

アルミ箔面材付きの2種2号を使っても、アルミ箔の断熱効果は熱抵抗値に算入できず、厚みを薄くすると省エネ基準を下回ることがあります。
建築現場で「2種2号」という言葉を耳にしても、その規格の中身を正確に把握している人は意外と少ないかもしれません。まずここを整理しておきましょう。
硬質ウレタンフォーム断熱材は、JIS A 9521「建築用断熱材」によって規格化されています。この規格では断熱材を大きく1種・2種・3種に分類し、さらに号数と記号によって細分化しています。2種2号が他の種類と決定的に違う点は、「非透湿性面材付き」という条件です。つまりアルミ箔などの防湿性の高い面材が両面に貼り付けられた製品が2種に分類されます。
| 種類 | 面材の有無 | 密度 | 特徴 |
|------|-----------|------|------|
| 1種 | なし(スキン層なし) | 35kg/m³以上 | シンプルな板状 |
| 2種 | 非透湿性面材付き | 1号:35以上、2号:25以上 | アルミ箔などで防湿 |
| 3種 | 透湿性面材(または両面) | 各号によって異なる | 透湿性を持つ |
2種の中でも「1号」と「2号」では密度の基準が異なります。1号は35kg/m³以上、2号は25kg/m³以上です。2号は1号よりやや軽量な製品に適用されるグレードといえます。
さらに記号(A〜F)と厚み許容差の区分(Ⅰ・Ⅱ)が組み合わさっています。よく見かける「2種2号AI」「2種2号DI」といった表記はこの組み合わせです。記号が進むほど熱伝導率の基準値が低くなり、断熱性能が高いことを示します。
| 記号 | 熱伝導率(W/(m·K)) |
|------|-----------------|
| A | 0.024以下 |
| B | 0.023以下 |
| C | 0.023以下 |
| D | 0.021以下 |
| E | 0.020以下 |
| F | 0.019以下 |
記号DやEになると、グラスウール高性能品24Kの0.036に対して大幅に低い熱伝導率を実現します。厚みが同じでも断熱性能がまったく異なるということです。選定のときは、記号まで含めて確認するのが基本です。
参考:JIS A 9521に基づく硬質ウレタンフォーム断熱材の種類・密度・熱伝導率一覧(日本ウレタン工業協会)
https://www.urethane-jp.org/qa/koushitsu/k-1.htm
断熱材を選ぶとき、「とりあえず有名なメーカーのボードを使えば大丈夫」と思いがちです。しかし同じ2種2号でも記号によって性能は異なり、他の断熱材との比較なしに厚みを決めると、後で省エネ計算がクリアできないという事態になりかねません。
2種2号Aグレードの標準的な熱伝導率は0.024W/(m·K)です。これに対して、グラスウール高性能品24Kは0.036W/(m·K)、押出法ポリスチレンフォーム3種bAは0.028W/(m·K)となります。
熱抵抗値(R値)は「断熱材の厚み(m)÷熱伝導率」で計算されます。たとえば壁に50mm厚の断熱材を使う場合、計算式は次のとおりです。
$$R = \frac{0.050}{0.024} \approx 2.08 \, m^2 \cdot K/W$$
同じ50mm厚でも、グラスウールであれば熱抵抗値は約1.39となります。2種2号Aグレードのほうが約1.5倍の断熱性能を持つことがわかります。これは使えそうです。
さらに高性能グレードのキューワンボード(2種2号DI)になると熱伝導率は0.021W/(m·K)、最高グレードのものでは0.019W/(m·K)という製品も登場しています。断熱材は厚みだけでなく「記号」で性能が大きく変わるということです。
🔍 各断熱材の熱伝導率の目安(参考)
| 断熱材 | 種別・記号 | 熱伝導率 W/(m·K) |
|------|---------|----------------|
| 硬質ウレタンフォーム断熱材 | 2種2号AI | 0.024 |
