

ナイロンコーティング鋼管は、現場で切断や溶接をすると防食効果がゼロになります。
建築設備の現場で「ナイロン管」と呼ばれるものには、大きく2つの種類があります。1つは樹脂製のチューブ単体である「ナイロンチューブ(ナイロン管)」、もう1つは鋼管の内外面にナイロン樹脂を被覆した「ナイロンコーティング鋼管」です。この2種類を混同したまま現場で使うと、仕様の誤選択や施工ミスにつながることがあります。
ナイロンチューブは、ナイロン樹脂(ポリアミド系樹脂)を押し出し成形して作られる柔軟な管材です。空気圧配管・油圧配管・注油ラインなど、建設機械や空調機器の補機類まわりで広く使われています。特筆すべきは耐圧性能で、硬質タイプの最高使用圧力は最大2.0MPaに達するものもあり、同サイズのポリウレタンチューブ(約1.0MPa)と比べて2倍近い耐圧性を持っています。
一方、ナイロンコーティング鋼管は、配管用炭素鋼鋼管(SGP)の内外面にナイロン-11やナイロン-12といったポリアミド系樹脂粉体を熱融着させた複合管です。日本水道鋼管協会規格(WSP 067)に基づき、FNP(フランジ付)とRNP(リング付)の2記号に分類されます。色は白・グレーブルー・ブルーの3色があり、水道施設配管・冷却水配管・建築設備配管など幅広い用途に対応します。
つまり2種類が基本です。現場での用途を確認してから選ぶことが大切で、軽い補機ラインにはナイロンチューブ、本設の水道・空調配管にはナイロンコーティング鋼管を使うのが一般的な考え方です。
| 種類 | 材質・構造 | 主な用途 | 最高耐圧 |
|---|---|---|---|
| ナイロンチューブ(硬質) | ナイロン樹脂単体 | 空圧・油圧・注油配管 | 約2.0MPa |
| ナイロンチューブ(軟質) | ナイロン樹脂+可塑剤 | 狭小スペース・複雑ルート配管 | 硬質より低め |
| ナイロンコーティング鋼管(FNP/RNP) | SGP+ナイロン被覆(内外面) | 水道・冷却水・建築設備配管 | 1.0MPa |
参考:ナイロンコーティング鋼管(FNP・RNP)の規格詳細はこちらで確認できます。
ナイロンコーティング鋼管FNP,RNP の規格 WSP 067 – JTS東京規格情報サイト
ナイロンコーティング鋼管を選ぶ際に、最初に確認しなければならない数字があります。それは「使用温度60℃以下」という上限です。日本水道鋼管協会の公式Q&A(W067-1B1)にも明記されており、最高使用圧力は1.0MPaと定められています。
この60℃という上限は、現場では意外と見落とされがちです。冷却水配管では問題になるケースは少ないですが、空調の温水配管や給湯配管まわりでナイロンコーティング鋼管を使おうとしている場合は注意が必要です。温水の温度が60℃を超えると、ナイロン被覆が軟化・変形しやすくなり、密着性が低下して腐食が進行するリスクがあります。
さらにナイロンチューブ(樹脂単体)の場合、水を流す用途では別の問題も出てきます。ニッタ株式会社の公式FAQによれば、「ナイロンチューブを70℃以上の水で使用すると加水分解を起こしやすくなる」とされています。加水分解とは、水分子と熱の影響で樹脂の分子鎖が切断され、強度が著しく落ちる現象です。油の場合は100℃まで使用できる製品があるのに、水では70℃が事実上の限界になるわけです。これは意外ですね。
温度条件が厳しい環境での選択肢として、PA12(ナイロン-12)グレードの低吸水性ナイロン管があります。PA12はPA6(ナイロン6)に比べてアミド基の間隔が長いため、吸水率が大幅に低く(PA6が約3.5%に対しPA12は約0.3%)、加水分解の影響を受けにくい特性を持っています。温水ラインへの適用を検討している場合は、素材グレードの確認が必須です。
使用温度と耐圧、この2つが条件です。スペック表の最初にこの2点を確認する習慣をつけておくと、選定ミスを大幅に減らせます。
参考:ナイロンコーティング鋼管の使用温度・圧力の公式Q&Aはこちら。
ナイロンコーティング鋼管の使用条件(温度・圧力)Q&A – 日本水道鋼管協会 小径管部会
参考:ナイロンチューブの温水における加水分解に関する公式FAQはこちら。
ナイロンコーティング鋼管について、現場でよくある誤りがあります。「寸法が合わないから少し切ってしまおう」という判断です。これは厳禁です。
日本水道鋼管協会の公式回答(W067-3B2)には明確に書かれています。「配管現場での切断、溶接、曲げ加工はできません。全て工場製作品を使用します。」この一文が意味することは非常に大きいです。
現場でナイロンコーティング鋼管をカットしてしまうと、切断面のナイロン被覆が剥がれ、素地の鋼管が露出します。鋼管が露出した状態で水や腐食環境にさらされると、その部分から急速に錆が進行します。特に埋設配管や常時通水状態の配管では、被覆が1カ所でも途切れると、そこが起点となって腐食が管全体に広がるリスクがあります。溶接に至っては、熱でナイロン被覆全体が損傷するため論外です。
では現場でどうすればよいのでしょう。答えは「あらかじめ工場で寸法加工された管を発注すること」です。FNP・RNPは工場製作品が前提の管種であり、設計段階での寸法確定が施工品質を左右します。もし施工中にパイプレンチなどで表面に傷がついた場合でも、公式回答(W067-3B1)では「補修用塗料を塗布して補修する」ことが推奨されており、傷のまま放置することは認められていません。補修用塗料は各ナイロンコーティング鋼管メーカーから入手できるため、施工前に手元に用意しておくと安心です。
