流動型無収縮グラウト材 特徴と施工方法と注意点

流動型無収縮グラウト材 特徴と施工方法と注意点

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流動型無収縮グラウト材の基礎知識

流動型無収縮グラウト材の概要
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用途と役割

鉄骨柱脚や機械基礎など、荷重を確実に伝えるための充填材として流動型無収縮グラウト材が用いられます。

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主な特徴

高い流動性と無収縮性により、狭い間隙も確実に充填しつつ、ブリーディングや沈下を抑えます。

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品質管理の重要性

水量管理や可使時間の把握が不十分だと、空隙や強度不足などの施工不良につながるため、事前計画が重要です。

流動型無収縮グラウト材の特徴とメリット

流動型無収縮グラウト材は、セメント系無収縮モルタルの一種で、優れた流動性を持ち、小さな間隙にも行き渡ることが最大の特徴です。ノンブリーディング性を有し、材料分離やブリーディングがほとんど起こらないため、充填後の沈下や収縮が小さく、鉄骨ベースや機械基礎と躯体コンクリートを一体化させやすい性質があります。
また、初期から長期にわたって安定した圧縮強度を発現するように設計されており、荷重伝達に必要な剛性と耐久性を確保しやすい材料です。一部の製品では耐熱性や耐海水性にも優れており、港湾構造物や高温環境下の設備基礎など、過酷な条件の現場にも適用可能です。taiheiyo-m+1​
現場では、袋ごとに標準水量や練り上がり容積が明示されており、例えば1袋あたり約4.0~4.3Lの水を加えることで約13L程度のモルタルが得られる製品もあります。このようなプレミックス型製品は、現場での配合ミスを減らし、品質のバラつきを抑えられる点もメリットです。kourocement+1​

流動型無収縮グラウト材の主な用途と使い分け

流動型無収縮グラウト材の代表的な用途として、鉄骨柱脚ベースプレート下のグラウト、アンカーボルト定着、機械基礎グラウト、鋼板巻き立ての空隙充填などが挙げられます。既存柱周りに鋼板を巻き立てて、その隙間にグラウト材を注入する耐震補強工事でも多用され、せん断耐力や変形能力の向上を図る役割を担います。
また、トンネル覆工背面の空洞部充填や、既設コンクリート壁増厚時の隙間充填など、構造物背面や狭隘部の空隙を確実に充てんする目的でも使用されます。一方で、パッド型のような低流動タイプのモルタルは、機械据付の根巻や欠損部補修など、コテ仕上げが主体となる用途に向けられ、流動型無収縮グラウト材とは明確に使い分けられています。tukigata+2​
用途別には、以下のような整理をしておくと現場判断がしやすくなります。


  • 鉄骨柱脚・機械基礎:高流動タイプの無収縮グラウト材でベース下の充填。
  • アンカー定着:流動型で包み込むように充填し、定着長の確保と無収縮性を両立。
  • 鋼板巻き立て・耐震補強:隙間の充填性と長期の強度安定性を重視した配合。
  • 欠損補修・根巻き:パッド型や一般モルタルを選択し、仕上げ性を優先。

このように、同じ「グラウト材」でも流動性や施工方法が異なるため、設計図書に「流動型無収縮グラウト材」と明記されているかを確認し、仕様を誤らないことが重要です。zumen+1​

流動型無収縮グラウト材の施工手順と型枠計画

流動型無収縮グラウト材の施工手順は、おおまかに「下地処理」「型枠組立とシール」「注入口・エア抜き口設置」「練り混ぜ」「注入」「養生」のステップで整理できます。最初に、充填部のレイタンス・泥・油分を除去し、吸水の大きい下地にはあらかじめ飽水させて表面の水を除去することで、急激な吸水によるひび割れや接着不良を防ぎます。
型枠は、流動性の高い材料を圧力をかけて注入しても変形・破損しないよう、剛性の高い木製または鋼製型枠を用い、継ぎ目はモルタルやシーリング材でしっかりシールします。注入口とエア抜き口を適切な位置に設置し、一方向から注入して反対側からオーバーフローを確認することで、空気だまりと未充填部を防止できます。actfactory+2​
施工時のポイントとして、ベースプレート下の最小すき間や流し込み距離に応じて、製品ごとの推奨スランプ値や流動時間を確認し、必要に応じてヘッド差を確保して自重流下を促す計画が有効です。特に大きな基礎や連続するベースプレートでは、注入方向や分割打設の計画を事前に検討しておくことで、現場でのトラブルを減らせます。mura-ken+4​

