JIS配管規格の種類と建築設備への正しい選定方法

JIS配管規格の種類と建築設備への正しい選定方法

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JIS配管規格の種類と建築設備工事での正しい選定方法

SGP管の「呼び径50A」は、実際の外径が60.5mmあり、50mmとは一度も一致しません。


この記事のポイント3つ
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呼び径≠実寸

JIS配管の「呼び径」は便宜上の名称であり、実際の外径とは一致しません。インチ規格に由来する歴史的経緯があります。

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SGP≠上水道用

最も汎用的なSGP管(JIS G 3452)は上水道への使用が明確に除外されています。建築設備での誤選定に注意が必要です。

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スケジュール番号の重要性

同じ呼び径でもスケジュール番号(Sch)が違えば肉厚が異なり、高圧環境での破損リスクにつながります。


JIS配管規格とは:建築設備に関係する主な規格番号の一覧


JIS配管規格とは、日本産業規格(JIS)が定める配管材料の寸法・材質・性能などの統一基準のことです。建築設備工事に携わる場合、膨大なJIS規格の中から「どれが自分の現場に関係するのか」を把握することが出発点になります。


建築設備でとくに頻繁に登場するのは、鉄鋼系・樹脂系・ステンレス系の3グループです。それぞれの代表的な規格番号と概要は以下の通りです。













記号 規格番号 正式名称 主な用途
SGP JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管 蒸気・ガス・空気・水(上水除く)
SGPW JIS G 3442 水配管用亜鉛めっき鋼管 空調・消火・排水(非上水)
STPG JIS G 3454 圧力配管用炭素鋼鋼管 350℃以下の圧力配管
STS JIS G 3455 高圧配管用炭素鋼鋼管 350℃以下の高圧配管
VP/VU JIS K 6741 硬質ポリ塩化ビニル 給水圧送・排水・通気
水道用VP JIS K 6742 水道用硬質ポリ塩化ビニル管 上水道給水
一般SUS管 JIS G 3448 一般配管用ステンレス鋼管 給水・給湯・冷温水
SUS配管管 JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管 耐食・低温・高温配管


建築設備の現場で最も出番が多いのはSGP(黒管・白管)とVP・VU管です。ただ、この2種類だけを知っていれば十分というわけではなく、使用流体・圧力・温度の条件によって必ず選び分ける必要があります。


規格番号を「見たことがある程度」で済ませてしまうと、後述する上水道への誤使用など重大な施工ミスにつながることがあります。まず規格番号と用途の対応関係を正確に把握することが基本です。


JIS規格の全体像を確認したい場合は、以下のページが各分野ごとに整理されており参照しやすいです。


配管規格JIS一覧(パイプ・継手・フランジ・バルブほか全分野)|hkpnote.com


JIS配管規格の呼び径と外径:数字が一致しない理由と現場でのトラブル回避策

JIS配管規格を使いこなす上で、多くの建築業従事者が最初につまずくのが「呼び径」の概念です。呼び径とは配管の太さを表す「名目上の呼び名」であり、実際の外径寸法とは一致しません。


たとえばSGP管の呼び径50Aは実際の外径が60.5mm、100Aは実外径114.3mmです。呼び径の数字と外径の数値がまるで異なっているのは、歴史的にインチ規格(B呼称)から派生した経緯があるためです。もともと鉄管はインチ寸法で設計されており、後からミリメートル換算のA呼称が整備されましたが、外径寸法そのものは変更されなかったため、「呼び径の数字」と「実寸外径」の間にはずれが生じています。










呼び径(A呼称) 呼び径(B呼称) 実際の外径(mm)
15A 1/2B 21.7
25A 1B 34.0
50A 2B 60.5
100A 4B 114.3
200A 8B 216.3


つまり呼び径はあくまで「仲間をまとめる分類名」です。継手フランジ・バルブはすべてこの呼び径で互換性が担保されているため、現場で「25Aのソケット」と指定すれば規格内のすべてのメーカー品が適合します。


現場でのトラブルとして多いのは、「呼び径と外径を同じ数値だと思い込んで図面に落とし込むケース」と「A呼称とB呼称を混同して発注するケース」の2パターンです。A呼称(ミリ表記)とB呼称(インチ表記)は同じ配管を指していますが、部材発注や図面記載で混在すると、意思疎通ミスによる取り違えが発生します。


