フェノール樹脂系接着剤 建築用 JAS 耐水性 特徴

フェノール樹脂系接着剤 建築用 JAS 耐水性 特徴

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フェノール樹脂系接着剤 建築用途

フェノール樹脂系接着剤の建築活用ポイント
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構造用木質材料との相性

構造用合板や集成材で重視される耐水性・耐熱性・耐久性の観点から、フェノール樹脂系接着剤の強みを整理します。

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耐火・中大規模木造との関係

耐火構造を要求される中大規模木造で、接着剤の選択が性能評価にどう影響するかを解説します。

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環境配慮型フェノール樹脂の潮流

リグニン置換などバイオベース化の研究動向を踏まえ、今後の建築実務への波及可能性を考察します。

フェノール樹脂系接着剤 木質建材での用途と基本特徴


フェノール樹脂系接着剤はフェノールとホルマリンを主原料とする熱硬化性樹脂で、常温硬化型と加熱硬化型の2タイプが木質建材向けに用いられています。
建築分野では合板、単板積層材(LVL)、パーティクルボード、一般木工用など構造・非構造の両用途で広く採用されており、特に耐水性が求められる外装下地や構造用合板で標準的な選択肢になっています。
フェノール樹脂系接着剤はユリア樹脂系やメラミン樹脂系と比較して耐水性・耐熱性に優れ、JAS構造用合板の「特類」「1類」に対応し得る接着性能を示す点が大きな特徴です。


参考)接着剤の種類・分類|木材・工業・建築用接着剤、建材は株式会社…

また硬化後は耐薬品性や寸法安定性にも優れ、屋外暴露や湿潤乾燥サイクルが繰り返される環境でも接着層の劣化が小さいため、長期耐久性を求める建築用途で重宝されています。i-maker+1​
フェノール樹脂そのものは難燃性と断熱性を併せ持つため、接着層が高温にさらされても軟化しにくく、木質部材の耐火・耐熱設計を支える「見えない耐火材料」として機能します。kakunin-ipec+1​
一方でアルカリ性で粘度も高めなため、塗布ムラ防止や圧締条件の管理が品質確保の重要ポイントとなり、工場生産では塗布設備やプレス条件を細かく最適化する運用が一般的です。


参考)https://www.hro.or.jp/upload/11392/08117024001.pdf

フェノール樹脂系接着剤 JAS・JISで求められる性能と試験

日本農林規格(JAS)の木質建材では、温冷水試験や煮沸試験に合格することが耐水性評価の中心で、フェノール樹脂系接着剤はこれらの厳しい条件に適合しやすい接着剤として位置付けられています。
林業試験場の報告では、フェノール樹脂接着剤の合成条件(モル比や反応時間)と常態接着力・煮沸後接着力との関係を詳細に検証しており、適切な反応条件で合成された樹脂はJAS温冷水試験条件下でも高い木部破断率を示すことが確認されています。
JIS木材接着剤の性能試験では、含水率15%程度の試験体を用いたせん断強度試験や耐水性評価が行われ、フェノール系・レゾルシノール系など構造用接着剤の等級付けに活用されています。


参考)https://rinsan-fukyu.jp/wp-content/uploads/woodyage/2000/200004A.pdf

ユリア系やメラミン系と比較した場合、フェノール樹脂系接着剤は耐水・耐熱面で優れる一方、色調が濃くなることやホルムアルデヒド放散の管理が必要になるため、用途や性能要求に応じた選択と設計者側の理解が重要になります。nite+1​
また、国土交通省告示では大規模木造建築物の主要構造部に用いる構造用集成材やCLTの接着剤として、フェノール樹脂・レゾルシノール樹脂・レゾルシノール・フェノール樹脂(フェノール樹脂等)を使用する場合の条件が示されており、接着剤選定が耐火構造認定の前提条件の一つとして明示されています。mlit+1​
このように規格・告示レベルでフェノール樹脂系接着剤の性能が前提とされていることは、設計者や施工者が木質耐火部材を扱う際に、接着剤を単なる「材料の付属品」と見なさず、性能設計の一部として位置付ける必要があることを示しています。koshii+1​
国土交通省告示の条件について詳しく確認できる資料です(大規模木造におけるフェノール樹脂等使用条件の参考)。


主要構造部を木造とすることができる大規模の建築物の構造方法を定める件

フェノール樹脂系接着剤 建築現場での実務的な使い方と注意点

建築用のフェノール樹脂系接着剤は、使用時にクルミ粉や木粉を充填剤として、水や小麦粉・炭酸カルシウムなどを増量剤として混合し、所定の粘度に調整してから塗布するのが一般的です。
粘度が高く流動性が低いため、ローラーコーター等での均一塗布と、貼り合わせ後の圧締圧力・時間管理が接着不良(パンクやはく離)の防止に直結します。
合板製造の現場では、フェノール樹脂の粘度を適正範囲に保つことで圧締時間の短縮や反り・くるいの抑制が可能となり、尿素樹脂に比べて同一粘度でも約2~3倍の剛性が得られるという報告もあります。

