建築基準関係規定一覧と確認申請の適合チェック

建築基準関係規定一覧と確認申請の適合チェック

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建築基準関係規定とは

📋 建築基準関係規定の3つのポイント
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法的位置づけ

建築基準法第6条第1項で定義され、確認申請で適合性をチェックされる各法令の総称

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審査対象範囲

建築基準法令に加え、消防法・都市計画法など17の法令と自治体条例を含む

⚖️
違反時の影響

確認済証の交付不可、工事停止命令、最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金

建築基準関係規定とは、建築基準法第6条第1項で定義される、確認申請において適合性をチェックされる法令の総称です。建築確認の際には建築基準法だけでなく、建築物の敷地、構造、建築設備に関する他の法律も審査対象となります。この規定により、建築主は確認申請時に複数の法令への適合を証明しなければならず、建築基準法違反として厳しい行政処分や刑事罰の対象となります。
参考)https://kenchiku-kouzou.jp/word/kenntikukijun-kannkeikitei/

建築基準関係規定は大きく2つに分類されます。第一に「建築基準法令の規定」として、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定すべてが含まれます。第二に「その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるもの」として、建築基準法施行令第9条で具体的に列挙された法令が対象となります。
参考)https://f-kenkihou.com/archives/272

確認申請では建築基準法だけでなく、これらすべての建築基準関係規定に適合していることが求められ、一つでも不適合があれば確認済証の交付を受けることができません。また、自治体によっては独自の条例を建築基準関係規定として定めている場合があり、地域ごとに確認すべき内容が異なる点に注意が必要です。
参考)https://kenchiku-saikou-kikaku.com/architect-stories/kankeikitei.html

建築基準関係規定の法的根拠と定義

 

建築基準法第6条第1項において、建築基準関係規定は「この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう」と明確に定義されています。この定義により、確認申請の審査範囲が建築基準法の枠を超えて拡大されています。
参考)https://kijunhou.com/permission-required-for-confirmation-application/

政令で定めるものとは、建築基準法施行令第9条に列挙された17の法律を指します。これらの法律は建築物の安全性、防火性、衛生性、環境保全など、建築物に求められる多様な性能を確保するために指定されています。特に消防法、都市計画法、水道法、下水道法などは、ほとんどの建築計画において確認が必要となる重要な法令です。
参考)https://kenchiku-guide.com/related-building-regulations/

さらに、バリアフリー法第14条第4項、都市緑地法第41条、建築物省エネ法第11条においては、それぞれの法律の特定条文を「建築基準関係規定とみなす」と規定しています。これにより、これらの法令も確認申請の審査対象となり、施行令第9条に直接列挙されていないものの、実質的に建築基準関係規定として機能しています。​

建築基準関係規定に含まれる法令の種類

建築基準法施行令第9条には、17の法律が建築基準関係規定として列挙されています。これらは建築物の様々な側面を規制するために選定されており、それぞれ特定の条文のみが対象となっています。​
主要な法令としては、まず消防法(第9条、第9条の2、第15条、第17条)があり、火災予防や消防用設備の設置・維持に関する規定が確認対象です。次に都市計画法(第29条、第35条の2、第41条、第42条、第43条、第53条)では、開発行為の許可や建築制限に関する条文が審査されます。
参考)https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000023993.html

その他、屋外広告物法、港湾法、高圧ガス保安法ガス事業法駐車場法、水道法、下水道法、宅地造成等規制法、流通業務市街地の整備に関する法律、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、浄化槽法、特定都市河川浸水被害対策法が含まれます。​
さらに、みなし規定として、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)第14条、都市緑地法第35条・第36条・第39条、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)第11条も建築基準関係規定として審査されます。
参考)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001487395.pdf

建築基準関係規定の確認申請における位置づけ

確認申請において、建築主事または指定確認検査機関は、建築基準関係規定すべてへの適合性を審査します。建築基準法だけに適合していても、他の建築基準関係規定に違反していれば確認済証は交付されません。この仕組みにより、建築物の総合的な安全性と適法性が確保されています。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001627106.pdf