呼び径と外径が一致しないということですね。手元に呼び径と外径の対応表を一枚用意しておくだけで、このミスの大半は防ぐことができます。


呼び径・外径・肉厚の対応表が現場で使いやすい形式で公開されています。


呼び径と外径・肉厚の対応表(JIS規格早見)|溶接の道


JIS配管規格のSGP・STPG・SUSの違いと建築設備での正しい使い分け

建築設備の現場でとくに重要な材質は、SGP・STPG・SUSの3種類です。それぞれの規格と特性を正確に理解することが、安全な施工につながります。


SGP(JIS G 3452)の特性と注意点


SGPは最も汎用的で安価な配管用炭素鋼鋼管です。黒管(メッキなし)と白管(亜鉛メッキあり)の2種類があり、蒸気・ガス・油・空気・水などの一般配管に広く使われます。


ここで必ず押さえておきたいのが、SGPの用途制限です。JIS G 3452の規格説明には「水(上水道用を除く)」と明記されており、上水道への使用はできません。また使用圧力の目安は1.0MPa以下とされており、高圧配管にも使えないということが原則です。










項目 SGP(JIS G 3452) STPG(JIS G 3454) SUS(JIS G 3448/3459)
主な用途 蒸気・ガス・空気・水(非上水) 350℃以下の圧力配管 給水・給湯・耐食・冷温水
使用圧力目安 1.0MPa以下 10MPa以下 1.0MPa以下(G 3448)
スケジュール なし(肉厚1種類のみ) あり(Sch20〜Sch160) あり(薄肉〜厚肉)
耐食性 低〜中(白管で向上) 低〜中 高(錆びにくい)
コスト


STPGとスケジュール番号の関係


STPGはSGPより高温・高圧環境に対応した圧力配管用鋼管です。JIS G 3454で規定されており、同じ呼び径でも「スケジュール番号(Sch)」によって肉厚が異なります。Sch40とSch80では同じ100Aでも肉厚が6.0mm対8.6mmと大きく異なり、使える圧力条件も変わってきます。Sch番号が大きいほど肉厚が厚く、高圧に耐えられるということですね。


SGPにはSchが存在せず、各呼び径につき肉厚は1種類だけです。この違いを理解せずにSGPとSTPGを混用しようとすると、互換性の問題が発生することがあります。肉厚の違いが条件です。


SUS管を選ぶべき場面


錆びが致命的な問題になる給水・給湯配管や、飲食施設・医療施設など衛生管理が求められる場面ではSUS管が必須です。JIS G 3448(一般配管用)とJIS G 3459(耐食・高温用)では適用範囲が異なるため、設計時に両者を混同しないよう注意が必要です。


STPGの使用限界(温度・圧力グラフ)の詳細は以下のページで確認できます。


配管用鋼管の使用限界(温度・圧力基準)|JFEスチール


JIS配管規格のVP管・VU管と塩ビ配管:建築設備工事での選定ポイント

建築設備の排水・給水配管では、鋼管よりも塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)が使われる場面が多いです。JIS K 6741とJIS K 6742に規定されるVP管・VU管の違いを正確に知っておくことは、建築業従事者にとって基本中の基本といえます。


VP管とVU管の肉厚と用途の違い


VP管(Vinyl Pipe)は厚肉タイプで、内圧のかかる給水圧送用配管や薬液配管に対応しています。一方のVU管(Vinyl Usuniku)は薄肉タイプで、主に重力による自然流下が前提の排水・通気配管に使用されます。









種類 規格 肉厚の目安(50A) 主な用途 特徴
VP管 JIS K 6741 約4.1mm 給水圧送・薬液配管 耐圧性が高い
VU管 JIS K 6741 約2.5mm 排水・通気配管 軽量・安価
水道用VP JIS K 6742 約4.1mm 上水道給水専用 水道法適合
HIVP JIS K 6742 約4.1mm 耐衝撃性が求められる給水 低温衝撃に強い


ここで注意したいのが「VP管なら上水道に使える」という思い込みです。JIS K 6741のVP管は一般流体輸送用であり、上水道への使用はJIS K 6742の「水道用硬質ポリ塩化ビニル管」でなければなりません。現場では「VP管=給水配管でもOK」と誤解するケースがあります。これは問題ありません、という話にはならず、水道法の基準適合品かどうかの確認が必要です。


VU管の使い方に関する実務上のポイント


VU管は肉薄のため、圧力がかかる場所には絶対に使えません。排水立て管や埋設の無圧排水配管では多く採用されていますが、誤ってポンプ圧送配管に使ってしまうと管が破裂するリスクがあります。厳しいところですね。


VU管のコストはVP管の同サイズと比べて20〜30%程度安価なため、コスト削減の観点から選びたくなる場面もありますが、用途の確認が最優先です。排水か圧送かを確認してから選定するのが原則です。


