

差圧管理をせずにいると、スクリーンが破損してポンプを丸ごと交換する羽目になります。
ストレーナ(バスケット型)は、配管内を流れる流体(水・蒸気・油など)の中に混入した土砂、配管の鉄さび、スケールといった固形の夾雑物(けいざつぶつ)を物理的に捕捉するためのろ過装置です。「バケット型」とも呼ばれ、本体内部にバスケット(かご状)のスクリーンが収められており、流体はこのスクリーンを通過することで異物が除去されます。
つまり「流体の番人」です。
スクリーンに捕捉された夾雑物は、本体上部のカバーを開放してバスケットを引き抜くことで取り出せる構造になっています。カバーの固定方法はボルト締めが一般的ですが、メーカーによってはワンタッチ式を採用している製品もあり、メンテナンス性がさらに向上します。大口径品の場合はカバー自体が重くなるため、吊りフック(アイボルト付きのリフティングラグ)を併用するのが現場での標準的な対応です。
ストレーナがなければどうなるか? バルブの弁座や制御弁・ポンプのインペラに夾雑物が直撃し、寿命が大幅に縮まります。設備投資のコストを守るために、ストレーナは配管ラインに欠かせない存在です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 別称 | バケット型ストレーナ・バスケットストレーナー |
| 主な設置場所 | 水平配管(横引き管) |
| 対象口径 | 中~大口径(目安:65A以上) |
| スクリーン取出し方向 | 上部(カバーを開放) |
| 主な流体 | 冷温水・蒸気・油・薬液など |
ストレーナには複数の形状があり、Y型・T型・バケット型(バスケット型)・自動洗浄式などが代表的です。それぞれの用途がはっきりしているため、選定を誤ると現場で大きなトラブルになります。バスケット型の位置づけは「スラッジが比較的多い条件・大口径・メンテナンス性を重視する場面」です。
バスケット型が選ばれる理由は明確です。Y型と比較してろ過面積が格段に広く、同じ流量でもスクリーンへの負荷が分散するため、目詰まりのペースが遅く、清掃インターバルを長く取れます。大型プラント・建築設備の熱源廻り・空調配管など、大口径が多い現場では最初からバスケット型を採用することがほとんどです。
参考:バスケット型(バケット型)の製品詳細と仕様についてはこちら
バケット形ストレーナ製品情報 | 大同工機
建築設備の配管工事でよく使われるストレーナには、Y型・T型・バスケット型(バケット型)の3種類があります。それぞれ得意な口径や用途が異なるため、「とりあえずY型を入れておけば大丈夫」という考えは危険です。
Y型が使いやすいのは事実ですね。
しかしY型が得意なのは小~中口径(目安:15A〜50A程度)の配管です。フランジを外すだけでスクリーンを取り出せるので作業性が高く、コストも安いため、小口径の機器保護用ストレーナとしては定番の存在です。一方で、口径が大きくなるにつれてスクリーンの投影面積が小さく感じられるようになり、圧力損失が増加しやすくなるというデメリットが出てきます。
T型ストレーナは主に中~大口径(4〜6インチ以上が目安)向けで、T字型の継手を応用した構造が特徴です。配管本体を取り外さずにスクリーンを交換できる点ではY型と同様ですが、口径の大きな現場での作業性と強度面でY型より優れます。
バスケット型(バケット型)は、口径8インチ(200A)以上の大口径配管や、スラッジの多い流体に適した選択肢です。ろ過面積が最も大きく圧力損失が最も小さいため、ポンプ吸込配管のような「圧力損失の大小が設備のキャビテーション発生に直結する場面」では特に重要視されます。
設置スペースについても見落としがちなポイントがあります。平面的なフットプリントはバスケット型のほうがY型より小さくなりますが、高さ方向には大きくなります。建屋内など天井高さに制約がある現場では、高さ方向の寸法をあらかじめ確認しておくことが必須です。設計段階でストレーナの高さを考慮しないと、竣工間際に「スクリーンが抜き取れない」という深刻な施工不良につながります。
参考:各タイプのストレーナの使い分けと特徴を詳しく解説
ストレーナとは(構造・仕組み・種類)| 大同工機
「スクリーンのメッシュは細かいほど安心」と思っていたら、それは大きな誤解です。メッシュとは1インチ(25.4mm)の間にある網目の数を表す単位で、数字が大きいほど目が細かくなります。20メッシュなら1インチに20個、100メッシュなら1インチに100個の目があります。
メッシュが細かすぎると目詰まりが頻発します。
実際の現場では、流体中に含まれる夾雑物の粒子径に対して過剰なろ過精度を設定した結果、スクリーンが短期間で目詰まりを起こし、「毎週清掃が必要になった」「ラインを止めるほどの流量不足が生じた」という失敗事例が後を絶ちません。清掃のたびにラインを止めるコストと人件費を考えると、適切なメッシュ選定がいかに重要かがわかります。
