

難燃シーリング材を語る前に押さえるべきなのが、そもそも「建築用シーリング材」をどう分類し、どう表記するかです。JIS A 5758は、金属・コンクリート・ガラスなどの接合部目地に充填し、硬化後に接着して水密性・気密性を確保する目的のシーリング材を規定しています。つまり“防火のための材料規格”ではなく、“建築目地で必要になる性能を一定の方法で整理する規格”だと理解すると、情報の読み違いが減ります。
実務では、カタログや納入仕様書に「JIS G-30SLM」「F-25HM」などの記載が出てきます。これはJIS A 5758に基づくタイプ表記で、GとFが並ぶ表が技術資料として整理されています(タイプ/クラス/サブクラスの組合せ)。さらに、付属書2として、主成分(シリコーン系など)、製品形態(1成分形/2成分形)、耐久性(9030Gなど)を組み合わせた呼び方も併記され、現場での材料照合に使えます。
参考)シーリング
ここで「難燃」を見分けるポイントは、“JIS記号そのものに難燃が直接入るとは限らない”ことです。難燃性や防火設備向けの指定は、製品の備考欄や適用用途(例:防火戸用指定シーリング材)として示されることが多く、同じシリコーン系でも用途が異なるものが並びます。
参考)https://www.dow.com/ja-jp/pdp.dowsil-se-5007.02691680h.html
また、見落とされがちですが、同じJIS適合でも「LM(低モジュラス)」か「HM(高モジュラス)」かで、目地追従性や挙動が変わります。設計目地幅の許容範囲や、設計伸縮率・設計せん断変形率の標準値が整理されているため、難燃性“だけ”で選ぶのではなく、目地のムーブメント条件(ワーキングジョイント/ノンワーキングジョイント)と合わせて整合させるのが安全です。
参考:JIS A 5758の種類(G/F、LM/HM)と耐久性区分(9030G等)、目地設計の考え方がまとまっている
シーリング
建具まわり、とくに防火戸など「防火設備」絡みの納まりでは、“防火設備用に使えること”が明確なシーリング材が指定されるケースがあります。代表例として、DOWSIL™ SE 5007は「1成分形オキシム型の難燃性防火戸用指定シリコーンシーリング材」で、耐久性区分9030G相当と説明されています。
この手の材料は、一般的な耐候性・耐寒性・耐久性を確保しつつ、難燃性を付与して防火設備用途に適用できる、という整理で語られます。実際に、シーリング材工業会の製品リストでは、SE5007が「難燃性 防火戸用指定シーリング材」として掲載され、同じシリコーン系でも“防火戸用指定”の位置づけが明確に区別されています。
参考)JISA5758:2016 建築用シーリング材
重要なのは、ここでいう「指定」が“現場の言い回し”で終わらないようにすることです。設計図書に「防火戸用指定」と書いてあっても、採用製品がそれに該当するかは、工業会リストやメーカーの用途記載で照合できます(品名・型番の取り違えは珍しくありません)。
さらに深掘りすると、耐久性区分(例:9030G)を単なる数字として扱うのは危険です。難燃系は「燃えにくさ」だけが注目されますが、シーリング材は経年硬化や汚染、接着界面の劣化で機能を失うと、目地が“火の通り道”にも“漏気・漏水の通り道”にもなります。だからこそ、防火設備周りでは、難燃性と同じくらい「耐久性区分」「モジュラス」「施工条件」をセットで確認するのが現実的です。
参考:防火戸用指定を含むシリコーン系シーリング材の一覧(品名と備考で照合できる)
https://www.sealant.gr.jp/sealants/si
難燃シーリング材の相談で多いのが、「防火区画の貫通部や取り合いに、難燃シーリング材を打てばOKですか?」という発想です。ここは要注意で、防火区画等を貫通する管の仕様は“不燃材料とする”“一定外径未満”“大臣認定を受けたもの”などの整理で扱われ、実務では認定工法や材料セットで性能を担保する流れが主になります。
資料では、貫通部の対応方法として「加熱膨張材」「耐熱性シール(パテ)」「被覆材とシール」などのカテゴリが挙げられており、一般の“目地用シーリング材”とは発想が違う領域があることが読み取れます。つまり、防火区画の貫通部は、単体材料の“難燃”表示だけで片付けず、認定・工法・部材構成で確認しないと危険です。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001351092.pdf
ここでの現場ポイントは次の通りです。
意外と知られていない落とし穴として、同じ“すき間埋め”でも、火災時には「熱で軟化→脱落」「炭化→収縮」「接着界面の剥離」など、失敗モードが違います。貫通部に必要なのは、燃えにくさよりも、加熱下で隙間を塞ぐ・維持する挙動(膨張、耐熱保持など)で評価されることが多く、ここを取り違えると“難燃材を使ったのに通ってしまった”が起こり得ます。
参考:防火区画貫通部で使われる材料カテゴリ(加熱膨張材、耐熱性シール等)と整理の方向性が分かる
https://www.mlit.go.jp/common/001351092.pdf
難燃シーリング材の性能を現場で“再現”するには、材料選定以上に施工条件が効きます。目地幅は温度変化などで変動し続けるため、ワーキングジョイントでは接着性・ムーブメント追従性・耐久性・施工性を考慮し、適正な目地幅・目地深さを決めるべきだと整理されています。
さらに、設計目地幅の許容範囲の標準値が示されており、例えばシリコーン系(SR)は目地幅の最小・最大の考え方がまとめられています。難燃タイプであっても、目地が狭すぎて充填不良が起これば“空洞”が残り、気密・水密だけでなく防火設備の隙間管理にも悪影響が出ます。
施工管理の具体ポイント(チェックしやすい順)。
また、防火設備周りは「後から補修が入る」ことが多いのに、補修材を間違えると打継ぎ不良になりやすい点が盲点です。技術資料では打継ぎ表の前提条件として、先打ち材の硬化、溶剤洗浄またはカットで新しい面を出すこと、後打ち材のプライマー塗布などが条件化されており、“ただ上から盛る”補修が危ない理由が言語化されています。
検索上位であまり正面から語られにくいのが、「難燃シーリング材=黒・グレーで目立つ」という先入観と、実際の“見た目”が品質管理に与える影響です。10分の防火性能を狙った連装ガラスパーティションの技術報告では、一般仕様のシーリング材が“極めて透明性の高いもの”として扱われる記述があり、意匠や可視性が議論の前提になることがあります。
ここから得られる現場のヒントは、「透明=良い/悪い」ではなく、透明だと次のリスクと利点が同時に出る点です。
参考)https://www.obayashi.co.jp/technology/shoho/084/2020_084_16.pdf
さらに、同報告では「ガラス間の目地部に用いる場合、一般仕様と防火設備仕様で遮炎性能にさほど違いが見られなかった」といった整理もあり、“材料だけで差が出る”とは限らないことが示唆されています。つまり、難燃シーリング材の採用有無だけで判断せず、納まり・バックアップ材・目地寸法・施工品質の組合せで性能が動く、という現場感と整合します。
こうした“意外な論点”を取り込むと、上司チェックで問われやすい「なぜこの仕様にしたのか」「施工管理でどこを押さえるのか」に答えやすくなります。難燃性・防火設備・JISの整合に加え、可視性(透明・目立ちやすさ)まで含めて検査設計を組むと、施工後トラブルの説明責任も果たしやすいはずです。

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