

水道水は電気を通すが、純水は通さないため電磁式流量計では計測できない。
電磁式流量計は、19世紀にイギリスの科学者ファラデーが発見した「電磁誘導の法則」を応用した計測機器です。この法則はシンプルで、「導電性のある流体が磁場の中を通過すると、流速に比例した電圧(起電力)が発生する」というものです。流量計の内部には電磁コイルと2つの電極が対向して配置されており、コイルに電流を流すことで計測管内に磁界をつくります。その中を水などの導電性液体が流れると、流れの方向と磁界の方向の両方に垂直な向きに起電力が発生します。この電圧の大きさが流速に比例するため、管断面積と組み合わせることで体積流量を算出できる仕組みです。
重要なポイントが1つあります。電磁式流量計が計測できるのは「導電性液体」に限られるという点です。水道水や排水、薬液など電気を通す液体は問題ありませんが、油・空気(気体)・超純水のように電気をほとんど通さない流体は計測できません。上水道の導電率は約100〜200μS/cm、ミネラルウォーターは100〜500μS/cm以上が目安ですが、超純水は0.1μS/cm以下であり、実質的に電気を通しません。これはH₂O分子だけが存在する超純水にはイオンがほとんど含まれないためです。つまり「水だから計れる」という思い込みは要注意です。
計測管内部には可動部がまったくありません。これが大きな特長の一つで、管内を妨げるものがないため圧力損失がほぼゼロになります。さらに、流体の温度・圧力・粘度・密度の影響をほとんど受けないため、測定条件が変わっても安定した精度(一般的に読み取り値の±0.5〜1%程度)を維持できます。建築設備における給排水管理や、上下水道の流量監視、汚水・スラリー配管など、幅広い現場で採用されている理由はここにあります。
参考:電磁誘導の法則を応用した電磁式流量計の原理・仕組みについて詳しく解説しているキーエンスの専門ページです。
電磁式流量計を選定するときは、「何を流すか」が最初の判断ポイントになります。流量計の内面は計測管(金属パイプ)に樹脂などを被覆した「ライニング」で保護されており、流体の性状に合わせた材質選定が欠かせません。代表的なライニング材の特性を整理すると次のようになります。
| ライニング材 | 主な用途 | 特長 |
|---|---|---|
| PFA・PTFE(フッ素樹脂) | 酸・アルカリなど腐食性薬液 | 耐薬品性に優れる |
| ポリウレタンゴム | 一般水・スラリー | 耐摩耗性が高い |
| クロロプレンゴム | 上下水道・排水 | 汎用性が高くコストが低い |
| ETFE | 食品・飲料・薬液 | 耐熱・耐薬品バランスが良い |
電極の材質選定も同様に重要です。電極は流体に直接触れるため、腐食や摩耗への耐性が求められます。一般的な用途にはSUS316L(ステンレス)が使われますが、海水・塩化物イオンを多く含む環境ではハステロイC、強酸性環境にはチタンやジルコニウム、超強腐食性にはタンタルが選ばれます。材質を間違えると数カ月で電極が損傷し、測定値が不安定になる可能性があります。これは防ぎたいところです。
口径(配管径)の選定では、管内の平均流速が2〜4 m/sになるサイズを選ぶのが基本です。流速が1 m/s未満になると精度が低下するとされており(JIS B 7554 準拠)、逆に流速が速すぎるとライニングの摩耗が進みます。例として、1分間に500リットル流れる配管なら、φ100mmで平均流速は約1.06 m/sとやや低め、φ80mmなら約1.66 m/sでほぼ適正範囲に収まります。このように、流量の数値だけでなく「流速に換算する」視点が口径選定には必要です。口径の選定が基本です。
参考:ライニング材・電極材質の選定根拠と耐食性の詳細が確認できるアズビルの技術情報ページです。
電磁式流量計は「置けばすぐ正確に計れる」と思われがちですが、実は設置場所の配管レイアウトが計測精度に大きく影響します。正確な計測には、流量計の前後に「直管部(曲がりも絞りもないまっすぐな配管区間)」を確保する必要があります。JIS B 7554では、上流側・下流側に必要な直管長の目安を以下のように定めています。
