

不乾性配管パテは、ポリブテン樹脂やポリオレフィン系樹脂などを基材とした、永久に硬化しないパテ状シール材で、長期的な化学的安定性と密着性に優れている点が特徴です。 硬化しないため、配管やケーブルの微小な動きや躯体の変形に追従しやすく、クラックが入りにくいことから、長期にわたりシール性能を維持しやすい材料として採用されています。
電気配線の壁貫通部や配電盤内、エアコン配管回りなどで隙間充填材として広く使用され、結露対策や防虫・防塵対策としても重宝されています。 また、弾力とタックがあるため、施工時に手で練りやすく、既設配管まわりの不定形なすき間にも押し込みやすいことから、現場での取り回しの良さが評価されています。hermetic+2
一般的なシーリング材と異なり、パテ全体が均一な固まりとして存在し続けるため、一部を切り出して再利用したり、将来的な再配線時に容易に撤去して再充填できる点も、不乾性配管パテ特有のメリットです。 建物のライフサイクルを考えたときに「あとからいじれる余地」を残せる材料として意外に価値が高く、更新頻度の高い電線管路や弱電配管まわりでは、計画的に採用する設計者も増えています。shinohara-elec+1
不乾性配管パテの代表的な用途として、電気配線の壁・床貫通部のシール、配電盤やキュービクル内の開口部封止、エアコン用配管の壁貫通穴のすき間埋めなどが挙げられます。 これらの場面では、防虫・防塵・防湿・簡易止水を目的とした「一次シール材」として活用され、施工性とメンテナンス性が求められるケースが多くなります。
一方で、防火区画を貫通する配管まわりの埋め戻しに、不乾性配管パテをそのまま使用することは原則として認められない点に注意が必要です。 建築基準法施行令第129条の2の5では、防火区画を貫通する配管は不燃材料とすることが求められ、配管と開口部の隙間も不燃材で埋め戻す必要があるため、可燃性であることが多い不乾性パテでは法令を満たさないケースが大半です。ipros+2
防火区画に求められるのは、一定時間以上の耐火性能と、火炎・煙の透過防止であり、国土交通大臣認定を受けた不燃パテや耐火パテを使用するのが基本です。 実務上は、不乾性配管パテを防火区画の一次止水に用いた上で、仕上げとして不燃パテやエポキシ樹脂で所定厚さを確保する仕様が採用されることもありますが、その場合も各メーカーの認定仕様や技術資料を確認したうえでディテールを決定することが重要です。inaba+3
不乾性配管パテの性能を引き出すうえで、下地処理は見落とされがちですが非常に重要な工程です。 施工前には、配管や躯体の接着面から、埃、モルタル屑、油分、さび、コケ類などの汚れをワイヤーブラシやサンドペーパーで除去し、乾燥した清潔な状態にすることでシール効果が向上します。
一般的な施工手順としては、まず必要量のパテを手でよく練り、柔らかくしてから、配管とスリーブ・躯体のすき間に押し込むように充填していきます。 止水性が求められる場合は、漏水方向の下部から左右、上部の順に充填していくと効率的で、ケーブルのねじれ部や交差部にも丁寧にパテを押し込むことで漏水の逃げ道を塞ぎやすくなります。hermetic+1
漏水が生じている管路に対しては、「水が流れている状態でも施工可能」と明記された不乾性パテを選定し、標準施工厚さや充填長さの目安(例えば管内100mm以上など)を技術資料で確認しておくと安全です。 止水後に防火・耐火性能が求められる箇所では、上から不燃パテや耐火パテを所定厚さでかぶせる二重構造とすることで、止水と耐火の両方の性能を確保することができます。hermetic+2
防火区画を貫通する配管まわりでは、「どこまでが不乾性配管パテの守備範囲で、どこからが不燃パテやモルタル代用パテの領域なのか」を明確に整理しておくことが重要です。 建築基準法施行令第129条の2の5および関連告示では、防火区画貫通部に不燃材料を用いることや、貫通部近傍の不燃性配管長さに関する条件が規定されており、難燃性・可燃性配管の場合には不乾性パテでの処理が認められないケースもあります。
近年では、「モルタル代用パテ」として不燃性認定(例:NM-4224)を取得した硬化型不燃パテが市販されており、不燃配管の防火区画貫通部埋め戻し材として使用されています。 これらは硬化後にモルタル同等の強度を発揮し、配管を強固に固定できる一方、撤去や再配管が難しいというトレードオフがあるため、更新頻度や将来の改修計画を踏まえた材料選定が求められます。ipros+1
不乾性配管パテは、あくまで「可とう性・施工性・メンテナンス性」を重視したシール材であり、防火区画における耐火性能は基本的に期待できません。 実務では、防火区画貫通部において、不乾性配管パテを仮シールや止水用途に限定し、その上から認定取得済みの耐火パテや不燃パテで仕上げる仕様が多く採用されているため、各メーカーの技術資料と国交省の告示を照らし合わせながらディテールを確認することが重要です。inaba+3
このように「不乾性配管パテ=配管用パテ=防火パテ」と短絡的に捉えると、図面上では問題なさそうに見えても、実際には防火区画が成立していないリスクが生じます。建築従事者としては、材料名称だけで判断せず、不燃認定の有無、用途区分、防火区画での使用可否を一つひとつ確認していく姿勢が、安全な設計・施工の前提条件になります。taihei-shoko+1
不乾性配管パテは建築設備の配管まわりだけでなく、石油コンビナートなどの防災分野でも、止液・止水用資機材として有効性が検証されています。 消防庁の資料では、土のうと防水シート、不乾性パテを組み合わせることで、地盤条件が悪い場所でも高い止液性能を確保できることが示されており、軽量で施工性が高いことから、緊急時の応急対策材料としても評価されています。
この応用例は、建築現場の仮設排水や一時的な漏水対策にも応用可能で、配管貫通部だけでなく、床スラブのひび割れやシーリング切れ部分からの漏水に対し、一時的な止水材として不乾性配管パテを活用するヒントになります。 特に、水が流れている状態でも施工可能なタイプであれば、ポンプ停止やバルブ閉止が難しい状況でも最低限の止水を行い、その後に本格的な補修工事に移行する「時間を稼ぐ材料」として使うことができます。fdma+2
メンテナンスの観点では、長期的に硬化しないことで、経年後の撤去や再充填が容易であり、将来的な改修性を重視する設備設計に適合しやすい点も、あまり知られていない価値と言えます。 定期点検時に既存の不乾性配管パテを一部除去し、内部の腐食や漏水状況を目視確認してから、同じ材料で簡単に復旧できるため、「点検性を損なわないシール材」としての使い方も検討する価値があります。mirai+1
防災・メンテナンスの両面で重要なのは、「緊急時に現場にあるものでどう止めるか」を想定した材料ストック計画です。電材倉庫に不乾性配管パテを常備しておくことで、配管まわりだけでなく、想定外の漏水・漏液トラブルに対しても多用途に対応できる、現場目線のレジリエンス向上につながります。hermetic+1
防火区画貫通部の仕様整理と、耐火パテ・不燃パテとの区別の参考になる技術資料です。
因幡電機産業「耐火パテ 技術資料」
不乾性配管パテを含む止水パテの特長や、漏水中施工・再配線への対応について詳しく解説した資料です。
ヘルメチック「ウォーターストッパブルパテ 概要」
防火区画における配管・パテの使い分けと、建築基準法上の考え方が整理された解説資料です。