JIS配管規格のフランジと継手:建築設備工事での規格選定の独自視点

配管材の規格と同様に重要なのが、継手・フランジの規格選定です。建築設備の現場では「管は正しい規格を使ったのに継手で間違えた」という事例が後を絶ちません。


継手の種類と対応規格


建築工事で使う代表的な継手と規格を整理しておきましょう。


- ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手(JIS B 2301):エルボ・チーズ・ソケット・ニップルなどSGP管への接続で最もよく使われる継手。呼び径に対応したねじサイズが規定されています。


- 溶接式管継手(JIS B 2311/2312):高圧・高温配管や大径配管に使用。突合せ溶接式と差込溶接式があります。


- 一般配管用ステンレス鋼管継手(JIS B 2309):一般配管用ステンレス管(JIS G 3448)に対応した継手で、最高使用圧力2.0MPa以下の給水・給湯配管に使用します。


継手の選定が原則です。管の規格と継手の規格が対応していないと、接続部での漏水や破損が発生します。


フランジの呼び圧力(K規格)の選び方


フランジの選定でよく登場するのが「10K」「16K」という呼び圧力の表記です。JIS B 2220(鋼製管フランジ)では5K・10K・16K・20K・30K・40K・63Kが規定されており、この「K」はkgf/cm²を基準にした呼び圧力の等級です。


建築設備で最も多く使われるのは10Kフランジです。JIS規格では10Kフランジの最高使用圧力は1.4MPa(区分・材質・温度によって変動)とされており、通常の建築設備配管(給水・冷温水・消火など)のほとんどのケースをカバーできます。









呼び圧力 規格 最高使用圧力の目安 建築設備での主な用途
5K JIS B 2220 〜0.7MPa 低圧ガス・排水
10K JIS B 2220 〜1.4MPa 給水・冷温水・消火
16K JIS B 2220 〜2.0MPa 高圧給水・蒸気配管
20K以上 JIS B 2220 2.0MPa超 プラント系高圧配管


フランジ選定でありがちなミスは、「呼び圧力10Kなら最大10kgf/cm²(約1MPa)まで」と単純に覚えてしまうことです。実際には材質区分や温度条件によって最高使用圧力は変動するため、JIS B 2220の圧力-温度基準表を確認することが必要です。これは使えそうです。


フランジの呼び径はパイプの呼び径と一致させることが条件です。たとえば呼び径100AのSGP管には100A対応のフランジを選びます。一見当たり前のことですが、施工後に「フランジのボルト穴位置がずれていた」という問題は、呼び径は同じでも圧力等級(Kの値)が異なる規格を混在させた場合に実際に起きます。


継手・フランジ規格の詳細については、以下のページで各規格の寸法表が確認できます。


JISフランジ寸法表(5K・10K・16K・20K)|流体工業株式会社


JIS配管規格の改正と建築設備工事への影響:実務者が知っておくべき変更点

JIS規格は一度制定されたら終わりではなく、定期的に見直しと改正が行われています。建築設備工事の現場では「古い規格の製品がまだ倉庫に残っている」という状況がよく起こります。


規格改正が現場に影響するケース


規格改正の影響を受けやすいのは、主に「寸法許容差の変更」「材質の追加・削除」「適用範囲の明確化」の3点です。


一例として、JIS G 3448(一般配管用ステンレス鋼管)は2016年に改正されており、それ以前の旧規格品と現行規格品では管の外径や肉厚の許容差が微妙に異なるケースがあります。改修工事で新旧の管材が混在する場合、接続部の寸法が規格内でも実寸で合わないことがあります。


意外ですね。「同じJIS規格だから大丈夫」と思っていても、改正年度が異なると完全互換とはならないケースが存在するのです。


古い図面・仕様書の規格番号をそのまま使うリスク


建築改修工事では、数十年前の設計図面をもとに材料を発注することがあります。このとき、図面記載の規格番号がすでに廃止・改正されている場合があります。たとえばJIS G 3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)は過去に複数回改正されており、旧版と現行版では寸法表の構成が変わっています。


古い図面の規格番号に注意すれば大丈夫です。改修工事の設計・発注前には、JIS規格の現行版をJSA(日本規格協会)のデータベースで確認する習慣をつけることを推奨します。


建築設備分野の標準仕様書との関係


国土交通省が定める「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)」では、使用する配管材料のJIS規格番号が明示されています。官庁工事に携わる場合はこの仕様書が法的拘束力に準じる扱いとなるため、最新版(定期的に改訂される)を確認することが不可欠です。


以下のページで国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)の最新版を確認できます。


公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)最新版|国土交通省




JISハンドブック 6-2 配管II[製品] (2025)