コンクリート柱規格寸法一覧|JIS基準と設計要点

コンクリート柱規格寸法一覧|JIS基準と設計要点

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コンクリート柱規格寸法

コンクリート柱規格の基本要素
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JIS規格準拠の寸法体系

長さ、末口径、元口径の標準寸法とひび割れ試験基準

プレストレスト技術

高強度・軽量化を実現する横拘束強化構造の特徴

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設計荷重と配筋仕様

曲げモーメント計算と適切な配筋設計の実践方法

コンクリート柱のJIS規格基準と分類体系

コンクリート柱の規格は、JIS A 5373「プレストレストコンクリート製品のポール類」に基づいて標準化されています。規格の呼び名は「長さ(m)-末口径(cm)-呼び」で表示され、呼びとはひび割れ試験荷重に替えて規定された数値です。

 

JIS規格の分類体系:

  • Ⅰ類対象品:一般的な配電線用途
  • Ⅱ類対象品:より高い強度要求がある用途
  • 横拘束強化型(Yポール):台風などの横風に対する耐性強化

具体的な寸法例として、代表的な規格を以下に示します。

呼び名 長さ(m) 末口径(mm) 元口径(mm) ひび割れ試験荷重(kN) 設計重量(kg)
7-14-1.5 7 140 233 1.50 290
8-14-2.0 8 140 247 2.00 340
12-19-5.0 12 190 350 5.00 910
16-24-15 16 240 453 15.00 2,500

重要な注意点として、製品重量は設計重量に対して実際は2割程度加算したものを見込む必要があります。これは製造時の誤差や安全係数を考慮したものです。

 

寸法、破壊安全率、ひび割れ幅等はすべてJIS規格に準拠しており、設計時の信頼性を確保しています。テーパーについては、一般ポールで1/75、細径ポールで1/100または1/120の標準的な勾配が採用されています。

 

JIS規格に関する詳細な技術基準については、日本工業標準調査会の公式サイトで最新情報を確認できます。

 

https://www.jisc.go.jp/

プレストレストコンクリート柱の詳細寸法一覧

プレストレストコンクリート柱は、鋼材による緊張力を導入することで高い曲げ耐力と軽量化を実現した高性能な構造材です。各メーカーが提供する標準寸法表には、用途別に細かく分類された豊富なラインナップが用意されています。

 

配電線用コンクリート柱の標準寸法:
小型柱(6m-9m):

  • 6-12-1.2:長さ6m、末口径12cm、試験荷重1.2kN、重量190kg
  • 7-14-1.5:長さ7m、末口径14cm、試験荷重1.5kN、重量270kg
  • 8-14-2.0:長さ8m、末口径14cm、試験荷重2.0kN、重量330kg
  • 9-14-2.5:長さ9m、末口径14cm、試験荷重2.5kN、重量430kg

中型柱(10m-12m):

  • 10-19-3.5:長さ10m、末口径19cm、試験荷重3.5kN、重量630kg
  • 11-19-5.0:長さ11m、末口径19cm、試験荷重5.0kN、重量810kg
  • 12-19-5.0:長さ12m、末口径19cm、試験荷重5.0kN、重量910kg

大型柱(13m以上):

  • 13-19-5.0:長さ13m、末口径19cm、試験荷重5.0kN、重量1,020kg
  • 15-19-10:長さ15m、末口径19cm、試験荷重10kN、重量1,700kg
  • 17-24-20:長さ17m、末口径24cm、試験荷重20kN、重量2,870kg

特筆すべきは**横拘束強化コンクリート柱(Yポール)**の存在です。これは台風などの瞬間風速エネルギーを「しなり」により吸収する構造で、従来のポールと比較して地際径を細くできる特徴があります。例えば、15-19-5.0規格では一般ポール357mmに対して細径ポール294mmと63mmの差が生まれ、美観性と施工性の向上に寄与しています。

 

分割型ポールも重要な選択肢で、運搬や施工の利便性を高めています。組み立て方法はボルト式とキャップ式の2タイプがあり、溶接タイプと比較して作業時間の短縮と安全性向上を実現しています。

 

北海道コンクリート工業協会の技術資料では、地域特性を考慮した詳細な設計指針を提供しています。

 

https://www.hcic.co.jp/

コンクリート柱の設計荷重と強度計算方法

コンクリート柱の構造設計において最も重要なのは、適切な荷重計算と曲げモーメントの算定です。JIS規格では、ひび割れ試験曲げ耐力と設計終局曲げ耐力の2つの基準値を規定しています。

 

ひび割れ試験曲げ耐力の計算式:

Mcr = Pcr × (L - h - 0.25) = Pcr × (H - 0.25)

設計終局曲げ耐力の計算式:

Mu = 2 × Mcr = Pcr × (L - h - 0.25) × 2

ここで。

  • Mcr:ひび割れ試験曲げ耐力(kN・m)
  • Mu:設計終局曲げ耐力(kN・m)
  • Pcr:ひび割れ試験荷重(kN)
  • L:ポール全長(m)
  • H:ポール地上高(m)
  • h:根入長(m)
  • 0.25:JIS試験方法の載荷点位置(m)

実際の計算例:
12-19-5.0の場合。

  • 全長12m、根入れ長2.0m、試験荷重5.0kN
  • ひび割れ試験曲げ耐力:5.0 × (12 - 2.0 - 0.25) = 48.75 kN・m
  • 設計終局曲げ耐力:48.75 × 2 = 97.50 kN・m

風圧荷重の計算も重要な要素です:
通信線が受ける風圧荷重の計算例。

P = 風圧力 × 受風面積 × 安全係数

P2 = 980 × 0.016 × 40 × 2 = 1,254N

設計時には、常時荷重に加えて以下の要素を考慮する必要があります。

  • 風荷重(基準風速、ガスト係数)
  • 地震荷重(地域係数、重要度係数)
  • 積雪荷重(積雪深、雪質係数)
  • 付属設備荷重(変圧器、通信機器等)

