DIN配管規格とJIS・EN規格の違いと施工注意点

DIN配管規格とJIS・EN規格の違いと施工注意点

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DIN配管規格とJIS・EN規格の違いと施工注意点

DIN規格フランジは「JISと同じサイズなら使い回せる」と思っていると、現場で漏れ事故が起きます。


DIN配管規格 3つのポイント
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DIN規格とは何か

ドイツ規格協会(Deutsches Institut für Normung)が制定した国際的な工業規格。配管材・フランジの寸法・圧力クラスが独自に定められており、JIS規格とは別物です。

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JISとの互換性に要注意

同じ「DN50」サイズでもJIS規格とDIN規格ではボルト穴数・ピッチ・フランジ外径が異なります。混用すると締結不良・漏れのリスクが高まります。

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現在はDIN ENへ移行中

従来のDIN規格の多くが欧州規格(EN)に統合され、「DIN EN 1092-1」などに置き換わっています。古い規格番号で発注すると廃番扱いになる場合があります。


DIN配管規格の基礎:DNとPNの意味と使い方


DIN規格(Deutsches Institut für Normung)とは、ドイツ規格協会が制定したドイツ工業規格のことです。配管分野においては、パイプ本体・フランジ・継手などの寸法・材質・耐圧性能が細かく定義されています。日本ではJIS(日本産業規格)が主流ですが、欧州製の機器・プラントを導入する現場や食品・医薬品製造ラインでは、DIN規格品と遭遇する機会が少なくありません。


DIN配管規格では、管径を「DN(Nominal Diameter=公称直径)」で表します。例えば「DN50」であれば公称直径50mmを意味します。これはJIS規格の「50A」に相当しますが、後述のとおり寸法が完全に一致するわけではありません。


圧力クラスは「PN(Pressure Nominale)」で表記するのが原則です。PN10は最大10バール(約1.0MPa)、PN16は約1.6MPaに対応します。JIS規格では「10K」「16K」といったK表記を使うため、数字の見た目は似ていますが表記体系が異なる点に注意が必要です。


DIN(PN) JIS(K) 対応圧力の目安
PN6 約0.6MPa
PN10 10K 約1.0MPa
PN16 16K 約1.6MPa
PN25 約2.5MPa
PN40 約4.0MPa
20K 約2.0MPa
30K 約3.0MPa


表を見るとわかるように、JISには「5K」「20K」「30K」があり、DINには「PN6」「PN25」「PN40」があります。これらは対応するJISの圧力クラスが存在せず、国をまたいで部材を揃えようとすると選定に手間がかかることがあります。PN10とJIS10Kは数値が揃っているため一見同じに見えますが、これはあくまで「対応圧力が近い」という意味であり、フランジの外径・ボルト穴配置などの物理的寸法は異なります。


つまり「PN=K」と決して混同しないことが条件です。特に複数規格の機器が混在する現場では、圧力表記の読み替えミスが配管トラブルの火種になります。


参考:DIN規格フランジの基本情報(菱光産業株式会社)
JISとどう違う?DIN規格フランジの基本のキ|菱光産業株式会社


DIN配管規格とJIS規格の寸法の違い:混用すると漏れが発生する理由

DIN規格とJIS規格の最も大きな違いは、「同じDN(呼び径)でも、フランジの外径・ボルト穴の数・ボルト穴のピッチ(ボルトサークル径)が異なる」という点です。この違いを知らずに現場で混用すると、フランジ同士がうまく締結できず、配管の接合部から流体が漏れ出す事故につながります。


例えば、DN100のフランジをDINとJISで比較すると以下のような差があります。


項目 DIN PN10(DN100) JIS 10K(100A)
フランジ外径 约220mm 约220mm(近似値)
ボルトサークル径 約180mm 約175mm
ボルト穴数 8穴 8穴
ボルト穴径 約18mm 約19mm
圧力表記 PN10(バール 10K(kgf/cm²)


数字だけを見ると「ほぼ同じでは?」と感じるかもしれません。しかし、ボルトサークル径が5mm違えば、ボルトが穴に入らない・センターがずれる・締め付けトルクが不均等になるなど、複数の問題が同時に起きます。これが原因で施工後にピンホール漏れが発生し、補修工事を余儀なくされるケースが実際に報告されています。