| 硬質ウレタンフォーム断熱材 | 2種2号DI(キューワンボード等) | 0.021 |
| 押出法ポリスチレンフォーム | 3種bA | 0.028 |
| グラスウール高性能品 | 24K | 0.036 |
同じ断熱等級を達成するとき、2種2号AIとグラスウール24Kでは必要な厚みが大きく違ってきます。壁や屋根の断面設計に余裕がない物件では、熱伝導率の低い2種2号を使うことで必要厚みを圧縮できるため、施工スペースの確保という面でもメリットがあります。
参考:アキレスボード・キューワンボードの断熱性能と熱伝導率の詳細データ(アキレス株式会社)
https://www.achilles.jp/product/construction/insulation/q1-board/
「設計図に断熱材を入れたから大丈夫」と安心していると、竣工後の省エネ計算で基準を下回るケースがあります。断熱材の厚みは感覚ではなく、地域区分と工法に基づいて計算する必要があります。
2025年4月から新築住宅への省エネ基準適合が義務化されたことで、断熱材の選定と厚みの根拠が以前にも増して重要になっています。省エネ基準の仕様規定では、地域を1〜8に区分し、各部位(屋根・天井・壁・床・土間床外周部)ごとに必要な熱抵抗値が定められています。
2種2号A(熱伝導率0.024W/(m·K))を基準にした木造戸建て・外張り断熱の場合、壁の必要厚みを例示すると次のとおりです。
| 地域区分 | 省エネ基準の熱抵抗値(壁) | 必要厚み(目安) |
|---------|-----------------|--------------|
| 1・2地域(北海道等) | 2.9 m²·K/W | 約75mm |
| 3地域(東北等) | 1.7 m²·K/W | 約45mm |
| 4〜7地域(関東〜九州) | 1.7 m²·K/W | 約45mm |
屋根・天井になると必要な熱抵抗値はさらに大きく、1・2地域では5.7 m²·K/W(断熱材厚み約140mm)が求められます。これはA4用紙の長辺(約297mm)のおよそ半分に相当する厚みです。
注意が必要なのは、JIS A 9521の規格で厚みの許容差(±2mm)が定められており、熱抵抗値の計算には「最小厚み」を使うことが原則とされている点です。たとえば公称30mmのボードを使う場合、熱抵抗値計算には28mmを使うことになります。薄く設計すると基準値ギリギリになってしまうため、余裕を持った厚み設定が原則です。
また、充填断熱工法と外張り断熱工法では同じ地域でも必要厚みが変わります。充填断熱の場合は壁に対してさらに厚みが増えるケースがあり、工法の選択と断熱材の厚みはセットで検討するのが条件です。
参考:地域区分別の必要断熱材厚みとアキレスボードの対応厚さ一覧(アキレス株式会社)
https://www.achilles.jp/product/construction/insulation/knowledge/required-thickness/
現場では「このボードを貼れば終わり」と考えがちです。しかし2種2号には、その構造や素材に起因する落とし穴が複数あります。知らずに施工すると、省エネ基準の不適合や建築基準法違反につながることもあります。
① アルミ箔面材の断熱効果は熱抵抗値に算入できない
2種2号の代名詞ともいえるアルミ箔面材は、夏季の輻射熱を反射する遮熱効果を持っています。外壁の試験では、アルミ箔の効果により貫流熱量が大幅に削減され、室内側の表面温度が1℃以上低下したというデータもあります。
しかしこの遮熱効果は、法規的な断熱性能(熱抵抗値)への算入が認められていません。アルミ箔が「あるから厚みを薄くできる」という判断は間違いです。所定の断熱厚みはアルミ箔の有無にかかわらず確保することが必須です。
② 内装制限を受ける建物では「露出施工」は建築基準法違反
硬質ウレタンフォームは熱硬化性の可燃物です。発火点は約410℃とされており、木材とほぼ同じ水準です。劇場・集会場・病院・ホテルなど内装制限を受ける特殊建築物では、断熱材をそのまま露出させた状態で使用することはできません。
