ダクトスペースの竪穴区画と防火区画の基本と緩和条件

ダクトスペースの竪穴区画と防火区画の基本と緩和条件

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ダクトスペースの竪穴区画|構造・免除・貫通処理を完全解説

ダクトスペース竪穴区画の対象です。「階段やEVだけでしょ」と思っていると、確認申請で手戻りが発生します。


この記事でわかること
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竪穴区画の対象と基本構造

ダクトスペースは建築基準法施行令第112条で明記された竪穴部分。準耐火構造の壁・床と遮煙性能付き防火設備が必要になります。

免除・緩和が使える条件

3階以下かつ200㎡以内の住戸は免除可能。開放廊下接続や用途上やむを得ない場合など、8つの免除ルートがあります。

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貫通処理とダンパー選定

竪穴区画をダクトが貫通する場合は原則SFD(煙感知器連動防火ダンパー)が必要。外気に直結する場合はFDでも対応可能なケースがあります。


ダクトスペースが竪穴区画の対象になる理由と法的根拠


建築基準法施行令第112条第11項(旧第9項)には、竪穴部分として「ダクトスペースの部分」が明記されています。この条文では、屋内階段・屋外階段・昇降機の昇降路・吹き抜け・ダクトスペースを「竪穴」として定義しており、ダクトスペースは階段と同列に扱われます。


なぜダクトスペースが危険なのか、少し整理しましょう。


ダクトスペースは複数の階を縦方向に貫く空間です。火災発生時、そこには高温の煙と炎が通り抜けられる経路が生まれます。実際に過去の火災事例でも、ダクトスペース内を火炎が上昇し、複数階に延焼した記録が残っています。竪穴区画の目的は、こうした「煙突効果による延焼拡大」を物理的に遮断することです。


防火区画は全部で4種類あります。面積区画高層区画・竪穴区画・異種用途区画の4つで、竪穴区画はそのうちの1つです。


竪穴区画が必要となる建築物は、大きく3パターンに分けられます。


- パターン①:主要構造部を準耐火構造(または耐火構造)とした建築物で、地階または3階以上に居室があるもの
- パターン②:3階を病院・診療所・児童福祉施設等の用途に使用し、階数3かつ延べ面積200㎡未満のもの
- パターン③:3階をホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎等の用途に使用し、階数3かつ延べ面積200㎡未満のもの


パターン①に②または③が重複する場合は、パターン①の基準が優先されます。これは基準が厳しい方を採用するという考え方で、設計段階でよく確認が必要なポイントです。


| 対象建築物 | 壁の構造 | 床の構造 | 開口部の構造 |
|---|---|---|---|
| パターン①(準耐火・耐火構造で3階or地階に居室) | 準耐火構造(または耐火構造) | 準耐火構造(または耐火構造) | 防火設備(遮煙性能付き) |
| パターン②(病院・児童福祉施設等、3階建て200㎡未満) | 間仕切壁 | ― | 防火設備(遮煙性能付き) |
| パターン③(ホテル・共同住宅等、3階建て200㎡未満) | 間仕切壁 | ― | 戸(ふすま・障子は不可) |


パターン②とパターン③は令和元年6月25日の建築基準法改正で新たに追加された区画です。就寝用途や自力避難が困難な方が入所する小規模施設での逃げ遅れ防止が追加の理由でした。古い知識のまま設計を進めると、この2パターンを見落とすリスクがあります。


法令の正確な条文は以下の電子政府のサイトで確認できます。


建築基準法施行令第112条の条文(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338


ダクトスペースの竪穴区画が免除・緩和される8つのケース

竪穴区画は必ずしも全ての建築物に適用されるわけではありません。条件を満たせば免除または緩和が可能です。


免除が使えるケースをまとめると、以下の8つです。


- 準耐火建築物(ロ準耐)にする:建築基準法27条や61条により「準耐火建築物以上」が必要な規模で、ロ準耐(建基法第2条第9の3号(ロ))とすれば免除
- 準延焼防止建築物にする:外壁・開口部の防火性能を高めた建築物にすれば、ほぼ全ての竪穴区画が免除
- 地階または3階以上に居室を設けない:例えば5階建てビルで3〜5階が倉庫のみなら免除
- 開放廊下に接続する:階段が屋外廊下・バルコニーに接続されている場合は免除。共同住宅の外廊下型がこれに当たります
- 3階以下かつ200㎡以内の住戸とする:一戸建て・長屋・共同住宅で階数が3以下、かつ床面積が200㎡以内なら不要
- 便所・公衆電話所等にする:階段からのみ出入りできるトイレは階段の一部とみなされ免除
- 用途上やむを得ないものに該当する:劇場・映画館・体育館・工場など、区画が構造上困難な用途は緩和あり
- 特定条件を備えた竪穴に該当する:避難階の直上または直下1層のみに通じる吹き抜けで、下地・仕上げに不燃材料を使用する場合は免除