流動型無収縮グラウト材の施工不良と品質管理のポイント

流動型無収縮グラウト材でよく見られる施工不良として、「空隙・ジャンカ」「ブリーディング水の溜まり」「沈下・収縮による隙間」「強度不足」などが挙げられます。打設時に流動性が不足していると、ベースプレート下やアンカー周りに空気が残り、荷重伝達面積が不足する原因になります。また、規定以上に水を増やして流動性を稼ぐと、ブリーディングや材料分離を招き、圧縮強度の低下や沈下を引き起こします。
品質管理のポイントとして、以下のような管理項目を事前に明確にしておくと有効です。tukigata+2​

  • 水量管理:メーカー指定の範囲内で計量し、現場判断で水を継ぎ足さない。
  • 可使時間:外気温に応じて練り上がりから注入完了までの時間を逆算する。
  • 練り混ぜ方法:ミキサー種別(強制・自由)と練り時間を守り、ダマや材料分離を防ぐ。
  • 試験練り:事前にフロー値やスランプ、見かけの流動性を確認し、施工条件に適合させる。
  • 養生:初期硬化中の急激な乾燥や振動を避け、必要に応じて湿潤養生を行う。

あまり知られていない点として、同じ無収縮グラウト材でも、「混和材タイプ」と「一般プレミックスタイプ」では標準配合や発現強度が異なり、現場練りを前提としたタイプでは骨材や水量の管理責任が施工側に大きく乗ってくることがあります。プレミックス製品だからといって安心しきらず、ロットごとにミルシートや品質証明書を確認し、要求性能との整合を取る運用が望まれます。taiheiyo-m+1​

流動型無収縮グラウト材の耐久性と長期性能の意外なポイント

流動型無収縮グラウト材は、長期にわたり安定した強度発現と耐久性を持つよう設計されており、耐熱性や耐海水性に優れる製品も少なくありません。港湾構造物や発電設備の基礎など、塩害や温度変化が厳しい環境でも使用されており、適切な配合と施工が行われれば、長期にわたって構造性能を維持できることが確認されています。
意外なポイントとして、無収縮性といっても完全に変形しないわけではなく、拘束条件下で膨張材の作用により収縮を相殺する設計になっていることが挙げられます。つまり、周囲のコンクリートや鋼材との一体化を前提に無収縮性が発揮されるため、充填範囲の拘束条件が不足している箇所では、設計どおりの「無収縮」が得られない場合もあります。monotaro+1​
また、部材との付着性や界面のひび割れ挙動は、基材コンクリートの表面処理含水状態に大きく左右されます。下地が乾燥し過ぎていると、界面近傍で急激に水分が奪われ、マイクロクラックが増え、長期の疲労耐久性に影響する可能性があります。そのため、単に「無収縮だから安心」と考えるのではなく、「拘束条件」「界面処理」「環境作用」を含めた総合的な耐久設計が重要です。zumen+3​

流動型無収縮グラウト材の選定と現場目線の独自活用アイデア

製品選定では、設計基準強度だけでなく、「流動性の持続時間」「可使時間」「耐熱・耐薬品性」「施工温度範囲」など、実際の現場条件にかかわる性能を確認することが重要です。例えば、夏季高温時には可使時間が短くなるため、カタログに記載された試験温度と現場温度の差を意識し、練り上がりから注入完了までの段取りを余裕をもって組む必要があります。
現場目線の活用アイデアとして、以下のような工夫が挙げられます。


  • モックアップ施工:大きな柱脚や高精度が要求される機械基礎では、実寸の一部を模したモックアップで一度施工し、流動性と充填時間の感覚をつかんでおく。
  • 温度ログの活用:大型基礎や高強度タイプでは、打設後の温度履歴を簡易センサーで記録し、温度応力やひび割れリスクの検証に生かす。
  • 複数製品の比較検討:同一仕様の柱脚で、メーカーの異なる流動型無収縮グラウト材を試験施工し、現場の作業性・後片付け・表面仕上がりを比較する。
  • 振動との相性確認:近傍で振動が生じる設備基礎では、硬化初期に振動が加わっても問題ないか、施工時間帯と設備稼働を調整する。

こうした独自の工夫を積み重ねることで、「カタログ数値どおりにいかない」現場特有の条件を吸収し、流動型無収縮グラウト材の性能を最大限引き出すことができます。特に建築現場では、工程短縮やコスト圧縮のプレッシャーが強い中で、材料選定と施工計画の工夫が品質確保の鍵になります。mura-ken+3​
流動型無収縮グラウト材の特徴・施工手順・品質管理の基礎解説として参考になる資料です(特徴・施工・配合に関する参考情報)。


無収縮グラウト材の特徴と標準配合(月形建設)
流動型無収縮グラウト材を含む無収縮モルタル製品のカタログで、特性・用途・施工上の注意点が詳しく整理されています(材料選定・性能確認の参考)。


太平洋プレユーロックス 無収縮モルタル(グラウト材)
グラウト全般の施工ステップや型枠計画、養生の基本が図解付きで説明されており、現場の手順整理に役立ちます(施工手順・型枠計画の参考)。


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