一般的な目安として、建築設備の冷温水・蒸気配管では40〜60メッシュが標準的に採用されています。蒸気ラインの場合は異物の種類(スケールや錆の粒子径)に合わせて、40メッシュ(千鳥打ち抜きステンレス鋼板タイプ)が指定されることが多いです。
スクリーンの材質はステンレス(SUS304またはSUS316)が基本です。腐食性の流体(海水・薬液・高温蒸気など)が通る配管では、SUS304では耐食性が不足するケースがあるため、SUS316や特殊合金製スクリーンを選定することが必要になる場面もあります。
また、スクリーン構造についても注意が必要です。「金網タイプ」と「多孔板(パンチングプレート)タイプ」では、強度面で大きな差があります。高流速・高差圧の条件下では金網タイプがスクリーンの「ハタメキ現象」(共振による金属疲労)で破損することがあるため、パンチングプレートとの複合構造(二重スクリーン)を採用することがあります。これが条件です。
参考:メッシュ選定の基本と失敗事例について
ストレーナの網目(メッシュ)はどのように選定しますか?| ベン株式会社
バスケット型ストレーナの取付において「どこに設置するか」と同じくらい大切なのが「どの向きに設置するか」です。原則として水平配管(横引き管)への取付が基本です。
取付方向が間違うと清掃作業が困難になります。
バスケット型は上部カバーを開放してスクリーンを上方向に引き抜く構造のため、上部に十分な作業スペース(H寸法)が確保されていないと、いざ清掃しようとしたときに「カバーが開かない」「バスケットが取り出せない」という事態になります。単にバスケットを引き抜くスペースだけでなく、「人が近づいてボルト・ナットの締め付け作業ができる空間」を確保することが必要です。建築設備の共通仕様書でも、清掃・点検に必要なスペース確保は明記されている重要事項です。
取付方向についての具体的なポイントをまとめます。
大口径(例:200A以上)のバスケット型ストレーナは、カバーの重量が数十kgに達することがあります。そのため、設備設計段階で吊りフック(アイボルト)の取付スペースや天井クレーンの動線を考慮しておくことが重要です。これを後から対処しようとすると、足場の設置工事や周辺配管の修正工事が発生し、想定外のコストがかかります。
試運転前の清掃も必須です。配管工事完了直後の系内には、工事中に混入した溶接スパッタ、切粉、さびなどが大量に残っています。試運転前に必ずフラッシング(洗い流し)を行い、その後ストレーナを開放して清掃するのが標準的な手順です。この初期清掃を怠ると、初回通水・通気の際に大量の異物がスクリーンに一気に堆積してスクリーンが破損し、後工程の機器にダメージを与えます。
参考:ストレーナの取付に関する標準的な注意事項(建築設備分野)
ストレーナの取付 | 建築設備 SetsuBit
バスケット型ストレーナを設置したあと、「詰まったら清掃すればいい」という感覚で運用している現場は少なくありません。しかし「詰まったかどうか」を目視だけで判断するのは危険です。これがデメリットにつながります。
差圧の管理こそが清掃タイミングの唯一の正解です。
ストレーナの清掃タイミングを判断するための指標として最も確実なのは、ストレーナ一次側(流体の入口側)と二次側(出口側)の圧力差(差圧)です。一般的には差圧が0.1MPa(=約1kgf/cm²)を超えた時点で清掃の必要があるとされています。0.1MPaという数値は、水柱に換算するとおよそ10m分の高さに相当します。これ以上の差圧が継続すると、スクリーンに過大な荷重がかかり破損のリスクが急増します。
スクリーンが破損すると何が起きるか? 捕捉していた全ての夾雑物が一度に下流へ流出します。その結果、ポンプのインペラ損傷、制御弁の弁座損傷、熱交換器の詰まりなど、連鎖的なトラブルが発生します。修理費用は数十万円から、場合によっては百万円超になることもあります。
差圧計の設置はオプション扱いとされることもありますが、重要設備の保護ラインには積極的に採用すべきです。差圧計を設置することで、スクリーンの目詰まり進行具合をリアルタイムで把握できるようになり、計画的なメンテナンスが可能になります。これは使えそうです。
また、差圧管理と並行して「振動・異音の点検」も重要です。高流速の配管では、スクリーンが流体の圧力変動に共振してハタメキ(振動)を起こすことがあります。手でストレーナ本体に触れたときに異常な振動を感じる場合は、スクリーンの損傷が始まっているサインかもしれません。早めに開放点検することをおすすめします。
清掃作業そのものは、カバーを開放してバスケットを引き抜き、水洗い(必要に応じてブラシ洗浄)し、スクリーンに破れや変形がないかを目視確認して戻すだけです。シンプルな手順ですが、清掃後のカバー締め付け(ボルトトルク管理)を適切に行わないと漏水の原因になるため、指定トルクでの締め付けを徹底してください。
参考:ストレーナ選定時の失敗事例と差圧管理の重要性
ストレーナの選定ポイント徹底解説・よくある失敗例| 大同工機

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