また、材質の規格もJISとDINでは基準が異なります。DIN規格ではSS400に相当する鋼種として「St.37.2」などが使われていましたが、現在は欧州規格(EN規格)の「S235JRH」「P235TR2」といった表記に移行しています。JIS材料との機械的性質は近いケースが多いものの、規格証明書(ミルシート)の確認なしに流用するのは危険です。


規格が合わない部材を無理に使い回すのはダメです。特に食品プラントや医薬品製造設備では、わずかな隙間からコンタミが起きるリスクもあり、損失はコスト面だけにとどまりません。発注時は必ず図面(寸法入り)を添付し、DIN規格かJIS規格かを明記して依頼するのが原則です。


参考:DIN規格フランジの寸法表と注意事項
DIN規格の寸法表(フランジ参考情報)|菱光産業株式会社


DIN配管規格の種類:パイプ・継手・フランジの主要番号一覧

DIN配管規格は、パイプの種類・用途・材質ごとに番号が細かく分かれています。建築・設備業界で遭遇することが多い主要な規格番号を整理しておきましょう。


まず、パイプ本体に関する規格として押さえておきたいのが以下のものです。かつては「DIN 1629(シームレス炭素鋼管)」「DIN 1626(溶接炭素鋼管)」「DIN 17175(高温用シームレス鋼管)」などが広く使われていました。これらは現在のほとんどがEN規格(欧州規格)に吸収されており、DIN EN 10216シリーズ・DIN EN 10217シリーズとして再定義されています。


旧DIN番号 新DIN EN番号 用途・特徴
DIN 1629(シームレス) DIN EN 10216-1/3 圧力用途向けシームレス鋼管
DIN 1626(溶接) DIN EN 10217-1 圧力用途向け溶接鋼管
DIN 17175 DIN EN 10216-2 高温用シームレス鋼管(ボイラー等)
DIN 17121(構造用) DIN EN 10210/10219 建設・構造用中空断面鋼管
DIN 11850 (現行) サニタリー管(食品・医薬品用)


次に継手については、旧来の「DIN 2605(エルボ)」「DIN 2615(ティー)」「DIN 2617(キャップ)」などが、DIN EN 10253シリーズに移行しています。フランジについては従来「DIN 2573(PN6フラットフランジ)」「DIN 2576(PN10フラットフランジ)」「DIN 2631〜2637(ウェルドネックフランジ)」など多くの番号が乱立していましたが、現在はほぼすべてが「DIN EN 1092-1(鋼製フランジ)」に統合されています。


これは実務上で重要なポイントです。古いDIN番号で部材を発注すると、国内メーカー・商社が「廃番」として処理するケースがあります。旧番号を参照する際は、対応する新DIN EN番号に読み替えて発注することを確認しておけば大丈夫です。


食品・医薬品・化粧品製造設備でよく使われる「DIN 11850(サニタリー管)」は現時点でもそのまま使われています。外径・肉厚がJIS G 3447(ステンレス鋼サニタリー管)とは異なるため、日本国内のヘルール継手と組み合わせる際はサイズの事前確認が不可欠です。


参考:DIN旧番号とEN新番号の対照表
新旧のDIN指定と欧州規格(EN規格)への移行対応表|Llyflow


DIN配管規格のサニタリー管(DIN 11850):食品・医薬品設備での選定ポイント

DIN 11850は食品工業・医薬品製造・化学プラントで使われるサニタリー用ステンレス鋼管の規格です。「サニタリー」とは内面を高精度に研磨し、細菌が繁殖しにくい表面仕上げを施した配管のことです。DIN 11850は日本のJIS G 3447(ステンレス鋼サニタリー管)やISO規格と並んで国際的に使われています。これは知っておくと得する情報ですね。


注目すべきは、DIN 11850と日本のJIS G 3447では外径・内径の寸法体系が異なるという点です。例えば呼び径DN50の場合、以下のような違いがあります。


規格 呼び径 外径(mm) 主な使用地域
JIS G 3447 2S 50.8mm 日本
ISO(3A) DN50 50.8mm 欧米・国際
DIN 11850 DN50 53.0mm 欧州(ドイツ系)