さらに、地盤条件による根入れ長の調整も重要です。軟弱地盤では標準根入れ長より深く設定し、必要に応じて底板を使用して受圧面積を拡大します。

 

建築基準法に基づく構造計算の詳細については、国土交通省の技術基準を参照することを推奨します。

 

https://www.mlit.go.jp/

コンクリート柱の配筋設計とかぶり厚さ要件

コンクリート柱の配筋設計は、構造性能と耐久性を左右する極めて重要な要素です。適切な配筋仕様とコンクリートかぶり厚さの確保により、長期にわたる構造安全性を担保します。

 

基本配筋仕様の例(ベースパック仕様):
円形鋼管用配筋:

  • 216mm鋼管:立上り筋12-D16、フープ筋D13@100
  • 318mm鋼管:立上り筋12-D19、フープ筋D13@100
  • 508mm鋼管:立上り筋20-D19、フープ筋D13@100
  • 762mm鋼管:立上り筋20-D22、フープ筋D16@100

角形鋼管用配筋:

  • 350×350mm:立上り筋12-D25、フープ筋D13@100
  • 500×500mm:立上り筋16-D25、フープ筋D13@100
  • 600×600mm:立上り筋20-D25、フループ筋D13@100

コンクリートかぶり厚さの基準:

  • フープ筋のコンクリートかぶり厚:50mm
  • 柱型天端と立上り筋頂部のかぶり厚:40mm
  • 土に接する部分:最低70mm以上(耐塩仕様では更に厚く)

スペーサーの選定基準:
コンクリート製スペーサーは、コンクリート躯体の設計強度以上のものを使用する必要があります。鋼製スペーサーの場合、躯体面側が防錆処理された製品を選択し、特に土に接する耐圧スラブや地下外壁では、かぶり部分全てが防錆処理されたものを使用します。

 

配筋設計時の注意点:

  • 立上り筋およびフープ筋の本数・径が標準仕様を下回らないこと
  • 柱型に基礎梁天端から50mm(Lシリーズは300mm)を超える立上りがないこと
  • フープ筋135°フックがアンカーボルト等に干渉しないよう配慮すること

耐塩仕様の特殊配筋:
沿岸部や塩害環境では、「防食耐塩柱」として鋼材表面に耐塩性被覆材を施した仕様が採用されます。この場合、通常のかぶり厚さに加えて追加の防食層を設けることで、長期耐久性を確保します。

 

配筋の詳細設計においては、施工の諸条件を考慮した鉄筋の納まり図の作成が重要です。特に継手部分や定着部分では、日本建築学会鉄筋コンクリート構造計算規準に準拠した詳細設計を行う必要があります。

 

日本建築学会の構造関連基準については、以下で詳細な技術資料を確認できます。

 

https://www.aij.or.jp/

コンクリート柱施工における品質管理と検査要点

コンクリート柱の施工品質は、設計通りの性能を発揮するために極めて重要な要素です。特に現場打ちコンクリート柱では、材料品質から施工手順まで厳格な管理が求められます。

 

コンクリート材料の品質基準:
設計基準強度Fcに応じた材料選定が必須です。

  • Fc 18~36N/mm²:JIS規格品を使用
  • Fc 36N/mm²超:建築基準法第37条第2号に基づく国土交通大臣認定材料
  • Fc 60N/mm²以下:JIS規格品の使用も可能
  • Fc 45N/mm²未満:スランプ管理
  • Fc 45N/mm²以上:フロー管理

骨材仕様の標準:

  • 最大粒径:20mm(砂利使用時は25mm)
  • 品質:JIS A 5005(コンクリート用砕石)準拠
  • 塩化物含有量:0.04%以下(沿岸部は更に厳格)

施工時の重要管理項目:
1. 配筋検査のチェックポイント:

  • 鉄筋径・本数の仕様適合性
  • かぶり厚さの実測確認(最低3点測定)
  • 継手長さと重ね継手位置
  • スペーサーの配置間隔(1m²あたり4個以上)
  • 帯筋のフック角度(135°標準)

2. 型枠工事の精度管理:

  • 柱型寸法の許容差:±5mm以内
  • 鉛直精度:1/300以下
  • 型枠材の剛性確保(たわみ制限)
  • 離型剤の適切な塗布

3. コンクリート打設の品質管理:

  • 打設速度:2m/時間以下(分離防止)
  • バイブレーター挿入間隔:50cm以下
  • 打継ぎ面の処理(レイタンス除去)
  • 養生期間:最低7日間(冬期は延長)

プレキャストコンクリート柱の検査要点:
工場製品では以下の品質証明書類が重要です。

  • ひび割れ試験成績書
  • コンクリート強度試験結果
  • 寸法検査成績書
  • 外観検査記録

現場での受入検査項目:

  • 製品寸法の実測(長さ、径の許容差確認)
  • 外観目視検査(ひび割れ、欠け、変色の有無)
  • 製品印字と仕様書の照合
  • 付属品(Uボルト、ステーブロック等)の完備確認

意外に見落とされがちな検査項目:
経年劣化によるポール頂部のモルタル剥離対策として、近年はキャップ仕様の改良が進んでいます。施工時には、このような安全性向上対策の実装状況も確認が必要です。

 

また、足場ソケットの個数と位置も重要な検査項目です。保守作業時の安全性に直結するため、設計図書との照合を必ず実施します。

 

建設技術者のための品質管理指針については、建設業振興基金の技術資料が参考になります。

 

https://www.kensetsu-kikin.or.jp/