

解体手順書を「あとで作ればいい」と後回しにすると、労働基準監督署の是正勧告を受けて工事が一時停止になることがあります。
枠組足場の解体作業における手順書とは、労働安全衛生規則第564条に基づいて作成が義務付けられた「作業計画書」の一部です。単なる社内マニュアルではなく、法的拘束力を持つ書類であることを、まず認識してください。
労働安全衛生規則第564条では、事業者は足場の解体作業を行う場合、「作業の方法及び順序」「材料の欠陥の有無の点検」「器具・工具の点検」「悪天候時の作業中止基準」などを定めた計画を作成し、関係労働者に周知する義務があると定めています。つまり、口頭での指示だけでは法令違反です。
違反した場合はどうなるでしょうか。労働安全衛生法第20条・第21条の違反として、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が事業者に科される可能性があります。加えて、万が一労働災害が発生した場合、手順書の不備は「安全配慮義務違反」として民事上の損害賠償請求にもつながります。
法的根拠が明確ということですね。
手順書には大きく分けて3種類の内容が含まれます。①解体の具体的手順と作業順序、②使用する工具・器具の種類と点検方法、③作業中止基準(風速10m/s以上の強風、大雨、大雪など)です。これらすべてを網羅していない手順書は、形式的には作成していても法令の要件を満たしていないと判断されることがあります。
手順書の整備は現場単位での義務です。過去に他の現場で使用した手順書をそのまま流用することは、現場の構造・規模・周辺環境が異なるため、実態に即していない書類として問題視されることがあります。監督署の臨検(抜き打ち検査)で指摘されるケースが年間で数百件に上るとされており、「うちは大丈夫」という思い込みは危険です。
厚生労働省:労働安全衛生法の概要(事業者の義務・罰則規定の参照に)
枠組足場の解体は、必ず「上層から下層へ」の順序で進めます。これが基本中の基本です。
具体的な手順は以下の流れになります。
作業中の「危険の芽」として特に注意が必要なのが、壁つなぎの先行撤去です。解体の進行に伴って壁つなぎを早めに外すケースがありますが、足場の変形・倒壊リスクが急上昇します。壁つなぎは「その層を解体する直前まで存置する」が原則です。
原則は必ず守ることが大切ですね。
手順書の「中身の薄さ」が、現場での判断ミスを招く最大の原因です。実態に即した具体的な記載が求められます。
労働安全衛生規則第564条に加え、「足場先行工法に関するガイドライン」(厚生労働省・平成21年改訂)では、解体作業計画の記載事項として以下の内容が求められています。
「作業中止基準を数値で書く」という点は、見落とされがちな重要ポイントです。実際の労働基準監督署の臨検では、数値記載のない手順書に対して改善指導が行われたケースが報告されています。
数値の明記が基本です。
なお、手順書は作成したあとに「関係労働者に周知する」プロセスも義務です。作業当日の朝礼でのTBM(ツールボックスミーティング)で手順書の内容を確認し、サインまたは押印で周知記録を残しておくことが、万一の際の証拠にもなります。
足場関連の労働災害は、建設業全体の死亡災害のうち約30%前後を占めています(厚生労働省「労働災害発生状況」より)。その中でも枠組足場の解体時に特有のパターンがあります。
最も多いのが「墜落・転落」です。厚生労働省のデータによると、建設業における墜落・転落災害の約40%が足場関連で発生しており、その中でも「解体・撤去作業中」が組立て作業中よりも件数が多い年もあります。解体中は安全設備が次々と撤去されていくため、作業者が守られる環境が刻々と変わっていくことが最大の理由です。
深刻な問題ですね。
次に多いのが「飛来・落下」です。高さ5mの足場から落下した建枠1本(重量約10kg)は、地面に接触する際に約700Jのエネルギーを持ちます。これは人間の頭部を骨折させるに十分なエネルギーであり、ヘルメットの着用だけでは防ぎきれないケースもあります。落下物防止のための朝顔(落下物防護棚)や防護ネットの設置と、解体中も維持し続けることを手順書に明記することが重要です。
3番目に多いパターンが「足場の倒壊・崩壊」です。これは解体手順の誤りが直接の原因となることがほとんどです。特に壁つなぎを一括して先行撤去するケース、強風時に解体を強行するケース、一度に複数層を同時解体するケースが事故の「3大原因」として挙げられます。
手順書にこれらの禁止事項を「~してはならない」という否定形で明記することが、口頭教育よりも高い予防効果を持つとされています。人間は「やれること」よりも「やってはいけないこと」を具体的に示された方が行動制限につながりやすいという認知心理学の知見があります。
これは使えそうです。
厚生労働省:建設業における労働災害防止対策(統計データ・事例集の参照に)
「作っただけで棚にしまわれている手順書」は、現場では意味をなしません。手順書を実際の事故防止に機能させるためには、作成後の運用と教育が不可欠です。
まず「手順書の可視化」が重要です。A4サイズで作成した手順書を、そのまま使用しても現場作業者には読まれません。解体手順のフロー図をラミネート加工してA3サイズ(ポスターほどの大きさ)で現場の詰所や仮設トイレの壁に掲示する現場では、手順の再確認がしやすくなるため、ヒューマンエラーを減らせると報告されています。
次に「作業主任者による朝礼での読み合わせ」です。足場の組立て等作業主任者は、毎日の作業開始前にその日の解体範囲と手順を手順書に基づいて口頭で確認させる義務があります(労働安全衛生規則第566条)。この確認を省略すると、作業主任者の職務懈怠として処分対象になる可能性があります。
義務だから省略はできません。
「手順書の改訂管理」も見落とされがちな運用ポイントです。現場の状況変化(隣接工事の追加・天候による工程変更・使用資材の変更など)が生じた場合は、手順書を速やかに改訂し、改訂履歴を残す必要があります。改訂前の手順書が現場に混在していると、作業者がどちらを参照すべきか混乱し、重大なミスにつながることがあります。改訂番号と改訂日を手順書の表紙に明記する運用が推奨されます。
最後に「外国人労働者・技能実習生への対応」という視点も現代の建設現場では外せません。建設業における外国人労働者数は2023年時点で約13万人を超えており(国土交通省調査)、枠組足場解体作業を担うケースも増えています。手順書に多言語版(英語・ベトナム語・中国語・ネパール語など)を準備するか、絵図・フロー図を多用したビジュアル版を用意することで、言語の壁による事故リスクを大幅に下げることができます。
多言語対応は今後の標準になるでしょう。手順書の「絵図化」ツールとしては、建設業向けのKY(危険予知)活動テンプレートや作業手順書テンプレートを提供している仮設工業会のガイドラインが参考になります。現場監督が一から作成する手間を省きながら、法的要件を満たした手順書を効率的に整備できます。
国土交通省:建設産業における安全対策・外国人労働者関連情報の参照に
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