| 上流側の障害物 | 必要な直管長 |
|---|---|
| ゲートバルブ(仕切弁)全開 | 上流5D・下流2D |
| その他のバルブ類 | 上流10D・下流2D |
| ポンプ・分岐管 | 上流50D程度 |
| エルボ(曲がり管) | 上流5D・下流不要 |
「D」は配管径のことで、例えば配管径が100mmの場合、「10D」は1,000mm(1メートル)に相当します。スペースが限られがちな建築設備の機械室では、この直管長の確保が難しいケースが少なくありません。厳しいところですね。やむを得ない場合はメーカーに相談するか、直管長が不要な特殊タイプ(フロー・コンディショナー内蔵モデルなど)の採用を検討しましょう。
取付方向にも原則があります。電磁式流量計は計測管が常に「満水状態」でなければ正確な計測ができません。横向き(水平)配管に設置する場合は、2つの電極が水平方向になるように取り付けます(上下方向だと気泡が電極に当たりやすくなるため)。垂直配管に取り付ける場合は、必ず液体が「下から上へ」流れる向きにします。これにより管内が確実に満水になり、気泡が電極に滞留しにくくなります。満水状態が条件です。
また、ボイラ配管などでpH調整やスケール防止のために薬液を注入している場合、その注入箇所は流量計の下流側に設ける必要があります。上流側で薬液を注入すると流体の導電率が急変し、測定値が乱れることがあります。やむを得ず上流側に接続する場合は50D程度の十分な直管長を確保することがJISで求められています。
参考:電磁流量計の設置上の注意点(直管長・バルブ位置・薬液注入箇所)を実務視点で解説した技術ブログです。
電磁式流量計はメンテナンスフリーと思われることがありますが、実際には定期的な点検が必要なトラブル要因がいくつか存在します。現場での誤作動や計測精度低下を未然に防ぐために、代表的なトラブル事例と対策を把握しておくことが重要です。
最もよく見られるのが「電極への汚れ・スケール付着」です。電極表面にスケール(水垢・炭酸カルシウム)や汚泥、油分などが付着すると、電気信号の検出が妨げられ指示値がドリフト(ゼロからズレ続ける)したり、最悪の場合は全く計測できなくなります。特に硬水地域の給水配管や排水系統では付着が早く、場合によっては6カ月程度で影響が出ることもあります。対策として、電極部を定期的に取り出して清掃するか、自動洗浄(セルフクリーニング)機能を持つモデルを選定することが有効です。これは使えそうです。
次に多いのが「気泡混入による測定誤差」です。配管内に気泡が発生・混入すると、電気信号が乱れて指示値が大きく変動します。特に配管の高所部分に設置された場合や、ポンプのキャビテーションが発生している環境では気泡が溜まりやすく、数%以上の誤差が生じることがあります。Yokogawa(横河電機)のカタログにも「気泡が入ると流量の指示に悪影響を与える」と明記されています。対策は、流量計を垂直配管の下から上への流れ方向に設置し、脱気装置(エア抜き弁)を上流側に設けることが基本です。
「非満水状態」も見落としがちな要因です。配管が満水になっていない状態(例:ポンプ停止直後の配管内が空になる場合)では、電磁式流量計は正常に計測できません。この状態を放置すると「流れていないのに流量がゼロ以外を示す」という誤表示が起こり、設備の誤作動につながるリスクがあります。建築設備では特に揚水ポンプの吐出し側などで起こりやすい現象です。
もう一つ、「ゼロ調整(ゼロキャリブレーション)の未実施」も精度低下の原因となります。電磁式流量計は設置後・配管接続後に、流体を静止させた状態でゼロ調整を実施することが必須です。これを怠ると、流れていない状態でもゼロ以外の値を示すゼロドリフトが発生し、積算流量の誤差につながります。メーカーの取扱説明書には必ず実施手順が記載されています。メーカー確認が必須です。
建築設備の現場では「電磁式」のほかにもさまざまな流量計が使われています。どの方式がどの用途に向いているかを知っておくと、設計・選定時の判断が格段にスムーズになります。他方式との主な比較を以下に整理します。