工場製作品が原則です。施工前の段取り段階で、寸法を確定させてから発注する流れを徹底することが、トラブル回避の最短ルートになります。
参考:ナイロンコーティング鋼管の現場加工に関するQ&Aはこちら。
ナイロンコーティング鋼管の切断・溶接・曲げ加工に関するQ&A – 日本水道鋼管協会
ナイロンコーティング鋼管が埋設管として評価される最大の理由は、電気絶縁性にあります。地中には、電気鉄道のレールや変電設備などから漏れた迷走電流が流れていることがあります。この電流が金属配管に流れ込むと「電食」と呼ばれる腐食を引き起こし、通常の腐食よりもはるかに速いペースで管を侵食します。
ナイロン被覆は電気絶縁体として機能するため、迷走電流が管体に流れ込む経路を物理的に遮断します。これにより、電食リスクの高い都市部の埋設環境においても高い耐久性を維持できます。使用実績としては約40年が報告されており(株式会社興和工業所のデータ)、これは塩ビライニング鋼管の一般的な耐用年数(20〜25年)と比較しても大きなアドバンテージです。
また、ナイロン-11やナイロン-12のコーティング材は、無味・無臭・無害の性質を持ち、日本水道協会の浸出試験にも合格しています。飲料水の輸送配管として使用が認められているため、上水水道施設の配管としても採用されています。赤水や白濁水が発生しないという点も、長期運用の観点で重要な特性です。
一方、地中埋設で注意すべきなのは、施工時の外面被覆へのダメージです。埋め戻しの際に砂利や尖った石が被覆に当たると、ピンホール(微細な穴)が生じ、そこから腐食が進行するケースがあります。被覆を傷つけないよう、埋め戻し材に細砂を使う、もしくは管の周囲をクッション材で保護することが現場レベルでの有効な対策です。
約40年が目安です。ただし、施工時に被覆を傷つけてしまうとその期待値は大きく損なわれるため、搬入・据え付け・埋め戻しの各工程での丁寧な取り扱いが長期耐久性を確保する鍵になります。
参考:ナイロンコーティング鋼管の耐久性・耐食性の詳細はこちら。
ナイロンチューブを現場で選ぶとき、「とりあえず柔らかい方が施工しやすい」と軟質タイプを選んでしまうケースは少なくありません。しかし環境によっては、これが後のトラブルの原因になります。
硬質ナイロンチューブは可塑剤を含まない純粋なナイロン樹脂100%で作られており、最高使用圧力は2.0MPaを超えるものもあります。耐熱性も高く、一般的に120℃前後まで対応できる製品が多く流通しています。油圧ラインや高圧空圧配管、高温流体の輸送など、過酷な条件下での使用に向いています。これは使えそうです。
一方、軟質ナイロンチューブは可塑剤を配合して柔軟性を持たせたタイプで、複雑な取り回しや狭小スペースへの配管作業がしやすいのが特徴です。ただし、可塑剤を含む分だけ耐圧性と耐熱性が硬質タイプより低くなります。高温多湿環境での長期保管では、可塑剤が表面に析出して白い粉状になることがあります(いわゆるブリード現象)。この現象が見られたチューブはそのまま使用を続けても性能に大きな影響はないとされていますが、製造後1年を目安に使い切ることが推奨されています。
現場での判断基準は圧力と温度の2点です。
また、ナイロンチューブは色のバリエーションが豊富(黒・白・青・赤・透明など)な製品が多く、複数の機器に接続するラインを色分けして管理することで、メンテナンス時の誤接続を防ぎやすくなります。空圧・油圧・水の各ラインを色で識別するルールを現場で設けると、後工程での管理コストを下げることにつながります。
ナイロン管の性能を現場で最大限に発揮するには、施工前の保管と搬入の段階から気を配る必要があります。この点は、他の鋼管類に比べて特有のリスクがあります。
まず保管環境についてです。ナイロンコーティング鋼管は、直射日光の当たる屋外に長期間放置すると、ナイロン被覆が紫外線で劣化しやすくなります。ナイロン樹脂は光・熱・酸化に対してある程度の耐性を持っていますが、ノンコート鋼管に比べると被覆面が傷みやすいのは否めません。屋根付きの屋内、もしくは遮光シートをかけた状態での保管が理想です。
次に搬入・運搬時の衝撃です。ナイロン被覆は0.3mm以上の厚みがあるため、外力への抵抗力はある程度備わっています。しかし、被覆が薄い箇所では鋭利な石や金属部材との接触で傷がつくことがあります。重要なのは「傷がついたかどうかを目視で確認できないケースがある」という点です。特に外面が汚れた状態で搬入された場合、被覆の細かなキズは見落とされがちです。搬入後に水や布で表面を清拭し、被覆の状態を確認してから据え付けに入ることを習慣化したいところです。
ナイロンチューブ(樹脂単体)については、製造後1年以内の使用が推奨されており、それを超えた製品は吸水や可塑剤の析出が進んでいる可能性があります。とりわけ高圧ラインに用いる場合は、チューブの状態確認を怠らないことが大切です。
これは必須の確認作業です。現場に搬入した段階でのコンディションチェックを設けることで、施工後のトラブルや手直し工事といった余計なコストを未然に防ぐことができます。
参考:ナイロンチューブの保管・取り扱い上の注意点(ニッタ株式会社の製品情報)
一般産業用チューブ(ナイロン)製品情報 – ニッタ株式会社

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