった材料を、もったいないからと無理に使い続けた結果、密着不良や硬化不良が生じるケース
  • 冬期に低温環境のまま施工し、硬化が極端に遅れて早期荷重をかけてしまい、ひび割れや付着切れを起こすケース
  • 湿潤下地や結露面にそのまま施工し、界面に水膜が残って接着強さが大きく低下するケース
  • 研磨粉や塵埃を十分に除去しないまま塗布し、界面に粉塵層が残って「粉ごと剥がれる」ような剥離が生じるケース

などが典型的です。kenken+1​
建築補修用エポキシ樹脂では、JIS A 6024の耐久性試験条件(温度サイクルや湿潤条件)を満たす製品であっても、施工時の養生条件が守られないと想定性能が発揮できません。 例えば、標準条件Dや接着耐久性条件として規定される温度・湿度範囲外での施工や、所定養生時間を短縮した荷重載荷は、特にあと施工アンカーや鋼板接着補強のような構造部位で致命的な不具合につながります。kikakurui+1​
あまり知られていないポイントとして、建研などの実験では、あと施工アンカーの引抜き耐力が、単にエポキシ樹脂の種類だけでなく、座堀り寸法や孔径、周辺コンクリートの拘束条件に大きく影響されることが指摘されており、接着系アンカーの性能は「材料+施工+ディテール」の組み合わせで評価すべきとされています。 そのため、現場での「ちょっとした変更」—例えば孔径を一つ上のサイズにする、孔底清掃を省略する—といった判断が、想定耐力を大きく下回る結果を招く可能性があることを、施工者全員で共有しておく必要があります。data.jci-net+1​
参考リンク:あと施工アンカー用接着剤の性能試験と施工条件の影響を詳しく解説
接着系あと施工アンカー単体の性能および品質確認試験

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 長期耐久性・環境条件と最新動向

エポキシ樹脂系接着剤は、適切な配合と施工が行われれば、厳しい環境条件下でも長期にわたり性能を維持できることが、多数の研究で示されています。 例えば、エポキシ–シリカ系コーティングによる鉄筋の防食研究では、エポキシと無機フィラーの組み合わせが塩化物イオン浸透や炭酸化に対する優れたバリア性を発揮し、鉄筋腐食を抑制することが報告されています。 また、エポキシ樹脂にナノフィラーや熱伝導性フィラーを加えることで、構造接着と同時に放熱・熱管理機能を付与した高性能接着材の開発も進んでおり、高温環境や電子機器周辺の建築部材に応用されつつあります。
建築現場で意識すべき環境条件としては、温度と湿度、化学薬品への暴露、凍結融解の繰り返しなどがあります。 エポキシ樹脂系接着剤は、一般に耐熱性・耐寒性に優れており、例えばあるエポキシ系接着剤シリーズでは使用温度範囲の目安として約−30℃~+80℃が示されていますが、これはあくまで一般的な目安であり、長期荷重を負担する構造部では設計温度域での性能確認が必要です。
近年の動向として注目されるのが、環境負荷低減とリサイクル性を志向したエポキシ樹脂系接着剤の開発です。 従来のエポキシは架橋構造を形成するため一度硬化すると再溶融が困難でしたが、動的ホウ酸エステル結合を組み込んだ「組み立て直し可能・リサイクル可能・自己修復性エポキシ接着剤」では、加熱などの条件下で結合が可逆的に組み替わり、再接着や自己修復が可能な材料が報告されています。 さらに、植物由来のエポキシ樹脂や天然繊維補強エポキシコンポジットなど、再生可能資源を用いた建設・自動車用途向け材料の研究も進んでおり、将来的には建築接着剤にもバイオベースエポキシが導入される可能性があります。mdpi+2​
健康・安全面では、エポキシ樹脂系接着剤に含まれる成分の一部が皮膚感作性や揮発性有機化合物(VOC)排出の観点から規制対象となる場合があり、各国で安全データシート(SDS)の整備と安全な取扱いが求められています。 建築現場では、手袋・保護メガネ・換気など基本的な保護対策に加え、長期的には低VOC型・無溶剤型の高性能エポキシ接着剤への切り替えが進むと考えられます。mdpi+1​
参考リンク:エポキシ接着剤の機械性能・環境影響・健康影響をまとめた最新レビュー
Comprehensive Investigation of Epoxy Adhesives for Structural Applications

エポキシ樹脂系接着剤 特徴 建築現場ならではの選定と「効き過ぎリスク」

建築従事者の現場感覚として意識しておきたいのが、「エポキシは効き過ぎる」という一見逆説的な特徴です。 エポキシ樹脂系接着剤は、セメント系材料に比べて高い接着強度と剛性を持つため、適切に使えば構造性能を大きく向上させられる一方、ディテールや周辺部材の追従性が不足していると、応力集中を招いて別の箇所にひび割れや損傷を誘発してしまうことがあります。 例えば、鉄骨とコンクリートの隙間を高強度エポキシモルタルで完全に充填した場合、局所的な剛性が周囲より極端に高くなり、地震時にその周辺でひび割れが発生しやすくなるケースが報告されています。
また、タイルの浮き補修に高強度エポキシ注入材を用いた場合、タイル自体は強固に固定されるものの、下地側にひび割れが進展する、あるいは他のタイルとの段差や音響的な違和感が生じることがあります。 このように、「とにかく強ければよい」という発想だけでエポキシ樹脂系接着剤を選定すると、局所的な性能向上が全体としての耐久性や維持管理性を損なうリスクがあるため、周辺部材の剛性バランスや将来の改修方法まで視野に入れた設計・選定が重要です。
現場での具体的な選定ポイントとしては、次のような観点が挙げられます。sanyo-chemical+1​

  • 「構造性能を高めたい部位」か「ひび割れ・欠損の進行を抑えたい部位」かを明確にし、必要以上の剛性・強度を求めない
  • 温度条件や作業時間から、注入型・パテ型・モルタル型のうち最も施工リスクの少ないタイプを選ぶ
  • 将来の撤去・打ち替えを想定する場合は、全面接着ではなくピンポイント補修や柔軟タイプの活用も検討する
  • セメント系材料との組み合わせ部では、エポキシ部分だけが突出して硬くならないよう、厚みや範囲を調整する

さらに、研究レベルでは、エポキシ樹脂に柔軟な熱可塑エラストマーやゴム粒子、ブロックポリマーをブレンドした「タフ化エポキシ接着剤」が開発されており、剛性と靱性のバランスをとりながら、剥離や衝撃に対する抵抗性を高める試みが進んでいます。 これらは自動車や航空機分野で先行しているものの、建築分野でも地震時の衝撃や繰り返し荷重に対する耐久性向上に寄与する可能性があり、「効き過ぎるエポキシ」を「しなやかに効くエポキシ」へと変えていく技術として注目されます。mdpi+2​
参考リンク:エポキシ接着接合部の力学性状とモルタル厚さ・隙間条件の影響を扱う研究
エポキシ樹脂を用いた接着接合部の力学性状に関する研究




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