DIN 11850のDN50は外径53.0mmで、JISのDN50(50.8mm)とは2.2mmの差があります。はがきの横幅(約148mm)と比べればわずかな差ですが、サニタリーヘルール継手は±0.05mm単位の精度を求める世界ですから、このズレは接合面の密着不良・漏れに直結します。厳しいところですね。


建築設備の現場でも、欧州から輸入した食品加工機器や飲料プラント設備が増えています。国産のヘルール継手やクランプをそのまま使い回そうとして「なんか微妙に合わない」となる場合、DIN 11850とJIS規格の外径差が原因であることが多いです。


このようなトラブルを防ぐには、機器の仕様書や図面に記載された管規格を最初に確認することが条件です。DIN規格品には専用のDINヘルール継手・クランプを使用し、JIS品との混用は避けましょう。部材調達の際はメーカーや専門商社に「DIN 11850規格品」と明示して確認するのが一番確実です。


参考:サニタリー管の規格比較(JIS・ISO・DINの外径寸法の違い)
サニタリー管のサイズと規格|JIS・ISOの違いは何?|溶接の道


DIN配管規格の発注・調達で失敗しないための独自チェックポイント

建築・設備工事の現場でDIN規格品を調達しようとすると、JIS規格品に比べていくつかの特有のハードルがあります。このセクションでは、他の記事にはない実務的な注意点を整理します。


まず、在庫品がほぼ存在しないという現実があります。国内でDIN規格フランジや継手は基本的に在庫流通しておらず、メーカー受注生産(オーダーメイド)が前提です。菱光産業のような専門商社でも「早くて1週間程度」の納期が必要です。つまり、工期がタイトな現場でDIN規格品が必要になった場合、工程に1〜2週間の余裕を見込んでおかないと後工程が詰まります。痛いですね。


  • 📌 発注時は必ず寸法入り図面を添付する:DIN規格は参考資料によって数値が微妙に食い違う場合があり、「DN100 PN10 SOPFF」のような記号だけでは不十分なケースもあります。承認図の取り寄せを必ず行いましょう。
  • 📌 旧DIN番号から新DIN EN番号への読み替えが必要:「DIN 2576」と指定しても、現在は廃番として扱われ「DIN EN 1092-1」に統合されています。古い設計図をそのまま転用すると、商社から「該当規格が見当たらない」と言われることがあります。
  • 📌 JIS材で製作可能か確認する:国内メーカーでは、形状はDIN規格・材質はJIS規格(SS400、SUS304など)での製作を受けてくれるケースがあります。材質にこだわりがない案件では、このやり方でコストと納期の両方を短縮できます。
  • 📌 PN(圧力)とK(圧力)の換算を事前に整理する:設計図がJIS表記でも、実際の部材がDIN規格という現場では、PN10とJIS 10Kのように近いクラスを誤った対応で選定してしまうリスクがあります。PN6→JIS相当なし、PN25→JIS相当なし、といった「対応なし」のケースも存在します。
  • 📌 複数の参考資料の数値を突き合わせる:DIN規格フランジの寸法表はWebや資料集に複数存在しますが、データ源によって数値が一部異なることが確認されています。発注前に最低2〜3の資料で数値を照合し、不一致部分(赤字で示されることが多い)は必ずメーカーに確認をとる必要があります。


また、近年ではDIN規格の多くがEN規格(欧州統一規格)に移行・統合されており、「DIN EN 1092-1」のように「DIN EN〜」という複合表記が増えています。この場合、規格の内容はENに準拠しつつ、ドイツ国内版として発行されたものです。CEマーキング対応設備の施工では、部材がDIN EN規格であることを確認することが条件になる場合もあります。これだけ覚えておけばOKです。


DIN規格品の調達で困ったときは、大手フランジ・継手メーカーや特殊規格に強い産業資材商社に相談するのが近道です。「欧州向け設備の配管を国内で補修したい」「図面にDIN番号が記載されているが対応品がわからない」といった案件でも、専門商社なら対応可能なケースが多くあります。


参考:DIN規格フランジの在庫・納期・発注方法の実情
JISとどう違う?DIN規格フランジの基本のキ|菱光産業株式会社




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