一方、可使時間が比較的短い樹脂系接着剤も存在し、主剤の種類や配合条件、雰囲気温度によって作業可能時間が変動するため、工場ラインの生産速度やプレスサイクルと接着剤仕様をセットで検討する必要があります。


参考)https://www.koshii.co.jp/business/kaihatsu/images/hojyojigyou/h29-mokushitutaikabuzaikaihatsujigyou.pdf

現場レベルで見落とされがちなポイントとして、接着面の含水率管理があります。JIS・JASの試験体は含水率15%程度を前提としており、これより高い状態での接着は硬化不良や強度低下を招くリスクが高まります。

特に難燃処理を施した単板や特殊含浸材では、フェノール樹脂では安定した接着性能が得られず、レゾルシノール樹脂の方が有効だったという報告もあり、薬剤処理材との組み合わせでは接着剤の変更や試験検証が求められます。

難燃処理単板と接着剤の相性に関する報告書で、実務に近い検証結果がまとめられています(木質耐火部材開発の参考)。


木質耐火部材開発事業報告書

フェノール樹脂系接着剤 耐火・中大規模木造での役割と設計上のポイント

近年、中高層木造や耐火構造の木質耐火部材開発において、接着剤の選択はラミナ厚さや加熱面からの距離とともに、耐火時間評価の重要なパラメータとして扱われています。
告示等では、構造用集成材や直交集成板(CLT)にフェノール樹脂等を用いる場合、ラミナ厚12mm以上などの条件が定められており、接着層が高温時に構造性能を維持できることを前提にした設計ルールになっています。
フェノール樹脂は難燃性と耐熱性に優れ、木材との複合体として燃えにくく熱変形しにくい性質を示すため、火災時に接着層が早期に軟化して層間はく離を起こすリスクを抑えられる点が評価されています。


参考)フェノール樹脂(ベークライト)の特性と用途 進化する世界初の…

ただし、難燃処理材や特定薬剤含浸材では、前述のようにレゾルシノール樹脂の方が安定した接着性能を示すケースもあり、フェノール樹脂系接着剤を「万能」と捉えず、対象材料と火災時挙動のセットで評価する視点が求められます。

実務上の意外なポイントとして、耐火構造認定書や性能評価書の多くは、接着剤の種類を明記したうえで試験が行われており、同じ断面構成でも接着剤を変更すると再評価が必要になる場合があります。kakunin-ipec+1​
設計段階で接着剤の種類まで確認しておくことで、工場側の材料変更による認定条件の逸脱を防ぎ、中大規模木造の品質トラブルや追加試験コストの発生を抑えることができます。kakunin-ipec+1​

フェノール樹脂系接着剤 環境配慮・バイオベース化の最新動向(独自視点)

従来のフェノール樹脂系接着剤は石油由来フェノールを主原料としてきましたが、近年はリグニンなどバイオマスを部分置換したフェノール系接着剤の研究が進んでおり、構造用木質材料への応用が検討されています。
ユーカリクラフトリグニンを10〜50%の範囲でフェノールの代替としたリグニン系フェノール–ホルムアルデヒド樹脂では、従来品と比較して接着強度や熱特性が同等以上となる条件も報告されており、将来的に建築用途での実用化が期待されています。
さらに、ハードウッドクラフトリグニンを酸性フェノレーションで改質し、フェノール代替として性能を高める研究も報告されており、木質材料用接着剤としての反応性や耐水性の向上が示されています。


参考)https://www.mdpi.com/2073-4360/16/13/1923

このような技術が普及すれば、「木から採った成分で木を貼り合わせる」という循環型の材料設計が可能となり、木造建築全体のカーボンフットプリント削減にも寄与するポテンシャルがあります。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
一方で、環境配慮型フェノール樹脂系接着剤は、原料由来のばらつきや長期耐久性データの不足といった課題も抱えており、構造用合板や集成材への適用には、JASや建築基準法に対応した形での評価・規格化が不可欠です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
実務者にとっての現実的なアクションとしては、今後登場するであろう「バイオベース割合○%」といった接着剤仕様表示に注目し、構造性能・耐火性能・環境性能のバランスをどう取るかを早めに検討しておくことが重要になるでしょう。mdpi+1​
リグニンを用いたフェノール系接着剤の熱特性・接着特性を詳しく解説した論文で、環境配慮型接着剤の可能性を把握する際に有用です。


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