このうち現場で最も誤解が多いのが「3階以下かつ200㎡以内の住戸」の免除条件です。


ここで注意が必要なのは、あくまで住戸単位での免除であるという点です。建物全体の延べ面積ではなく、「住戸部分」が対象となります。つまり共同住宅の1住戸が200㎡以内・3階以下でも、建物全体が準耐火構造でパターン①の要件に当てはまる場合は、パターン①の竪穴区画が優先して必要になります。免除条件を正確に理解しておかないと、検査でNGが出るケースがあります。


緩和条件が適用されるかどうか不明なときは、所管の特定行政庁または確認検査機関へ事前相談するのが確実です。


竪穴区画の免除・緩和規定についての詳細解説
https://toughlock.negurosu.co.jp/column/column-144/


ダクトスペースが竪穴区画を貫通する場合の防火ダンパー選定

ダクトスペース自体は竪穴区画の内側にある空間ですが、換気や空調のダクトがその区画の壁・床を貫通するケースは非常に多く、その貫通部の処理が重要な実務ポイントになります。


建築基準法施行令第112条第16項では、防火区画を風道(ダクト)が貫通する場合、防火ダンパーを設けることが義務付けられています。つまり、ダクトが竪穴区画を貫通するなら、ダンパーは必須です。


問題は「FD」と「SFD」のどちらを選ぶかです。


竪穴区画の貫通部には、原則としてSFD(煙感知器連動防火ダンパー)が必要です。SFDとは、煙感知器と連動して電気信号で閉鎖する機能を持つダンパーで、煙が発生した段階でいち早くダクト経路を遮断します。竪穴区画は「煙の拡散防止」が主な目的であるため、温度上昇でのみ作動するFD(防火ダンパー、温度ヒューズ72℃溶断)では不十分とされています。


ただし例外もあります。ダクトが外気と直接つながる構造の場合、区画内外に煙が流入する恐れがないと判断されるため、FDのみでも対応可能なケースがあります。外気直結の排気系統などが該当します。


ダンパーの主な種類と役割は以下のとおりです。


| ダンパー記号 | 名称 | 作動条件 | 主な設置場所 |
|---|---|---|---|
| FD | 防火ダンパー | 温度上昇(72℃または120℃) | 防火区画を貫通するダクト全般 |
| SFD | 煙感知器連動防火ダンパー | 煙感知器との電気信号連動 | 竪穴区画・異種用途区画の貫通部 |
| HFD | 排煙用防火ダンパー | 温度上昇(280℃) | 排煙ダクト(排煙口)への設置 |
| PFD | 消火ガス圧式防火ダンパー | ガス放出圧力でのピストン作動 | ガス系消火設備の防護区画開口部 |


なお、排煙ダクトに通常のFD(72℃作動)を取り付けてしまうと、火災時に排煙系統が早期に閉鎖して排煙効果を妨げてしまいます。排煙口には必ずHFD(280℃)を使うのが原則です。ダンパー選定を間違えると法令違反になります。厳しいところですね。


また、防火ダンパーは建築基準法第12条に基づく定期報告制度(いわゆる12条点検)において、建築設備定期検査の対象となります。点検時にダンパーが開放状態のまま固着していたり、作動確認ができない状態になっていると是正指導を受けることになります。ダクトスペース周辺のダンパーが点検しやすい位置に設けられているか、設計段階から考慮しておくとよいでしょう。


防火ダンパーの設置義務と種類の詳細解説(青木防災株式会社)
https://aokibosai.net/bojyo/fire-damper/


竪穴区画に接する外壁のスパンドレル処理と見落としやすいポイント

竪穴区画を設けた場合、区画が外壁と接する部分には「スパンドレル」の設置が義務付けられています。これは建築基準法施行令第112条第16項(旧第15項)で定められた規定です。


スパンドレルとは何かというと、防火区画の内側から外側へ、屋外を経由して炎が回り込んで上層階に延焼するのを防ぐための外壁の構造です。簡単にいえば、窓と窓の間に炎が伝わらないよう「帯状の壁」を設けるイメージです。