この場合は次のいずれかの対応が必要です。
- 準不燃材料として認定された断熱材(不燃性面材と複合化されたポリイソシアヌレートフォーム認定品など)を選ぶ
- 断熱材の表面を建設省告示第1400・1401号に記載された不燃性材料で覆う
一般住宅でも、調理室などの火気使用室には内装制限が適用されるケースがあります。物件ごとに建築基準法第35条の2と施行令第128条の3の2を確認するのが基本です。
③ 製造直後から断熱性能の経年変化が始まる
あまり語られない事実があります。硬質ウレタンフォームボード(2種)は製造直後から熱抵抗値が低下し、製造時を1とすると1年後には約0.75程度まで下がるという研究データがあります(2種2号クラスの場合、初期値0.020 W/(m·K)が経年後に約0.027 W/(m·K)相当まで上昇するケースも確認されています)。
これはフォーム内部の気泡に含まれる発泡ガスが、時間の経過とともに外部の空気に置き換わることによって起こります。意外ですね。ただし、アルミ箔面材付きの2種2号はガスバリア性が高いため、この経年変化を大幅に抑制できます。フォームだけで面材なしの1種と比べると、長期的な断熱性能の維持力に明確な差があります。
経年変化が気になる場合は、製品の「長期熱伝導率」または「経時熱伝導率」に関するカタログデータを確認することをお勧めします。キューワンボードなどの高性能品はこのデータを公開しています。
参考:内装制限を受ける建物での硬質ポリウレタンフォーム施工方法(日本ウレタン工業協会)
https://www.urethane-jp.org/qa/koushitsu/dannetsu/post_24.html
2種2号を採用する現場では、「外張り断熱」と「充填断熱」のどちらを選ぶかで施工の注意点がまったく異なります。ここでは工法ごとのポイントを整理します。
外張り断熱工法(外断熱)
家全体をボードで包む外張り断熱は、2種2号の最も得意な分野です。柱・梁などの構造材を断熱層の内側に置くため、熱橋(ヒートブリッジ)が発生しにくく、連続した断熱層を形成できます。
外張り断熱では防耐火構造の大臣認定番号との照合が必要です。外装材の種類(窯業サイディング金具留め・軽量セメントモルタルなど)ごとに認定番号が異なるため、計画段階で対応する認定番号を確認しておくことが重要です。防火構造・準耐火構造それぞれで使用できる組み合わせが決まっています。防耐火の確認が後手に回ると設計変更を余儀なくされることがあります。
また目地部分の処理も見落とせません。ボード間の継目に隙間があると、そこが断熱欠損になります。2層貼りの場合は目地をずらして施工する「千鳥張り」が基本です。
充填断熱工法
柱間に断熱材を充填する工法では、2種2号のボード状製品を使うのは外張りよりもやや難しい場合があります。柱間のピッチに合わせたカットが必要で、施工精度が断熱性能に直結します。
充填断熱で2種2号を使う最大のメリットは、非透湿性面材付きであるため、別途防湿シートを施工しなくてよいケースがある点です。ただしこれは断面構成(室内側の構成材と組み合わせ)によって判断が変わるため、設計段階で確認することが必要です。
RC造では内断熱工法と外断熱工法で必要な熱抵抗値が大きく異なります。内断熱の場合はRC躯体のコールドブリッジの影響を受けやすいため、省エネ基準上はより厚みが要求されます。鉄骨造も同様で、熱橋の影響を計算に含める必要があります。
施工現場での切断加工時は、ウレタンの粉塵が飛散するため防塵マスクの着用が推奨されます。また切断面の仕上がりが荒れると継目の気密性が落ちるため、適切な工具(専用カッター・電動丸鋸など)を使うのが望ましいです。
参考:硬質ウレタンフォーム断熱材の標準施工マニュアル(日本ウレタン工業協会)
https://www.jufa-urethane.org/koshitsu_polyurethanefoam/qa/

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