特にバリアフリー法と建築物省エネ法については、近年の法改正により適合義務が強化されています。バリアフリー法では特別特定建築物に対して基準適合義務が課され、建築物省エネ法では一定規模以上の建築物について省エネ基準への適合が義務付けられています。これらは建築確認と同時に審査されるため、設計段階から十分な配慮が必要です。
参考)https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kenchikushidoka/gyomuannai/1_1/8497.html

自治体によっては、独自の条例を建築基準関係規定として指定している場合があります。例えば緑化条例などは、地域の環境保全のために建築確認時のチェック対象とされることがあります。そのため、確認申請を提出する自治体ごとに、どの条例が建築基準関係規定とされているかを事前に確認することが重要です。
参考)https://www.pref.toyama.jp/1507/sangyou/shoukoukensetsu/kensetsugyou/kj00010235.html

建築基準関係規定の確認漏れを防ぐチェック体制

建築基準関係規定は多岐にわたるため、確認漏れを防ぐための体系的なチェック体制が不可欠です。多くの自治体や指定確認検査機関では、建築基準関係規定チェックリストを作成し、申請者に提出を求めています。このチェックリストを活用することで、該当する法令と適合状況を一覧で確認でき、審査の効率化と確認漏れの防止につながります。
参考)https://www.pref.miyazaki.lg.jp/documents/47613/47613_20250326091757-1.pdf

愛知県、兵庫県尼崎市、東京都新宿区、北海道札幌市など、多くの自治体が独自のチェックリストをホームページ上で公開しています。これらのチェックリストには、各法令の対象条文、該当の有無、内容についての適合確認、関係部局との協議内容などを記入する欄が設けられています。設計段階からこのチェックリストを活用することで、計画の手戻りを最小限に抑えることができます。
参考)https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenchikushido/check-list.html

特に意外と見落とされがちなのが、敷地の立地条件によって適用される法令です。例えば港湾法は港湾区域内の建築物に、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法は空港周辺の指定区域内の建築物に適用されます。また、開発許可が必要な場合は都市計画法の規定も確認が必要となるなど、敷地固有の条件によって適用される法令が変わる点に注意が必要です。
参考)https://www.pref.okinawa.jp/machizukuri/doboku/1013923/1022539/1013953/1013954.html

建築基準関係規定違反時の法的責任

建築基準関係規定に違反した場合、建築主、設計者、施工者は重い法的責任を負います。行政処分としては、工事停止命令、違反是正命令、使用制限命令などが発せられ、これらの命令に従わない場合はさらに厳しい刑事罰が科されます。
参考)https://a-dreamlaw.com/corporate/column/architecture_a009

刑事罰については、違反の内容によって刑の重さが異なります。構造耐力や防火壁等の基準に適合しない設計を行った場合、措置命令違反、緊急施工停止命令違反などには、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)が科されます。また、建築確認、完了検査、中間検査に関する違反については、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は1年以下の懲役または1億円以下の罰金)が科されます。
参考)https://www.vbest.jp/kenchikusosho/columns/7254/

法人に対する罰金が最高1億円にも達することから、企業としての社会的信用を失うだけでなく、経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、設計段階から建築基準関係規定への適合性を十分に確認し、確認申請前には複数回のチェックを実施することが重要です。また、関係部局との事前協議を行い、解釈が分かれる事項については明確にしておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
参考)https://www.pref.osaka.lg.jp/o130180/kenshi_shinsa/tyousei_kyoka/kak_shinsei-saikaku.html

国土交通省の建築基準法関係告示情報
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000096.html
建築基準法等に基づく告示の制定・改正状況を確認できる国土交通省の公式ページです。最新の法改正情報を把握する際の参考リンクとして活用できます。

 

一般財団法人 建築行政情報センター 法令データベース
https://www.icba.or.jp/horeidb/
建築基準法令・建築士法令のアーカイブを検索・閲覧できるデータベースです。過去の法令改正履歴を確認する際に有用な参考リンクです。

建築物の防火避難規定の解説 2025