スパンドレルとして認められる構造は、以下の3通りです。


- 幅90cm以上の外壁(準耐火構造または耐火構造)
- 外壁から50cm以上突出したひさし・バルコニー
- 外壁から50cm以上突出した袖壁


これらのうちいずれかを設けることが条件です。


現場でよく見落とされるのが、ダクトスペースが外壁に面しているケースです。ダクトスペースは内部の空間と思いがちですが、外壁と接する位置にある場合はスパンドレルの検討が必要になります。「ダクトスペースだから外壁処理は関係ない」と判断してしまうと、竣工検査で指摘を受けることになります。


スパンドレルが必要な区画の種類についても整理しておきます。スパンドレルが必要となるのは面積区画・高層区画・竪穴区画の3種類です。異種用途区画にはスパンドレルは不要です。これは意外に混同しやすいポイントなので覚えておくと役立ちます。


スパンドレルに接する外壁に開口部(窓など)がある場合は、その開口部を防火設備(原則として特定防火設備または防火設備)とする必要があります。スパンドレルの「壁」部分だけでなく、開口部の扱いも確認が必要です。


スパンドレルに関する詳細解説(確認申請ナビ)
https://kakunin-shinsei.com/tateanakukaku-teigi/


現場担当者が実務で押さえるべき「ダクトスペース竪穴区画」の独自チェック視点

ここでは、法令の条文解説だけでは拾いにくい、実務上のトラブルポイントを整理します。


① 「ダクトスペース=室内だから竪穴区画は内装だけで済む」という思い込み


ダクトスペースは部屋の一形態ではなく、「竪穴部分」として法的に定義された空間です。その壁・床は準耐火構造(または耐火構造)とする必要があり、仕上げ材だけで竪穴区画を形成しようとしても認められません。構造体レベルでの対応が必要です。これが基本です。


② 開口部の「遮煙性能」を見落とす


パターン①の竪穴区画では、開口部に「遮煙性能付きの防火設備」が必要です。これは単なる防火戸(遮炎性能のみ)では不十分であるということです。遮煙性能とは、煙の通過を一定時間以上抑制できる性能で、JIS A 4702(ドアセット)などの規格に基づいて評価されます。設備の発注時に「遮煙性能付き」かどうかを明示した上で機種選定するようにしてください。


遮煙性能は常時閉鎖式か随時閉鎖式のどちらかで実現します。随時閉鎖式の場合は、煙感知器または熱煙複合式感知器との連動が必須条件です。感知器の設置位置やシステム接続を設備設計者と事前に確認しておくことが重要です。


③ 建築設備定期検査での報告漏れ


防火設備定期検査(建築基準法第12条第3項)の対象となる建築物では、竪穴区画に設けた防火設備も検査・報告の対象になります。竣工後に防火扉が開放状態で固定されていたり、ダンパーが作動しない状態で放置されていると、定期報告で是正指導を受けます。


🔎 実務チェックリスト(ダクトスペース竪穴区画)


| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ① 竪穴区画の対象確認 | 建物パターン(①〜③)のどれに該当するか |
| ② 免除条件の確認 | 8つの免除条件に該当するか(住戸200㎡・開放廊下など) |
| ③ 壁・床の構造 | 準耐火構造または耐火構造になっているか |
| ④ 開口部の性能 | 遮煙性能付き防火設備(パターン①②)または戸(パターン③)か |
| ⑤ ダンパー選定 | 竪穴区画貫通部は原則SFD。外気直結ならFD可否を確認 |
| ⑥ スパンドレルの確認 | ダクトスペースが外壁と接する場合は90cm外壁または50cm庇 |
| ⑦ 定期検査への対応 | 防火設備定期検査の対象建築物か。点検アクセスの確保 |


このチェックを設計段階・着工前・完了検査前の3回確認する習慣をつけると、手戻りリスクを大幅に減らせます。


④ パターン②・③の見落とし


令和元年改正で追加されたパターン②(病院・児童福祉施設等、3階建て200㎡未満)とパターン③(ホテル・共同住宅等、3階建て200㎡未満)は、「小規模な建物だから竪穴区画は不要だろう」という先入観で見落とされやすいです。「3階建て・200㎡未満」というコンパクトな建物でも、就寝用途や要介護者が利用する施設であれば竪穴区画が必要になる点を頭に入れておくことが大切です。


改正内容についての詳しい解説(確認スクール)
https://kakunin-school.com/boukakukaku04/




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