| 方式 | 計測対象 | 圧力損失 | 精度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 電磁式 | 導電性液体のみ | ほぼゼロ | ±0.5〜1% | 上下水道・排水・薬液 |
| 超音波式 | 液体・気体 | ゼロ(外付け型) | ±1〜3% | 既設配管・非接触測定 |
| 差圧式(オリフィス) | 液体・気体・蒸気 | 大 | ±1〜3% | 蒸気ライン・空調 |
| カルマン渦式 | 液体・気体・蒸気 | 中 | ±1〜2% | 空調用蒸気・ガス |
| コリオリ式 | 液体・スラリー | 中〜大 | ±0.1〜0.5% | 高精度質量流量管理 |
電磁式流量計の最大の強みは「圧力損失ゼロに近い高精度測定」ですが、前述のとおり油や気体、純水系統には使えません。これだけ覚えておけばOKです。
建築設備の現場では特に、超音波式(クランプオン型)との使い分けが重要です。超音波式は既設配管に後付けで設置できるため、配管の切断が不要で後からでも導入できます。ただし精度は電磁式に比べてやや劣り、特に気泡や浮遊物が多い流体では誤差が大きくなります。一方、電磁式は配管を切断して組み込む必要があるため、新設時または大規模改修時に設置計画を立てることが現実的です。
また、計量法(経済産業省所管)に基づいて「取引・証明に使用する計量器」として使う場合、口径350mm以下の水道メーター用途では特定計量器の検定・型式承認が必要です。建築物の水道引込み管に設置する積算流量計として電磁式を採用する場合は、この計量法対応を確認してから機種を選定してください。見落としがちな法的条件です。
参考:国土交通省の水道施設設計指針に記載された流量計(電磁・超音波・ベンチュリ)の公式情報です。
参考:計量法に基づく水道メーターの特定計量器・型式承認制度についての経済産業省公式資料です。
ここまで解説してきた内容の中でも、建築設備の担当者が最も見落としやすいのが「流体の導電率確認」です。電磁式流量計を選んでも、流す液体の導電率が基準に達していなければ計測は成立しません。意外ですね。
よくある事例として、建築物の冷温水系統(空調用の2次側循環水)に電磁式流量計を設置しようとするケースがあります。循環水はスケール防止剤や腐食防止剤を添加しているため、通常は導電率が確保されていますが、薬液の種類によっては導電率が著しく低い製品もあります。設計段階で流体の導電率を確認せずに電磁式を選定してしまうと、設置後に「計測値がゼロのまま動かない」「指示値がバラバラ」といったトラブルが発生します。
電磁式流量計が計測可能な導電率の目安は、一般に5μS/cm以上(製品によっては1μS/cm以上)とされています。現場で手軽に確認する方法として、テスタ(電気抵抗測定器)を使った簡易チェックがあります。テスタを抵抗測定モードにして2本のプローブを液体に入れ、針がゼロ側に振れれば導電率ありと判断できます。ただし、正式には導電率計(市販品で5,000円〜10万円程度)を使って数値で確認することが推奨されています。これが正確な判断のための基本です。
また、電磁式流量計を長期間安定して使い続けるためには「定期校正」も重要な視点です。製品の精度は初期設置時に担保されていますが、電極の汚れや経年変化によって徐々にズレが生じます。アズビルなどの主要メーカーはJCSS(計量法校正事業者登録制度)に基づく校正サービスを提供しており、重要計測点には定期的な実流校正を行うことで長期信頼性を維持できます。建築物の省エネ・エネルギー管理(建築物省エネ法や工場等エネルギー管理標準に対応した計量管理)の観点からも、精度維持は軽視できません。定期校正は有料です。
導電率確認・ライニング選定・直管長確保・取付方向・ゼロ調整・定期校正——これらが電磁式流量計を建築設備で正しく活用するための一連の流れです。結論は「事前確認と正しい設置」です。現場での失敗を防ぐために、設計段階からこれらのチェック項目を設計図書や仕様書に明記しておくことを強くお勧めします。
参考:電磁式流量計のJCSS校正・製品ラインアップ・基礎知識を網羅したアズビルの技術解説ページです。
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